更新日:2022年9月2日

法人税個別通達 16-2 「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて(査調4-5/平成19年10月29日)

 標題のことについて、社団法人信託協会、社団法人生命保険協会及び全国共済農業協同組合連合会から別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり回答したから、これによられたい。

 なお、平成18年5月29日付査調4-7「『適格退職年金契約の自主審査要領』に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて」(法令解釈通達)は、平成19年10月29日をもって廃止する。

  • 《編注》データは、国税庁HPより転載。

(別紙1)

査調4-4
平成19年10月26日

社団法人 信託協会 年金専門委員会
幹  事 みずほ信託銀行株式会社
執行役員年金企画部長 湊 信幸 殿
社団法人生命保険協会
企業保険委員会
委員長 井上 恵介 殿
全国共済農業協同組合連合会
団体共済部長 小林 司 殿

国税庁調査査察部長 杉江 潤




「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて
(平成19年10月29日付照会に対する回答)

 標題のことについて、平成19年5月23日付照会による「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する契約については、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。




(別紙2)

平成19年10月19日



国税庁調査査察部長
    杉 江   潤  殿

社団法人 信託協会 年金専門委員会
幹 事 みずほ信託銀行株式会社
執行役員年金企画部長 湊 信幸

社団法人 生命保険協会
企業保険委員会
委 員 長 井上 恵介

全国共済農業協同組合連合会
団体共済部長  小林 司



 「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて(照会)

 今般、金融商品取引法が施行されたこと等に伴い、「適格退職年金契約の自主審査要領」平成18年4月を別添2「適格退職年金契約の自主審査要領新旧対照表」のとおり改正しましたので、平成19年9月30日以後、改正後の別添1「適格退職年金契約の自主審査要領」平成19年9月に基づき審査を行った退職年金契約については、法人税法施行令附則第16条第1項各号及び租税特別措置法施行令第39条の36第4項各号に規定する適格要件を満たすものとして取り扱って差し支えないか、ご照会申し上げます。

以 上



適格退職年金契約の自主審査要領
平成19年9月


社団法人 信託協会年金専門委員会
社団法人 生命保険協会
全国共済農業協同組合連合会

まえがき

 適格退職年金契約は、主としてこの「適格退職年金契約の自主審査要領」によりその適格性を自主的に審査の上、申請書等を提出するのであるが、その自主審査にあたっては、当該契約が退職年金に関する信託、生命保険又は生命共済の契約であることにかんがみ、その契約内容が信託契約、保険契約又は共済契約に関する法令に抵触していないかどうかの検討はもちろんのこと、労働基準法その他の法令の規定についても充分配慮の上、適正な自主審査に努めるものとする。

