ふるさと納税と年末調整 【用語解説】
「年末調整」は、給与所得者の源泉徴収された年間の所得税額(復興所得税を含む。以下同じ)の合計額とその給与所得者の1年間の課税所得金額に税率を適用して算出された所得税額との差額を調整する手続きです。
給与の支払者は、例えば月払いの給与の支払の際に所定の源泉徴収税額表によって所得税の源泉徴収をすることになっています。この源泉徴収税額は、その給与所得者のその時の状況に応じて、いわば仮の所得税の金額を算出していると言えるでしょう。ですから、給与所得者の源泉徴収された年間の所得税額の合計額と、その源泉徴収をした税額の1年間の合計額は、実際の年間給与総額について負担しなければならない税額(年税額)と一致しないのが通常です。そこで、①給与所得者の年間の確定した給与等について源泉徴収された税額の年間の合計額と、②その確定した給与等の金額に応じた給与所得控除後の金額から一定の所得控除額や税額の控除額に係る年税額を調整するのが「年末調整」という手続きです。
年末調整で控除する一定の所得控除等を大まかに示すと次の通りです。
・社会保険料控除 ・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除 ・地震保険料控除
・扶養控除 ・障害者控除 ・寡婦控除
・ひとり親控除 ・勤労学生控除
・配偶者控除 ・配偶者特別控除
・基礎控除
・住宅借入金等特別控除(税額控除)
年末調整の対象となるのは、原則として、勤務先に「扶養控除等申告書」を提出している者ですが、給与の収入金額が2,000万円を超える等一定の場合は年末調整の対象とはなりません。
年末調整では、「扶養控除等申告書」「基礎控除申告書」、「配偶者控除等申告書」、「所得金額調整控除申告書」、「保険料控除申告書」「住宅借入金等特別控除申告書」を給与の支払先(勤務先)に提出する必要があります。
なお、ふるさと納税は、年末調整で行うことはできません。したがって所得税の確定申告をするか、ふるさと納税ワンストップ特例制度を選択することになります。
執筆者:税理士 森田 純弘
森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。