更新日:2022年9月2日

法人税個別通達 1-43 特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて(平成13.4.25課法2-3他)

平成13.4.25課法2-3、査調4-13(法令解釈通達)

平成13年3月28日に社団法人信託協会から国税庁に対し、特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて照会があり、これに対して同協会の意見のとおり取り扱って差し支えない旨回答しました。

(通達本文)

標題のことについて、社団法人信託協会から別紙2のとおり照会があり、これに対して当庁課税部長名をもって別紙1のとおり回答したから、これによられたい。

別紙1

課法2-2
査調4-12
平成13年4月25日

社団法人 信託協会
会長 内海 暎郎殿

国税庁課税部長

特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて
(平13.3.28付照会に対する回答)

標題のことについては、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。

なお、この回答は、あくまで照会において提示された事実を前提として現時点の見解を示すものであり、具体的な実例において異なる事実や別の事実がある場合には、この回答と異なる取扱いとなることがありますので、念のため申し添えます。

別紙2

平成13年3月28日

国税庁課税部長 殿

社団法人 信託協会
会長 古沢 熙一郎

特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて(照会)

平素は当協会および会員各社の税務上の諸問題につき種々ご鞭撻を賜り厚くお礼申し上げます。

さて、標題のことにつきましては、昭和61年当時に税務上の取扱いが明確にされておりますが、平成12年度税制改正により金融取引・外貨建取引に係る法人税関係法令の改正が行われたことに伴い、従前の取扱いについて見直す必要が生じております。

つきましては、当協会といたしましては、この税制改正を踏まえて特定金銭信託またはファンド・トラストに係る税務上の取扱いについて、会員各社に周知徹底することにより適正な処理に努めたいと考えておりますが、これにつき下記のように取り扱うこととして問題がないか照会します。

なお、本件に関する質疑応答事例を別添のとおり取りまとめましたので、その内容についても、合わせてご検討願います。

1 「信託期間計算方式」について

  • (1) 信託の損益の帰属について

    法人が受益者となっている特定金銭信託またはファンド・トラストで、信託配当金の計算期日1年以内の一定期間毎に到来し、かつ、その計算期日1年以内の一定期間内に2回あるときは、そのいずれか一方の日が受益者たる法人の各事業年度終了の日前10日以内の日事業年度終了の日前10日目の日が受託者の休業日の場合は、その前営業日までを含む。以下同じ。となっているものについては、受益者たる法人は、法人税基本通達以下「基本通達」という。 2-6-1《決算締切日》に基づき、その信託の計算期間において生じた損益の額をもって当該計算期日の属する事業年度に実現した損益とすることができる。したがって、この場合には、その信託の計算期日の翌日から当該計算期日の属する事業年度終了の日までの間に生ずる損益は、当該事業年度の翌事業年度の損益として計上することができる。

    なお、この取扱いは、平成12年4月1日以後新規に締結される信託契約について適用する。

    • (注)1 特定金銭信託とは、有価証券運用を主目的とし、信託財産の運用方法が特定された単独運用の金銭の信託をいい、ファンド・トラストとは、有価証券運用を主目的とし、信託財産の運用につき受託者が自らの裁量で行う単独運用の金銭の信託をいう。

      (注)2 信託の計算期間において生じた損益の額は、受託者のなす信託財産に関する会計の方法により計算された金額によるか、または、受託者より提供された報告書類等を基に受益者において計算された金額によるものとする。

    (2) 「貸付金利子等の帰属の時期」の適用

    上記(1)により各事業年度の損益を計算する方式以下「信託期間計算方式」という。を採用する場合においても、その損益の計算について基本通達 2-1-24《貸付金利子等の帰属の時期》の適用がある。

    したがって、金融および保険業を営む法人は、信託期間計算方式を採用している場合においても、その信託配当金の計算期間を当該法人の各事業年度の期間とみなして、同通達に定めるところにより、信託財産の運用による収益として益金の額に算入すべき貸付金等の利子の額を計算する。

    また、金融および保険業を営む法人以外の法人が設定した特定金銭信託またはファンド・トラストで、その信託財産が借入金と明らかにひも付きの見合関係にあたるため収益と費用の計上基準を対応させる必要があるものについても、同様とする。

    • (注) 信託期間計算方式を採用する場合には、その信託に係る信託配当金の計算期日において信託財産に組み込まれている資産を当該計算期日の属する事業年度終了の日に所有するものとみなして当該事業年度の所得の金額を計算することになる。

