【カスハラ・就活等セクハラ・同一労働同一賃金~令和8年10月改正のチェックポイント】
|働く人が知っていると得をする社会保険の知識 第45回

2026年9月18日
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このコラムでは働く皆さんが知っていると得をする社会保険、労働保険、あるいは周辺の労働法関係のテーマを取り扱い、「イザ」というときにみなさんに使っていただくことを狙いとしています。したがって、「読んで終わり」ではなく「思い出して使う」または「周囲の人へのアドバイス」に役立てていただければ幸いです。
このところ、実務上対応が必要な法改正や取扱いの変更等が相次いでいますが、令和8年10月にも重要な労働法の改正、しかも複数の改正が予定されています。
今回は直前対策として、3つの改正について具体的に対応を検討していきたいと思います。
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何が変わる?令和8年10月改正
この10月から労働者に関係する以下の内容が改正施行されます。
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A カスタマーハラスメント対策義務化(改正労働施策総合推進法) B 就活等セクシャルハラスメント防止義務(改正男女雇用機会均等法) C 同一労働同一賃金ガイドライン改正等(パート有期労働法施行規則改正と告示) |
どれも手間と時間がかかるため、「やらなければと思っていたが気付いたら目の前に来ていた」というのが実情ではないでしょうか。しかし、法改正等である以上「ある程度形にしておく」ことをしておかないと、行政からの是正勧告や労働トラブルのリスクが発生します。
そこで、以下、主な改正点の確認と「現時点でどこまで対策をすべきか」について確認してきます。
カスタマーハラスメント対策義務化
◇改正点◇
顧客が絡むカスタマーハラスメント(以下、カスハラ)について、カスハラ指針では、以下のように定義されています。
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(1)顧客等の言動であって、(2)その雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、(3)労働者の就業環境が害されるものであり、(1)から(3)までの要素を全て満たすもの |
そして、今回の改正では上記のような【顧客等がおこす社会通念上許容される範囲を超える被害】から、【自社従業員を保護しなければならない】ということが定められました。したがって、会社は「顧客対応は担当者に一任」では済まなくなったというわけです。
なお「社会通念上許容される範囲を超える被害」とは、「言動の内容が社会通念上許容される範囲を超えるもの=要求に理由がない、対応困難、不可能な要求等」と「手段や態様が社会通念上許容される範囲を超えるもの=暴行・傷害等、脅迫・土下座強要、継続・執拗な言動、居座り・監禁、等)」の2種類が該当します。
◇現段階で会社は何をすべきか◇
会社は主に以下の内容を整備しておき、発生時に対応できるようにしておかなければなりません。
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(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 (2)相談体制の整備 (3)事後の迅速かつ適切な対応 (4)対応の実効性を確保するために必要なカスハラの抑止のための措置 (5)そのほか併せて講ずべき措置 |
上記を踏まえ、会社が現段階でしておくべきことは【a】相談窓口の設置と【b】方針の明確化であると考えます。まず、相談窓口がなければ従業員に被害が発生しても受け皿がなく、従業員を保護するという会社の義務を果たせていないことになります。次に「方針の明確化」をすることで、顧客等に対して「うちの会社はカスハラ対策をしていますよ」というアピールである程度の抑止が期待できると共に従業員に対してのメッセージにもなります。現段階では最低限、これらをしておくとよいでしょう。
※やるべき対策⇒「相談窓口設置の案内書面」「(掲示用)方針の明確化宣言」
<今後>発生時の担当者や実際のフローなどを記載したマニュアル、規則等を整備し、相談窓口担当者や従業員に対する研修、専門家(弁護士)や行政機関との連携構築。
就活等セクシャルハラスメント防止義務
◇改正点◇
改正男女雇用機会均等法により、今回、以下のように定められました。
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(以下要約)事業主が雇用する労働者による「性的な言動」により、求職者等による求職活動等が阻害されることがなきよう、従業員に対して研修、教育を行うと共に、相談窓口を設置して、求職者保護と行為者に対する適正措置、及び再発防止等を行わなければならない。 |
⇒かみ砕いていうと、「性的な言動で求職者に被害が出ないよう、自社で防止措置を採れ」ということです。
対象者が「求職者等」となっている点に注意です。求職者は学校卒業の新卒者だけではなく求人に応募する者すべてを指し、「等」がつくことで、OB・OG訪問やインターン、それに教育実習や看護実習も含まれます。ですので「うちは中途採用しかいないから(関係ない)」とはなりません。
◇現段階で会社は何をすべきか◇
会社は以下の内容を整備しておき、発生の予防と発生時の対応について整備しておく必要があります。
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(1)事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発 (2)相談体制の整備 (3)事後の迅速かつ適切な対応 (4)そのほか併せて講ずべき措置 |
上記を踏まえ、会社が現段階でしておくべきことは【c】相談窓口の設置と【d】求職者向け相談窓口の案内周知になります。相談窓口が必要なことは絶対ですが、今回の保護対象者は外部の求職者です。外部の人への対応ですから相談窓口がどこになるのかを「面接時に案内する」「HPのわかりやすい場所に告知する」ことをお勧めします。
※やるべき対策⇒「相談窓口の求職者向案内書面」「HPにわかりやすい記載」
<今後>対象としてOB・OG訪問やインターン時も含まれるとされていますので、それらについての社内研修や教育も必要になります。
同一労働同一賃金ガイドライン改正等
いわゆる同一同一については過去にも触れてきましたので今回は「最低限のポイント」に絞ります。
◇改正点◇
1.雇入れ時の労働条件明示措置が追加
2.「同一同一ガイドライン改正」
◇現段階で会社は何をすべきか◇
まず、1.について令和8年10月1日以降の労働条件通知書(雇用契約書)に以下の項目を追加【e】してください(違反には10万円以下の過料)。
部署名 担当者職氏名 (連絡先 ) |
2.については過去の裁判等を踏まえ、以下の事柄についても検証し、不合理がある場合は是正策を採る必要があります。
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退職手当、無事故手当、家族手当、住宅手当、夏季冬季休暇、褒章、等 |
*具体的対応⇒
(1)上記枠内の内容(手当等)について、まず「支給目的」「支給対象者」を整理します。
(2)次に(1)で「説明がつかない対象差」について是正を目指します。【f】待遇差検証(と是正)
<今後>上記是正に従い「就業規則等を改正」、そして「待遇相違に関する説明書」を作成。
まとめ
今回は目前に迫った3つの改正対応について改めて確認してみました。特に現段階ですべきことを【a】~【f】でピックアップしましたので、時間のない方はそこだけでも目を通し、参考としてください。
相談窓口の設置などは運用しつつ、不備があれば改善していくことも必要になるかもしれません。
改正点が多岐にわたるため、担当部署の負担も大きいと思いますが、罰則があるものもありますので漏れなく対応するように注意しましょう。
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特定社会保険労務士小野 純
一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。
















