地代を変動させているものの借地権の取扱い

2022年11月14日

 

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地代を変動させているものの借地権の取扱い

[質問]

昭和60年に個人(医師)の土地の上に法人(その医師が代表者)の病院を新築し相当の地代を支払うべく届出をし、実行してきました。

諸般の事情から平成10年より当初地代より減額しました。下記のとおりです。

今後、相続が発生した場合の借地権の処理方法についてご教示ください。

 

地代の変遷

(1985年)

昭和60年1月1日~ 年10,476,000(月額:873,000)相当の地代(届出済)

(1995年)

平成8年1月1日~ 年15,636,000(月額:1,303,000)

(1998年)

平成10年4月1日~ 年7,200,000(月額:600,000)

(2002年)

平成14年1月1日~ 年2,520,000(月額:210,000)

 

(注)

(2022年)    固定資産税

令和3年1月~    年 993,590(月額82,800)

 

[回答]

1 「土地の無償返還に関する届出書」(法基通13-1-7)や「相当の地代の改訂方法に関する届出書」(法基通13-1-8)が提出されているなど、特殊な貸借契約に係る土地について相続があった場合の借地権及び貸宅地の評価については、「相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて」通達(昭和60年6月5日付直資2-58、以下「相当地代通達」といいます。)により取り扱うこととされています。

照会文には、「昭和60年に個人(医師)の土地の上に法人(その医師が代表者)が病院を建築し、相当の地代を支払うべく届出をし、実行してきた」とあり、地代の変遷が記載されていますが、これを見ると、相当の地代でスタートしたものの、平成14年1月に一挙に3分の1に減額されており、現在の地代は、固定資産税の約2.5倍相当額となっています。

そうすると、現在の地代の額は、通常の賃貸借に基づいて通常授受されている地代の額と同程度ということになると思われますから、その医師に相続が開始した場合には、原則的には、相当地代通達の適用はなく、その土地は、財産評価基本通達25《貸宅地の評価》の定めにより評価することになるものと考えます。

 

2 なお、相当の地代を授受していた場合において、地代を引き下げたときは、その引き下げたことについて相当の理由があると認められる場合を除き、権利金の認定課税が行われることとされています(法基通13-1-14)。

ご質問の場合には、この認定課税の有無は分かりませんが(平成14年度のことですから今となっては時効ということかもしれませんが)、その地代の引下げが、専ら個人(医師)の相続税対策として行われたというような場合には、相続税法第64条《同族会社等の行為又は計算の否認等》の規定により、その地代の引下げはなかったものとして(今なお相当の地代を授受しているものとして)、相当地代通達6《相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価》により土地の価額を算定するということもないわけではないと思われます。

 

(税理士懇話会・資産税研究会事例より)

 

 

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