一次相続の遺産が未分割で二次相続が発生した場合の相続税の申告等

2026年5月26日
一次相続の遺産が未分割で二次相続が発生した場合の相続税の申告等
[質問]
令和3年に父の相続があり、相続人は母、長男の子(代襲相続人)、二男、三男の4人でした。
相続財産は自宅不動産46百万円、預金4百万円の計50百万円で、基礎控除以下であるため、相続税の申告をしませんでした。
その後、令和7年3月に母の相続が発生しました。
相続人は長男の子(代襲相続人)、二男、三男の3人です。
母の相続財産は預金28百万円、有価証券6百万円で計34百万円です。
相続人間の関係が悪く、父の相続も母の相続も遺産分割ができないため、弁護士が入り、現在調整中です。
母の相続税の申告期限が来年1月頭なのですが、それまでに父、母とも遺産分割が整わない場合、父の財産50×1/2(法定相続分)+母の財産34=59百万円となり、母の相続税申告が必要になると思います。
その後、長男の子(代襲相続人)、二男、三男で、母が相続しないものとして父の遺産分割が整った場合、母の固有財産だけだと基礎控除以下になるため、更正の請求をすることにより、当初納付した相続税が還付されると考えていますが、間違いないでしょうか。
[回答]
被相続人の財産に属した一切の権利義務は、相続人が相続開始の時から承継し(民法第896条)、被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で遺産の分割をすることができるとされています(同法第907条第1項)。しかし、遺産分割を行う時期が特段定められているわけではないことから、遺産が未分割の状態が継続することも予想されるところです。
このような場合、遺産分割が行わるまでの間の未分割遺産は、共同相続人の共有に属しますので(同法第898条)、その遺産は法定相続分の割合による共有の状態にあると解されています。
ご照会の事例では、第一次相続(父)に係る遺産の分割協議がなされていないので、その遺産は未分割の状態にあります。このような場合、遺産は法定相続分の割合により共同相続人の共有の状態にあるということになります。
したがって、貴見のとおり、第二次相続(母)に係る相続税の申告に際しては、母固有の財産の価額に第一次相続(父)の未分割財産のうち母の法定相続分の割合(1/2)に相当する価額を加算する必要があります。
この場合、第二次相続(母)に係る相続税の申告期限までに第一次相続(父)の遺産分割協議が調い、母が父の遺産を取得しないことに決すれば、母の相続税の申告においては、母の固有の遺産のみが課税財産として取り扱われます。
また、第二次相続(母)の相続税の申告期限後に、遺産分割協議が調い、母が第一次相続(父)の遺産を取得しないことに決すれば、母の相続税の課税価格は遺産に係る基礎控除以下になりますので、既に行った申告について税額等が過大であったとして、相続税の申告期限から5年以内であれば、更正の請求をすることができます(国税通則法第23条)。さらに、5年超えたとしても、相続税法特有の後発的事由(遺産分割の確定、認知等による相続人の異動、遺贈に係る遺言書の発見など)が生じた場合には、それらの事実が生じた日の翌日から4か月以内に更正の請求をすることができます(相続税法第32条)。
(税理士懇話会・資産税研究会事例より)















