【コラム】関連者間取引に係る書類の整理保存の特例の創設
[あいわ税理士法人コラム]

【コラム】関連者間取引に係る書類の整理保存の特例の創設

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1.はじめに


企業グループ内の法人間で行われる取引においては、恣意的な支払金額の調整が行われる場合があり、取引の詳細や支払金額の計算の根拠の全部又は一部を確認できる書類も保存されていないことが散見されていました。

また、税務当局は、取引内容や支払金額の根拠が明らかでない取引を把握した場合、取引先への反面調査等により取引実態の確認をする場合がありましたが、企業グループ内の法人間取引については、当該反面調査の実施のみでは、その取引内容を正確に把握できていない状況でした。

このような背景から、令和8年度税制改正により、関連者間取引に係る書類の整理保存の特例(法人税法施行規則59条の2、67条の2)が創設され、令和8年4月1日以後に開始する事業年度において行う関連者間取引から、一定のルールに基づいた書類の保存が必要となりました。

そこで本稿では、当該制度について解説します。

 

2.関連者間取引に係る書類の整理保存の特例とは


(1)内容

内国法人が関連者間取引を行った場合において、注文書、契約書等の書類に、その取引の詳細や計算方法等の記載がないときは、その記載事項等を明らかにする「特定事項記載書類」を取得又は作成し、確定申告期限等から7年間(欠損金の繰越控除の適用を受ける場合は10年間)保存することを求めるものです。なお、青色申告法人が「特定事項記載書類」を整理保存していない場合は、青色申告の承認の取消事由になります。

 

(2)対象法人

関連者間取引を行うすべての内国法人が対象となります。

 

(3)関連者

関連者とは、関連者間取引に係る取引時において、内国法人との間に50%以上の持株関係や実質支配関係があるものをいい、内国法人及び外国法人を問いません。
なお、実質支配関係とは、次に掲げる事実(特定事実)により二の法人のいずれか一方の法人が、他方の法人の事業の方針の全部又は一部につき実質的に決定できる関係をいいます。
① 役員の過半数又は代表権を有する役員が、他方の法人の役員若しくは使用人を兼務していること。
② 事業活動の相当部分を他方の法人との取引に依存していること。
➂ 事業活動に必要な資金の相当部分を他方の法人から借り入れていること。

 

(4)関連者間取引

関連者間取引とは、工業所有権等(注1)の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供(注2)をいい、原価の額の基因となる取引は含まれません。

(注1)工業所有権等
著作権、特許権、意匠権、ノウハウ等
(注2)役務の提供
広告宣伝、販売促進、市場分析等や専用資産(グループで共通利用する土地、建物、ソフトウェア等)の維持及び管理等、業務運営支援、経営の管理又は指導等

 

(5)特定事項記載書類の記載内容

以下①、②に応じた事項が記載された書類を指します。

① 工業所有権等の譲渡又は貸付けの場合

・ 工業所有権等の明細(内容及び種類、数、存続期間や貸付期間等)
・ 対象法人において果たす機能(使用目的等)
・ 対価の額の明細(内容及び種類、譲渡日時又は貸付期間若しくは貸付回数等)及び対価の額の設定方法(譲渡又は貸付けの対価の額の計算方法等)

 

② 役務の提供の場合

・ 広告宣伝、販売促進、市場分析等の場合
費用の額の計算方法、役務提供の方法、実施場所及び回数、受ける利益の内容等
あ
・ 専用資産の維持及び管理等の場合
専用資産の概要及び所在地、専用資産の具体的な用途等、費用の具体的な計算方法等
あ
・ 業務運営支援、経営の管理又は指導等の場合
役務提供が行われた日時、場所及び期間、回数等及びその役務の内容並びに対価の額の内訳及び具体的な計算方法等

 

3.注意点


国税庁の見解では、青色申告法人が「特定事項記載書類」を整理保存していない場合であっても、実地調査時の保存等の状況及びその是正の可否等を把握した上で、青色申告の承認の取消しを判断するとのことです。したがって、直ちに青色申告の承認が取り消される運用ではないとのことですが、適切に書類の保存をしておくことが重要です。

また、対象法人が上記2(3)の関連者に該当しない非関連者を経由して関連者との間で行った取引については、関連者間取引とみなされるので、注意が必要です。

 

4.おわりに


関連者間取引に該当する可能性のある取引については、契約段階から詳細を確認し、契約書等に必要事項の記載が不足している場合には、確定申告期限までに補完資料を整備しておくことが重要です。

詳細については、国税庁から事務運営指針が発表されておりますので、ご参照ください。

https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/hojin/kaisei/260630_01/00.htm

 


 

筆者:東 隼平

 

【あいわ税理士法人グループの概要】


◆グループ構成
あいわ税理士法人
あいわAdvisory株式会社

◆所在地
〒108-0075 東京都港区港南2-5-3 オリックス品川ビル4F

◆URL
https://www.aiwa-tax.or.jp/

◆人員数
税理士・税理士有資格者:40名
公認会計士:11名
情報処理安全確保支援士:1名
行政書士:2名
科目合格者:14名
総務ほか:17名
合計:75名(一部重複)

◆関与先概要
上場グループ305社 上場準備200社 非上場265社

 

あいわ税理士法人について

高度な専門知識と豊富な経験を持つ税務・会計のプロフェッショナル集団。約8割が有資格者と圧倒的に高い専門家比率が強み。東証一部をはじめ、新興市場に上場する企業からIPOを目指す成長企業、非上場の中堅オーナー企業を中心にサービスを提供。サービス内容は、IPO支援、組織再編、連結納税の導入、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援等多岐に渡る。

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あいわ税理士法人

事業内容
税務・会計顧問、組織再編、グループ通算制度、国際税務、事業承継、役員給与設計、HD化支援、社団・財団、税務調査対応、資本政策立案、事業計画・資金調達支援、M&Aアドバイザリー、財務税務デューデリジェンス、株価算定
所在地
〒108-0075
東京都港区港南2-5-3 
オリックス品川ビル4F
電話番号
03-5715-3316
代表者名
会長 石川正敏 
代表社員 杉山康弘
上場
非上場
URL
https://www.aiwa-tax.or.jp/

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