中小企業の上手な賃上げ~4つの要素を押さえて持続可能な賃上げを!~
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル3月号】

2026年3月13日

 

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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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今年も賃上げの季節がやってきました。物価上昇や人手不足が深刻化する中で、「どのようにどこまで賃上げをするべきか?」は、自社の将来をも左右する重要な経営判断です。賃上げをコスト面のみで捉えるのではなく、会社の成長や社員の動機付けのための戦略的な投資として対応することが求められています。本稿では、押さえておきたい4つの判断要素をもとに、中小企業が上手に賃上げを進めるためのポイントを解説します。

 

●賃上げの4つの判断要素

上手な賃上げを実行するには、以下の4つの要素で、時期・金額・方法を総合的に判断することが重要です。

  • 1.自社の経営状況
  • 2.競合他社の状況
  • 3.自社の労働生産性
  • 4.物価水準

 

1. 自社の経営状況〜持続可能な賃上げのために

まず、自社の財務状況や事業計画を踏まえた上で、無理のない賃上げ水準を検討しましょう。売上高人件費比率や労働分配率(付加価値に占める人件費の割合)などを指標として、自社の過去実績や同業黒字企業をベンチマークとして賃上げ余力を見極めます。

一度上げたら下げにくい月次給与に比べると、賞与は変動給的性格が強いため、有り無しや額の裁量幅が大きいといえます。月次給与の賃上げを持続可能なものとするためには、賞与の業績連動性を高めて会社業績の変動を吸収できるようにしておくことも効果的です。

 

2. 競合他社の状況〜社員の不満軽減のために

この場合の競合他社というのは、事業上のではなく人財獲得上の競争相手です。近隣の同業他社にとどまらず、同一通勤圏内にある会社の求人情報にも注意して相場感を獲得しましょう。

難しいのは、相場に対する立ち位置です。給与は、要求水準未満だと不満要因になるが、それを超えても動機付け要因にはならない、という動機付け理論があります。一方、令和7年版労働経済白書では、若年層ほど仕事内容よりも賃金水準を重視する傾向が強いとの報告があります。競合他社と同じ程度が理想といえそうです。

 

3. 自社の労働生産性〜好循環づくりのために

賃上げの原資を確保するためにも、従業員の生産性向上に取り組むことが肝要です。業務プロセスの見える化による3M(ムリ・ムラ・ムダ)の特定とその削減や、IT活用・DX推進による効率化を推進しましょう。業務改善が自分たちの賃上げにつながるという意識を社員一人ひとりが持つことにより、「生産性向上→賃上げ→やりがいや定着率の向上→さらなる生産性向上」という好循環が生まれます。

 

4. 物価水準〜社員の生活を豊かにするために

近年の急激な物価上昇は社員の生活の安定を脅かしています。社員の実質的な購買力を維持・向上させるという観点で、消費者物価指数やインフレ率を注視しながら賃上げを検討する必要があります。

賃上げによって物価上昇から社員を守るといっても、人件費は原材料費やエネルギー価格に比べて価格転嫁が難しいという調査結果が出ています。①政府の「価格交渉に関する指針」を理解し、②物価高による人件費の上昇を説明できるよう理論武装し、③社員の顔を思い浮かべながら、発注者に対して積極的に値上げを働きかけましょう。

 

●まとめ〜4つの要素で上手な賃上げを

上手な賃上げは、超人手不足・コスト増の時代に、人財面で持続可能な企業経営を行うための戦略的投資です。4つの判断要素を押さえて、賃上げを上手に進めましょう。

 

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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