    (3) 複数のファンドを有する場合の譲渡損益の計算

    一の法人が2以上の特定金銭信託またはファンド・トラストを設定している場合には、設定単位以下「ファンド」という。を異にする信託に同一銘柄の有価証券が組み込まれている場合であっても、それぞれのファンドごとに、法人税法施行令以下「令」という。 第119条の2第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法》に規定する算出の方法のうち当該法人が選定した方法によりその有価証券の一単位当たりの帳簿価額を計算し、その有価証券の譲渡による損益の計算をすることができる。

    • (注) 有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定は、令 第119条の5第1項《有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定およびその手続》に定めるところによるのであるから、同項に定める選定区分を同じくする有価証券につきファンドごとに別の算出の方法を選定することはできない。

    (4) 受取配当等の益金不算入額の計算

    信託の損益に含まれている受取配当等の金額につき法人税法以下「法」という。 第23条《受取配当等の益金不算入》の規定を適用する場合において、当該受取配当等の元本たる株式等が同条第2項《短期所有株式の配当等の益金算入》に規定する株式等に該当するかどうかは、受託者がその株式等を取得し、譲渡した時を基準として判定する。

    • (注)1 複数のファンドを有する法人が、「(3)」に定めるところによりそれぞれのファンドごとに有価証券の譲渡損益の計算をする場合には、令第20条《益金に算入される配当等の元本たる株式等》の規定による短期所有株式等の数の計算もそれぞれのファンドごとに行うものとする。

      (注)2 短期所有株式等の数の計算に当たり、継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、元本たる株式等の取得および譲渡の日を、その株式等の引渡しのあった日として計算することができるものとする。

      (注)3 信託期間計算方式を採用する場合の令 第22条第1項第1号《株式等に係る負債の利子の額》に規定する総資産の額および同項第2号に規定する株式等の帳簿価額は、「(2)」の(注)を適用して計算する。

    (5) 法人税額から控除される所得税額の計算

    信託の損益に含まれている利子・配当等に対して課された所得税の額につき法 第68条《所得税額の控除》の規定を適用する場合の令 第140条の2第2項または第3項《法人税額から控除する所得税額の計算》の規定による控除額の計算は、受託者がその利子・配当等の元本たる公社債、株式等を取得し、譲渡した時を基準として計算する。

    • (注)1 複数のファンドを有する法人が、「(3)」に定めるところによりそれぞれのファンドごとに有価証券の譲渡損益の計算を行う場合において、同条第3項の規定を適用して法人税額から控除される所得税額を計算するときは、それぞれのファンドごとに同項に定めるところによりその計算を行うものとする。

      (注)2 法人税額から控除される所得税の額を同条第2項または第3項のいずれを適用して計算するかは、公社債、株式等または投資信託もしくは特定目的信託の受益証券の別に選択するのであるから、複数のファンドを有する法人にあっても、その選択区分を同じくする有価証券につき、ファンドごとに異なる項の規定を適用することはできない。

      (注)3 法人税額から控除される所得税額の計算に当たり、継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、利子・配当等の元本たる有価証券の取得および譲渡の日を、その有価証券の引渡しのあった日として計算することができるものとする。

    (6) 法人税額から控除される外国税額の計算

    信託の損益に含まれている国外源泉所得に対して課された外国法人税の額につき法 第69条《外国税額の控除》の規定を適用する場合の法人税法施行規則 第29条の2《外国税額控除を受けるための書類》に規定する外国税額を課されたことを証する書類は、受託者が保管するこれらの書類の写し受託者が原本と相違ないことを確認する旨の記載のあるものに限る。によることができる。

    • (注) 信託期間計算方式を採用する場合の基本通達 16-3-13《負債利子の配賦》に定める「総資産の帳簿価額」および「国外業務に係る資産の帳簿価額」は、「(2)」の(注)の取扱いを適用して計算した金額による。

2 売買目的有価証券の時価評価、外貨建資産等の円換算および未決済のデリバティブ取引のみなし決済の基準時期等について

  • (1) 売買目的有価証券の時価評価、外貨建資産等の円換算および未決済のデリバティブ取引のみなし決済の基準時期

    信託財産に含まれる有価証券の期末評価の計算が、受託者が発行する信託配当金に関する計算書の中で法人税法の規定に基づき行われており、かつ、信託配当金の計算期日が受益者たる法人の各事業年度終了の日前10日以内の日となっているものについては、信託財産に含まれる有価証券の期末評価を時価法により行う場合の時価の算定は、当該計算期日を基準として行うことができる。

