ふるさと納税ってなに? ~はじめてのふるさと納税~

2022年12月24日

 

ZEIKEN PRESSコラムの更新情報を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

『ふるさと納税』については、TV番組に取り上げられたり、『ふるさと納税』を取り扱う業者のCMを目したりにすることも多くなりました。また、インターネットのサイトでも、どこかしらに『ふるさと納税』の文字を見ることもよくあります。

「自分も『ふるさと納税』をやってみたいな!」と思いながらも、まだやったことがない、イマイチ分からないという方も多いと感じます。『ふるさと納税』は、色々な意味で、やってみると徳(得)がある制度です。

このQ&Aをご覧いただいて、興味を持つきっかけになればと思います。

 

今回の「ぎもん」

Q.ふるさと納税ってなに?
Q.ふるさと納税をすると、いくらの税金が減額されるの?
Q.ふるさと納税は、誰でもできるの?

 

 

Q:ふるさと納税ってなに?


A:『ふるさと納税』には、3つの大きな仕組みがあります。

① 仕組みの中心となるのは、市町村や都道府県(自治体)に「寄附」をすることです。

② 各市町村や都道府県は、寄附をしてもらえると嬉しいので、そのお礼として寄附をしてくれた人に地元産物等の「返礼品」を贈ることとしている自治体も多くあります。

③ そして、寄附をした金額が部分的に所得税や住民税として税金を納めたことになります。

昔から、市町村や都道府県に寄附をした場合には、税金が安くなるという制度はありました。『ふるさと納税』では、寄附をした金額に近い金額の税金が安くなるといったイメージです。ですから、「ふるさとに寄附をすると税金を納めたようなものだ」ということで『ふるさと納税』と表現されているわけであり、厳密には「納税」ではなく「納税みたいなもの」ということなんです。

また、寄附した金額の一部が所得税や住民税額から控除できるという仕組みがあります。これは、所得税や住民税の負担がある人が確定申告等によって「寄附金控除等」の制度を選んだ場合に適用があります。この「寄附金控除等」を利用するかも自由で、特例を選択しない人でも寄附としての『ふるさと納税』の寄附はすることができます。つまり、「納税のようなもの」にはなっていなくても『ふるさと納税』という仕組みには入り込めるということになります。

 

ふるさと納税の仕組みについて、ZEIKENPRESSが運営する特設サイト「ふるさと納税の仕組みと手続き」の中でも解説しています。より詳しい内容を見たい方はこちらからご覧ください。

 

 

Q:ふるさと納税をすると、いくらの税金が減額されるの?


A:『ふるさと納税』は、実際には納税ではなく「寄附」をすることによって、その寄附した金額に近い金額の税金が減額されることになるといった制度です。よく「どのくらいまでだったら「寄附」をしたら良いでしょうか」質問されます。本音は、「そんなのわかんねえよ」と言いたいところですが、そこはぐっとこらえて、「支出した金額から2,000円を引いた金額が税金とみなされます。負担としては2,000円で様々な「返礼品」がもらえるのでともかくお得です。」と答えます。すると、「ですからいくらまでだったら?」と聞かれます。ここで所得税と住民税の課税方式をすべて説明しても良いのですが、複雑すぎて、理解はしてもらえないと思うので、「今年の住民税額の2割程度を目安にするといいでしょう。住民税額は所得の10%ですよ」と大まかな話をします。すると「まあ、よくわからないけど、大体分かりました。」と不思議な返事が返ってきます。

まとめると、今年の住民税額がハッキリするとどのくらい税金が減額されるのかがわかります。1年は12月31日で終わりますが、住民税額がハッキリするのは翌年の4月なので、基本無理な計算となります。

いずれにせよ目安の一つとして、住民税額の2割程度、住民税額は所得の10%と覚えておくとよいでしょう。

 

【参考】総務省 ふるさと納税ポータルサイトより

2,000円を除く全額が控除できる寄付金額の一覧(目安)

 

 

Q:ふるさと納税は、誰でもできるの?


