マスク問題あれこれ
<3分で読める税金の話>

2020年5月21日

 

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新型コロナウイルス感染症がここまで流行する前は、外国人はあまりマスクをつける習慣がなく、日本人がマスクをつけているのをみて不思議に思う人が多かったそうですが、今やマスクは世界的に装着すべきものと変わりつつあります。今回はマスクのまとめ買いについて税務上の処理はどうなるのか考えてみたいと思います。

 

 

■医療費控除には該当しない

医療費控除の対象となる医療費は、治療又は療養に必要な医薬品の購入の対価であり、病気の予防や健康増進のために用いられる医薬品の購入代金は医薬品となりません(国税庁ホームページのタックスアンサーNo.1122「医療費控除の対象となる医療費」参照)。よって、個人の所得税確定申告において、マスクは医療費控除対象外となります。

 

■自社のスタッフ用に購入した場合

新型コロナウイルス感染症にスタッフが罹患することを防ぐ目的でマスクを購入し、期末に使い切らずに残っていた場合、棚卸しをする必要があるかという問題があります。
通常、棚卸しを考えるときは法人税基本通達2-2-15です。こちらでは、作業用消耗品を取得時に損金扱いする要件として、各事業年度におおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限るとしています。
医療機関のマスク購入は上記通達にあてはまりますが、新型コロナに対応するための一般企業のマスク購入は上記通達にあてはまらないため棚卸しが必要と判断しそうになりますが、国税庁ホームページ質疑応答事例「非常用食料品の取扱い」と同様に、備蓄時に事業供用があったものとしてその時の損金の額として良いものと考えられます。

国税庁ホームページ質疑応答事例:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/20/05.htm

 

■マスクを取引先に無償提供した場合

関連子会社や下請け業者などの取引先に対してマスクを無償提供した場合、新型コロナ感染症に関する対応として、緊急、かつ、感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるものであり、①提供先がマスク不足により業務の遂行上著しい支障が生じるおそれがある、②提供先が業務を維持できない場合に自社の業務に直接又は間接的な影響が生じるといった条件を満たす場合、自社の事業遂行上必要な経費と考えられ、その提供に要する費用は寄附金には該当しません(「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」参照)。ただし、マスク提供先がマスクを転売していたといった事実がある場合には寄附金に該当することになります。

 

 

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税理士高山 弥生

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