更新日:2022年9月2日
法第68条の適用を受ける財産
1
民法上の不動産
(土地及び土地の定着物)
2 1の(1)に掲げる「土地及び土地の定着物」とは、民法第86条第1項《不動産の定義》に規定する不動産をいい、なお次のことに留意する。 (注) 登記することができない土地の定着物は、民事執行の手続の上では、動産執行の対象となる(執行法第43条第1項、第122条第1項)。 (注) 「工場抵当権」とは、工場抵当法第2条の規定により、工場所有者が工場に属する土地又は建物(工場財団を組成する土地又は建物を除く。)の上に設定した抵当権をいう。
なお、抵当権者の同意を得て付加物を分離し又は備付物の備付けを廃止したときは、抵当権はその物について消滅し(同法第6条)、その物についての差押えの効力も及ばない(同法第7条)が、抵当権者の同意を得ないで分離した付加物又は備付けを廃止した備付物は、第三取得者に引き渡された後においても民法第192条から第194条まで《即時取得等》に定める即時取得に関する規定の適用がない限り抵当権の効力は失われず(工場抵当法第5条第2項)、差押えの効力も及ぶことから、これらを一括して換価することができるものであることに留意する。
(建物)
3 1の(1)に掲げる「土地の定着物」に該当する建物とは、屋根及び周壁又はこれに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものをいい(不動産登記規則第111条)、取引上及び登記上、土地から独立した不動産とされ、土地とは別個に差し押えなければならない。
なお、次のことに留意する。
なお、建築中の建物については、不動産工事の先取特権の登記がある場合(不動産登記法第86条参照)であっても、建物としての差押え及びその登記をすることはできない。
(注) プレハブ式建物とは、屋根、周壁等によって構成され、一時的あるいは場所的な移動を必要とする用途に供する目的で移設に適するような構造に製作された建物をいう(昭和54.3.27釧路地判参照)。
財団を組成しない工場抵当の目的となっている土地又は建物
(差押えの効力が及ぶ財産)
4 工場抵当法第7条《差押え等の及ぶ範囲》の規定により、工場抵当権の目的となっている土地又は建物についての差押えの効力は、その土地又は建物に付加してこれと一体となっている物及びその土地又は建物に備え付けた機械器具その他工場の用に供する物に及び、その備え付けた時期が工場抵当権の設定又は差押えの前であると後であるとを問わない(大正9.12.3大判参照)。
(差押えの効力が及ばない財産)
5 工場抵当法第1条《工場の定義》にいう工場の土地又は建物についての工場抵当権の効力は、次に掲げる物には及ばないから、その土地又は建物についての差押えの効力も及ばない。したがって、これらの物件が同法第3条《抵当権の目的物の登記》の目録に記録されている場合においても、その記録は効力がない(同法第3条第2項、第3項参照)。
(目録に記載されていない財産)
6 工場抵当法第2条《財団を組成しない工場の土地、建物の抵当権》の規定により工場抵当権の効力が当然に及ぶ物であっても、同法第3条《抵当権の目的物の登記》に規定する目録にその記録がない場合には、これらの物についての工場抵当権の効力は第三者に対抗することができないから、これらの財産の差押えも第三者に対抗することができない。したがって、この場合には、滞納者に代位して、工場抵当権者の同意を得て目録の記録の変更登記をするか、又はこれらの財産を独立の動産として差し押さえる(同法第3条第2項、第3項、第4項、第38条。平成6.7.14最高判参照)。
(差押え後の抵当権の設定)
7 土地又は建物を差し押さえた後、その土地又は建物について工場抵当法第2条《財団を組成しない工場の土地、建物の抵当権》の工場抵当権が設定された場合には、その工場抵当権の設定は、差押債権者である国に対抗することができない。
地上権
8 1の(2)に掲げる「地上権」とは、工作物(建物等を含む。)又は竹木を所有する目的のため他人の土地を使用する権利をいい(民法第265条)、所有すべき目的物のない土地の上にも設定することができ、また、地下又は空間について、その上下の範囲を限って設定することもできる(民法第269条の2)。
