【結構痺れる買手側からの指摘】
消費税インボイス ~ 税務担当者の苦悩 第4回(最終回)

2023年11月15日

 

 

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消費税インボイスと予算管理

消費税インボイス制度では、適格請求書発行事業者は買手側から要請された場合にインボイスを交付する義務が課されています。買手側もいろいろ、「大丈夫ですよね(御社を信用していますよ)」という事業者もあれば「御社のこの請求書等はインボイスの要件を満たしていないのではないでしょうか?」といった指摘をしてくださる事業者もいらっしゃいます。

 

今回は買手側から指摘を受けた売手側の税務担当者について考えてみます。

買手側から形式について指摘を受けた際に重要なのは、どこに課題があるのかを確認し、現場に寄り添って一緒に対応策を考えることです。考える際の主なポイントは次の3点です。

 インボイスの6要件を満たしているか(よくあるのは、消費税率の記載がない、消費税額の記載がない、値引き後の合計額の記載がない等)

 端数処理がインボイスのルールに適合しているか

 合わせ技でインボイスの要件を満たすことは考えられないか

 

個別にリカバリーできるものであれば影響は小さいので直ぐ対応可能です。一方、システムで作成し一斉送信している場合には、照会があった会社のみ対応するのか、全ての会社に対応するのかという判断が必要になります。建付け上は、相手からの求めに応じて交付する義務が課されていますので、現場の負荷を考えると都度対応にするのが現実的かもしれません。一方、社内では税務コンプライアンスの観点から正論を盾に、全て対応しなくて大丈夫?と問われ、現場の判断と正論との間で板挟みになることも予想されます。

 

インボイスの交付を受ける買手側にも、インボイスを交付する売手側としての立場もあります。制度が定着し、実務が落ち着いてくるまでの当面は、お互い様として余りナーバスにならない方が良いかもしれません。住澤国税庁長官も「形式の不備をあげつらうような調査は当面しない。まずは制度の定着を図ることが重要。」と発言されています。ルール通り実務上スパッと割り切って良いものかどうか、税務担当者の苦悩は深まるばかりです。経営者、上司の方は是非方針を決めてください。

 

さて、このコラムも今回が最後になります。

会社の税務を支えているのは他の誰でもない、税務担当者の皆さんご自身です。各課題の解決策は皆さんが所属する会社毎に異なりますので、ぜひ周囲の協力を得て頑張ってください。応援しています。

 

 

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税理士金子 真一 氏

金子真一税理士事務所代表
合同会社ピナクル・コンサルティング代表

広島大学経済学部卒業後、大手信託銀行にて25年間決算・税務業務を担当。2019年に退職し、東京・目黒にて金子真一税理士事務所を開業。TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員。現在、企業へのインボイス制度対応支援、グループ通算制度のシステムへの入力支援や経理システムを中心とした経理体制構築支援等に取り組む。著書に「消費税インボイス導入へのサクセスロード」(税務研究会刊)がある。

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