知らなければ損!?コロナ特例改定延長

2022年5月10日

 

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ここ数年、新型コロナ感染者数の増減で我々の日々の生活や仕事面での影響を受け続けておりますが、会社員にとって無視できないのが「健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額」に基づく社会保険料の額ではないでしょうか。コロナによって給与額が減り、それでいて社会保険料額が(すぐには)減らなければ手取り額の減少から生活に悪影響となることが想定されます。そこで今回は、この標準報酬月額の特別な改定である「コロナ特例改定の延長」について取り上げたいと思います。

 

標準報酬月額変動の仕組み

会社員の多くは社会保険に加入されていることと思いますが、この社会保険料の額は加入時に「標準報酬月額」が決まると、あとは原則として年に1回、7月1日時点の「算定(定時決定)」か、固定的賃金が標準報酬月額等級の2等級以上の変動後、3か月以上連続した際にその翌月から変更となる「随時改定(月変)」での変更にしかなりません。

 

【随時改定例(月変)】

 

コロナ特例改定とは

上記のように給与の基本給や固定的な手当などの固定部分が減額(または増額)になっても、給与から控除される社会保険料の額は、実際に変動のあった月から4か月目にならないと変更になりませんが、この給与額の変更理由(低下等)が新型コロナウイルス感染症の影響により休業した場合に、「コロナ特例改定」といって、変更した月(固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象)の翌月から標準報酬月額等級の変更が期間限定で認められていました。

 

【コロナ特例改定】

(*本来なら4か月後に改定となるはずが翌月から改定が認められる)

 

コロナ特例改定の延長決定

このコロナ特例改定は期間限定(令和2年4月から令和3年7月までの間)で認められていた制度なのですが、令和3年8月から令和4年6月までの間に新型コロナウイルス感染症の影響により休業、給与額が下がった方も対象となることが決定しています(後段の申請受付期間に注意)。

 

コロナ特例改定の対象者

このコロナ特例改定の対象者は、新型コロナの影響による休業で給与が著しく低下した方で、かつ、以下のすべてに該当している方です。
・新型コロナウイルス感染症の影響による休業(時間単位を含む)があったことにより、令和4年 4月から令和4年6月までの間に、報酬が著しく低下した月が生じた方
・著しく報酬が低下した月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がった方
※固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合も対象。
・この制度内容に書面同意している方(改定後の標準報酬月額に基づき、傷病手当金、出産手当金及び年金の額が算出されることなど十分な説明と理解に基づく事前同意が必要)。

 

コロナ特例の申請手続と申請期限

コロナ特例改定を受けるためには、下記の書類の準備と届出が必要です。
A 月額変更届(特例改定用)
B 申立書(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の改定に係る申立書)
C 同意書(              〃               同意書)
Aの月額変更届出用紙とBの申立書を添付して(注)管轄の年金事務所に届出します。
月額変更届(特例改定用)に申立書を添付し管轄の年金事務所に申請。
注…「事務センター」ではなく「年金事務所」宛に郵送または窓口提出。
【用紙ダウンロード 厚生労働省HP】

<申請期限>
令和4年1月から3月を急減月とするもの・・・令和4年5月31日(必着)
令和4年4月から6月を急減月とするもの・・・令和4年8月31日(必着)

【Q&A】

 

注意点

今回のコロナ特例改定は本人の同意が必要なのと、提出期限が決まっていますので、申請される場合はあらかじめ計画的に行動することが必要です。また、上記Q&Aにありますが、休業が回復して特例改定による標準報酬月額に比べて2等級以上給与が上昇した場合には、固定的賃金の変動の有無に関わりなく随時改定(特例改定)の届出対象となる点に気を付けてください。

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。当コラムは2015年1月より担当。

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