【第9回】人事制度の重要性
~人事制度とは、人事制度の構成要素、人事制度を運用するためのポイント~

2023年2月16日

 

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銀行出身の中小企業診断士である事業再生専門家の視点から、事業再生の状態に陥らないために、「転ばぬ先の杖」として知っておいていただきたいことをお伝えしていきます。今回は、「人事制度」についてお話いたします。

 

人事制度とは


皆さんは人事制度についてどのようにお考えでしょうか。人事制度は大企業がやるもの、賃金や賞与決定の査定である、とお考えの方も多いと思います。人事制度を正しく理解し、運用できていない会社は以下の問題を抱えています。

 

・ミスマッチ採用を繰返している

・トップセールス担当者が辞めてしまう

・年々従業員の平均年齢が上がってきている

・人件費が心配で、社員の評価(昇給・昇格)に悩んでいる

・今どきの若い社員にどのように教えてよいかわからない

 

「企業は人なり」と言いますが、人・物・金といった企業の経営資源のうち、経営を最も大きく左右するのは、「人」です。特に、社員数の少ない中小企業にとって人材不足は、経営の死活問題になりかねません。この厳しい経営環境の中、自社を持続的に成長させていくためには、従業員個々の能力を高め、組織力強化を図ることが必要になります。そこで、単に与えられた仕事をこなすだけの「人材」ではなく、企業へ利益や付加価値をもたらす「人財」へと変えていくことが必要となります。今回は、人事制度の概要と効果的な運用のポイントについてご紹介します。

 

人事制度の構成要素


人事制度は以下の4つの制度から成り立っています。これらの制度はすべて繋がっており、一つでも欠けると上手く機能しません。

 

①等級制度

従業員を「職能」「職務」「役割」などに分類し、順序づける制度です。組織内の人材配置や賃金管理など、人事制度の基本的な柱となります。何を基準に等級を定めるかは、その企業の人材観が反映され、組織構成や企業風土にも大きな影響力を持ちます。

 

②報酬制度

給与や賞与といった報酬の制度です。一般的に給与は等級ごとに一定の範囲(上限と下限)を設けており、評価による範囲内での昇給や賞与などが決まる仕組みになっています。

 

③人事評価制度

1年間、もしくは半年などの一定期間の社員の労働に対する評価をし、給与の昇給額や賞与の額、また昇進・昇格に反映させる制度です。

 

④人材育成制度

市場の変化に伴い、必要とされる人材や能力も変化します。例えば、定期的なジョブローテーションや能力開発研修などが的確に行われることで、持続的に優秀な人材が育つ仕組みを作ります。

 

人事制度を運用するためのポイント


①経営戦略に即したものとすること

経営戦略は、経営理念やビジョンを元に作られます。それを受けて人事戦略が作られ、人事制度に取り入れられます。よって、人事制度は、経営戦略と一貫性をもたせる必要があります。

 

②求める人材像を明確にする

人材像は人事制度の基本となるため、各制度設計前に明確にしておくことが必要です。人物像を設定する際には、経営理念に基づいた普遍的人材像と、中長期ビジョンに基づいた、期間限定的な人材像に分けて設定します。

 

③従業員を巻き込む

人事制度において中身は大切ですが、継続して運用していくことの方が大切です。よって次世代のリーダー候補などを加えたプロジェクトチームを作り、そこで人事制度について議論検討することで制度のスムーズな運用が図られます。

 

まとめ


人事制度を上手く運用すれば、経営者と従業員の関係強化、従業員の士気が向上するため、組織力強化に繋がります。つまり、持続的な企業成長の根幹となります。今回のコラムをきっかけに、「人事制度の重要性」についてご理解いただけましたら幸いです。

 

 

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中小企業診断士前田節(まえだ とも)

株式会社ジャストコンサルティング 代表取締役。
中小企業支援をメインとした経営コンサルティング会社「株式会社ジャストコンサルティング」を2014年設立。コンサルタント12名を率い、専門性とチームワークを活かした実行型支援を行っている。

» 会社URL   https://www.just-c.net
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