A:『ふるさと納税』は市町村や都道府県への寄附をすることですから、誰でもすることができます。そして、『ふるさと納税』を受け付けている自治体ならば、基本的に誰でも寄附をすることができます。

お礼としての「特産品」がもらえる自治体に寄附をするかどうかは自由です。全ての市町村や都道府県がお礼を用意しているわけではありません。「寄附」のお礼としての「返礼品」の有無を気にしなければ、寄附できる市町村や都道府県の幅は広がることになるでしょう。

 

① 会社員でもできますか?

「私は、会社からお給料をもらっているだけなので『ふるさと納税』は・・・」と言う方がいらっしゃいます。これは、個人で商売をやっているような所得税の確定申告をしなければならない個人事業主でなければ、『ふるさと納税』ができないという勘違いからだと思います。収入が、給料しかない給与所得者であっても『ふるさと納税』はすることができます!

給与所得者の場合、所得税や住民税の「寄附金控除等」を適用しようと思えば、所得税の確定申告をすればよいということになります。住民税の確定申告という制度もありますが、所得税の確定申告をすれば、住民税の確定申告は不要です。

また、確定申告を行わなくても「寄附金控除等」を受けることができる特例もあります。『ふるさと納税』の「ワンストップ特例制度」です。この「ワンストップ特例制度」は年間(暦年)の寄附をする自治体が5カ所以下の場合に限られます。「ワンストップ特例制度」を適用する場合は申請が必要にはなりますが、『ふるさと納税』を運営するサイトを利用すれば手間なく簡単に申請することができます。

 

② 仕事をしていなくてもできますか?

「私は仕事をリタイヤして年金生活者ですので『ふるさと納税』は・・・」とおっしゃる方もいらっしゃいます。いわゆる年金生活者であっても、『ふるさと納税』としての寄附をすることはできますし、公的年金の収入は雑所得として課税の対象となるので、給与所得者と同様に選択により「寄附金控除等」の適用もできます。

また、不労所得と言われることもある不動産の貸付や株式等の投資運用による生活者でも不動産所得や譲渡所得による所得税や住民税の負担があるようであれば、『ふるさと納税』制度の「寄附金控除等」を適用することができます。

 

③ 学生や専業主婦でもできますか?

仕事をしていない子供や、家事に専念している主婦であっても『ふるさと納税』制度を利用することはできます。『ふるさと納税』の基本は「寄附金」です。所得税や住民税が課税される収入・所得が無くても「寄附」をすることはできます。税金の前払的な「寄附金控除等」の適用をすることができないだけです。そして、寄附をした市町村や都道府県が「返礼品」を贈ることとしている場合には、その「返礼品」を手にすることができます。

児童、生徒や学生は、市町村や都道府県への「寄附」を通じて、政治・財政に興味を持ち、税金の知識を知る言いきっかけになり学習効果もあるでしょう.食べ物その他の家計を預かる主婦にとっては、各地の産物を知り家計の助けとなる「返礼品」を選ぶことも可能でしょう。

仕事をしていない子供や、家事に専念している主婦は、本人の税金の負担が無いので「寄附金控除」の適用はできませんし、親やパートナー等の税額が減額されることもありません。これは、「寄附金控除等」の適用は、寄附をした本人しか認められていないからです。もし、家計全体のことを考えて、納税の資金を抑えたいと考えた場合には、所得税や住民税が課税される収入・所得のある親やパートナー等に頼むのも一つの方法です。

児童、生徒や学生であってもアルバイトや主婦がパートによる収入がある場合ならば、なおさら税金を返してもらう(還付)の仕組みや手続きを知る良い機会となることでしょう。

 

 

ZEIKEN PRESSコラムの更新情報を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

税理士・行政書士森田 純弘

森田純弘税理士事務所所長。昭和62年中央大学商学部卒業。大原簿記学校税理士課法人税法科講師、会計事務所勤務を経て、平成9年森田純弘税理士事務所を開設。元全国青色申告会総連合副会長。現在、鹿児島大学大学院法人税法非常勤講師や鹿児島国際大学税法非常勤講師として勤めており、「質問・疑問にわかりやすく」をモットーにした講義には多くの受講生から定評を得ている。

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