新・国税総合管理システム(KSK2)導入により税務行政はどう変わるか ほか
【TAX TOPICS|マネジメント倶楽部デジタル9月号】

2026年9月11日
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このコラムでは、掲載月に関連する税の身近なトピックをピックアップして、簡潔にまとめてお届けしています。
毎月3〜4つのトピックを取り上げています。
※本記事は「マネジメント倶楽部デジタル」に掲載されたものです
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新・国税総合管理システム(KSK2)導入により税務行政はどう変わるか
令和8年9月24日、国税庁は基幹システムである「国税総合管理システム(KSK)」を全面刷新し、新システム「KSK2」の運用を開始する予定です。従来のKSKは平成7年の導入開始から約30年にわたり税務行政を支えてきましたが、紙ベースの処理が多く残る、税目ごとの「縦割り」管理になっている、独自OSの大型機(メインフレーム)に依存している、といった課題を抱えていました。KSK2はこれらを、紙からデータ中心へ、税目を横断した一元管理へ、汎用OSの「オープンシステム」へと転換します。今回の刷新は、税務行政のデジタル化をさらに進める大きな節目になると考えられています。
① OCRからAI-OCRへ
従来は、紙で提出された申告書をOCR(光学文字認識)により、文字や数字を読み取っていました。これは、あらかじめ決めた位置の1文字枠(ドロップアウトカラー)に沿って読み取る方式であるため、文字の掠れや印字のズレ、手書き文字の癖に弱く、エラーとなることも少なくありませんでした。そのため、そうした箇所は職員が目視で確認し、手作業で補正する必要がありました。
これに対し、KSK2で導入されるAI-OCRは、従来型OCRと比べて読み取り精度が大幅に向上します。AI-OCRに対応するため、国税庁は一部の申告書や届出書について様式を変更し、従来の「1文字1枠」の形式からフリーピッチ形式へ移行することとなりました。一部の申請書・届出書等では既に新様式への移行が始まっており、KSK2が本格稼働する9月24日以降、順次、これらの新様式へ切り替えられます。なお、この変更は書面で提出する場合におけるものであり、e-Taxで提出する場合には影響ありません。
② データの一元管理
KSK2では、紙で提出された申告書等がスキャンされてAI-OCRによりデータ化されるだけでなく、それらの情報が税目横断的に管理される仕組みへ移行します。詳細なシステム構成は公表されていませんが、基幹システムの全面刷新であることを考えると、データ保存能力や処理性能の向上が図られているものと考えられます。その結果、膨大な申告書データや法定調書データを従来より短時間で処理できるようになり、複数税目にまたがる情報の照合や分析も効率化される可能性があります。
例えば同族会社では、法人税や消費税だけでなく、社長や親族の所得税、さらには相続税や贈与税まで含めて総合的に分析することで、従来は把握が難しかった課税上の問題点や不整合を発見しやすくなることが考えられます。
➂ 税務調査でも進むデータ活用
この「データ中心」の流れは調査現場にも及んでいます。コロナ禍以降、臨場時間の短縮と事前分析を目的に、調査着手前に総勘定元帳や仕訳データをCSV形式で提出するよう求められるケースが増え、いまや半ば常態化しつつあります。調査官は、紙の帳簿を1枚ずつ捲って確認するのではなく、データ分析によって事前に異常値や特異な取引を抽出し、効率的に調査を進める手法を用いるようになっています。
今後、KSK2によって申告書情報のデータ化がさらに進めば、事前に提出された仕訳データ等と国税庁が保有する申告書や法定調書データなどを組み合わせた分析が、より高度化する可能性があります。
また、KSK2では、調査官は調査先や外出先においても必要な情報にアクセスが可能になるとされており、従来は税務署へ持ち帰って確認していた情報についても、その場で確認できる場面が増えることが予想されます。
このような状況を踏まえ、企業や税理士にとって重要なのは、帳簿や申告書等を単なる提出書類と捉えるのではなく、「分析されるデータ」として認識することです。特に電子帳簿保存法への対応や会計データの整備状況は、今後ますます重要な管理項目になるでしょう。KSK2の稼働は、税務行政がデータ活用を重視する方向へ進んでいることを改めて示すものといえそうです。
① メンテナンス日時に注意
KSK2への移行に伴い、e-Taxの大規模メンテナンスが予定されています。メンテナンス期間中は、e-Taxにログインすることができず、メッセージボックスの確認も行えません。申告書の提出や各種届出書については、提出期限を確認の上、余裕をもって対応することが必要です。
【メンテナンス日時】
令和8年9月19日(土) 0時~ 9月24日(木)8時30分
令和8年9月26日(土) 0時~ 24時
② 動的IPアドレスへ
KSK2移行に伴い、e-Taxは固定IPアドレス方式から動的IPアドレス方式へ変更されます。通常の利用において影響はほとんどありませんが、社内ネットワークのファイアウォール等でe-TaxのIPアドレスを指定して通信制御を行っている場合は、事前にシステムベンダー等へ確認しておくとよいでしょう。
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※本コラムでは、さまざまな経営者にとって役立つ記事が集まるデジタル情報誌『マネジメント倶楽部デジタル』に掲載されている記事の一部を公開しています。
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