年末調整を間違えた! 不納付加算税はどうなるの?
<3分で読める税金の話>
2021年12月27日
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12月の会社の人事部や総務部、税理士事務所は年末調整で大変な時期です。細心の注意を払って処理していても、残念ながら間違えてしまうことはあります。源泉納付額が実は不足していた場合、不納付加算税はどうなるのでしょうか?
■納税の告知を受けずに期限後1月以内に納付した場合
源泉徴収による国税がその法定納期限までに完納されなかった場合、不納付加算税10%が徴収されるのが原則です。しかしながら、納税の告知(税務署から納付してくださいと連絡を受けることと考えてください)を受けることなく、法定納期限前に納付する意思があったと認められる一定の場合で、かつ、当該国税が法定納期限から1月を経過する日までに納付されたものである場合、不納付加算税は徴収されません。
「法定納期限までに納付する意思があったと認められる一定の場合」とは、法定納期限の属する月の前月の末日から過去1年間では、法定納期限が到来する源泉徴収に係る国税ではきちんと期限内に納付していた場合をいいます(国税通則法第67条第3項)。
■期限後1月を過ぎてしまった場合
では、法定納期限から1月が過ぎてしまった場合はどうなるのでしょうか。納税の告知がされることを予知しないで法定納期限後に納付した場合は5%の不納付加算税が徴収されます。告知を受けた後の場合は10%となりますが、国税通則法第67条第1項但書きに『正当な理由』があると認められる場合はその限りではないと書かれています。
■正当な理由とは何が該当するのでしょうか?
「源泉所得税及び復興特別所得税の不納付加算税の取扱いについて(事務運営指針)」の「第1 不納付加算税の取扱い」には源泉所得税及び復興特別所得税を法定納期限までに納付しなかったことについて正当な理由があると認められる場合として、以下のように書かれています。
(2) 給与所得者の扶養控除等申告書、給与所得者の配偶者控除等申告書又は給与所得者の保険料控除申告書等に基づいてした控除が過大であった等の場合において、これらの申告書に基づき控除したことにつき源泉徴収義務者の責めに帰すべき事由があると認められないとき。
■不足税額の精算を忘れずに
つまり、給与所得者が提出したまるふなどの申告書等の記載が間違えていた場合、源泉徴収義務者(会社)が悪いわけではありませんので、不納付加算税は徴収されないことになります。さらに、加算税は国税通則法第119条第4項で5千円未満は切捨てとありますので、徴収されないことも多いかもしれません。とはいえ、間違えた不足税額は精算しなくてはなりませんから、年末調整で間違えた場合、翌年1月中でしたら会社で再年調、2月以降は従業員側で確定申告をすることになります。
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