今年は違う! 2022労働保険年度更新

2022年6月1日

 

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新型コロナによる経済への影響が少しは収まりつつある状況です。計画休業を余儀なくされている会社さんも減少傾向と思いますが、この困難な時期を支えてくれていた代表的なものとしては「雇用調整助成金」があります。会社は計画休業し、従業員には休業手当を支給。そしてその補填分として支給されていたわけですが、その財源の中心は雇用保険料の積立金でした。その影響による財源不足を補うため雇用保険料率がアップしますが、その影響で今年の年度更新は「一風変わった仕掛け」がしてあります。会社担当者の方は必ず理解して臨みましょう!

 

雇用保険料率の変更内容と時期

下記の表のように、雇用保険料率は令和4年4月と10月の2段階に分けて変更されます。

4月からすでに事業主(会社)負担率(額)は変更になっておりますが、毎月の従業員の給与から反映させる分は10月からですので、10月分の給与から控除する雇用保険料額は変更対応が必要です。

 

年度更新の仕組み

年度更新は、昨年分(令和3年4月~令和4年3月)の対象従業員の賃金総額(給与額の合計)を集計し、それを基に保険料率を乗じて保険料額を算出、昨年提出時の概算(見込み)保険料額と照合します。ここで実際に計算した保険料額が概算(見込み)保険料額よりも少なければ、今年分(令和4年4月~令和5年3月)に回し(充当)、逆に多かった場合は差額を追加して納付することになります。

 

なぜ今年は違うのか

労働保険料額は(賃金総額×労災保険料率)+(賃金総額×雇用保険料率)で算出しますが、今年度の概算保険料額(見込み)は上記の雇用保険料率が保険年度の途中である10月から変更となっています。そのため、前半である4月~9月分までと後半である10月~翌3月分までを分けて算出し、その後に合算した額を今年分の概算保険料額とすることになっています。そのため、昨年まで1年度分1回の計算でよかったものが、2回に分けての計算が必要なのです。

 

計算例

労働局から送付される「令和3年度確定保険料・一般拠出金算定基礎賃金集計表/令和4年度 概算保険料(雇用保険分)算定内訳」書の中段~下段部分が今回変更の該当箇所になります。

注)上記用紙には上期と下期の二つの雇用保険料率の記入欄がありますが、提出用の「労働保険料概算確定申告書(様式6号)」の概算保険料欄には合計金額を記入する一つの段しかありません。そのため雇用保険分の保険料率は記入せず空欄のまま提出することになります

 

まとめ

労働保険の年度更新は年に1度の大切な申告作業です。特に今年は去年までと形式が異なりますので、本記事の内容をよく理解した上で処理していただきたいと思います。なお、2022年度の労働保険の年度更新期間は「6月1日(水)~7月11日(月)」となります。早めに準備を行いましょう。

 

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特定社会保険労務士小野 純

一部上場企業勤務後、2003年社会保険労務士小野事務所開業。2017年法人化。企業顧問として「就業規則」「労働・社会保険手続」「各種労務相談」「管理者研修」等の業務に従事。上記実務の他、全国の商工会議所、法人会、各企業の労務管理研修等の講演活動を展開中。
主な著作:「従業員100人以下の事業者のためのマイナンバー対応(共著)」(税務研究会刊)、「社会保険マニュアルQ&A」(税研情報センター刊)、「判例にみる労務トラブル解決のための方法・文例(共著)」(中央経済社刊)、月刊誌「税務QA」(税務研究会)にて定期連載中。当コラムは2015年1月より担当。

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