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オンライン座談会 グループ通算制度への移行に伴う懸念点,課題,対応策

 グループ通算制度の適用が来年4月1日以後開始事業年度からスタートする。事務負担が過重という連結納税制度の問題点を踏まえ,グループ内の各法人が個別に税額計算と申告・納付を行いつつ,損益通算等の調整を行う簡素な仕組みに生まれ変わったグループ通算制度。一方で,税額計算の仕組みがプロラタ計算となったことで,損益通算の影響がグループの全法人に影響することになり,決算時と申告時の法人税額に乖離が生じるといった新たな論点も生じている。また,個別申告になったことにより,子法人の税務調査に親法人が立ち会えるのか,立ち会えたとして主張はできるのかといった懸念の声等もあがっているところだ。加えて,大幅に改正された離脱時の投資簿価修正については,会社を『買った値段と同じ値段で売っても課税されてしまう』という新たな税務リスクも生じている。
 「事務負担は本当に軽減されるのか」,「通算税効果額の授受はどうすればよいのか」,「繰延税金資産の回収可能性に影響はあるのか」,「子法人の申告・納付はどうするのか」など,実務担当者の悩みは尽きないが,本座談会では,連結納税の第一人者である足立好幸氏を司会に,日本を代表する企業の実務担当者の方々にお集まりいただき,それぞれが抱える懸念点や課題,対応策などを語っていただいた。また,システムベンダーを代表して業界最大手であるTKCの伊藤義久氏にもご参加いただき,参加企業の悩みを踏まえたシステムによる課題解決や業務の効率化などについてお話いただいている(開催:9月17日)。

オンライン座談会
[司会]


公認会計士・税理士 足立 好幸 氏(税理士法人トラスト)

[パネラー]


髙島 宏至 氏(コマツ 本社 経理部 税務グループ 主幹)

宮田  覚 氏(TDK株式会社 経理・財務本部 税務部 担当係長)

佐竹さつき 氏(日本製紙株式会社 管理本部 経理部 調査役)

田中 和文 氏(丸紅株式会社 経理部 部長代理(兼)税務課長)
※以上、社名五十音順

伊藤 義久 氏(株式会社TKC 常務執行役員 システム開発研究所 税務情報システム設計センター センター長)

1.イントロダクション

【足立】司会をつとめさせていただきます税理士法人トラストの足立です。本日はどうぞよろしくお願い致します。

【髙島】コマツの髙島です。グループ通算制度は,基本的に単体納税制度に切り替わったということだと思いますが,計算式や考え方が変わるところがあちらこちらにあって,最終的に我々がどのように対応できるかどうか,心配している状況です。今日は,色々とご経験のある方がいらっしゃっていますので,我々の心配事を皆さんに聞いていただければと思います。よろしくお願いします。

【宮田】TDKの宮田です。グループ通算制度の大枠は,基本的に連結納税制度と変わらないという印象を持っています。ウリである事務手続の簡素化については,修更正の遮断措置が入りましたので,税務調査等の場面では,それなりに事務手続は減るかなと思います。一方で,研究開発税制や外国税額控除についてはグループ調整計算が維持されますし,外国税額控除の修更正も進行期での調整が必要となりますから,当初言われていたほど事務手続は簡素化されないかなというのが感想です。

他方,加入時の時価評価と繰越欠損金の取扱いについては,事務負担の軽減や制限の緩和になると思いますので,今後のグループ再編を検討する上で,ありがたいと思っています。

【佐竹】日本製紙の佐竹です。グループ通算制度になるということで,当初は仕組みが大きく変わることを危惧していたのですが,詳細をみてみると,単体申告とはいっても親法人でグループ調整計算をしたり,子法人の申告等を一元化できる規定が設けられたりしていますから,実務的にはそこまで変わるところはないと思っています。ただ,細かいところのロジックの変更もありますので,そこは押さえていく必要があると考えています。

【田中】丸紅の田中です。最も懸念していたのは損益通算や移行時を含む繰越欠損金控除の仕組みが変わることでしたが,基本的な仕組みや考え方は変わっていません。また,外国税額控除についても,グループ調整計算が維持されましたのでほっとしています。

グループ調整計算と修更正の遮断措置についてはシステムに期待しております。

加えて,単体申告になりますので,今後,子法人の調査がどうなるかということについても非常に関心をもっています。

一方で,離脱の投資簿価修正の仕組みが変わったことは非常に懸念をしています。

【足立】皆さんありがとうございます。いま,お話いただいた論点については,後ほど詳しく議論していきたいと思います。

それから,今回はシステムベンダーとしてのお立場から,TKCの伊藤様にもご参加いただいております。グループ通算制度の実務対応では,連結納税制度と同様,多くの場面でシステムの活用やシステムによる効率化の話が出てくると思いますのでよろしくお願い致します。

【伊藤】TKCで税務申告関連のシステム設計の責任者をしております伊藤です。皆様にお使いいただいております連結納税申告用のeConsoliTaxや単体納税申告用のASP1000R,決算時の税金・税効果計算用のeTaxEffectといった製品を含むシステム全般の設計の責任者をしております。

いま,お話を伺っていまして,色々と当社の製品に期待されたり不安に思われたりというところがあるということを改めて感じました。

我々も,グループ通算制度の話が出てきた当初は,単体納税に変わり,製品の意義も薄れてくるのではないかと感じたこともありました。しかし,実際に法案が出てきて詳細に中身を分析しましたら,ちょうどお話に挙がった修更正の遮断措置や,外国税額控除,試験研究費のグループ調整計算のように,単体納税とは異なる特徴的な計算規定も読み取れます。そういった部分への対応がキーになってくると思います。

現在当社のシステムは,日本の売上高トップ100社のうち9割の企業にご利用いただいております。システムとしてできる最大限のサポートをしていきますので,本日は色々とご意見をお聞かせください。よろしくお願いします。


お問合せ

株式会社TKC グループ通算制度プロジェクト推進室
E-mail:eConsoli@tkc.co.jp

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