なお、農地又は採草放牧地(以下「農地等」という。)の上の地上権の移転については、原則として、農業委員会又は都道府県知事の許可を受けなければならない(農地法第3条第1項)。
(注) 地上権の処分の効力は、立木法による立木には及ばない(同法第2条第3項)。
永小作権
(意義)
9 1の(2)に掲げる「永小作権」とは、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利をいう(民法第270条)。
なお、農地等の上の永小作権の移転については、原則として、農業委員会又は都道府県知事の許可を受けなければならない(農地法第3条第1項)。
(譲渡禁止の特約がある永小作権)
10 永小作権については、設定行為によって権利の譲渡を禁ずることができ、その特約が登記されている場合には、第三者に対抗することができるが、差押えをすることは妨げられない。ただし、換価については、永小作権設定者の同意を得て特約の登記を抹消した後でなければ、することができない(民法第272条、不動産登記法第79条第3号)。
立木法による立木
11 1の(3)に掲げる「立木」とは、立木法第1条《定義》の規定により登記した樹木の集団をいい、独立した不動産とみなされるから(同法第2条第1項)、土地とは別個に差し押さえなければならない。
なお、次のことに留意する。
工場財団
(意義)
12 1の(3)に掲げる「工場財団」とは、工場抵当法により物品の製造等の工場の施設としての土地、建物、機械、器具その他の物的設備のみならず、そのための地上権、賃借権、工業所有権又はダム使用権等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第8条、第9条、第11条)。工場所有者が工場財団登記簿に所有権保存の登記をした工場財団は、1個の不動産とみなされる(同法第14条第1項)。
なお、工場抵当法第21条第2項《工場財団目録》の工場財団目録に記録された不動産、船舶、航空機、自動車、建設機械、動産、無体財産権その他の財団組成物件は、個々の物又は権利として差し押さえることができない(同法第13条第2項、昭和7.12.21法曹会決議)。
(差し押さえた動産が工場財団に組み入れられた場合)
13 差し押さえられた動産は、工場財団に属させることができないが(工場抵当法第13条第1項)、滞納処分により差し押さえた動産について工場財団の所有権保存の登記の申請があったときは、登記官は、登記制度のない動産については、1月以上3月以内の期間を指定してその間に権利の申出をすべき旨を官報に公告するから(同法第24条第1項)、徴収職員は、その期間内に、その動産が滞納処分による差押えの対象財産である旨を登記官に申し出なければならない。この場合において、上記の公告期間中にその申出をしないときは、工場財団の所有権保存登記後6月内に抵当権設定の登記がされなかったためにその登記が効力を失う場合を除いて、その差押えは効力を失うことに留意する(同法第25条、第10条)。
(差し押さえた不動産等が工場財団に組み入れられた場合)
14 不動産、地上権、賃借権、工業所有権、ダム使用権及び登記制度のある動産について差押えの登記をした後は、これらの物件を工場財団に組み入れることができないが(工場抵当法第13条第1項)、差押えの登記前にこれらの物件について工場財団の所有権保存の登記の申請があった旨の登記がされた場合において(同法第23条)、工場財団について抵当権設定登記があったときは、差押えの登記はその効力を失うから(同法第31条、第32条)、改めて工場財団として差し押さえるものとする。
(保存登記申請後の差押え)
15 不動産、地上権、賃借権、工業所有権、ダム使用権及び登記制度のある動産については、工場財団の所有権保存登記の申請があった旨の登記があった後においても、差し押さえてその登記を嘱託することができるが、所有権保存登記の申請が却下されない間及びその登記が効力を失わない間は換価をすることができず(工場抵当法第30条)、また、工場財団について抵当権設定登記がされたときは、差押えの登記はその効力を失うから(同法第31条)、改めて工場財団として差し押さえるものとする。
なお、工場財団に属する登記制度のない動産についても、工場抵当法第24条第1項《利害関係人に対する公告》に規定する公告がされた後の差押えについては、上記と同様である(同法第33条)。
