【消費税インボイスと予算管理】
消費税インボイス ~ 税務担当者の苦悩 第2回
2023年10月18日
消費税インボイスと予算管理
消費税インボイス制度を準備万端でスタートした会社もあれば、最低限の準備でスタートした会社もある中、インボイスを交付する側も受け取る側も様々な事が起きることが予想されます。今回は消費税インボイス制度が経費等の予算管理に影響を及ぼす点について考えてみたいと思います。
期初の段階で各部署に経費予算を配賦し、その予算の範囲内で業務を行っている会社では、この消費税インボイス制度導入によって増加した本体価格を予算の中に織り込むのかどうかが論点になります。遠足に持っていくおやつが、300円以内なのか、330円以内なのか、はたまた306円以内なのか、というお話しです。子供にとっては、大変大きな問題ですよね!
306円は免税事業者と取引を行った結果、経過措置により消費税の20%を原科目等に振り替えることになり、その分の経費が増加した結果です。たとえが下手でスミマセン。。。
一般的に経費等の予算管理をするのは、総務部門や企画部門が中心となりますが、経理処理を通じた総勘定元帳の統括は経理部門です。消費税の処理は経理部門で行うため、総務部門・企画部門と経理部門の間で連携がとれていることが大切かと考えます。その結果、経費管理システムと予算管理システム、そして会計システムとの差異を許容するということであれば、その違いを正しく認識し、共有する必要があります。
下期予算は凡そ8月には固まるため、この下期については様子見という会社が大半と思いますが、次の上期予算を策定する1月にかけて、今後の方針について認識を共有できると良いのではないでしょうか。
今は誤差の範囲でも、経過措置が2026年には消費税額の50%、2029年には経過措置がなくなります。その頃にはここにいないと思っているかもしれませんが、意外と分かりませんよ(笑)。
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税理士金子 真一 氏
金子真一税理士事務所代表
合同会社ピナクル・コンサルティング代表
広島大学経済学部卒業後、大手信託銀行にて25年間決算・税務業務を担当。2019年に退職し、東京・目黒にて金子真一税理士事務所を開業。TKC全国会 中堅・大企業支援研究会会員。現在、企業へのインボイス制度対応支援、グループ通算制度のシステムへの入力支援や経理システムを中心とした経理体制構築支援等に取り組む。著書に「消費税インボイス導入へのサクセスロード」(税務研究会刊)がある。