【緊急!12/2健康保険証廃止に伴う会社対応】
働く人が知っていると得をする社会保険の知識 第23回

2024年11月25日

 

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このコラムでは働く皆さんが知っていると得をする社会保険、労働保険、あるいは周辺の労働法関係のテーマを取り扱い、「イザ」というときにみなさんに使っていただくことを狙いとしています。したがって、「読んで終わり」ではなく「思い出して使う」または「周囲の人へのアドバイス」に役立てていただければ幸いです。

さて、今年は暦が秋になっても気温の高い日が多かったため、あまり実感がわきませんが、もう目前に師走が迫っています。ただでさえ師走は忙しいわけですが、今年は「健康保険証廃止」というイベントがあり、この対応が会社にも求められることが判明してきました。そこで今回は緊急で「健康保険証廃止に伴う会社担当者の対応」というテーマでお届けしますので、企業経営者や事務担当者の方は、必ずお読みいただき、自社対応に活かしていただきたいと思います。

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【緊急!12/2健康保険証廃止に伴う会社対応】

現時点での必要性

健康保険証の新規発行は令和6年12月2日以降行われなくなり、その役割は原則としてマイナ保険証に切り替わります。この内容は第17回【マイナ保険証と健康保険証の廃止】で取り上げたのですが、そこでは「マイナ保険証」のメリットと「なるべく早期の切替え」を中心に取り上げました。

そして、健康保険証の廃止が目前となってきた今、「アレ、今の状況って従業員へ状況別の案内と会社の対応整備が必要なのではないか?」ということになってきているのです。

 

【資格情報のお知らせ】発行の違いとその利用シーン

協会けんぽに被保険者の登録がある方については、【資格情報のお知らせ】という書面が会社経由でご本人宛に発行されます。この通知書は、

  1. 中央にご自分のマイナンバーの下4桁が記載されている
  2. 左下に「資格情報のお知らせ」が切り取り線で囲まれている

という内容になっています。これには実は注意点が3つもあります。

*資格情報のお知らせの例は協会けんぽホームページ参照

 

<注意点A「資格情報のお知らせ」利用シーン>

「資格情報のお知らせ」は切り取って【マインバーと共に大切に保管しなければならない】とされています。なぜかというと、マイナ保険証に対応(カードリーダー)がない医療機関が現実に存在していることと、カードリーダーが故障中の場合はこの「資格情報のお知らせ」と「マイナ保険証」の両方を提示する必要があるからです。

 

<注意点B「マイナンバー下4桁の記載がない」>

この「資格情報のお知らせ」には、記載のあるべきマイナンバー下4桁の記載がないタイプの通知もあります。これは何らかの理由で協会けんぽ等保険者にマイナンバーが登録できていないか、または、登録されたマイナンバーが正しいものであるか確認が必要であると判断された場合です。この場合の対応は「マイナンバー登録申出書」が同封されているはずですので、必要事項を記入、返信用封筒での返送が必要です。協会けんぽに関するお問い合わせは「協会けんぽマイナンバー専用ダイヤル0570-015-369 (ナビダイヤル)※土日祝日年末年始を除く」となっています。

 

<注意点C「発行時期が異なる」>

今回のお知らせは発行時期が異なります。第1回目は令和6年6月7日時点の加入者宛に会社経由で令和6年9月中に発行、令和6年6月8日から11/29の間の加入者は第2回目として令和7年1月22日~2月3日までの間の発行が予定されています。上記の理由から「私の分がない!」と会社に問い合わせをしてくる方も想定されますのでご注意ください。

 

 廃止と有効期限と保険証の回収

これまでの健康保険証は令和6年12月2日に廃止されますが、現在保有している健康保険証は令和7年12月1日までは使用できます。ただし、退職等で資格喪失した場合はその時点までです。この発行済の健康保険証の回収ですが、下記のように令和7年12月1日までの退職者は会社で保険証を回収(日本年金機構または協会けんぽ(組合健保)等保険者に返却)することが必要です。

マイナ保険証 従来の保険証
使用 使用 新規発行 退職時等の回収 自己廃棄
R6.11.29まで 必要(従来通り) 不可
R6.11.30~R7.12.1 不可 必要(従来通り) 不可
R7.12.2以降 不可 不可 不要

↑協会けんぽ「健康保険証とマイナンバーカードの一体化(マイナ保険証)に関する制度説明資料」抜粋

 

【重要】資格確認書

マイナンバーカードを持っていない、またはマイナ保険証の登録をしていない・しない人は、「資格確認書」の発行を「協会けんぽ等(保険者)」に交付申請し、当該「資格確認書」を医療機関に提出することで保険診療を受けることが可能になります(既存加入者は協会けんぽ判断時)。

新規加入者 令和6年12月2日以降、資格取得届等に新設される「資格確認書発行要否」の□欄にレ点を記入等で申請。*

注…申請時に未申請でマイナ保険証を持たない人には、申請によらずに「資格確認書」を発行するとされています。しかし、発行までに相当な時間がかかるため、できる限り取得の届出時に申請するようにとされています。

既存加入者 令和7年12月2日以降、保険者が必要と判断した場合に「資格確認書」発行

*協会けんぽホームページ https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2024/202410/1018.html

 

 

<マイナ保険証、資格情報のお知らせ、資格確認書、の比較

名称 取得方法 使用場面他
マイナ保険証 ・本人がマイナンバーカードを申請。取得後にマイナ保険証機能を付加。 ・医療機関受診時
資格情報のお知らせ ・加入時期により2段階に分けて事業主経由で発行。
・今後は資格取得時に発行(申請不要)。
・医療機関で「マイナ保険証」と併せて提示。
*カードリーダー使用不能時
*退職時返却不要
資格確認書
*黄色いプラスチック(協会けんぽの場合。組合健保は紙の場合あり)
・資格取得時等に発行。
・今後はマイナ保険証不保持者に申請によらず発行。
・(マイナ保険証の代わり)医療機関受診時
*有効期間4~5年
*有効期間内の退職時は会社で要回収

 

健康保険証の紛失時

令和7年12月1日までに発行された健康保険証を紛失された方は協会けんぽ等(保険者)への届出が必要です。また、健康保険証は再発行されません。希望される方(マイナ保険証に切替えをしていない方)には、「資格確認書」の発行申請が可能ですので会社担当者は希望を確認する必要があります。

 

まとめ

今回は目前に迫った健康保険証廃止に関する一連の会社担当者の対応について扱いました。マイナ保険証が利用不可の医療機関の存在、保持しない従業員の扱い、など注意点が多数ありますのでよく整理してご対応ください。なお、資格取得届、扶養異動届は様式が一部変更となりつつも手続き自体は変わらず必要です。

 

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。

» ホームページ 社会保険労務士法人ソリューション

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