(保存登記があった後の差押え)
16 工場財団について所有権保存登記があった後は、工場財団としての差押えをすることができるが、その保存登記後6月内に抵当権設定の登記がされないときは、その保存登記は効力を失うから、個々の財団組成物件について新たに差押えをしなければならない(工場抵当法第10条参照)。また、抵当権が全部抹消された後若しくは分割により消滅した後6月内は工場財団は消滅しないから、この期間中は、工場財団として差し押さえることができるが、6月内に新たな抵当権の設定の登記がないときは、個々の財団組成物件について、新たに差押えをしなければならない(同法第8条第3項参照)。
鉱業財団等
(鉱業財団)
17 1の(3)に掲げる「鉱業財団」とは、鉱業抵当法により鉱業権、土地、機械、器具及びその他の物的設備のほか、地上権、賃借権又は工業所有権等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第1条、第2条、第3条)。採掘権者が鉱業財団登記簿に所有権保存の登記をした鉱業財団には、同法第3条《工場財団の規定の準用》の規定により工場抵当法のうち工場財団に関する規定が準用されるので、1個の不動産とみなされる。
なお、鉱業財団に対する差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
(漁業財団)
18 1の(3)に掲げる「漁業財団」とは、漁業財団抵当法により定置漁業権又は区画漁業権、船舶、漁具及びその他の物的設備のほか地上権、水面の使用に関する権利又は工業所有権等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第1条、第2条、第6条)。定置漁業権者、区画漁業権者又は漁業の用に供する登記した船舶若しくは水産物の養殖場の所有者が、漁業財団登記簿に所有権保存の登記をした漁業財団には、同法第6条《工場財団に関する規定の準用》の規定により工場抵当法のうち工場財団に関する規定が準用されるので、1個の不動産とみなされる。
なお、漁業財団に対する差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
(道路交通事業財団)
19 1の(3)に掲げる「道路交通事業財団」とは、道路交通事業抵当法により、自動車、土地、機械、器具及び軽車両等のほか、地上権、地役権等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第3条、第4条、第6条)。道路運送事業者、自動車ターミナル事業者又は貨物利用運送事業者が道路交通事業財団登記簿に所有権保存の登記をした道路交通事業財団は、同法第8条《事業財団の性質》の規定により1個の不動産とみなされ、工場抵当法のうち工場財団に関する規定が準用される(同法第19条)。
なお、道路交通事業財団に対する差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
(港湾運送事業財団)
20 1の(3)に掲げる「港湾運送事業財団」とは、港湾運送事業法により、港湾運送事業に関する上屋、荷役機械、はしけ、事務所及び一般港湾運送事業等の経営のため必要な器具等のほか地上権、地役権等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第23条、第24条、第26条)。一般港湾運送事業者等が港湾運送事業財団登記簿に所有権保存の登記をした港湾運送事業財団には、同法第26条《工場抵当法の準用》の規定により工場抵当法のうち工場財団に関する規定が準用されるので、1個の不動産とみなされる。
なお、港湾運送事業財団に対する差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
(観光施設財団)
21 1の(3)に掲げる「観光施設財団」とは、観光施設財団抵当法により、観光施設に属する土地、機械、動物、植物、展示物、船舶、車両及び航空機等のほか、地上権、貸借権、温泉を利用する権利等をもって組成され、抵当権の目的とするためその所有権保存の登記によって成立する財団をいう(同法第3条、第4条、第7条)。観光施設を観光旅行者の利用に供する事業を営む者が、観光施設財団登記簿に所有権保存の登記をした観光施設財団は、同法第8条《財団の性質》の規定により、1個の不動産とみなされ、工場抵当法のうち工場財団に関する規定が準用される(同法第11条)。
