健康保険証のマイナンバーカード一体化⁈

2022年11月10日

 

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会社担当者の方が、新たに入社された方の手続きの中で「重要で急ぎの手続き」はどんなものが挙げられるでしょうか?私は、即座に「健康保険証の発行!」と答えます。健康保険証は従業員さんが病院等で受診される場合は必ず必要になるものですし、扶養している家族の方がいれば、その方の手続きも同じように行う必要があります。この健康保険証がマイナンバーカードに一体化されるということが発表されています。実施時期はまだ先ですが、現段階での確認をしておきましょう。

 

いつ頃変わるの?

河野デジタル大臣から令和4年10月13日の記者会見で、2024年(令和6年)秋ごろをめどに健康保険証の機能をマイナンバーカードと一体化するということについて発表されました。この発表ではマイナンバーカードに健康保険証の機能を追加することにより、現在、プラスチックカードや紙で発行されている健康保険証がマイナンバーカードに置き換わるという内容になっています。置き換わるということは健康保険証がなくなるということに……これは大きな変更となります。

 

なぜ一体化するのか

これまで原則として健康保険証とマイナンバーカードは別々に存在していましたが、これがマイナンバーカードに一体化されれば、1枚のカードで用が済むわけですから、利便性は高まります。しかし、これにはまだ大きな壁があります。それはマイナンバーカードの普及率自体が現段階では50%程度しかないということです。健康保険証がなければふだんの生活に大きな影響が出ますので、マイナンバーカードの普及率が飛躍的に高まることになるでしょう。

 

医療機関では

健康保険証の機能をマイナンバーカードと一体化するという話は今回が初めてではありません。実は2021年10月から一部の医療機関や薬局では希望者に限ってマイナンバーカードを健康保険証として利用できるようになっています。ただし、これには利用する医療機関でカードリーダーを用意する必要があり、現段階では一部の医療機関でしか準備がなされていません。今後は一体化の時期に向けてすべての医療機関で準備されることになると思われます。

 

一体化のメリット

一体化のメリットは医療機関に行く際に、健康保険証を持参しなくても済むようになる、ということだけではありません。マイナンバーカードの健康保険証利用に必要な「顔認証付きカードリーダー」を利用することで、医療機関の窓口で対面の必要性がなくなります。新型コロナ禍のような状況においては、利用者・医療従事者、共にメリットとなるでしょう。また、これまで窓口での限度額以上の医療費の一時支払いを不要とするための「限度額適用認定証」の提出が不要になります。さらに、過去に処方された薬や特定健診等の情報については本人から医師や薬剤師に伝えることが必要ですが、これが一体化によりカードからの情報で医療機関が正確に把握することが可能になるでしょう。

 

手続きはなくなるの?

従業員が入社時や退社時、あるいは扶養家族の変更時には会社担当者や社会保険労務士が年金事務所や健康保険組合等に申請書を届出し、この内容に基づいて健康保険証取得・喪失・切替等が行われておりますが、一体化後これらがどうなるかについての詳細までは発表されていません。また、現状では二ヶ所以上の会社で働いている方については「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を日本年金機構へ提出することによって「どの会社の健康保険証で発行するか」などの決定がなされていますので、会社や本人の手続きをすべてなくすためには、まだまだハードルがあるようですが、今後、進んでいくことでしょう。

 

まとめ

マイナンバーカード一体化の流れが急速に高まってきた印象がありますが、細かい部分は不明なところもありますので、今後の発表には注意が必要でしょう。また、現段階でマイナンバーカード未発行の方は発行手続を検討されてはいかがでしょうか。今はいろいろな特典もあるようですよ!

https://mynumbercard.point.soumu.go.jp/

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。当コラムは2015年1月より担当。

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