ふるさと納税の控除限度額 【用語解説】

ふるさと納税を話題にする際によく「いくらまで?」とか「限度額は?」という表現をされることがあります。つまり、世間的には自分がいくら(金額)ふるさと納税、各自治体に寄附をすれば良いか、最適の寄附の金額はいくらであるのかに関心があるといえるのではないでしょうか?しかも、そのような関心があるのは、まさに寄附をしようとする時点だと思います。

正直に言えば、寄附をしようとする時点では、寄附の金額の最適点とか、どこまで(いくらまで)寄附をすれば良いかという意味での限度額は、わかりません!この場合の最適点のことを意味する控除限度額が明らかとなるのは、その年の住民税額が確定した時点ということになります。住民税額は、その年の1年間(暦年:1月1日~12月31日)の所得に対して課税されます。つまり、寄附をした日の属する年が終わらなければ、その年の所得は決まりません。また、所得ですから、例えば給与を受ける人であれば、給与収入の金額ではなく、給与収入の金額から給与所得控除を差し引き、所得控除を差し引いた上での税額計算となります。

所得税の確定申告は、その年の翌年の3月15日までに行い、自ら税額を計算します。給与所得者であれば、そのほとんどは年末調整によって税額計算がなされます。ですから、申告期限の翌年の3月15日までには、税額が確定することになります。これに対して住民税は、その年の翌年の5月~6月に住所地の(都)市町村から送られてくる「納税通知書」によってその税額を知ることになります。つまり、住民税は納税者が税額を自ら計算するのではなく、都道府県や市町村が税額計算を行い、納税者に通知するというシステムになっているのです。また、住民税額の計算は、所得税額の計算よりも複雑で自ら計算することは困難と言えるでしょう。いずれにせよ、住民税額が確定するのは、その年の翌年の5月~6月ということになります。結果として、ふるさと納税の控除限度額もその年の翌年の5月~6月に判明することになります。

それでも目安としての限度額が知りたいところです。ふるさと納税に関する限度額には、①所得税からの控除、②住民税からの控除(基本分)、③住民税からの控除(特例分)があります。簡単に、ふるさと納税に関する限度額を示すと次の通りです。

①所得税からの控除・・・・・・・総所得金額等の40%
②住民税(基本)からの控除・・・総所得金額等の30%
③住民税(特例)からの控除・・・住民税所得割額の20%

結果、端的に目安として③から住民税額の2割程度というイメージです。ですから、毎年同じような年収・所得を基準にすれば、いわゆるふるさと納税の限度額は、前年の住民税額の2割程度を参考にすると良いのではないでしょうか。

執筆者:税理士 森田 純弘


森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。