なお、観光施設財団に対する差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
鉱業権
22 1の(4)に掲げる「鉱業権」とは、登録を受けた一定の土地の区域(鉱区)において、登録を受けた鉱物及びこれと同種の鉱床中に存する他の鉱物を掘採し、取得する試掘権及び採掘権をいい(鉱業法第5条、第11条)、経済産業局長が設定の許可をし(同法第21条)、鉱業原簿に登録することによって成立する(同法第59条、第60条)。この権利は、物権とみなされ、鉱業法に別段の規定がある場合を除き不動産に関する規定が準用される(同法第12条、第13条)。
なお、鉱業法には鉱業権とともに租鉱権についての規定がある。租鉱権とは、設定行為に基づき、他人の鉱区において鉱業権の目的となっている鉱物を掘採し、自己の所有物とする権利をいい(鉱業法第6条)、相続その他の一般承継の目的となるほか、権利の目的となることができないから、差し押さえることができない(同法第72条)。
(注) 試掘権とは、一定の鉱区において主として鉱物の探鉱を内容とする鉱業権をいい、採掘権とは、一定の鉱区において主として鉱物を掘採し、自己の所有物とすることを内容とする鉱業権をいう。
特定鉱業権
23 1の(4)に掲げる「特定鉱業権」とは、日本国と大韓民国との間の両国に隣接する大陸棚の南部の共同開発に関する協定第2条第1項に規定する大陸棚の区域(共同開発区域)内の登録を受けた一定の区域において天然資源の探査又は採掘をし、及び掘採された天然資源を取得する権利をいい(大陸棚特別措置法第2条第3項)、経済産業大臣がその設定の許可をし(同法第12条)、特定鉱業原簿に登録することによって効力を生ずる(同法第32条第3項)。
特定鉱業権には、探査権と採掘権とがあり(大陸棚特別措置法第4条)、特定鉱業権は物権とみなされ、大陸棚特別措置法に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定が準用される(同法第6条)。
漁業権
24 1の(4)に掲げる「漁業権」とは、定置漁業権(定置漁業を営む権利)、区画漁業権(区画漁業を営む権利)及び共同漁業権(共同漁業を営む権利)をいい(漁業法第6条)、物権とみなされ、土地に関する規定が準用される(同法第23条第1項)。 (注) 定置漁業権及び区画漁業権について移転ができるのは、次の場合であるが、2から4までの場合には、買受人は、都道府県知事の認可を受けなければならない(漁業法第26条第1項ただし書)。
なお、共同漁業権は、相続又は法人の合併若しくは分割による場合を除き、移転の目的となることができず、滞納処分はできないことに留意する(同法第26条第1項本文)。
入漁権
25 1の(4)に掲げる「入漁権」とは、設定行為に基づいて、他人の共同漁業権又はひび建養殖業、藻類養殖業、垂下式養殖業(縄、鉄線その他これらに類するものを用いて垂下して行う水産動物の養殖業をいい、真珠養殖業を除く。)、小割り式養殖業(網いけすその他のいけすを使用して行う水産動物の養殖業をいう。)若しくは第三種区画漁業たる貝類養殖業を内容とする区画漁業権に属する漁場においてその漁業権の内容である漁業の全部又は一部を営む権利をいい(漁業法第7条)、物権とみなされる(同法第43条第1項)。
なお、入漁権を差し押さえたときは、漁業権者に対しても差押えの通知をするものとする。
(注) 入漁権は、漁業協同組合及び漁業協同組合連合会以外の者は取得することができず(漁業法第42条の2)、漁業権者の同意がなければ譲渡することができない(同法第43条第3項)。
採石権
26 1の(4)に掲げる「採石権」とは、設定行為に基づき、他人の土地において岩石及び砂利(砂及び玉石を含む。)を採取する権利をいい(採石法第4条第1項)、採石法によって認められる物権であり、地上権に関する規定が準用される(同法第4条第3項)。
ダム使用権
