【令和4年度税制改正】
少額減価償却資産の即時償却から貸付け用が除外されるのはどうして?
<3分で読める税金の話>

2021年12月13日

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 

■大綱発表

令和4年度税制改正大綱が12月10日金曜日に発表となりました。その中から気になったもののひとつが大綱の6円滑・適正な納税のための環境整備(国税)59頁です。現行では、少額の減価償却資産の取得価額は、10万円未満であればどんな資産であれ、取得価額をまるまる損金に算入(即時償却)が可能ですが、大綱ではこのような記載がなされていました。

 

(4)少額の減価償却資産の取得価額の損金算入制度について、対象資産から、取得価額が10万円未満の減価償却資産のうち貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する

 

なぜ、貸付けの用に供するものを除外するのでしょうか?これは、ここ数年流行している「ドローン節税」の封じ込めのためです。

 

 

■ドローン節税とは?

ドローンは、1機10万円未満で購入可能です。利益が予想を上回って出てしまいそうな期にドローンをまとまった数購入し損金に計上、ドローン操縦資格を取得するためのスクールやレース用として貸し出し、レンタル料収入を得ます。購入を決めてから1か月程度で稼働可能であり、決算対策に利用しやすいという特徴があります。もちろん、レンタル料収入が入ってきますので、節税というよりも課税の繰延べと言った方がしっくりくるのですが、生命保険スキームが使えなくなったあとの代替として瞬く間に流行しました。

 

 

■似たようなスキームが他にも

同様の課税の繰延べスキームとしては、「足場レンタル」もあります。工事現場の足場材料を購入して建築会社にレンタルするものですが、こちらもドローン同様に貸付けに該当しますので、今回の税制改正で封じられることになります。

 

 

■リース会社には影響ない

大綱では、「貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外する」と表現されています(下線部筆者)。これは、リース会社など節税目的ではなくリース事業、レンタル事業を行っている場合は従来通り、取得価額を損金算入可能とするためです。

 

 

■おわりに

大綱では、少額減価償却資産とともに一括償却資産についても貸付け(主要な事業として行われるものを除く。)の用に供したものを除外するとしています。生命保険に続き、ドローン節税も封じられることになりましたが、決算対策としての節税スキーム(課税の繰延べスキーム)の需要はなくならないでしょう。今後はどのような節税スキームが生み出されるのでしょうか。

 

 

このコラムの次回更新を知りたかったら…@zeiken_infoをフォロー

 


新刊 好評発売中!
「個人事業と法人 どっちがいいか考えてみた」

各種オンライン書店(Amazon、楽天ブックス)でもお買い求めいただけます。
会員価格は適用されませんのでご注意ください

 


「税理士事務所スタッフは見た! ある資産家の相続」

「税理士事務所に入って3年以内に読む本」

※特設サイトはこちら!

「税理士事務所スタッフが社長と話せるようになる本」

 


「税理士高山先生の若手スタッフお助けチャンネル」配信中

チャンネル登録お待ちしています!
tube.png

 

 

税理士高山 弥生

税理士人気ブログランキングの常連「3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ」を運営。「難解な税法をわかりやすく」をモットーに会計事務所スタッフや新米税理士だけでなく、顧問先にとっても有益な情報を日々お届けしています。著書「税理士事務所に入って3年以内に読む本」もAmazonランキング1位を獲得!

» Twitter https://twitter.com/takayama1976
» 3分でわかる!会計事務所スタッフ必読ブログ

講師画像

新着プレスリリース

プレスリリース一覧へ

注目タグ