デジタル化の流れ ~電子データ保存と電子インボイスとIT補助金~
~日本の経理を一気に変えるのは、電子データ保存ではなくデジタル化の本丸は電子インボイス制度~
2022年2月24日
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電子データ保存延期のうわさがありましたが、クリスマスに本当に2年の宥恕(ゆうじょ)措置が置かれました。しかし2年の猶予が与えられただけでして、2年というのはあっという間です。また宥恕措置(許してあげる)ですので猶予という言葉は不適切ですね。
そういう意味で言うと、日本の経理を一気に変えるのは、電子データ保存ではなくデジタル化の本丸は電子インボイス制度で、そこで一気に変わることになると思われます。
電子インボイス制度導入を契機にして、デジタル化の流れは急加速するものと思われます。現在、EIPA(「電子インボイス推進協議会」(E-Invoice Promotion Association))では、「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」を見据え、事業者間での請求に係る業務プロセスのデジタル化、共通電子インボイス・システムの構築を進めているようです。
これら共通電子インボイスの普及が進んだ場合、現在分断されている「基幹業務システム」と「会計・税務システム」がシームレスに連携することから、バックオフィス業務の省力化・生産性向上が実現することになります。
電子インボイス推進協議会のホームページにおいても「日本国内の事業者の業務プロセス全体には、紙・FAXでのやり取りを中心とした多くのアナログ処理が存在しており、特に中小・小規模事業者の生産性向上の妨げとなっています。この問題を解消するためには、単に紙での処理の「電子化」(Digitization)を進めるのではなく、デジタルを前提として業務のあり方そのものを見直す「デジタル化」(Digitalization)を推し進め、業務全体の圧倒的な効率化を実現する必要があります。」とされています。
つまり、単に紙が電子データになるに置き換えるデジタイゼーションにとどまらず、バックオフィス業務のプロセスの電子化やビジネスモデル転換といった業務全体の抜本的な転換になることが考えられます。
実現すればバックオフィス業務はかなり効率化され、経理作業が作業から解放されデータ分析に移行することも可能になり、かなりの生産性向上と経営陣に対するデータの供給という変革のきっかけになりそうです。
新聞報道では早ければ2月にもIT導入補助金が出るのではと言われています。特にクラウド対応とインボイス対応に対応したソフトについては加点要素となるとともに補助率も引き上げられるようです。ぜひIT導入補助金の活用も検討しましょう!
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税理士畑中孝介
ビジネス・ブレイン畑中税理士事務所 所長
大手・上場企業の連結納税コンサルティング業務や組織再編アドバイザー業務を行う。上場企業の子会社から中小企業・公益法人・独立行政法人・ファンドまで幅広い企業の税務会計顧問業務に従事。TKCの連結納税・企業グループ税務・税効果会計システムの専門委員・中堅・大企業支援研究会普及部会委員に就任。連結納税・税効果会計・組織再編税務・戦略的税務等のセミナー多数。年間50回程度の講演実績。ZEIKEN LINKS専門家登録。著書や雑誌等への執筆多数。