インボイスって何?誰に影響があるの?
~猫でもわかるインボイス制度①
<3分で読める税金の話>

2022年12月1日

 

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■インボイス制度とは?

インボイスとは何でしょうか?「ボイス」から声を連想し、声関連のアプリやサービスかと思われる方がいらっしゃるようですが、インボイスは英語で「請求書」という意味です。そして今、日本で「インボイス」というと、令和5年10月から新しいルールの下で発行される請求書や領収書のことを指しています。

洋服を売っているお店を思い浮かべてください。コートを110,000円で売ったとします。10,000円は消費税です。このコートは88,000円で仕入れたものです。仕入先には8,000円消費税を払っています。とすると、お店は、すでに仕入先に支払った8,000円を差し引いて2,000円消費税を納めるというのが消費税のルールです。

 

 

■免税事業者と取引をすると課税事業者は業績が悪化する

インボイス制度がスタートしたら、インボイスを発行できるのはインボイス発行事業者として税務署に登録申請した課税事業者だけです。仕入先がインボイスを発行できない事業者(免税事業者)だと、仕入先に消費税として支払ったつもりの8,000円は消費税として払ったとは認められなくなり、コート購入者から消費税として受け取った10,000円をまるまる消費税として納税しなくてはならなくなります。

8,000円はどうなるでしょうか。8,000円は、原価となります。インボイスをもらえた場合、税抜き80,000円で仕入れたコートを100,000円で売ったわけですから利益は20,000円ですが、インボイスをもらえなかった場合、仕入れ値は88,000円となり、利益は12,000円となってしまいます。

消費税の納税額が増え、利益が減るとなると、お店は損した気分になるでしょう。消費税を払ったつもりが、そうではなかった。今回コートを仕入れた先とは取引をやめて、インボイスを貰える仕入先(インボイス登録事業者)を探そうか、となってしまうかもしれません。

 

 

■インボイス制度で影響を受けるのはどんな業種?

インボイス制度で影響を受けるのは、BtoBの業態の免税事業者です。自分の商品やサービスを買ってくれる相手が消費者でなく、会社のような事業者である免税事業者です。BtoBの免税事業者は先の例のコートの仕入先と同じ状況です。免税事業者のままだとインボイスを発行できないので、自分たちが取引してもらえなくなるのではないか、仕入先、外注先として使ってもらえなくなってしまうのではないか、と心配しているのです。

同じ業種であっても業態によって変わるため注意が必要です。例えば、直売所で青果を販売している農家の場合と、レストランと直接契約をしている農家の場合では、同じ農家であっても話が変わってきます。直売所に青果を買いにくる人は主に消費者でしょう。とすると、インボイスを必要としない人が大半です。一方、レストランは事業者です。おそらくインボイスを必要とするでしょうから、インボイス制度がスタートしたあと、インボイスが発行できないと取引してもらえないかもしれない、というわけです。

 

 

■サラリーマンへの影響は?

お給料に消費税はかからないので、副業などを行っていないサラリーマン、サラリーウーマンにとってインボイス制度は関係ないのかというと、そうでもありません。取引先への手土産を購入して経費精算するときに、経理部の方から「インボイスは?」と言われるかもしれません。また、新しく取引する相手先がインボイス発行事業者なのか確認するようにと会社から指示がある可能性もありますので、サラリーマンでもインボイスを知っておく必要はあるでしょう。

 

免税事業者と取引をすると課税事業者は業績が悪化すると説明しましたが、これに対しては激変緩和措置(経過措置)が設けられています。次回はこの経過措置と、どうしてインボイス制度が導入されるのかをご説明します。

 

 

 

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税理士高山 弥生

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