インボイス制度導入。免税事業者がいなくなるってホント?
<3分で読める税金の話>
2021年6月4日
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令和5年 10 月1日から「インボイス制度」が導入されます。取引の継続をすべきか、課税事業者選択をしなくてはいけないのか、といった相談が課税事業者からも免税事業者からも寄せられるようになりました。インボイス制度が導入されるとどのような影響があるのでしょうか?
インボイス制度においては、仕入税額控除の要件として、課税事業者である適格請求書発行事業者から交付を受けた適格請求書の保存が必要になります。免税事業者は適格請求書発行事業者になれません。
現行制度では、免税事業者が例えば400万円請求するにあたって消費税を10%上乗せし440万円請求した場合、購入した側の課税事業者は40万円を仕入控除税額に含めることができますが、インボイス制度が始まると含めることができなくなります(一定の経過措置あり)。
【インボイス制度で課税事業者が仕入を行った場合】
課税事業者が1「適格請求書発行事業者から仕入れた場合」と2「免税事業者から仕入れた場合」を比較すると、2の方が利益が減少し消費税の納税額が増えています。合理的な経済活動としては、課税事業者は適格請求書発行事業者から仕入れることになります。
それでは免税事業者としては困りますので、値引きしてくること(3「免税事業者が値引きをした場合」)が考えられます。この場合、1と3では3の方が消費税納税額は40万円多いものの、仕入時に40万円値引きされておりキャッシュアウトの額は同じとなります。
免税事業者が消費税を上乗せしないのであれば取引を続けても問題なさそうですが、価格が免税事業者と取引するにあたり適正価格なのかを都度検討することが現実的に困難である場合、免税事業者との取引を打ち切るとする選択もあるでしょう。
一方、免税事業者はどうでしょうか。インボイス制度導入後、免税事業者は取引から排除されないように消費税を上乗せ請求せず免税事業者のままでいるか、課税事業者を選択し、適格請求書発行事業者となる方法が考えられますが、インボイス制度においては課税事業者を選択した方が有利となります。また、免税事業者の場合、インボイス制度が始まると現状よりも業績、キャッシュ共に悪化するため注意が必要です。
BtoCの業態である免税事業者は特段無理して課税事業者を選択する必要はありませんし、BtoBの業態であっても取引先の意向を確認した方が良いと思われますが、おそらく、多くの免税事業者は課税事業者を選択すると思われます。
免税事業者は、令和5年3月31日までに登録申請書を税務署に提出することで、令和5年10月1日から適格請求書発行事業者となることができます。この場合、令和5年10月1日が期の途中であっても消費税の納税義務は令和5年10月1日から発生します。
登録申請書は令和3年10月1日から提出することが可能となります。これをきっかけに、インボイス制度への対応を検討されてはいかがでしょうか。
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