【制度導入直前のサプライズ!】
消費税インボイス ~ 税務担当者の苦悩 第1回

2023年10月4日

 

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制度導入直前のサプライズ!

 

消費税インボイス制度導入直前の2023年9月に、1枚のペーパーが衝撃をもたらしました。高速道路利用に係るインボイス対応(ETCクレジットカード)です。

 

これまでクレジットカード会社が発行する利用明細書はインボイスにならないということだったので、セミナー等でも高速道路会社がHP上で設けるETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書を入手するようお話ししてきました。タクシーやバス等の道路旅客運送業、宅配便や配送等の道路貨物運送業では、毎月の事務負担が大変になることは当初より予想されていましたので、高速道路会社等ごとの任意の一取引の利用証明書を併せて保存すれば、クレジットカードの利用明細書でもインボイスの保存があるものとすることができるという情報はサプライズでした。

 

今回の国税庁が作成したペーパーについてのポイントは以下にあると考えます。

高速道路利用に係るETCクレジットカードに限定している点です。

クレジットカードを決済手段とする取引はETCだけではありません。携帯電話、水道・ガス・電気などの公共料金、ZoomやChatworkなどのインターネット取引等があります。このロジックが適用されるのであれば、これらのクレジットカードを決済手段としている全ての取引についても同様の取り扱いを認めて頂きたいものです。

ダメな場合は判断基準を明示いただけると納税者側でも適切な判断ができると思います。現状のままだとETCが認められるのだから他も大丈夫だろうと、納税者側で勝手な判断をすることが懸念されます。

住沢国税庁長官は2023年9月7日のインタビュー(日本経済新聞2023年9月12日記事)で、インボイス制度の税務調査について、従来と変わらず大口で悪質な事例に限定して実施する意向を示されました。インボイス対応を真剣に悩んでいる税務担当者にとって、勇気づけられる発言でした。今回のペーパーも事務負荷を大きく削減してくれますが、それ以外については税務リスクを考えながら納税者側で判断することになります。税務担当者の苦悩はまだまだ続きそうです。

 

 

※一部誤解をまねく表現があったため、内容を修正いたしました。(2023年10月10日)

 

 

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税理士金子 真一 氏

金子真一税理士事務所代表
合同会社ピナクル・コンサルティング代表

広島大学経済学部卒業後、大手信託銀行にて25年間決算・税務業務を担当。2019年に退職し、東京・目黒にて金子真一税理士事務所を開業。TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員。現在、企業へのインボイス制度対応支援、グループ通算制度のシステムへの入力支援や経理システムを中心とした経理体制構築支援等に取り組む。著書に「消費税インボイス導入へのサクセスロード」(税務研究会刊)がある。

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