最低賃金の引上げ額が最高!

2022年10月20日

 

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最低賃金の引上げ額が最高!

新型コロナの影響もありまだまだ落ち着かいない日々が続いておりますが、今年の地域別「最低賃金額」が確定致しました!毎年、見直しが行われております最低賃金ですが、今年は30円から33円ほど引き上げられ、目安額が制定された1978年度以降で引上げ額が最高額となりました。会社担当者にとって無視できないものですので、必ずこの場で確認しておきましょう!

 

最低賃金改定の流れ

最低賃金額改定の流れは、まず、厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会が都道府県の経済実態に応じ、全都道府県をABCDの4ランクに分けて改定額の目安について答申が出されます。この結果を受けて地方最低賃金審議会が地域における状況等を調査審議の上、都道府県労働局長に答申。最終的に都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定するという流れになっています。

 

決定した最低賃金額

上記の流れを受け、決定した最低賃金額は以下となりました。

 

全国平均は961円!

全国平均は961円になりました。昨年と比較して31円UPです!ちなみにこの10年間の伸びは下記となり、新型コロナの影響が大きかった2020年を除くと順調に引き上げがなされていることがわかります。

 

いつから適用させるか (発効日)

改定後の金額に適用となる日(発効日)は都道府県毎によって異なりますが、今年の場合10月1日~10月20日までと散らばっています。この発効日から最低賃金額以上の額を使用者は支払わなければならないのですが、多くの給与計算ソフトは計算途中期間での切替え設定ができません(締日に合わせて変更)。したがって、発効日に合わせて給与額を手修正するか、発効日前の給与締日の翌日から新しい最低賃金額以上の賃金額にするかのいずれかになると思われます。

<例 京都府 発効日…10月9日。月末締めの会社で最低賃金を下回っている場合。>

 

「地域別最低賃金」と「産業別最低賃金」の関係

最低賃金には、都道府県ごとに決められた「地域別最低賃金」と、特定の産業で働く労働者を対象にとした「特定(産業別)最低賃金」の2種類があります。この「特定(産業別)最低賃金」は「地域別最低賃金」よりも高い金額水準で定められており、両方の最低賃金が同時に適用される場合には、使用者は高い方の最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとされています。

 

まとめ

今年の最低賃金も大幅に引き上げとなりましたが、万が一、最低賃金額を下回ってしまった場合は、最低賃金法違反で50万円以下の罰金となります。月給者で低額な従業員がいる場合、時給額を算出して確認することが必要です。なお、政府は以前より全国平均1000円以上を目指すとしていますので、増額傾向は来年も変わらないものと思われます。経営サイドとしては、今後も生産性の向上や付加価値の向上を図る必要があります。

 

附録:社会保険の適用拡大における注意点

7月にお届けしました10月1日からの「社会保険の適用拡大(従業員数101人以上)」についてですが、実務上の注意点が明らかになってきました。今回対象となる事業所には、年金事務所より10/1前後に「特定適用事業所該当通知書」という通知が送付されてくるそうです。10月1日に適用拡大対象事業所(従業員数101人以上)になっていれば、新たに対象となる者に対して資格取得届(扶養がいれば扶養異動届)を提出すればよいのですが、中には101人を割り込んでいる場合もあるものと思われます。この場合、上記の該当通知書到着後に会社自身が「非該当届」等の取り消しの届出が必要です。また、逆に非該当で通知書が来なかった会社が、10月1日以降に101人以上に該当した場合、該当時に会社側から「該当届」の提出が必要になるとのことです。お心あたりのある会社担当者の方は管轄年金事務所等にてご確認下さい。

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。当コラムは2015年1月より担当。

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