相続時精算課税選択翌年に課税価格マイナスとなる贈与がある場合の相続時精算課税、贈与税申告の適否

2026年7月30日

 

 

 

 

相続時精算課税選択翌年に課税価格マイナスとなる贈与がある場合の相続時精算課税、贈与税申告の適否


[質問]

令和7年度中に父親(80歳)から子(40歳)に現金の贈与があり、相続時精算課税を選択し令和8年3月15日までに贈与税の申告を行う予定です。

令和8年7月に父親が全額出資した医療法人の出資持分の全てを贈与する予定ですが、令和8年7月時点での出資持分の評価額はマイナスの予定です。

このような場合に令和8年7月時点でのマイナス評価の出資持分の贈与についても相続時精算課税の対象で宜しいでしょうか。また評価額がマイナスであり令和8年中には他の贈与の予定はないのですが、贈与税の申告の必要はありますか。

 

[回答]

【回答】

照会の事実関係を前提とすれば、令和8年7月贈与時点の贈与財産の医療法人の出資持分の評価額はマイナスの予定とのことですが、相続時精算課税を選択した年分以後の特定贈与者(父)からの贈与については当該贈与の贈与税の課税価格がマイナスであっても、当該贈与は相続時精算課税の対象となります。

そして、令和8年中には他の贈与の予定はないとのことですので、照会の場合、令和8年中に特定贈与者(父)から贈与により取得した財産の価額の合計額は相続時精算課税に係る基礎控除額以下となることから、令和8年分贈与税の申告は必要ありません。

 

【説明】

1 相続時精算課税と翌年以降の贈与

相続税法21条の9第3項は、「前項の届出書に係る贈与をした者からの贈与により取得する財産については、当該届出書に係る年分以後、前節及びこの節の規定により、贈与税額を計算する。」と規定しています。

上記規定のとおり、相続時精算課税を選択した年分以後の特定贈与者からの贈与については、当該贈与の贈与税の課税価格がマイナスか否かにかかわらず、当該贈与は全て相続時精算課税の対象となります。

一方、相続時精算課税を選択した年分以後の贈与の贈与税の申告については、相続税法28条1項は、「贈与により財産を取得した者は、その年分の贈与税の課税価格に係る第21条の5、第21条の7及び第21条の8の規定による贈与税額がある場合、又は当該財産が第21条の9第3項の規定の適用を受けるものである場合(第21条の11の2第1項の規定による控除後の贈与税の課税価格がある場合に限る。)には、(中略)、課税価格、贈与税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。」と規定していますので、相続時精算課税に係る基礎控除の控除後の贈与税の課税価格がある場合には贈与税の申告が必要となりますが、基礎控除の控除後の贈与税の課税価格がない場合は贈与税の申告は必要ありません。

 

2 本件の場合

上記1の規定からすると、【回答】のとおりとなると考えます。

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

 

 

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