    なお、この場合には、外貨建資産等について期末時換算法を採用するときの換算レートおよびデリバティブ取引のみなし決済損益を計算するときのみなし決済金額についても、当該計算期日を基準として行うこととする。

    • (注) この取扱いは、平成12年4月1日以後開始する事業年度より適用する。

    (2) 時価および為替換算の算定方法

    上記(1)の場合の時価および円換算の算定方法は、信託財産に含まれる有価証券の種類に応じ、以下からに定めるところにより行うことができる。

    なお、この場合、受益者たる法人の手持有価証券とは算定方法を異にしても差し支えない。

    • ① 令 第119条の13第1号《売買目的有価証券の時価評価金額》に規定する「取引所売買有価証券」または同条第3号に定める「その他価格公表有価証券」の時価評価金額

      令第119条の13第1号または第3号の同一区分に属する同一銘柄の有価証券について、当該各号に規定する価格が2以上の市場に存する場合には、継続適用を条件として、受託者が、当該有価証券の取引を実際に行った市場の価格または実勢を最も反映していると判断される価格その他の公正評価額を入手するための市場としてあらかじめ定めている市場の価格をもって時価評価金額とすることができる。

      ② 計算期日

      取引所売買有価証券における「証券取引所において公表された当該事業年度終了の日におけるその取引所売買有価証券の最終の売買の価格」令第119条の13第1号、店頭売買有価証券における「証券取引法第79条の3の規定により公表された当該事業年度終了の日におけるその店頭売買有価証券の最終の売買の価格」同条第2号およびその他価格公表有価証券における「価格公表者によって公表された当該事業年度終了の日におけるその他価格公表有価証券の最終の売買の価格」同条第3号は、継続適用を条件として、日本時間の信託配当金の計算期日例えば3月25日決算の場合には、日本時間3月25日に知り得る直近の価格により計算することもできる。

      ③ 為替換算

      外貨建資産等の期末換算については、原則として、東京三菱銀行が公表する為替相場を使用することとし、東京三菱銀行が為替相場を公表していないものについては、シティバンクが公表する相場を使用することとする。

      ただし、継続適用を条件として、東京三菱銀行またはシティバンクが公表する為替相場に代えて、WM社がロイター社のデータに基づき算出するWM/ロイター・レートロンドン時間午後4時時点のレートを使用することができる。

      ④ 為替相場の著しい変動があった場合の外貨建資産等の換算

      令 第122条の3《外国為替の売買相場が著しく変動した場合の外貨建資産等の期末時換算》に規定する「外国為替の売買相場が著しく変動した場合」の判定において、信託期間計算方式が認められている金銭の信託については、基本通達 13の2-2-10に定める算式中「当該事業年度終了の日」とあるのは、「当該金銭の信託の計算期日」と読み替えて適用することができる。

○特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて(質疑応答事例)

1 運用損益の計上時期

問1 法人が受益者となっている特定金銭信託またはファンド・トラストのうち、信託配当金の計算期日が1年以内の一定期間毎に到来し、かつ、その計算期日が受益者たる法人の各事業年度終了の日前10日以内の日となっているものについては、受益者たる法人は、その信託の計算期間において生じた損益の額をもって当該計算期日の属する事業年度に実現した収益とすることが認められているところであるが、3月中に信託計算期間の末日が到来するファンドが大変多いため、事務処理の都合等を考慮して、受益者たる法人の事業年度終了の日が3月末である場合には、上記の「10日以内の日」に3月20日を含めてよいか。

また、信託財産に含まれる有価証券の評価を時価法により行う場合における時価の算定を当該計算期日を基準として行う点についても、同様に取り扱ってよいか。

(答)

「10日以内の日」に3月20日を含めることができる。


問2 借入金と明らかにひも付関係にある特定金銭信託等については、信託期間計算方式が認められるのか。

(答)

基本通達2-1-24の注書1によって処理することとなるから、貸付金等から生ずる利子は、信託計算期間内に発生する未収利子を収益に計上する必要がある。

なお、支払利息についても、その信託計算期間内における発生ベースでの金額を損金とすることに留意する。


問3 信託財産に外貨建債券が含まれている場合、未収利息の計算に用いる円貨への換算レートは計算期間の末日と事業年度末日のいずれを基準とするか。

(答)

