【若手ビジネスパーソンに向けて】
第4回 キャッシュ・フロー計算書とは?

~キャッシュ・フロー計算書とは、会社の一年間のお金(キャッシュ)の流れ(フロー)を表したもの~

2020年12月2日

 

今回は、決算書の中の3つ目である「キャッシュ・フロー計算書」の読み方について確認していきましょう。

キャッシュ・フロー計算書とは、会社の一年間のお金(キャッシュ)の流れ(フロー)を表したものです。

 

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キャッシュ・フロー計算書は、人間に例えると「血液の流れ」のようなものです。人間は、血の流れが悪くなったら体に異常をきたしてしまいますし、血液がなくなったら死んでしまいます。会社にとってお金とは血液と同じです。お金の流れが滞ったら経営状態も悪化しますし、お金がなくなったら倒産してしまいます。

会社にとっての血液であるお金がきちんと回っているのか、お金がどこかで詰まってないかは、キャッシュ・フロー計算書で確認することができます。

 

ちなみに、キャッシュ・フロー計算書は、貸借対照表と損益計算書とは異なり、上場企業にしか作成が義務付けられていません。また、義務化されたのもほんの20年ぐらい前で、それ以前は上場企業ですら作っていませんでした。

損益計算書では利益が出ているのにもかかわらず、お金が底をついて倒産してしまう、いわゆる「黒字倒産」が増え、現金(キャッシュ)に関する情報も開示すべきという風潮になり、途中から上場企業の決算書に組み込まれるようになりました。

 

 

(1)キャッシュ・フロー計算書の構成

では、キャッシュ・フロー計算書はどのような形式で記載されているのでしょう。

大きく言えば、キャッシュ・フロー計算書は3つで構成されています。それは、「営業活動によるキャッシュ・フロー」(営業CF)と「投資活動キャッシュ・フロー」(投資CF)と「財務活動キャッシュ・フロー」(財務CF)の3つです。

 

営業CF・・・会社が本業の事業活動によって稼ぎ出したキャッシュの増減
投資CF・・・既存事業維持や新規事業のための投資活動で生じたキャッシュの増減
財務CF・・・外部からの資金調達や資金の返済によって生じたキャッシュの増減
※いずれも、増加となる場合もあれば、減少となる場合もある。

 

キャッシュ・フロー計算書は、以下のようなウォーターフォール図にすると分かりやすいでしょう。期首から期末までの一年間でのお金の増減を、営業CFと投資CFと財務CFの3つの要因に分けて図示したものです。

 

 

このウォーターフォール図を描くには、まず、キャッシュ・フロー計算書の中から、キャッシュ・フロー計算書に記載されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」「投資活動によるキャッシュ・フロー」「財務活動によるキャッシュ・フロー」の金額をピックアップしてください。現金の期首残高と期末残高も同じようにピックアップします。

それぞれの金額に応じた高さのボックスを作り、左から順番に並べましょう。なお、ボックスには分かりやすく矢印をつけます。金額に「△」がついているものはマイナスなので、下向き矢印(減少を意味します)、△がついていなければプラスなので上向きの矢印(増加を意味します)をつけます。

 

 

(2)3つのCFでその会社の経営状況がわかる

 図にしたキャッシュ・フロー計算書を以下の表と照らし合わせてみてください。その会社の今の経営状況が見えてきます。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(営業CF)は、本業で稼ぎ出したキャッシュの増減を意味するので、営業CFがプラスの会社は「本業が順調」な会社です。プラスになっている会社が通常の姿であると考えてください。

逆に営業CFがマイナスの会社は「本業で苦戦」している会社だということです。2期連続でマイナスだったら要注意です。たまたま一時的にキャッシュの流出が増えて営業CFがマイナスになるケースはあるかもしれませんが、2期連続マイナスとなると、それは単なる一過性ではなく、本質的な危機にあるといえます。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー(投資CF)は、既存事業の維持や新規事業のための投資活動によって生じたキャッシュの増減を意味します。ここがマイナスの会社は積極的に投資をして事業を拡大している「攻めの経営」をしているといえます。投資CFは「マイナスが普通」なのです。事業を継続・拡大させるためには、通常何らかの投資をし続ける必要があるためです。逆に、保有する設備を売却したり、既存事業の一部を他社に切り売りしたりと、事業を縮小すると投資CFがプラスになる傾向にあります。そのような会社はいわゆる「守りの経営」に入っているといえます。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー(財務CF)は、外部からの資金調達や資金の返済によって生じたキャッシュの増減ですが、財務CFのプラス、マイナスは事業のライフサイクルを反映しています。財務CFがプラスの会社は事業の「導入期・成長期」にあると考えられます。事業をスタートさせて軌道に乗るまでは運転資金を確保する必要があるため、株式を発行して株主から出資を受けたり、銀行からお金を借りたりすることが通常です。こうしてキャッシュが増えるため、財務CFはプラスになる傾向があります。逆に、財務CFがマイナスの会社は、事業が「成熟期・衰退期」にあると考えられます。事業が軌道に乗って成熟してくると、株主に配当したり、借りたお金を返せるようになったりします。そのため、財務C/Fはマイナスに表れる傾向にあります。

