ふるさと納税と還付申告 【用語解説】

還付申告とは、簡単に言うと申告をすることによって、納めていた税金が戻ってくる(還付)手続きのことです。ふるさと納税に関しては、主に住民税の控除ということですが、還付申告については、所得税についての手続きを意味しています。そして、所得税の還付申告は、所得税の確定申告で行うことになります。還付申告は、納めて過ぎていた税金が戻ってくる手続きなので、当たり前のことですが、納め過ぎていた税金がない場合には、還付はありませんし、還付申告をすることもできません。

所得税の確定申告は、その年の翌年の2月16日から3月15日(確定申告期間)が原則となります。よく「所得税の確定申告期限は3月15日です」と表現されます。そして、3月15日が土日の場合は、週明けの月曜日が所得税の確定申告期限となります。

還付申告については、通常の確定申告とは異なり、その年の翌年の1月1日から受け付けています。つまり、その年の翌年の2月15日以前でも還付申告は受け付けもらえます。さらに言えば、還付申告書は、通常の確定申告期間とは関係なく、その年の翌年1月1日から5年間提出することができます。つまり、5年間さかのぼって還付申告をすることができる、税金が返ってくるということになります。

確定申告書を提出する義務のない人でも、給与等から源泉徴収された所得税額や予定納税をした所得税額が、その年の所得金額について計算した所得税額よりも結果的に多いときは、その多い金額、つまり納め過ぎている税金があるということになります。そのため所得税の確定申告(還付申告)をすることによって、結果的に多く納めていた税金分の還付を受けることができるということになります。

ただし、個人事業者で青色申告特別控除の適用を受けようとする場合等、本来の法定申告期限であるその年の翌年3月15日までに確定申告書を提出することがその適用要件となっている特例を適用するような場合には、還付申告ではありますが、原則通り翌年の3月15日までに提出しなければなりませんので注意が必要です。

還付申告をすることができる例を挙げると次のようなものがあります。

・給与所得者で2カ所から給与の支払を受けている場合
・給与所得者で年の中途で退職し、再就職した場合で年末調整していない場合
・いわゆる住宅ローン減税の適用を受ける場合(年末調整を除く)
・災害や盗難により雑損控除を受ける場合
・医療費の支出がある場合
・生命保険料控除や損害保険料控除を受ける場合(年末調整を除く)
・ふるさと納税の適用を受ける場合(ワンストップ特例制度を除く)

執筆者:税理士 森田 純弘


森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。主な著書として、「固定資産税の課税の誤りと他方面への影響」(税務研究会)、「誤りやすい地方税の実務Q&A」(税務研究会)などがある。