申請等の手続き

1 申請書等の提出区分、提出期限、記載事項及び添付書類は正しいか。

1. 趣 旨

 信託会社、生命保険会社又は全国共済農業協同組合連合会以下「受託機関」という。が、その締結した退職年金に関する信託契約年金指定金銭信託契約若しくは年金指定信託契約以下これらの契約を「年金指定単契約」という。又は年金特定金銭信託契約若しくは年金特定信託契約以下これらの契約を「年金特定契約」という。をいう。以下同じ。、生命保険契約又は生命共済契約について、適格退職年金契約適格退職年金契約のうち、特例適格退職年金契約を以下「特例適格年金契約」といい、特例適格退職年金契約以外の適格退職年金契約を以下「一般適格年金契約」といい、両者を以下「適格年金契約」という。としての承認を受けようとするときは、当該契約の相手方である事業主の氏名又は名称その他所定の事項を記載した申請書届出書を含む。以下「申請書等」という。に必要に応じて当該契約にかかる契約書の写し及びその他参考となるべき書類を添付して、国税庁長官に提出しなければならない法人税法施行令以下「法令」という。附則第17条及び租税特別措置法施行令以下「措令」という。第39条の36第5項から第13項まで
 この承認申請にあたっては、一般適格年金契約としての承認を受けようとする契約については法令附則第16条各項の適格要件、特例適格年金契約としての承認を受けようとする契約については法令附則第16条各項の適格要件及び措令第39条の36第4項の適格要件にそれぞれ合致しているかどうかはもとより、申請又は届出以下「申請等」という。の手続きが正しく行われているかどうかについても充分に審査しなければならない。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 申請等の手続き
     申請等の手続きは、「適格退職年金契約の承認等に関する取扱いについて法令解釈通達平成11年12月20日付 査調4-56、課法2-10の第3申請手続以下「申請手続」という。の定めるところによるものとし、申請書等の様式、提出区分、提出期限、申請書等の記載方法、添付書類とその添付順序等が適正に処理されていなければならない。
  • (2) 申請書等の記載事項
     申請書等の記載事項は、一部を除き年金規程又は協定書以下「年金規程等」という。に定められている事項であり、個別に年金規程等と対照しつつ、万全を期して記入しなければならない。
  • (3) 申請等を要しない変更事項
     年金規程等その他において次の事項の変更があったときは、申請等を要しない。
  • イ 加入時期
  • ロ 年金の支給月
  • ハ 掛金等の拠出日拠出基準日の変更を伴わないものに限る。
  • ニ 基準給与の改訂時期
  • ホ 遺族の範囲及び順位
  • ヘ 解除の場合の要留保額を超える額の帰属
  • ト 年金管理委員会の新設改廃
  • チ 給付金又は掛金の端数処理
  • リ 勤続期間又は加入期間の端数処理
  • ヌ 年金と退職金との関係
  • ル 共同委託者間又は出向者に係る掛金等の負担等の負担方法とその負担割合
  • ヲ 関係会社間で経常的に発生する転籍者についての積立財産の移受管
  • ワ 同一事業主と締結されている他の契約において次の変更が行われたとき。
  • (イ) 受託機関の変更
  • (ロ) 法令附則第16条第1項第9号ホに規定する要留保額の一部又は全部の移受管
  • カ 掛金等配分割合又は給付等負担割合の変更
    ただし、次に掲げる場合を除く。 (イ) 法令附則第16条第1項第9号ホに規定する要留保額の移受管を伴うとき。
  • (ロ) 受託機関の変更を伴うとき。
  • (ハ) 掛金等配分割合又は給付等負担割合を新たに定めたとき。
  • ヨ 同一事業主と締結されている複数の信託契約のうち、信託幹事以外の信託会社との契約の変更
     ただし、次に掲げる場合を除く。
  • (イ) 掛金等配分割合又は給付等負担割合を新たに定めたとき。
  • (ロ) 法令附則第16条第1項第9号ホに規定する要留保額の移受管を伴うとき。

3. 審査手続

  • (1) 審査対象
     すべての契約
  • (2) 審査書類
  • イ 契約書、年金規定等
  • ロ 申請書等新、旧
  • ハ 掛金の算式、脱退率算出表、昇給率算出表、人員構成表
  • ニ 就業規則又は労働協約、給与規程、退職金規程
  • (3) 審査手順
  • イ 申請・届出の区分について
    申請書等の記載事項は、一部を除き年金規程又は協定書以下「年金規程等」という。に定められている事項であり、個別に年金規程等と対照しつつ、万全を期して記入しなければならない。
  • ロ 提出期限について
    「申請手続」の申請書等及び諸届の受理等申請書等又は諸届の提出の延長合併等の場合における申請手続の特例により確認する。
  • ハ申請書等の記載方法について
    「申請手続」の各様式の記載要領により確認する。
  • ニ 添付書類と添付順序について
    「申請手続」の別表「申請書等の添付書類」により確認する。
  • ホ 申請書等の記載事項について
    審査書類と申請書等の各項目を照合し確認する。

