令和6事務年度 相続税の申告と調査等の状況 ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル4月号】

2026年4月10日

 

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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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令和6事務年度 相続税の申告と調査等の状況

国税庁は、令和6事務年度における相続税の調査等の状況を公表しました。それによると、実地調査件数は9,512件と前事務年度比111.2%となり、追徴税額合計も824億円(同112.2%)と件数・金額ともに増加しています。実地調査1件当たりの申告漏れ課税価格は3,093万円、追徴税額は867万円と、依然として高水準を維持しています。

一方、令和6年分における相続税の申告事績の概要を見ると、被相続人数は160万5千人であるのに対し、相続税の申告が必要であった被相続人数は約16万7千人にとどまっています。これは、相続税には基礎控除が設けられているためであり、相続が発生したすべてのケースで申告が必要となるわけではないからです。

しかし、相続税の申告が必要なケースでは、1件当たりの財産規模が大きく、土地や非上場株式など評価が難しい財産を含むことも多いため、申告内容は複雑になりがちです。そのため、相続税は調査対象として選定される確率が相対的に高い税目とされています。また、実際に実地調査が行われた事案では非違割合が82.3%となっており、調査が行われた場合には、何らかの問題点を指摘される可能性が極めて高いと考えておく必要があります。

近年の税務調査ではAIを活用した調査選定が行われていますが、相続税はこのAI選定との親和性が特に高い税目といえるでしょう。国税当局は、過去の申告事績に加え、生命保険契約や金融機関から提出される各種支払調書、不動産取引情報、金地金の譲渡に関する情報など、膨大な資料情報を蓄積しています。これらのデータを基に、被相続人の相続財産を推定し、課税漏れの可能性を分析することが可能となっています。

国税庁は、AIを活用した予測モデルにより不正の可能性が高い法人を抽出し、申告書や国税当局が保有する各種資料情報を組み合わせて総合的に分析した上で、最終的な判断は調査官が行う体制を構築しています。AIの分析結果に調査官の知見を加えることで、より効果的で精度の高い選定が可能となっています。

調査において指摘されやすい項目としては、土地評価や非上場株式の評価誤り、名義預金、多額の資金移動、生前贈与などによる課税漏れが挙げられます。国税庁の公表資料では、被相続人の生前に「現金を自宅の金庫内で保管すれば把握されない」と考え、預金口座から多額の現金を引き出していた事例や、被相続人の口座残高が基礎控除以下となるよう、相続人や家族名義の預金口座へ資金移動を行っていた事例などが紹介されています。

税務調査が行われた場合、過去に遡って金融機関の口座履歴が確認されるため、こうした資金移動や現金の引き出しは容易に把握されます。また、国税庁は無申告事案への対応を重点施策の一つとして掲げ、調査を強化しています。令和6事務年度における無申告事案の調査件数は650件で、追徴税額は142億円にも上っています。これは、平成21事務年度以降で最高額となっており、1件当たりの追徴税額は2,187万円にも及びます。

さらに、文書や電話、来署依頼による面接などの「簡易な接触」による是正も積極的に行われており、令和6事務年度の接触件数21,969件、追徴税額は138億円と、いずれも増加しています。

 

 

所有不動産記録証明制度が開始

不動産の所有者が亡くなった場合、その不動産は相続人の名義へ変更する必要があります。令和6年4月からは相続登記が義務化されており、正当な理由なく登記を行わない場合には過料の対象となることもあります。もっとも、相続登記を行うためには、被相続人が生前に所有していた不動産を漏れなく把握することが前提となりますが、これまでは不動産の把握が容易ではありませんでした。例えば、名寄帳を取得する方法では自治体ごとに調査が必要となるため、被相続人が縁もゆかりもない地域に不動産を所有していた場合、相続人が調査を行わず、結果として見落としてしまうケースも少なくありませんでした。また、固定資産税の納税通知書による確認では、共有名義の不動産が記載されない場合があるほか、非課税となっている不動産については把握できないなどの問題がありました。

こうした課題を背景に、今年2月から導入されたのが、「所有不動産記録証明制度」です。この制度は、不動産の名義人本人やその相続人などが法務局に請求することで、所有している不動産を一覧にした証明書を取得できる仕組みです。これにより、相続人は不動産を漏れなく把握し、適正な相続税申告や相続登記を行うことが可能となります。

請求できるのは、不動産の登記名義人本人、不動産名義人の相続人、不動産名義人の法定代理人、または名義人や相続人から委任を受けた代理人です。請求は最寄りの法務局の窓口またはオンラインで行います。手数料は窓口での書面請求の場合1通当たり1,600円です。

 

 

公益法人会計基準改正

令和7年4月、公益法人会計基準の改正が施行されました。本会計基準は、改正された「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」および「同施行規則」の施行と併せて適用が開始されたものであり、令和7年4月1日以降に開始する事業年度から適用されます。そのため、3月決算の法人では、令和8年3月決算が新基準を初めて意識する時期となります。

今回の改正は、公益法人の活動内容や財務状況を、より分かりやすく外部に示すことを目的としています。貸借対照表や活動計算書については簡素で理解しやすい構成とする一方、詳細な情報については中期計画や附属明細書で開示するという考え方に基づき、会計基準全体が見直されています。例えば、「一般正味財産」が「一般純資産」へと名称変更されたほか、「公益目的事業」「収益事業等」「法人会計」の3つに区分して経理を行うことが義務付けられました。また、収益事業等を行う法人については、活動計算書および貸借対照表の作成が必須となっています。

なお、本改正については、令和10年4月1日以前に開始する事業年度まで経過措置が設けられており、従前の会計基準を引き続き適用することも可能とされています。

 

 

 

 

※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。


 

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