ふるさと納税のワンストップ特例制度 【用語解説】

「ふるさと納税ワンストップ特例制度」とは、本来、確定申告の不要な者(給与所得者等)が、ふるさと納税を行う場合、所得税の確定申告を行わなくても、ふるさと納税の寄附金控除を受けられる特例です。この特例は、ふるさと納税先の自治体数が5団体以内の場合に利用することができます。各ふるさと納税先の自治体に、申請をする必要があり、ふるさと納税を行う際に特例の適用に関する申請書を提出する必要があります。

この申請書自体は、各自治体から郵送される場合が多いですが、各自治体やふるさと納税を取り扱っているポータルサイトからダウンロードできるものもあります。また、紙による申請以外に電子申請をすることもできる自治体もあります。

なお、5団体を超える(6団体以上)自治体にふるさと納税を行った場合は、この「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を適用することはできず、所得税の確定申告をする必要があるので注意が必要です。この団体数は、累計ではないので、例えば同じ市に10回寄附を行ったとしても、1団体としかカウントされず、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を適用することができます。ただし、寄附をする都度に申請をする必要はあります。つまり、同じ市に10回寄附を行った場合は、10回分の申請が必要ということになります。

また、もともと確定申告をする必要がある方はこの特例を適用することはできませんので、これまで同様に確定申告を行う必要があります。

この特例の適用を受ける場合には、所得税の確定申告の場合と異なり、所得税額からの控除は発生せず、ふるさと納税を行った翌年の6月以降に支払う住民税(道府県民税・市町村民税・都民税)額からの減額という形で控除が行われます。

この特例の適用を受けるためには、個人番号確認書類および本人確認書類のコピーが必要です。次のいずれかの方法で書類を準備してください。

①マイナンバーカード両面(写し)
②マイナンバー通知カード(写し) または 住民票(写し) + 運転免許証(写し) または パスポート(写し)
③マイナンバー通知カード(写し) または 住民票(写し) + 健康保険証・年金手帳・一定の公的書類のうち2つの写し

なお、申請は寄附をした年の翌年1月10日(必着)が期限となります。電子申請の場合は、即時となるので郵送等の期間の心配はないと言えるでしょう。

執筆者:税理士 森田 純弘


森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。