第285回 令和8年度税制改正による「オープンイノベーション促進税制」の見直し

 

 

 

 

 

■オープンイノベーション促進税制とは

技術力を持ったベンチャー企業との連携を中心としたオープンイノベーションの進展が必要不可欠であると指摘されています。ベンチャー企業への出資またはM&Aによるベンチャー企業の株式の購入に係る税制措置として、その出資額または購入額の一定割合について損金算入を認める措置を設けることで、我が国企業が、いわゆる自前主義からの発想の転換を図り、いわゆるオープンイノベーションとして、自社にない技術等を持つベンチャー企業と協働することにより、生産性向上につながる事業革新を図ることを最大限支援することを狙いとする税制措置が、令和2年度税制改正において創設されました。

本税制措置は、ベンチャー企業への現金出資に適用できる「現金出資型」とベンチャー企業の株式をM&Aにより購入する場合に適用できる「M&A型」の2類型から成っています。

 

■投資金額の下限の引上げ

「現金出資型」および「M&A型」ともに、投資金額の下限が次のように見直されました。太字が改正部分です。本改正は、令和8年4月1日以後に取得する株式に係る事業活動の実施の状況に係る経済産業大臣の証明について適用され、同日前に取得した株式に係る事業活動の実施の状況に係る経済産業大臣の証明については、従前どおりとされています(改正共同化調査省令附則②)。

なお、本税制措置の対象となるベンチャー企業のことを「特別新事業開拓事業者」といい、対象となる株式を「特定株式」といいます。

 

■M&A型の拡充

従来のM&A型は、発行法人以外の者からの一括購入のみ認められていましたが、段階的な取得で一定の要件を満たすものも対象に追加されました。すなわち、本税制措置の対象となる特定株式に、購入により取得した特別新事業開拓事業者の株式でその取得の日から起算して3年を経過する日までにその取得をした法人がその特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の50%を超える議決権を有するものとなることが見込まれる場合におけるその取得をする株式が追加されました(措法66条の13第1項)。

令和8年4月1日以後に取得する株式について適用し、法人が同日前に取得した株式については、従前どおりとされています(改正法附則64条1項)。

 

■ベンチャー企業を吸収合併した場合の取扱い

特別勘定に係る特定株式の発行法人(ベンチャー企業)の事業の成長発展が図られたことにつき明らかにされた場合において、その特別勘定を設けている法人を合併法人とし、その発行法人を被合併法人とする合併が行われたときは、その被合併法人に係る特別勘定は、その合併の日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から5年間で特別勘定の残高の均等額を取り崩して、益金算入するものとされました。改正前は、一括益金算入とされていた取扱いが見直されたものです。

本改正は、特定株式を発行した法人が令和8年4月1日以後に行われる合併により解散する場合について適用され、特定株式を発行した法人が同日前に行われた合併により解散する場合については、従前どおりとされています(改正法附則64条2項)。

 

 

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