差押えを解除しなければならない場合
(納付)
1 法第79条第1項第1号及び第2項第1号の「納付」とは、通則法第34条《納付の手続》の規定による納付をいう。
なお、上記の納付には、同法第41条第1項《第三者の納付》の規定による第三者の納付も含まれる。
(充当)
2 法第79条第1項第1号及び第2項第1号の「充当」とは、通則法第57条《充当》の規定による充当をいう。
(更正の取消し)
3 法第79条第1項第1号及び第2項第1号の「更正の取消」とは、通則法第24条《更正》等の規定による賦課処分が取り消されることをいう。
(その他の理由)
4 法第79条第1項第1号の「その他の理由」とは、差し押さえた金銭又は交付要求による交付を受けた金銭を差押えに係る国税の全額に充てたこと、法第129条第1項《配当の原則》の規定により差押えに係る国税に配当された金銭をその国税の全額に充てたことその他免除、法律の規定の変更等により差押えに係る国税の全額が消滅したことをいう。
(差押えに係る滞納処分費)
5 法第79条第1項第2号の「差押えに係る滞納処分費」とは、差押えに係る国税の滞納処分費のうち、その差押えに係る財産についての滞納処分費をいう(法第10条参照)。
(金銭的価値が失われたとき)
6 差押財産の金銭的価値が全く失われたときは、法第79条第1項第2号に該当するものとして取り扱う。
差押えを解除することができる場合
(その他の理由)
7 法第79条第2項第1号の「その他の理由」とは、差押えに係る国税に優先する他の国税、地方税又は公課の交付要求が解除されたこと、差押えに係る国税に優先する債権が弁済されたこと、差押財産の改良等によりその価額が増加したこと等をいう。
(差押超過による解除)
8 法第79条第2項第1号の規定により差押えを解除する場合におけるその解除する財産は、その超過する価額に相当する範囲を超えないものとし、差押財産が不可分物である場合には、その差押えは解除しないものとする。
(適当な財産を提供した場合)
9 法第79条第2項第2号の「適当な財産を提供した場合」とは、原則として、換価及び保管又は引揚げに便利な財産であって(第47条関係17参照)、その財産を換価した場合の換価代金から滞納国税の全額を徴収することができる財産(第78条関係1参照)を提供した場合をいう。
なお、差押財産を換価に付しても入札又は買受申込みがない場合等において、滞納者(譲渡担保権者及び物上保証人を含む。)がその差押財産を売却した代金(ただし、その差押財産の時価以上の金額である場合に限る。)のうちから、その売却代金を法第128条第1項第1号《配当すべき金銭》の「差押財産の売却代金」とみなした場合における国税への配当が見込まれる額以上の金銭をもって滞納国税を納付し、かつ、徴収上弊害がないと認められるときは、その金銭の額が滞納国税に満たない場合であっても、法第79条第2項第2号に該当するものとする。
(三回公売)
10 法第79条第2項第3号の「三回公売に付し」とは、同一の公売財産を3回公売に付したことをいい、この回数には、換価執行行政機関等(換価執行決定をした行政機関等をいう。以下同じ。)が公売に付した回数も含まれる。
(公売に付しても入札等がなかった場合)
11 法第79条第2項第3号の「入札又は競り売りに係る買受けの申込みがなかった場合」とは、適法な入札又は競り売りに係る買受けの申込み(以下「入札等」という。)がなかった場合のほか、次に掲げる不適法な入札等のみがあった場合も含まれる。- (3) 入札書に法第101条第1項に規定する必要な事項の記載のない入札
- (4) 法第92条により買受けが制限される者からの入札等
- (5) 法第108条第2項により入札等がなかったものとされた入札等(同条第1項の規定に該当する者を最高価申込者及び次順位買受申込者(以下「最高価申込者等」という。)とする決定を取り消した場合のその決定に係る入札等を含む。)
(注) 次に掲げる場合は、法第79条第2項第3号の「入札等がなかった場合」には該当しない。
1 滞納処分の続行停止により最高価申込者等又は買受人が入札等又は買受けを取り消した場合(法第114条)
2 買受人が買受代金を期限までに納付しないことにより売却決定を取り消した場合(法第115条第4項)
3 公売に係る国税の完納(法第117条)、公売公告をした事項の変更等により公売を中止した場合
(その他の事情)
12 法第79条第2項第3号の「その他の事情」とは、例えば、境界争い等の係争がある財産や事件、事故等の現場となった不動産など、差押財産の価値が著しく損なわれていると認められる事情をいう。
(更に公売に付しても売却見込みがないとき)
13 法第79条第2項第3号の「更に公売に付しても買受人がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるとき」とは、直前の公売又は随意契約による売却における見積価額の決定時点から公売財産の価格を形成する要因の変化及び新たな要因がなく、その見積価額を変更する必要がないと認められる場合において、差押財産の形状、用途、法令による利用の規制その他の事情を考慮して、更に公売に付しても入札等がないと認められ、かつ、随意契約による売却の見込みがないと認められるときをいう。
差押えの解除の効力
14 差押えの解除は、差押えによる処分の禁止の効力を将来に向かって失わせるものである。したがって、例えば、継続収入の債権の差押えに基づいて、差押解除前に一部の取立て及び国税への充当がされていた場合には、差押えの解除は、既にされていた取立て等の処分には影響を及ぼさない。
他の規定による差押えの解除
15 差押えの解除には、法第79条の規定によるもののほか、法第50条第2項若しくは第4項《差押換えの請求等に基づく差押解除》、第51条第3項《差押換えの請求に基づく差押解除》、第152条第2項《換価の猶予に係る差押解除》、第153条第3項《滞納処分の停止に係る差押解除》、第159条第5項若しくは第6項《保全差押えに係る差押解除》、通則法第48条第2項《納税の猶予に係る差押解除》又は第105条第3項若しくは第6項《不服申立てに係る差押解除》等の規定によるものがある。
差押国税の一部解除
16 2以上の滞納国税により、同一の差押調書で差し押さえている場合において、ある国税に対応する差押えを解除する必要があるとき(例えば、不服申立てに伴う換価制限があるとき)は、税務署長は、差押えに係る国税の一部を解除することができる。この場合には、その旨を滞納者及び法第81条《質権者等への差押解除の通知》に規定する者に通知するものとする。この書面の様式は、別に定めるところによる。
差押えを解除しなければならない場合
(納付)
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