譲渡制限期間中に譲渡制限のない株式を譲渡した場合の取得費の計算

2026年3月26日

 

 

 

 

譲渡制限期間中に譲渡制限のない株式を譲渡した場合の取得費の計算


[質問]

個人Aが有価証券を譲渡した場合において、譲渡所得の計算上、譲渡収入金額から控除する取得費についてお尋ねします。

 

■状況

・個人Aは甲社(上場会社)の役員である

・甲社は株式報酬制度を導入している

・Aは従来から甲社株式を所有しているが、新たに甲社から株式報酬制度により譲渡制限付株式(RS)を取得した。

・当該RSは所基23~35-5の3の規定により課税の繰延べがされている

・当該RSの譲渡制限の解除は、役員退任時となっている

・Aは当該RS取得後、従来から所有していた甲株式の一部を譲渡した

・Aの甲社株式所有は下記 株式数 取得価額

2019年 10,000 390,000

2020年RS取得(報酬債権10,000付与) 200 400,000

2021年RS取得(報酬債権10,000付与) 200 410,000

2022年RS取得(報酬債権10,000付与) 200 420,000

2023年RS取得(報酬債権10,000付与) 200 430,000

2024年RS取得(報酬債権10,000付与) 200 440,000

2025年 11,000 440,000

 

■質問

Aが2025年に従来から所有していた株式300株を譲渡した場合の取得費は下記のいずれになるでしょうか?

①RSの譲渡制限が解除されていないためRSの取得価額は含めず計算

390,000÷10,000株×300株=11,700

②RSの譲渡制限は解除されていないが、RSの報酬債権付与分も含めて計算

440,000÷11,000株×300株=12,000

 

[回答]

ご質問の2020年~2024年に甲社から取得した譲渡制限付株式(RS)は、所得税法施行令第84条第1項に規定する特定譲渡制限付株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)に該当するものと思われます。また、2019年に取得した甲社株式は、譲渡制限のないものと思われます。

今回、従来から所有していた株式300株を譲渡されたということですので、その株式の譲渡所得の計算上控除する取得費の計算は、譲渡制限付株式の取得はないものとして総平均法に準ずる方法(所得税法施行令第118条第1項)により計算した金額になります。すなわち、ご質問の①の計算(390,000÷10,000株×300株=11,700)になります。

その理由は、お考えのとおり、特定譲渡制限付株式については、その「譲渡制限が解除された日における価額」が取得価額とされます(所令109①二)ので、その譲渡制限期間中は特定譲渡制限付株式の取得価額を計算することができないことから、その譲渡制限期間中に特定譲渡制限付株式と同一銘柄の株式等を譲渡した場合には、その同一銘柄の株式等に係る取得価額の計算において、その特定譲渡制限付株式は総平均法に準ずる方法による計算の対象にならないからです(国税庁HP/法令等/質疑応答事例/譲渡所得/「特定譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)に係る譲渡制限期間中の取得費の計算」参照)。

 

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

 

 

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