年金規程の施行日等

2 年金規程の施行日変更日、契約日及び再計算日は正しいか。

1. 趣 旨

 申請書等の提出にあたっては、年金規程の施行日変更日、契約日及び再計算日が正しいかどうかを充分審査する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 年金規程の施行日
  • イ 新規法人税法施行規則以下「法規」という。附則第5条第1項各号のいずれかに該当する契約又は次に掲げるような契約を締結する場合に限り、新たに年金規程を施行することができる。
  • (イ) 複数の法人が共同して受託機関と適格年金契約を締結している場合において、当該契約に係る法人の合併法人を設立する合併に限る。が行われ、当該合併により設立された法人が当該適格年金契約に係る受益者等を受益者等とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約
  • (ロ) 適格年金契約を締結している個人事業主がいわゆる法人成した場合の当該法人が当該適格年金契約に係る受益者等を受益者等とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約
  • (ハ) 適格年金契約を締結している法人である複数の事業主が法令第4条の2第6項第1号に規定する複数新設分割を行った場合において、当該複数新設分割により設立された法人がその使用人を加入者とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約
  • (ハ)の注 適格年金契約を締結している法人である事業主が適格年金契約を締結していない法人である事業主との間で複数新設分割を行った場合において、当該複数新設分割により設立された法人がその使用人を加入者とする退職年金に関する契約を締結したときの当該契約は、法規附則第5条第1項第3号に規定する退職年金に関する契約には該当しないことに留意する。
  • (注) 平成18年5月1日前における上記イの取扱いについては、なお従前の例による。
  • ロ 通常の変更
     年金規程の施行日又は前回の変更日から1年を経過する日までの間は、次に掲げる場合を除き、制度年金規程の変更を行わない。
     また、ここでいう前回の変更には、次に掲げる場合を含まないものとする。
  • (イ) 財政再計算財政再計算に併せて行う変更を含む。に伴う年金規程の変更があったとき及び経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約において当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内に年金規程の変更があったとき。
  • (ロ) 定年年齢の変更があったとき。
  • (ハ) 給料又は賃金等の体系に変更があったことに伴い掛金等の額及び給付額の算定の基礎となる基準給与を変更したとき。
  • (ニ) 合併又は営業譲渡等の事実が生じたとき。
  • (ホ) 共同委託者結合子会社を追加又は除外したとき。
  • (ヘ) 給付の増額等に係る変更時期を労働組合等との協定により変更したとき。
  • (ト) 臨時拠出金を払い込む必要が生じたとき。
  • (チ) 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率又は経験予定脱退率を使用したとき。
  • (リ) 法令附則第16条第1項第9号ホに規定する要留保額の全部若しくは一部を受託機関の間で移管したとき。
  • (ヌ) 掛金等配分割合又は給付等負担割合を変更したとき。
  • (ル) 加入者が次に掲げる他の年金等の制度以下「他の年金等の制度」という。の加入員等となったため、又は既に次に掲げる中小企業退職金共済契約以外の他の年金等の制度の加入員等となっている者に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該他の年金等の制度に係る給付の額に含めるため、当該適格年金契約の一部を解除する場合。
  • a 厚生年金基金
  • b 確定給付企業年金法第2条第1項に規定する確定給付企業年金以下「確定給付企業年金」という。
  • c 他の適格年金契約
  • d 所得税法施行令第73条第1項第1号に規定する退職金共済契約
  • e 確定拠出年金法第2条第2項に規定する企業型年金以下「企業型年金」という。
  • f 中小企業退職金共済法第2条第3項に規定する退職金共済契約以下「中小企業退職金共済契約」という。
  • (ヲ) 加入者数要件以外の特例適格年金契約の要件を満たす一般適格年金契約において加入者数要件を満たすこととなったため、一般適格年金契約から特例適格年金契約に変更するとき又は特例適格年金契約において加入者数要件を満たさなくなったため、特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更するとき。
  • (ワ) 給付額の変更を行うことなく、年金の給付水準以外の特例適格年金契約の要件を満たす一般適格年金契約において年金の給付水準が特例適格年金契約の要件を満たすこととなったため、一般適格年金契約から特例適格年金契約に変更するとき又は特例適格年金契約において年金の給付水準が特例適格年金契約の要件を満たさなくなったため、特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更するとき。
  • ハ 財政再計算の変更
  •  財政再計算に伴う年金規程の変更日は、再計算日から再計算日後6ヵ月を経過する日までの間の日とする。
  • (2) 契 約 日
  • イ 新  規
     初回掛金等概算額を含む。を入金した日を契約日とする。ただし、保険契約及び共済契約においては、年金規程の施行日を契約日とすることができる。
  • ロ 通常の変更
    変更後の掛金等を入金した日又は年金規程の変更日を契約日とする。
  • (注) 変更後の掛金等は、原則として、申請書等の提出日までに拠出されていなければならない。
  • ハ 財政再計算の変更
     通常の変更に準ずる。
  • (3) 再 計 算 日
     適格年金契約においては、あらかじめ定めた一定期間を経過するごとに財政再計算を行うこととされている。
     このため初回又は次回以降の再計算日が正しく定められていることを要する。ただし、経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用していない契約については、いわゆる財政再計算を行わないことができることに留意する。
  • イ 再計算日の定め方
     ( 設例)(5年ごととした場合)
    初回再計算日: 契約日施行日から起算し、第5回目の年金財政決算日の翌日
    第2回目以降の再計算日: 前回再計算日から起算し、第5回目の年金財政決算日の翌日
  • ロ 次に掲げる場合には、当該予定脱退率をその採用後3年を超えて使用することはできない。したがって、初回又は次回再計算日は、契約日施行日又は前回再計算日から起算し第3回目の年金財政決算日の翌日としなければならない。
  • (イ) 実績以外の予定脱退率を使用したとき。
  • (注) ここでいう「実績以外の予定脱退率」は経験予定脱退率ではないことに留意する。
  • (ロ) 1年以上3年未満の実績による予定脱退率を使用したとき。
  • ハ 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率を使用した場合の初回の再計算日は、当該予定脱退率を使用することとなった日の属する年金財政の決算日を第1回目の決算日として計算する。
  • ニ 積立方法の変更等財政再計算時に行うことが認められている変更は、経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用していない契約についても契約日施行日後5年以内の一定期間ごとの契約対応日から6カ月以内に行うことができる。
  • (注1) 財政再計算の終了期限財政再計算に伴う諸手続きの終了すべき期限をいう。は再計算日から6カ月とする。
  • (注2) 財政再計算に伴う申請書等の提出期限は、財政再計算の終了期限の日の翌月末日とする。
    (設 例)
計算基準日
年金規程の変更日
新掛金適用開始日
新給付適用開始日
1/1
1/1~7/1の間の日
同 左
同 左
  • (注3) 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率を使用することとなった日が契約日施行日後5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内であっても財政再計算ではなく通常の変更として取り扱うことに留意する。

