第6回 経理部ってどんなスキルが必要なの? ~コミュニケーション能力を磨こう~
【経理になった君たちへ ~経理の仕事の全体像と、本当の面白さとやりがいを伝える~】

2023年1月6日

 

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本コラムでは「経理部に配属されたばかりで何をしたらいいかわからない」という若手社会人や、「経理の仕事に興味があるけどマシーンみたいで面白くなさそうだから不安……」という学生たちに向けて、経理の仕事の全体像を知ってもらい、本当の面白さとやりがいをお伝えいたします。

なお、非上場企業での経理の話や、上場企業の経理の話など、より具体的な内容につきましては、書籍「経理になった君たちへ」にて解説しておりますので、ぜひご覧ください。

 

 

コミュニケーション能力のよくある勘違い


おそらく多くの人からは経理部は話さなくてもいい部署と思われがちですが、みなさんの想像以上に会話しています。忙しい会社だと日中はすべてミーティングなんてこともあります。

経理部で多く話す機会があるのは、事業部の方とのミーティングでの場面ではないかと思います。事業部の方々が新サービスをリリースしようと思っているが、新サービスの売上や費用はどの時点で計上すべきかなど会計処理の相談を受けたり、新しい契約をとってきた際にも同様の相談を受けます。新サービスを作っている段階から経理部もミーティングに入って事業部と一緒に取引スキームを考えて採算管理しやすい方法などを模索したりもします。

このように経理部は単にパソコン作業のデスクワークだけではなく、日々ミーティングなどに出席し、経理部としての意見をいう必要がありますので、一定のコミュニケーション能力は必要とされます。ここで注意していただきたいのは、コミュニケーション能力とは、単に「流暢に話す」ことを指しているわけではありません。全然流暢に話す必要もなく、ノリが悪くても大丈夫です。

正しいコミュニケーション能力とは、相手とうまく良好な関係を築くことができるスキルのことをいいます。流暢に話してノリが良くても、事業部が間違った方向に進んでいるのに止められなかったり、経理部に事務負担の多い提案を要求されているのにそれを受け入れてしまったりしているとそれは単に事業部にうまく利用されているだけであり、コミュニケーションがとれているとはいえません。

逆に一方的に経理部の要求だけを押し通すだけの人はうまく事業部と関係を築けているとはいえず、コミュニケーションがとれているとはいえません。悪いことは悪いと突き返しつつ、自分の意見だけを押し通すのではなくお互いの部署の妥協点を一緒に探り合うことができるようなコミュニケーションをとれる人こそがコミュニケーションスキルがある人といえるでしょう。

 

コミュニケーションのコツは恩の貸し借り


コミュニケーション能力はExcelや簿記の知識と違って即席で習得できるようなものではありません。このスキルをつけるためには数年は必要でしょう。もともと話し上手な人や話が好きな人は比較的短期間で身につくかもしれませんが、そうでない方は割と時間がかかります。そんな著者の私もコミュニケーションには苦労しましたが、10年たった今ようやく人並みに身についてきたような気がします。

10年間会社員として働いてきてみて、他人と良好な関係を築くためのコミュニケーションのコツは「恩の貸し借り」にあると思っています。

人間誰しもが完璧ではなく、自分一人でできることは限られており、時にはミスもします。もし自分が困った時に助けてくれる人がいるかどうかは普段のコミュニケーションで良好な関係者が何人いるかによると思います。よって、会社内で困った人がいれば率先して助けてあげるようにして、普段から「恩を貸す」ことで、もし自分が困った時に恩を返してもらえる人を増やしていきましょう。

自分が困った時に協力者が多いことはそれだけで会社内でもアドバンテージです。同僚や上司、あるいは他部署の人からちょっとした相談事に乗る際に「私は詳しくないのでわかりません」と突き返すだけじゃなく「私は詳しくないのでわかりませんが、あの人が詳しかったと思うので聞いてみたらどうでしょう?」などと解決の糸口をつなぐだけでも感謝されます。

このような恩の貸し借りの積み重ねを多方面で行えば多くの人と信頼関係を構築することができます。コミュニケーション能力は喋る量ではなく、相手への貢献度の量だと思いますのでそれを意識して行えば自然と相手と良好な関係を築いていけることでしょう。

※恩を仇で返してくる人もいるので見極めは大切です(笑)
※もちろん簿記などの専門性がないと頼りにもされないのでその他のスキルも身につけましょう。

 

 

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公認会計士白井 敬祐

2011年公認会計士試験合格後、清和監査法人で監査業務に従事した後、新日本有限責任監査法人及び有限責任監査法人トーマツでIFRSアドバイザリー業務や研修講師業務に従事。その後、株式会社リクルートホールディングスで経理部に所属し、主に連結決算業務、開示資料作成業務や初年度のIFRS有価証券報告書作成リーダーを担当。
2021年7月に独立開業し、現在はCPA会計学院で会計士講座(財務会計理論)やCPAラーニングの講師を務め、近畿大学経営学部の非常勤講師として学生向けに会計士講座を開講。
会計を楽しく学べる「公認会計士YouTuberくろいちゃんねる」を運営(登録者数2.6万人(2022/10/26))。

» YouTube https://www.youtube.com/channel/UCVAfxqELHqrUcrBeIYZ3pfA
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