第6回 予算と予測は何が違う? 中小企業でも使っている「予測」とは?
~税金資金の確保や、従業員への決算賞与の支払いのアクションにも使っている!?~

2021年7月8日

 

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定期的に「予測」する必要はありません。必要なときにだけ使うものです。

予測について、予算との違いも含めて説明をしていきます。そして、中小企業の実務においては、定期的に予測をするのではなく、必要と思ったときに使うことができるので十分です。まず、どういうものを予測と呼ぶのか、予算とは何が違うのかということを知っておいて頂ければ良いと思います。

改めてですが、予測という言葉を聞かれたことはあるでしょうか。それは何を目的とするものでしょうか。予測をつくっている担当者でも、実際に十分に答えられる方はそう多くありません。なぜなら、実務の中では予測は漠然としていて、位置づけが難しいものだからです。そう言うと、敷居が高そうに感じられるかもしません。そんなことはなくて、押さえておいて頂きたいのは、その位置づけと、自分の会社でいざという時や必要な時に作ればよいものという2点だけです。この点をまず頭に置きつつ、よくある質問に答える形で予測をみていきましょう。

 

 

予算は「目標(こうなりたい)」。予測は「見込み(こうなるだろう)」。

予測とは、一言でいえば「こうなるだろう」という見込みのことです。予算は「こうなりたい」という目標としての位置づけでした。当然ですが、「こうなりたい」と「こうなるだろう」は一致するとは限りません。その2つが一致するのか、近いところまで来ているのか、とても離れているのかを把握することが、目標(「こうなりたい」)を達成するための重要なステップだといえます。とすれば、その第一歩は、見込み(「こうなるだろう」)を明らかにすることから始まります。つまり、予測を作成することが必要となるのです。

イメージとして、現在の体重が60キロです。50キロになりたいと、予算的な位置付けで目標を立てたとします。皆さん、どうやったらこの50キロを達成できるかといったら、やはり10キロも減だから、例えば運動、ジムに通うことで5キロ、あと食事制限で3キロ、それ以外に何かダイエットサプリを飲んで2キロみたいな、具体的な計画を立てることも大事です。

また、1カ月ごとに体重計に乗ってみて進捗管理するのも大事ですよね。1カ月後の時点で、すでに1キロ減りましたと。じゃあ、このペースで行ってどうなんだろう。自分が目指していた年末までに50キロまで痩せられるだろうかというのを、はたと振り返ってみるような取り組みが予測だと思っていただければいいと思います。なぜ振り返ったほうがいいのかと言ったら、なんとか50キロという目標を達成するそのためにですよね。

 

 

この身近な例も、見込みを明らかにし、目標と見込みのズレを把握し、行動を変えるという流れです。この流れをたどることで、目標への達成を目指すのです。

予算管理についていえば、目標は予算ということになります。多くの会社では、予算は何としても達成したい性質のものです。とすると、途中で作成した予測をもとに、進捗を管理しながら、必要に応じて行動計画を変更する必要があります。

より具体的に、予算管理の観点で予測とは何かを整理しましょう。「3か月ごとの時点で手に入れられる最新情報をもとにすると、年度末の業績はこのような売上や利益になる」というのが3か月ごとの予測です。年度初めに立てた目標=予算に対して、現時点の見込みがどうなっているのかを明らかにするのが3か月ごとの予測です。これを作成することではじめて、年度予算と3か月ごとの予測の間には、どれくらい差があるのかを計算することができます。それにより、予算を達成できるように行動を修正していきます。

 

 

決算期から「9か月くらいの実績」で年度の予測をするのをおすすめします。

それでは、ウチの会社は予算も作れていないから、予測は作っても意味がないですかねと、考えられるかもしれません。そんなことはなくて、予算がなくても、予測は作った方が良い場合はあるのです。実際、中小企業の現場では、月次決算ができるようになったあとに、予算よりも先に予測にトライしている会社も結構あります。

どういう場面で使うかというと、決算の着地見込みをつかむためです。決算が近づいてくると、業績が良さそうだけど、いったいいくらの税金を払わないといけないだろうかと考え始めます。また、決算賞与をだして従業員の頑張りに報いてあげたいけど、ある程度の営業利益は確保しながら、つまり営業黒字の範囲内でどれくらい賞与を払えるだろうかといったことも考えるかもしれません。

このような場合に、そこまでの月次決算の数字に、残りの決算期末までの見込みをつなげて、年間の売上、費用、利益を予測するのです。

具体的には、決算期から9か月くらいまでの実績がでたときに年度の予測をするのをおすすめします。3月決算であれば、12月の月次が締まった1月中旬頃に予測するわけです。この時期になれば、残り3か月の売上の見込みもみえてきます。そして、変動費率も9か月の実績から見込むことができ、固定費も見えてきているはずです。そうすると、年度の売上、費用、利益がかなり正確につかめるはずです。

それをもとに、税金にあてる資金の確保や、従業員さんへの決算賞与の支払いなんかのアクションにつなげていきます。期の途中とちがって、年度末が近づいてくるとやたらと経営者が月次決算の数値を良く見るようになるのも、このためです。

このように、月次決算の精度をあげて現状を把握出来ていることが、予測における9か月の実績の把握にも、残り3か月の見込みにも大事になります。

▷ パートⅠ 第1回 まずは現状の把握から、月次決算を現金主義から発生主義へ

 

 

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公認会計士・税理士林健太郎

税理士法人ベルダ代表社員
監査法人トーマツ(当時)、辻・本郷税理士法人を経て、2011年に地元で独立開業し、広く四国・関西エリアで活躍中。管理会計を活用したアドバイスを中小企業の経営者に提供するとともに、大学院でも管理会計を教えている。「中小企業での会計の活用」を目指す。趣味は地元サッカーチーム、徳島ヴォルティスの応援。徳島県鳴門市出身。

» 事務所HP:http://www.kh-kaikei.com/

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公認会計士梅澤真由美

管理会計ラボ㈱代表取締役
通称「管理会計のマドンナ」。監査法人トーマツ(当時)を経て、日本マクドナルド㈱とウォルト・ディズニー・ジャパン㈱にて、経理業務などに10年間従事。「経理のためのエクセル基本作法と活用戦略がわかる本」(税務研究会)など著書多数。「つくる会計から、つかう会計へ」がモットー。趣味は、オンラインヨガと「あつまれどうぶつの森」。静岡県沼津市出身。

» 会社HP:http://www.accountinglabo.com/

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