更新日:2022年9月2日
担保のための仮登記の優先
(仮登記担保契約)
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(担保のための仮登記)
2 (注) 仮登記担保契約の目的となる権利としては、土地又は建物の所有権のほか、不動産登記法第3条《登記することができる権利等》に掲げる地上権、永小作権、地役権、賃借権及び採石権(同法第105条)、立木法上の立木の所有権(同法第2条)、船舶の所有権及び賃借権(
(担保のための仮登記がされているとき)
3 (注) 債務不履行を停止条件とする代物弁済契約に基づく権利移転請求権保全の仮登記、代物弁済の予約に基づく権利移転請求権保全の仮登記、債務不履行を停止条件とする賃借権、地上権等の設定請求権保全の仮登記等実質的な意味で金銭債権担保の機能を果たしている仮登記は、担保のための仮登記に当たるものとする。
(法定納期限等以前にされている担保のための仮登記)
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債権額の範囲
(換価代金)
5
(担保のための仮登記によって担保される債権額)
6 担保のための仮登記によって担保される債権額の範囲については、次のことに留意する。
担保のための仮登記がある財産の差押え
(清算期間の経過前にされた本登記の効力)
7 清算期間の経過前に、仮登記担保権者のために担保のための仮登記に基づく本登記がされていても、その所有権等の移転の効力は生じない(仮登記担保法第2条第1項参照)から、この場合には、債務者等である滞納者に代位しその本登記を抹消の上、担保のための仮登記がされている財産を差し押さえることができる。 (注) 清算期間とは、仮登記担保権者が仮登記担保権の実行によって財産を取得しようとする場合に行う清算金(仮登記担保法第3条第1項に規定する清算金をいう。)に係る見積額の通知書が、その契約の相手方である債務者等に到達した日から2月の期間をいう(同法第2条第1項参照)。
(清算期間の経過前にされた清算金の支払と財産の差押え)
8 清算期間を経過しなければ、担保のための仮登記がされた財産の権利移転の効力は生じない(仮登記担保法第2条第1項、第20条)から、清算期間の経過前においては、清算金の支払がされても、その財産の差押えができる。
清算金の支払請求権に対して物上代位権の行使があった場合の優先
(清算金)
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(物上代位)
10 担保のための仮登記がされている場合において、その仮登記後に登記がされた先取特権、質権又は抵当権を有する者は、仮登記担保法第4条第1項《物上代位》の規定に基づき、債務者等の清算金の支払請求権を差し押さえることにより、先取特権等の効力をその順位に従って清算金の支払請求権に及ぼすことができる。
なお、担保のための仮登記後にされた担保のための仮登記の権利者の物上代位についても同様である(仮登記担保法第4条第2項、第3項)。
(物上代位権の行使があった場合の債権額の範囲)
11 物上代位権の行使に係る担保権によって担保される債権が弁済を受けることのできる金額の範囲は、担保のための仮登記がされた財産の換価代金から配当を受け得る場合と同様に、元本のほか最後の2年分の利息又は損害賠償請求権等の金額に限られる(仮登記担保法第4条第3項、第20条、民法第375条等)。
(清算金の支払請求権に対して物上代位権を行使した担保権により担保される債権と国税との関係)
12 担保のための仮登記がされた財産について、その仮登記の後に登記(仮登記を含む。以下12において同じ。)がされた先取特権、質権、抵当権又は担保のための仮登記に係る権利を有する者が、清算金の支払請求権に対して物上代位権の行使をした場合におけるその物上代位権の行使に係る債権と清算金の支払請求権を差し押さえた国税との優先関係は、次のとおりである(
清算金の支払請求権の差押え
(清算金の支払請求権者)
13 清算金の支払請求権を有する者は、仮登記担保契約の相手方である債務者等であって(仮登記担保法第3条第1項、第20条)、担保のための仮登記がされた財産が譲渡された場合においても、その財産の譲受人は、清算金の支払請求権を有しない。
(差し押さえることができる清算金支払請求権の範囲)
14 差し押さえることができる清算金の支払請求権(供託金の還付請求権を含む。以下15から17までにおいて同じ。)は、仮登記担保権者が行った担保のための仮登記の実行の通知に係る清算金の見積額の範囲内に限られない。したがって、通知した清算金の見積額が過少であると認められるときは、正当な清算金の額に達するまで差し押さえることができる。
(差押えをすることができる時期)
15 清算金の支払請求権に対する差押えは、仮登記担保権者が仮登記担保権の実行の通知をした後清算金の支払又は供託をするまでの間は、することができる。
(物上代位権者への差押えの通知)
16 清算金の支払請求権について差押え又は交付要求をした場合において、既に、その清算金の支払請求権に対する物上代位権の行使(仮登記担保法第4条第1項又は第2項《物上代位》に規定する権利の行使をいう。)による差押えをした者があるときは、その者に対して書面により差押え(
(受戻権の行使と清算金の支払請求権に対する滞納処分との関係)
17 清算金の支払請求権を差し押さえた場合において、仮登記担保権者が、清算期間経過後、清算金を差押債権者に支払又は供託する以前に、債務者等が、債権等の額(債権が消滅しなかったものとすれば債務者が支払うべき債権等の額をいう。)に相当する金銭(9参照)を仮登記担保権者に提供して、担保のための仮登記がされた財産の受戻権を行使したとき(仮登記担保法第11条本文)は、清算金の支払請求権に対する差押えの効力は失われる。 (注) 受戻権とは、債務者等が、仮登記担保権者から清算金の支払債務の弁済を受けるまで、債権等の額に相当する金銭を仮登記担保権者に提供して、担保のための仮登記がされている財産の受戻しを請求することができる権利をいう。
根担保仮登記の効力
18 仮登記担保契約で消滅すべき金銭債務がその契約の時に特定されていないものに基づく仮登記は、強制換価手続においてはその効力を有しない(
徴収職員の調査
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なお、徴収職員は、仮登記担保権の設定の事実及びその設定の時期が国税の法定納期限等以前であるかどうかにつき、登記により調査の上確認しなければならない。
担保のための仮登記の優先
(仮登記担保契約)
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