医療費控除。病院の駐車場代が対象ではないのはなぜ?
<3分で読める税金の話>

2020年9月28日

 

ZEIKEN PRESSコラムの更新情報を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

 

病院で支払った治療費や、医薬品の購入代金と同様に、通院のためのタクシー代や公共交通機関への支払いは医療費控除の対象となりますが、自家用車のガソリン代や病院の駐車場代は医療費控除の対象とはなりません。これはどうしてでしょうか?

 

■所得税法第73条第2項

前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。

条文から、医師などの「治療」や、治療のための「医薬品」と同じように、「医療(医師等による治療よりも範囲が大きい)」又は「これに関する人的役務の提供の対価」も医療費控除の対象となることを読み取ることができます。人的役務の提供、という言葉が出てきましたが、こちらはなんだか漠然としていて、何を指しているのかはよくわかりません。本法から委任を受けた政令にはどのように書かれているかを見てみましょう。

 

 

【PR/経理DX 対応サービス】


 

 

■所得税法施行令第207条

法第73条第2項(医療費の範囲)に規定する政令で定める対価は、次に掲げるものの対価のうち、その病状その他財務省令で定める状況に応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額とする。

一 医師又は歯科医師による診療又は治療

二 治療又は療養に必要な医薬品の購入

三 病院、診療所(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。)又は助産所へ収容されるための人的役務の提供

(以下略)

 

所得税法施行令第207条第3号の「収容されるための人的役務の提供」という部分から、交通費が医療費控除の対象となると読み取ることができます。しかしながら、「人的役務の提供」であって、「交通費」とは書かれていません。「収容されるための人的役務の提供」という内容に、公共交通機関への支払いや、通院のためのタクシー代(タクシー代であっても歩くのが面倒という理由では認められません。公共交通機関がない、または深夜で営業していない、体調が悪く自力で移動できない場合等なら認められます)は合致しますが、自家用車のガソリン代や病院の駐車場代は人的役務の提供ではないため合致しません。

支払った医療費が控除の対象となる、一見簡単そうな医療費控除ですが意外に奥が深いですね。タクシー代が医療費控除の対象となるなら駐車場代も対象となりそうですが、しっかり条文を読むと対象にならないことがわかります。手引きだけを見ているとわからない税法の面白さがありますね(実務ではここが面倒だったりしますが)。

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 


高山先生の若手スタッフシリーズ書籍のご紹介!

【新刊 2023年3月刊行】

「とりあえず 法人税申告書が作れるようになる本」

 

 

「インボイスの気になる点がサクッとわかる本」

 

 

「消費税&インボイスが ざっくりわかる本」

 

 

フリーランスの私、初めて確定申告してみた

 

 

「個人事業と法人 どっちがいいか考えてみた」

 

 

「税理士事務所スタッフは見た! ある資産家の相続」

 

 

「税理士事務所に入って3年以内に読む本」

※特設サイトはこちら!

 

 

「税理士事務所スタッフが社長と話せるようになる本」

 

各種オンライン書店(Amazon、楽天ブックス)でもお買い求めいただけます。
会員価格は適用されませんのでご注意ください

 

 


「税理士高山先生の若手スタッフお助けチャンネル」配信中

チャンネル登録お待ちしています!
tube.png

 

 

税理士高山 弥生

税理士人気ブログランキングの常連「3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ」を運営。「難解な税法をわかりやすく」をモットーに会計事務所スタッフや新米税理士だけでなく、顧問先にとっても有益な情報を日々お届けしています。著書「税理士事務所に入って3年以内に読む本」もAmazonランキング1位を獲得!

» Twitter https://twitter.com/takayama1976
» 3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ

講師画像

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