ふるさと納税と住民税 【用語解説】

住民税は、地方税法の定める税目であって、個人に対して課税する個人住民税と法人に対する法人住民税とがあります。ここでは、個人住民税についてのみ取り上げることとします。

個人住民税は、地域住民のあらゆる行政サービスの活動費に充てる目的で、それぞれの地域に住む個人に対してその個人の住所地で課税されます。個人住民税には道府県民税と市町村民税がありますが、納税する際には合わせてその住民票の登録のある各市町村に個人住民税を納める必要があります。その後道府県民税部分については、その納税を受けた各市町村によって、それぞれの道府県に払い込まれることになっています。なお、東京都についても基本は同じです。

個人住民税の申告は、所得税の確定申告とは異なります。所得税の確定申告では課税される所得金額と税額計算まで行って確定申告書の提出をしますが、個人住民税の申告は税額計算の要素のみ記載して住所地の各(区)市町村長に対して提出をします。税額計算については、各(区)市町村が行います。なお、所得税の確定申告を行った場合には、自動的にその内容が各(区)区市町村に送られますので、住民税の申告をしなくても、申告があったものとみなされます。また、給与所得者については、所得税の源泉徴収制度と同様に本人が特別な手続きをすることはありません。

個人住民税の納付方法には、普通徴収と特別徴収とがあります。個人住民税の税額計算は各(区)市町村が行いますから、その税額と納付の方法については、その(区)市町村から送られてくる納税通知書にしたがって行います。この納税通知書は、その所得が生じた年の翌年の5月~6月に送付され、住民税の納付は年4回に分けて納めます。これが普通徴収です。給与所得者については、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます。これが特別徴収です。

個人住民税は所得税同様に、所得金額が所得控除額を超える部分を課税所得金額に標準税率10%(道府県4%、市町村6%)をかけることによって計算されます。その際の所得控除額は、所得税の所得控除額よりも全体的に少ない金額をなっています。

個人住民税には、所得に対して課される所得割の他に、所得に関係なく一律に課税される均等割、利子割等があります。ふるさと納税は、所得税の確定申告またはワンストップ特例によって税額軽減されますが、住民税が減額されるのは、所得割部分となります。

執筆者:税理士 森田 純弘


森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。