事業承継の準備が会社の「今」を強くする
【中小企業のための経営情報|マネジメント倶楽部デジタル9月号】

2026年9月14日
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このコラムでは、中小企業の経営に役立つヒントや、おさえておきたい今話題の情報などを、中小企業診断士の立場から、わかりやすく解説します。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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●事業承継の準備が進んでいない
日本の中小企業は全企業数の99%を占めますが、その数を見ると1999年の484万社から、2021年には337万社へと3割以上も減少しています。その大きな要因の一つに後継者不在による廃業の増加があります。経営者が自身の経験やノウハウを次世代に引き継ぐことができず、事業の存続を断念することも少なくありません。
●事業承継準備がなぜ進まないのか
帝国データバンクの最新調査によると、「後継者不在率」は近年改善が進んでいるものの、依然として50%を超えており、特に小規模企業の不在率が高い傾向にあります。

事業承継の準備には、後継者選び、資産や株式の整理、税金対策、社内の調整など、複雑で時間のかかる手続きが多く必要になります。小規模な事業者ほど日々の業務に追われ、事業承継に時間を割きにくいのが実情です。また、「今すぐ始めないといけない」という緊急性を感じにくいため、準備を始める決心がつかず、つい後回しにしてしまう、という経営者も多いでしょう。さらに、「この会社の経営は自分にしかできない」「手塩にかけて育ててきた事業を他の人に簡単に譲りたくない」といった感情的なハードルもあるでしょう。
●将来ではなく、今をよくするためにやる
事業承継を、経営者が高齢を迎え、世代交代の時期を迎えるときのために「しかたなくやること」としてとらえると、気持ち的にどうしても後回しになりがちです。そこでおすすめしたいのが発想の転換です。事業承継に取り組むことを、会社の「今」を強くする活動、ととらえてみましょう。
●なぜ会社の「今」がよくなるのか
まず、いつまでに事業承継を行いたいかを決め、そこから逆算して、後継者候補の選定や育成計画を立てます。このプロセスを通じ、会社全体の方向性が明確になります。
事業承継で最も時間がかかるのが次世代の育成です。候補の人材を決めて活躍の場を与え、経営者の右腕となって働いてもらうことで、本人の自覚が高まり、現在のパフォーマンスも向上します。結果として、組織の活力が増し、会社の経営を強くすることにつながります。
また、経営者としては、会社を引き継ぐからには、できるだけよい状態でバトンタッチしたいと考えることでしょう。会社の課題や弱みを明らかにし、引き継ぐまでにそれらを解決しようという気持ちが生まれます。また、経営者の知識やノウハウを整理し、後継者に伝えやすい形にしておこうとする意識も高まります。
こうした活動は、一般の企業が自社を強化するときの活動とまったく同じではないでしょうか。幹部人材の育成、会社の課題の明確化、ノウハウや強みの見える化、いずれも会社を強くするための取組みにほかなりません。事業承継の準備は、実は経営力向上に直結する活動であり、これらに取り組むことで、会社の「今」がよくなることを理解いただければと思います。
●会社の「今」と「未来」のために
事業承継の準備は5年、10年とかかることも珍しくありません。しかしその効果は準備を始めたその日から期待できます。事業承継を引退のための準備ではなく、会社の「今」をよくし、「未来」を確かなものにするための活動ととらえ、まずは自社の現状や課題の整理に取り組んでみることをおすすめします。
※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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