当該未収利息は信託計算期間内に発生したものであるから、その収益計上時は信託計算期間末日となり、換算レートも一般の収益計上と同じく、計算期間末日のレートとなる。なお、期末時換算法を採っている場合にあっても、当該未収利息を期末レートで評価換えをしないのであるから留意する。


2 有価証券の帳簿価額

問4 信託財産に含まれる有価証券と他の手持有価証券とは、一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を異にしてよいか。

(答)

信託財産に含まれる有価証券と手持有価証券とは、種類、銘柄の異なる有価証券として取り扱うこととしているので、異なる方法を選定できる。


問5 受益者たる法人が複数のファンドを設定している場合には、それぞれのファンドごとに譲渡損益を計算できるとされているが、どのようにするのか。

(答)

ファンドごとに別の資産と観念して次のように計算する。

(例)

Aファンド

甲社株式
取得価額
(1株)1,000円

Bファンド
甲社株式
取得価額
(1株)1,100円 
乙社株式

(損益の計算)

Bファンドの甲社株式(1株)を1,500円で譲渡したとすれば、

「1,500円-1,100円=(益)400円」とし、

「1,500円-(1,000円+1,100円)×1/2=(益)450円」

とする必要はない。


問6 信託財産に含まれる有価証券は、受託機関の異なるごとおよびそれぞれ種類の異なるごとに一単位当たりの帳簿価額の算出の方法を選定できるか。

(例)①Aファンド(株式)…総平均法     Bファンド(株式)…移動平均法    ②A・Bファンド(株式)…総平均法     Aファンド(国債)…移動平均法

(答)

信託に係るものと手持のものとは異なる種類、銘柄として取り扱うだけであり、受託機関の異なるごとに異なる評価方法を認めるものではない令 第119条の5 参照

しかし、信託財産に含まれる国債、社債などの種類を異にするものについては、異なる算出方法を選定できる令第119条の5、基本通達 2-3-15 。したがって、上記例の①は認められないが、②は認められる。


問7 信託期間計算方式を採りながら、受託者が発行する計算書で採用している期末評価の方法原価法が税法上の期末評価の方法時価法と異なっている場合、その信託計算期間における損益が受託者の発行するその計算書上の損益と異なることとなるが認められるか。

(答)

信託期間計算方式はその取引に係る締切日を計算期間の末日とするだけであるから、受託者の期末評価の方法が税法上の方法と異なることまで否定するものではない。この場合の課税所得の計算は、受託者から提供された報告書類等を参考にしながら、税法上の期末評価の方法により行うこととなる。


問8 信託財産に含まれる有価証券の一単位当たりの帳簿価額の算出の方法の選定は、届出か、または変更か。

(答)

信託財産に含まれる有価証券は手持有価証券と別種類のものとされるので、その有価証券につき移動平均法以外の方法を採ろうとする場合には、新規の届出が必要である。

なお、平成12年4月1日以後最初に開始する事業年度開始の時において保有する有価証券については、その時に取得したものとみなして届出が必要であるから留意する。


3 受取配当等の益金不算入額の計算

問9 信託期間計算方式を採る場合において、信託損益に含まれる受取配当等の元本たる株式が短期所有株式に該当するかどうかの判定はどのようにするのか。

(算式)

(答)

受託者における実際の取得、譲渡の時を基準として判定する。この場合、複数のファンドを有する法人にあっては、継続かつ統一適用を条件としてファンド単位で別銘柄のものとしてその計算を行うことができるものとする。

なお、配当等の権利取得は受渡日を基準に行われていることに鑑み、継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、短期所有株式の計算については、配当等の元本たる株式等の取得および譲渡の日を、その株式の引渡しのあった日として計算することができる。


問10 信託期間計算方式を採る場合において、負債利子控除額はどのようにして計算するか。

(算式)

(答)

信託計算期間末日に信託財産に組み込まれている株式を、それぞれの事業年度終了の日に所有する株式として負債利子控除額を計算する。

ただし、その信託の計算期間が最初のものにあっては、受託者が実際に取得した時を基準として前期末所有株式に該当するかどうかを判定する(下図参照)。

(図)

12年3月27日取得分で3月31日に保有しているものについては、12年3月期では当期末所有株式に含まれず、13年3月期では前期末所有株式に含まれる。

なお、配当等の権利取得は受渡日を基準に行われていることに鑑み、継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、負債利子控除額の計算については、配当等の元本たる株式等の取得および譲渡の日を、その株式の引渡しのあった日として計算することができる。


