書面保存でも青色や経費性は直ちに否定はされない【電子取引】
<3分で読める税金の話>

2021年11月18日

 

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旧電帳法第10条ただし書きにて書面保存でもOKとされていたものが、新電帳法第7条ではただし書きが消え、令和4年1月1日より電子取引をした場合、電磁的記録(電子データ)の形での保存が義務となりました。

 

国税庁が令和3年7月に公表した電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】の問42においては、全て書面等に出力して保存しているが、これでは保存義務を果たしていることにならないため青色申告の承認が取り消されてしまうのかという問いに対して、災害等による事情がなく、その電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得ると答えたものの、なお書きとして、青色申告の承認の取消しについては、違反の程度等を総合勘案の上、真に青色申告書を提出するにふさわしくないと認められるかどうか等を検討した上、その適用を判断していること、また、その電磁的記録を要件に従って保存していない場合やその電磁的記録を出力した書面等を保存している場合については、その電磁的記録や書面等は、国税関係書類以外の書類とみなされないが、その申告内容の適正性については、税務調査において、納税者からの追加的な説明や資料提出、取引先の情報等を総合勘案して確認することとなる旨が記載されていました。

ここの「電磁的記録が保存要件に従って保存されていない場合は、青色申告の承認の取消対象となり得る」の文言が事業者や税理士にとってはあまりに衝撃的だったため、短い準備期間の中でどうすればいいのか、戸惑う声が散見されました。国税庁への問い合わせも多かったようです。国税庁から「お問合せの多いご質問(令和3年 11 月)」として補足説明が公表されました。

 

 

補4 一問一答【電子取引関係】問 42

【補足説明】
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存義務に関する今般の改正を契機として、電子データの一部を保存せずに書面を保存していた場合には、その事実をもって青色申告の承認が取り消され、税務調査においても経費として認められないことになるのではないかとの問合せがあります。

これらの取扱いについては、従来と同様に、例えば、その取引が正しく記帳されて申告にも反映されており、保存すべき取引情報の内容が書面を含む電子データ以外から確認できるような場合には、それ以外の特段の事由が無いにも関わらず、直ちに青色申告の承認が取り消されたり、金銭の支出がなかったものと判断されたりするものではありません。
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021010-200.pdf

 

 

この補足説明によって、絶対に電子データで保存をしないと経費性が認められないわけではなく、ただちに青色申告の承認取消にはならないことが明らかになりましたが、あくまで改正電帳法は、電子取引は電子データでの保存を要求しています。今後、段階を踏んでさらなる規定が整備されることも予想され、法律通りにやった者がバカを見るという結果にはならないでしょうから、やらなくていいという結論にはならないでしょう。

文書管理システムの導入には、システムの選定や、社内での運用の仕方を考える必要があり、ただシステムを購入すればいいというものではないため時間がかかります。今回の国税庁の公表によって電子データ保存の歩みを止めてしまうのではなく、自社に合った形でのシステム導入の時間をもらったととらえて、令和5年10月に控えるインボイス制度に備える意味でも、電子化の流れに乗り遅れないようにしていきたいものです。(システムを導入せずに電子データで保存する方法もありますので、こちらのコラムをご参照くださいhttps://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/column/0001zp20210924/

 

 

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税理士高山 弥生

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