 

もちろん、これらは例外もあるので絶対的なものではありませんが、おおむねこのような経営状況にあるということを知っておくと、キャッシュ・フロー計算書を見るときに非常に便利なので、できれば覚えておきましょう。

 

 

(3)3つのCFの組み合わせでその企業のタイプがわかる

さらに3つのCFがどういう組み合わせになっているかをチェックすることで、より深い経営実態を把握することができます。

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(営業CF)がプラス、投資活動によるキャッシュ・フロー(投資CF)がマイナス、財務活動によるキャッシュ・フロー(財務CF)がマイナスの組み合わせの会社は、優良企業の典型です。本業で十分なキャッシュを稼いでおり、稼いだキャッシュを将来の投資に充当し、なお余るキャッシュは借入返済や株主への配当に回していることがうかがえます。

 

営業CFがプラス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスの組み合わせの会社は、積極的に投資を行っている会社です。本業で稼いだキャッシュと、外部からの資金調達によるキャッシュを、将来のための投資に振り向けていることがうかがえます。積極的な攻めの経営に打って出ている会社といえます。

 

営業CFがプラス、投資CFがプラス、財務CFがマイナスの組み合わせの会社は、事業の選択と集中を行っている会社です。本業での稼ぎはあるものの、既存事業を売却して、その売却資金で借入金の返済に充当しているような会社はこの組み合わせになります。事業の選択と集中がうまくいって、翌期以降に大きく業績を伸ばすケースもあります。

 

営業CFがマイナス、投資CFがマイナス、財務CFがプラスの会社はスタートアップベンチャーによく見られる組み合わせです。事業はまだ軌道に乗っていないものの、ベンチャーキャピタルなどがその会社の将来性を見込んで出資を行い、そのキャッシュを使って当面の運転資金と投資資金をまかなっていることがうかがえます。

 

営業CFがマイナス、投資CFがプラス、財務CFがプラスの組み合わせの会社は、ジリ貧の状況に追い込まれている会社です。本業で失ったお金を、保有する固定資産の切り売りや外部からの資金調達でなんとか穴埋めしています。早い段階で止血が必要で苦境に立っている会社に多く見られます。

 

営業CF、投資CF、財務CFすべてがマイナス会社の会社は手元のお金を食いつぶしながら事業が好転するまで耐え凌いでいる会社です。潤沢なキャッシュが手元にないと、あっという間にお金が底をついてしまう危険性があります。

 

以上、見てきたように、お金(キャッシュ)の動きは、会社の経営状況を如実に反映しますので、貸借対照表と損益計算書と並んで、決算書の中の主要なものとして位置付けられています。

今後、キャッシュ・フロー計算書を見たら、ぜひこのウォーターフォール図を描いてみてください。何社も書いていくうちに、キャッシュ・フロー計算書を見ただけで、自然とこのウォーターフォール図が頭に思い浮かぶようになるはずです。

そうなったらしめたもの。あなたの会計力は、さらにレベルアップしたも同然です。他の若手ビジネスパーソンが知り得ない経営状況を、あなたは把握することができるのです。

 

 

 

公認会計士川⼝宏之

「監査法⼈」「証券会社」「ベンチャー企業」「会計コンサル」という、4つの
視点で「会計」に携わった経験を持つ、数少ない公認会計⼠。これらの経験を
もとに、「会計」という⼀⾒とっつきにくいテーマを、図解で分かりやすく説
明することに定評がある。
主な著書に、「決算書を読む技術」(かんき出版)、「いちばんやさしい会計
の教本」(インプレス)など

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