第281回 研究開発税制に係る令和8年度税制改正の内容

2026年5月1日

 

 

 

 

 

令和8年度税制改正が、令和8年3月31日に成立しました。本稿では、今回大幅に見直された研究開発税制の改正内容について解説します。

 

■重点産業技術試験研究費の額に係る税額控除制度の創設

国家戦略として重要な技術領域への企業の研究開発を促す観点から、研究開発税制において、新たに「戦略技術領域型」を創設し、産業技術力強化法の重点産業技術(仮称)(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙)に係る試験研究費について、既存の措置と別枠の税額控除率・控除上限が設定されました。

産業技術力強化法の改正を前提に、青色申告書を提出する法人で同法の改正法の施行の日から令和11年3月31日までの間に産業技術力強化法の重点研究開発計画(仮称)につき同法の認定(以下、「認定」という)を受けたもの(以下、「認定研究開発法人」という)の適用期間(注)内の日を含む各事業年度において、重点産業技術試験研究費の額がある場合には、重点産業技術試験研究費の額の40%(特別重点産業技術試験研究費の額の場合には、50%)の税額控除ができることとされます。

(注)「適用期間」とは、重点研究開発計画の認定を受けた日(認定日)から同日以後5年を経過する日(5年経過日)までの期間をいい、その認定に係る重点研究開発計画の計画期間の終了の日(計画期間終了日)が5年経過日前の場合には、認定日から計画期間終了日までの期間をいいます。

 

重点産業技術試験研究費の額からは、一般試験研究費の額に係る税額控除制度、中小企業技術基盤強化税制および特別試験研究費の額に係る税額控除制度の適用を受ける場合のその適用を受ける金額は除きます。

控除税額は、当期の法人税額の10%を上限とし、控除限度超過額は3年間の繰越しができます。なお、繰越税額控除制度は、認定研究開発法人が繰越税額控除の適用を受けようとする事業年度において試験研究費の額が前期の試験研究費の額を超える場合に限り、適用できます。

 

■「重点産業技術試験研究費の額」・「特別重点産業技術試験研究費の額」とは

「重点産業技術試験研究費の額」とは、認定研究開発法人が、適用期間内において支出するその認定に係る重点研究開発計画に従って行う「特定重点研究開発」に係る試験研究費の額をいいます。この「特定重点研究開発」とは、産業技術力強化法の重点産業技術(仮称)(AI・先端ロボット、量子、半導体・通信、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギー、宇宙)のうち特に早期の企業化が期待されるものとして一定の基準に該当するものに関する研究および開発であることにつき確認を受けた研究および開発をいいます。

また、「特別重点産業技術試験研究費の額」とは、重点産業技術試験研究費の額のうち産業技術力強化法の重点産業技術共同研究開発機関(仮称)と共同して行う試験研究または重点産業技術共同研究開発機関に委託する試験研究に係るものをいいます。

 

■一般試験研究費の税額控除制度の見直し

一般試験研究費の額に係る税額控除制度について、次の見直しが行われます。

令和9年4月1日以後に開始する各事業年度の税額控除率を次のとおり見直し、その上限を14%(原則:10%)とする特例の適用期限を3年延長します。

 

・増減試験研究費割合が15%超の場合
税額控除率(14%を上限)
=11.5%+(増減試験研究費割合-15%)×0.375
・増減試験研究費割合が3%超15%以下の場合
=8.5%+(増減試験研究費割合-3%)×0.25
・増減試験研究費割合が3%以下の場合
=8.5%+(増減試験研究費割合-3%)×8.5/13
※算出された割合に小数点以下3位未満の端数があるときは、端数を切り捨てる。

 

また、増減試験研究費割合が4%を超える場合または増減試験研究費割合がマイナス4%を下回る場合の控除税額の上限の特例について、令和9年4月1日以後に開始する各事業年度の控除税額の上限について、次のように見直します。

・増減試験研究費割合が7%超の場合
法人税額×(増減試験研究費割合-7%)×0.625%の上乗せ(上限:法人税額×5%)
・増減試験研究費割合が△1%超の場合
法人税額×(△増減試験研究費割合-1%)×0.625%の減額
(上限:法人税額×△5%)→最大で5%減額

なお、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例および控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を3年延長します。

 

■中小企業技術基盤強化税制に係る改正

増減試験研究費割合が12%を超える場合の税額控除率の特例および控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を3年延長します。

試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合における税額控除率の特例および控除税額の上限の上乗せ特例の適用期限を3年延長します。

また、中小企業技術基盤強化税制について、税額控除限度超過額を3年間繰越できることとされます。繰越税額控除制度は、繰越税額控除の適用を受けようとする事業年度において試験研究費の額が比較試験研究費の額を超える場合に限り、適用できます。

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