経営環境分析-経営環境の変化に注目し、現在と今後の制約条件を見極める-

コロナ禍の今だからこそ見直そう!環境の変化に適応できる強い組織づくり

2021年3月2日

 

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このたびのコロナ禍により、ほんの数か月の間に経営環境は劇的な変容を遂げました。

「これからは今までと同じ経営では立ち行かない」という危機感は持っていても、具体的に何をどう変えていけばよいのかを見出せない、という経営者の悩みをよく耳にします。

本コラムでは、コロナ禍こそ、今までの会社の在り方を見直す機会と捉え、ウィズ/アフターコロナに向けた“強い組織づくり”の進め方についてお話しいたします。

 

 

経営環境分析-経営環境の変化に注目し、現在と今後の制約条件を見極める-

 

1.経営環境とは

経営環境と聞いて、具体的にまず何が頭に思い浮かぶでしょうか。競合他社の数や製品情報、自社製品の強みや弱み、市場の規模や成長性・・・等、人によって様々な要素が思い浮かぶことでしょう。それらはいずれも正解で、経営環境とは〇〇ですといった唯一無二の正解はありません。
それでは、どのように経営環境を検討すれば良いのでしょうか。場当たり的に先に挙げたような視点で検討することも可能ですが、俯瞰的に見れず、場合によっては自社にとって都合の良い分析のみに留まってしまうでしょう。

経営環境を分析する最大の目的は、前回のコラムでご説明したように、経営ビジョンと経営目標を環境の変化に合わせて修正することにあります。ただ経営環境を分析しただけで満足になってしまっては、意味がありません。ここで、経営環境分析の際に有効な考え方のフレームワークとして、3Cをご紹介いたします。

 

【図表1】 3C の概要図

 

3Cとは、Company、Competitor、Customerの3つの要素の頭文字を取ったもので、概念図は図表1のとおりです。3Cのフレームワークを用いることで、経営環境を抜け漏れなく分析することが可能となります。しかし、これだけだと簡素過ぎるため、具体的に何を分析すれば良いのかは分かりません。

次に、実際に検討すべき具体例を紹介いたします。図表2に挙げる検討事項を自社に当てはめて考えることで、俯瞰的な経営環境分析が可能となります。

 

【図表2】具体的に検討すべき事項

 

競合他社が多く、業界内の競争が熾烈な場合には、Competitor(競合)の分析に重点を置いたり、自社の現状をあまり把握しておらず成行きで事業を継続させてきた場合には、Company(自社)分析に重点を置いたりする等、自社の状況に応じて強弱をつけアレンジすることも大切です。全ての事項を検討することにこだわりすぎて時間をいたずらに掛けてしまい、本来の目的である経営分析を基にしたアクション(経営ビジョンや経営目標の変更)が疎かになってしまっては本末転倒です。

上記検討の際の留意点として、現状の分析に留まらず、将来的にはどうだろうという予測も含めた観点で分析することが重要となります。現状はネガティブ要素となっていても、将来的にポジティブ要素に変わる見込みがあるのであれば、脅威は少ないと考えられ、そのための対策は劣後します。

 

2.制約条件を見極め、経営ビジョンや経営目標を見直そう

経営分析が終われば、一度足を止めて経営ビジョンや経営目標を見つめなおしてみましょう。経営分析はあくまでその土台となるものに過ぎず、この見つめなおす作業こそが肝心なステップとなります。

単純な例でご紹介いたします。経営分析の結果、競合が想像以上に増えており、自社の相対的なシェア・収益性は悪化、顧客ニーズに沿った製品の提供も出来ていないといったことが判明したとしましょう。ここで、現在の自社の経営目標が「売上高を10%向上させること」であるとするとどうでしょうか。売上高を増加させるため、価格を競合よりも更に下げシェアを拡大させ、なんとか売上高を10%向上させることが出来たとしても、その結果として収益性がさらに悪化していれば意味をなしません。

このケースでは、経営目標を売上高ではなく、「営業利益を10%向上させる」等の利益ベースの目標へ変更することで、次になすべきアクションも変わります。例えば、経費をいくら下げれば売上が減少したとしても利益を増加させることが可能か、そのためにまず着手できるアクションは何か等、正しい方向性で物事を考えられるようになるのです。

つまり、経営環境分析を実施すれば、制約条件(上記例では、売上高を増加させることは厳しく、それ以外に着目すべきであること)が明確となるのです。その制約条件を見極めた上で、今後の会社の進むべき方向性(経営ビジョンや経営目標)を軌道修正することで、環境に対応できる強い会社となります。

 

3.まとめ

今般の新型コロナウイルスにより、経営環境は著しく変化しました。ごく一部の業種においてはプラスの影響を受けていますが、大半の業種においてはマイナスの側面が非常に大きく、この状況に対応できるかどうかの経営の真価が問われています。ポジティブに考えれば、新型コロナウイルスが見直すきっかけを与えてくれたとも考えることができます。

今まで足を止めることなく経営に邁進された経営者の方が多いのが現状ですが、今般の状況を1つのきっかけとして、経営環境分析を行い、今一度足を止め、経営ビジョンや経営目標を見つめなおしてみることを強くお勧めします。

これまで多くの経営者を見ていて思うことが1つあります。それは、今すぐ未来を見据えて動き出せない人は、おそらく2,3年後も、それ以降も、そのまま変わらない(=変われない)人が残念ながら非常に多いということです。手元の状況が忙しいから等、理由をつけてやらないことは簡単ですが、やるべき理由を考えてみてください。この一歩を踏み出せるかどうかが、10年、20年先の勝敗を分けることでしょう。

経営ビジョンや経営目標の見直しが終われば、次は実際に会社として目標達成に向けてアクションしていく必要があります。しかし、会社とは結局のところ”人”の集まりであり、目標が定まれば従業員が一丸となり突き進むことができるかはまた別の話です。それぞれ考え方や個性も異なり、自分がやるべきことを把握している人もいればしていない人もいるのです。具体的に、誰が、何を、どのように動いていけば、会社として目標達成できるのでしょうか。

次回コラムでは、定まった経営ビジョン・経営目標の実現に向けて、全社最適化のための仕組みづくりについてお話します。

 

 

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中小企業診断士前田節(まえだ とも)

株式会社ジャストコンサルティング 代表取締役。
中小企業支援をメインとした経営コンサルティング会社「株式会社ジャストコンサルティング」を2014年設立。コンサルタント12名を率い、専門性とチームワークを活かした実行型支援を行っている。

» 会社URL   https://www.just-c.net
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