【令和4年度税制改正】
住宅ローン控除はこうなる 省エネ物件に注目!
<3分で読める税金の話>

2021年12月14日

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

住宅ローン控除が令和7年12月31日まで4年延長されました。

住宅ローンの変動金利は1%を下回ることも珍しくなく、支払う住宅ローンの金利よりも、住宅ローン控除による税額控除の方が大きくなって借りるほど儲かるという現象が生じてしまっており、この状態を解消するため控除率が0.7%に引き下げられます。

現行では、控除対象となるローン残高の上限について、認定住宅等かそうではないかという括りで差別化されていますが、改正後は住宅の耐震性や省エネ性能に応じて細分化され、長期優良住宅・低炭素住宅以外であっても恩恵が受けられることになります。

 

■新築住宅等の場合

①認定住宅等以外の場合

既存住宅(中古住宅)の取得又は住宅の増改築等における借入限度額は一律2,000万円、控除期間10年

 

令和3年入居の場合、借入限度額は4,000万円、控除率は1%、控除期間は10年であり、10年間の控除合計は400万円ですが、令和4年・5年入居の場合、13年間の控除合計は273万円となります。

既存住宅は、現行においては家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年(マンションなどの耐火建築物の建物の場合には25年)以下という要件がありますが、築年数要件は撤廃され、新耐震基準に適合している住宅であることが要件となります。登記簿上の建築日付が昭和57年1月1日以降の家屋は、新耐震基準に適合している住宅とみなされるとされましたので、築39年であれば適用可能ということになります。

 

②認定住宅等の場合

認定住宅等で建築後使用されたことのあるものの取得である場合における借入限度額は一律3,000万円、控除期間10年

 

 

■認定住宅とは?

認定住宅とは、「認定長期優良住宅」及び「認定低炭素住宅」のことを指します。

長期優良住宅は長期にわたって住み続けることを目指す住宅のことで、省エネという観点だけでなく耐震性やバリアフリー性、などの多くの項目で基準を満たす必要があります。

低炭素住宅は二酸化炭素の排出を一定以下に抑えた、省エネを目指した住宅のことです。

認定住宅は令和3年入居の場合、借入限度額は5,000万円、控除率は1%、控除期間は10年であり、10年間の控除合計は500万円ですが、今回の改正で令和4年・5年入居の場合、13年間の控除合計は455万円となります。

 

 

■ZEH水準省エネ住宅とは?

ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、高断熱外皮(壁紙・窓等)で、LEDなど省エネ設備を使用し消費エネルギーを減少させ、太陽光発電によりエネルギーを創ることで、エネルギーの収支をゼロにしようとするものになります。

 

(出典:資源エネルギー庁ホームページ)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html

 

政府は2050年までにカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させる)を目指しており、そのための取組みとして2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指すとしています。

ZEHは、現行では認定住宅に該当しておらず、令和3年入居の場合、借入限度額は4,000万円、控除率は1%、控除期間は10年であり、10年間の控除合計は400万円ですが、令和4年・5年入居の場合、ZEHとしての枠となり13年間の控除合計は409.5万円となります。

 

 

■省エネ基準適合住宅とは

「省エネ基準適合住宅」は、ZEHの創エネルギーがないものと考えてください。省エネ基準適合住宅は、現行では認定住宅に該当しておらず、令和3年入居の場合、10年間の控除合計は400万円ですが、令和4年・5年入居の場合、省エネ基準適合住宅としての枠となり13年間の控除合計は364万円となります。

 

 

■一概に増税とはいえない面も

住宅ローン控除は控除率が高いほど、借入額の大きい物件を建てる納税額の大きい富裕層に有利となる制度ですが、今回の改正は控除率が下がり控除期間が伸びることで、控除額が切り捨てとなってしまう中間層にとって恩恵となりそうです。

また、長期優良住宅は戸建てでは注文住宅で見かけますが、建築コストがかさむ、耐震性のハードルが高いなどの理由からマンション数はかなり少ないのが現状です。マンション購入の場合、認定住宅等の枠での住宅ローン控除を受けられず本則での控除となることから不利だという声がありますが、2018年から補助金が出るようになったことからZEHマンション数が最近増加傾向にありますので、今回の改正はマンション購入を考えている方にとって朗報かもしれません。

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 


高山先生の若手スタッフシリーズ書籍のご紹介!

【新刊 2023年3月刊行】

「とりあえず 法人税申告書が作れるようになる本」

 

 

「インボイスの気になる点がサクッとわかる本」

 

 

「消費税&インボイスが ざっくりわかる本」

 

 

フリーランスの私、初めて確定申告してみた

 

 

「個人事業と法人 どっちがいいか考えてみた」

 

 

「税理士事務所スタッフは見た! ある資産家の相続」

 

 

「税理士事務所に入って3年以内に読む本」

※特設サイトはこちら!

 

 

「税理士事務所スタッフが社長と話せるようになる本」

 

各種オンライン書店(Amazon、楽天ブックス)でもお買い求めいただけます。
会員価格は適用されませんのでご注意ください

 

 


「税理士高山先生の若手スタッフお助けチャンネル」配信中

チャンネル登録お待ちしています!
tube.png

 

 

税理士高山 弥生

税理士人気ブログランキングの常連「3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ」を運営。「難解な税法をわかりやすく」をモットーに会計事務所スタッフや新米税理士だけでなく、顧問先にとっても有益な情報を日々お届けしています。著書「税理士事務所に入って3年以内に読む本」もAmazonランキング1位を獲得!

» Twitter https://twitter.com/takayama1976
» 3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ

講師画像

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