所得金額調整控除。確定申告書の記載方法はどうなる?
<3分で読める税金の話>

2020年12月21日

 

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■所得金額調整控除は2種類

働き方の多様化に伴い「働き方改革」を後押しする観点から、平成30年度の税制改正では所得税の見直しがなされました。この流れの中で、一定の者に対する税負担増を調整する観点から次の2つの所得金額調整控除が措置され、令和2年分以後の所得税から適用されることになりました。ひとつは今回の年末調整で初めて登場した「①子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」であり、もうひとつは令和2年分確定申告で登場する「②給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」です。

 

①子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

給与収入が850万円を超える場合の給与所得控除額が195万円(給与所得控除から基礎控除へ振り替えられた10万円引下げ分を含む。)に引き下げられましたが、23歳未満の扶養親族や特別障害者控除の対象である扶養親族等を有する者の負担増が生じないようにするため、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には1,000万円)から850万円を控除した金額の10%相当額を給与所得の金額から控除する所得金額調整控除が創設されました。

 

②給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除

給与所得控除額及び公的年金等控除額が10万円引き下げられるとともに、基礎控除の額が10万円引き上げられましたが、給与所得・年金所得の両方を有する者の負担増が生じないようにするため、給与所得控除後の給与等の金額(10万円を限度)及び公的年金等に係る雑所得の金額(10万円を限度)の合計額から10万円を控除した残額を、給与所得の金額から控除する所得金額調整控除が創設されました。

 

 

■令和2年分の確定申告書第1表の給与の欄に「区分」が創設

令和2年分の確定申告書第1表の給与の欄には、令和元年にはなかった「区分」の欄があります。こちらは「①子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」に該当する場合「1」を、「②給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」に該当する場合「2」を、両方に該当する場合は「3」を記入します。

 

 

■「所得から差し引かれる金額」の部分に表示されないワケ

「所得控除」と聞くと、確定申告書第1表の左下(「所得から差し引かれる金額」)にある、社会保険料控除や扶養控除といった所得控除を思い浮かべる方が多いと思われますが、「所得金額調整控除」はこちらに出てきていません。

所得税の計算においては給与所得控除や退職所得控除など、所得金額計算上の控除も存在します。所得金額調整控除は「23歳未満の扶養親族等がいること」といった所得金額計算とは全く関係のない要素が要件とされてはいますが、給与所得や年金所得がある場合に控除されるものであるため、他の所得から控除できる所得控除とするのは制度の趣旨と異なってしまうことから、損益通算をする前の給与所得の金額から控除されることとなりました。

出典 https://www.city.kuki.lg.jp/faq/kurashi/tax/kojin/kihon/kihon08.html

 

 

申告書第1表の所得金額⑥欄には、給与所得控除と所得金額調整控除が控除された後の金額を記載することになります。

 

 

■おわりに

令和2年は持続化給付金をはじめとする給付金・助成金・融資など初めてのことが多く大変な1年となりました。初めてのことは重たく感じますが、慣れてしまうまでの辛抱です。次回は第2表がどのように変わるかをご説明したいと思います。確定申告前に触れて少しでも慣れておきましょう!

 

 

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税理士高山 弥生

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