4 所得税額控除の計算

問11 信託期間計算方式を採る場合において、所得税額控除に係る保有期間を計算するときには、有価証券の取得および譲渡の時期はどの時点とするのか。

(答)

有価証券の取得および譲渡の時期は、受託者における実際の取得および譲渡の時とする。

なお、利子・配当等の権利取得は受渡日を基準に行われていることに鑑み、継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、所得税額控除の計算については、利子・配当等の元本たる有価証券の取得および譲渡の日を、その有価証券の引渡しのあった日として計算することができる。


問12 信託期間計算方式を採る場合において、複数のファンドを有する法人については、ファンドごとに簡便法の計算ができるか。

(答)

複数のファンドを有する法人については、継続かつ統一適用を条件として、ファンドごとに別銘柄のものとして銘柄別簡便法の計算を行うことができるものとする。


問13 信託期間計算方式を採る場合において、原則法によるか、銘柄別簡便法によるかの選択はどうするのか。

(原則的計算)

(簡便計算)

(答)

原則法によるか、銘柄別簡便法によるかの選択は自由であるが、銘柄別簡便法による場合には、令 第140条の2 第3項の規定により、公社債、株式等または投資信託もしくは特定目的信託の受益証券の別に行うこととなるので、例えば、信託財産に含まれている公社債と手持公社債について別の方法を選択することができないことに留意する。

(参考)

信託財産に含まれている公社債(A)…原則法

手持公社債(B)…………………………簡便法

これはできない。ただし、同一の銘柄であっても、(A)と(B)は、別銘柄とされ、更に、(A)が複数のファンドから成り立っている場合には、ファンドごとに別銘柄とされるので、それぞれ区分し、同一の方法で計算する。


5 外国税額控除額の計算

問14 外国税額控除における納税証明はどうするのか。

(答)

外国税額控除の適用上必要とされる証明書類は、受託者が保有する原本の写およびその原本が適用を受ける受益者の信託収益とリンクしていることを証明する書類受託者の証明書によることができるものとする。


問15 国外所得金額の計算上控除すべき経費の額の算定の基礎となる「総資産の帳簿価額」等はどうなるのか。

(答)

国外所得金額の計算上控除すべき経費の額の計算の基礎となる「総資産の帳簿価額」、「国外業務に係る資産の帳簿価額」等については、信託計算期間の末日に信託財産に含まれている資産をそれぞれの事業年度終了の日に所有する資産として計算する。


6 その他

問16 信託計算期間が1年を超えるものの取扱いはどうなるのか。

(答)

信託計算期間が1年を超えるものについては、税法の原則に従って、受益者が信託財産を直接所有するものとみなし、その財産から生ずる損益を算定する。

ただし、受益者が、信託配当金の計算期日を各事業年度終了の日前10日以内にするために信託期間の末日を変更することにより、その一計算期間だけが1年を超える場合には、当該信託計算期間について信託期間計算方式を適用して差し支えない。


問17 法人が受取配当等の収益計上基準を配当確定基準基本通達2-1-27によっている場合に、信託期間計算方式を採ると現金基準となるが、認められるのか。

(答)

信託期間計算方式を採るものにつき現金基準によることは認められる。


問18 信託財産に含まれる貸金等について、信託期間計算方式を採っている場合でも、貸倒引当金の設定が認められるか。

(答)

信託財産は受益者のものとみなすので、貸倒引当金の設定が認められる。


問19 償還有価証券の調整差益または調整差損の計算に当たり、取得および譲渡の日を引渡しのあった日とすることは認められるか。

(答)

継続、かつ、ファンドごとに統一的に適用することを条件として、認められる。

平成13.4.25課法2-3、査調4-13(法令解釈通達)

平成13年3月28日に社団法人信託協会から国税庁に対し、特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて照会があり、これに対して同協会の意見のとおり取り扱って差し支えない旨回答しました。

(通達本文)

標題のことについて、社団法人信託協会から別紙2のとおり照会があり、これに対して当庁課税部長名をもって別紙1のとおり回答したから、これによられたい。

別紙1

課法2-2
査調4-12
平成13年4月25日

社団法人 信託協会
会長 内海 暎郎殿

国税庁課税部長

特定金銭信託等に係る法人税の取扱いについて
(平13.3.28付照会に対する回答)

標題のことについては、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。

なお、この回答は、あくまで照会において提示された事実を前提として現時点の見解を示すものであり、具体的な実例において異なる事実や別の事実がある場合には、この回答と異なる取扱いとなることがありますので、念のため申し添えます。

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