27 1の(4)に掲げる「ダム使用権」とは、多目的ダムによる一定量の流水の貯留を一定の地域において確保する権利をいい(特定多目的ダム法第2条第2項)、ダム使用権又はダム使用権を目的とする抵当権の設定、変更、移転、消滅及び処分の制限は、ダム使用権登録簿に登録することによって成立する(同法第26条)。この権利は、物権とみなされ、特定多目的ダム法に別段の定めがある場合を除き、不動産に関する規定が準用される(同法第20条)。 (注) ダム使用権は、国土交通大臣の許可を受けなければ、移転(相続、法人の合併その他の一般承継によるものを除く。)の目的とし、分割し、合併し、又はその設定の目的を変更することができない(特定多目的ダム法第22条)。
鉄道財団等
(鉄道財団)
28 1の(5)に掲げる「鉄道財団」とは、鉄道抵当法によって抵当権の設定を認められる財団をいい、鉄道の全部又は一部について設定され、鉄道事業経営に関する物的設備と地上権、地役権、登記した賃借権をその内容とし、1個の物とみなされる(同法第2条、第2条ノ2、第3条、第4条、第13条ノ4参照)。
なお、鉄道財団の差押えについては、13から16までに定めるところに準じて行う。
(注) 鉄道財団についての滞納処分に関しては、鉄道抵当法第65条本文《競落代金の支払》、第66条《競落による権利の移転》、第67条第1項及び第2項《競落を許す決定の取消し》、第68条《競落代金の配当、競売申立ての登録の抹消》、第70条《財団の分割競売》、第71条第1項《分割競売の手続》、第73条《競落人の許可申請》、第74条《競落人が会社の発起人であるときの許可申請手続》、第76条《国土交通大臣の許可義務》並びに第77条《競落人の許可の効力》の規定が準用される(同法第77条ノ2)。
(軌道財団)
29 1の(5)に掲げる「軌道財団」とは、軌道ノ抵当ニ関スル法律によって抵当権の設定を認められる財団をいい、別段の規定がある場合を除いて鉄道抵当法が準用され(同法第1条)、財団の組成物件も鉄道財団とおおむね同様である(同法第2条参照)。
なお、軌道財団の差押えは、13から16までに定めるところに準じて行う。
(運河財団)
30 1の(5)に掲げる「運河財団」とは、運河法によって抵当権の設定を認められる財団をいい、運河事業に関する物的設備と地上権、地役権、登記した賃借権をその内容とし、1個の物とみなされる(同法第14条、第13条)。
なお、運河財団の差押えは、13から16までに定めるところに準じて行う。
不動産の共有持分
31 不動産の共有持分とは、共有者がその不動産に対して有する量的に制限された所有権をいい、特約がなければ各共有者の持分は相等しいものと推定される(民法第250条)。
差押手続
(差押書)
32
(差押調書)
33
(差押えの登記の嘱託)
34 不動産を差し押さえたときは、税務署長は、差押えの登記を関係機関(36参照)に嘱託しなければならない(
なお、差押えの登記の嘱託等については、次のことに留意する。
なお、換地処分の公告の日前に差押えの登記原因が生じているときは、上記の期間中であっても、差押えの登記の嘱託をすることができる(土地区画整理法第107条第3項ただし書)。
(未登記不動産と民法第177条)
35 未登記不動産についても民法第177条《不動産物権の対抗要件》の適用があり、その取得者は、その旨の登記を経なければ、取得後に所有権を取得して登記を経た第三者に対し、自己の所有権の取得を主張することができない(昭和57.2.18最高判参照)。
(関係機関)
36
(登録免許税の非課税)
37 税務署長が差押えの登記を嘱託する場合には、登録免許税法第5条第11号《滞納処分に関する登記等の非課税》の規定により、登録免許税は課されない。
差押えの効力
38
なお、差押えの登記がされても差押書が送達されていない場合は、差押えの効力が生じないことに留意する(昭和33.5.24最高判参照)。
各別の所有者に属する工場を含む工場財団の差押え
39 各別の所有者に属する工場について1個の工場財団が設定されている場合には、その所有者のうちの1人に対する滞納処分として、その財団全体を差し押さえることはできないから、次によるものとする(工場抵当法第8条第1項参照)。
法第68条の適用を受ける財産
1 法第68条の適用を受ける財産は、次に掲げる財産(以下「不動産」という。)である。
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