契約の要件

3 契約の要件は満たされているか。また、契約形態に応じた契約書類が作成されているか。

1. 趣 旨

 複数の事業主と受託機関とが適格年金契約を締結しようとするときは、共同委託結合契約に関する要件があり、その基準に合致しているかどうかを審査する。
 また、契約形態に応じた契約書類の作成についても確認しなければならない。
 なお、分割契約の場合においては、総幹事制度を採用することに留意する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 共同委託結合契約の要件
     受託機関と共同委託結合契約を締結しようとする複数の法人間においては、次に掲げる要件をすべて満たしていなければならない。
  • イ 企業支配関係にある法人であること。この企業支配関係は次の(イ)、(ロ)又は(ハ)のいずれかの出資関係にあることが必要である。
  • (イ) 当該法人のうちいずれか一の法人が他のすべての法人の株式等発行済株式又は出資金等をいう。を有する場合において、当該株式等が法令第119条の2第2項第2号の規定に準じた出資関係にあるとき。
     次のような設例A法人とB法人の関係はこの出資関係に該当する。
  • (設例)

  • (注) →は発行済株式又は出資金額の保有を示し、%はその保有割合を示す。以下同じ。
  • (ロ) 当該法人のうちいずれか一の法人が他の法人の株式等を有しない場合において、いずれか一の法人の株主等の1人当該株主等と法令第4条に規定する特殊な関係にある個人及び法人を含む。が、当該それぞれの法人の発行済株式の総数又は出資金額の総額の100分の50以上に相当する数の株式又は出資を有するとき。
     次のような設例A法人とB法人の関係は、この出資関係に該当する。
  • (設例)

  • (ハ) 当該法人のうちいずれか一の法人が、他の法人の一部について前記(イ)に掲げる企業支配関係にあり、かつ、残る他の法人について、前記(ロ)に掲げる企業支配関係にあるとき。
  • (注) 実質は企業支配関係にあるが、法律の規定により、法人の発行済株式の総数又は出資金額の20%以上に相当する数の株式又は出資を有することができない場合には、企業支配関係を有するものとして取扱うことができる。
  • ロ 当該法人相互間に使用人について人事交流の事実があること、又は将来において人事交流の発生が確実に見込まれることが必要であり、かつ、それぞれの法人の年金規程に当該人事交流の対象となる使用人の転籍に際して相互に勤続期間を通算することが明定されていること。
  • ハ 当該法人のそれぞれの年金規程において定められている加入時期、資格、受給資格、給付額、期間、基準給与等が同一の内容を有するものであること。
  • (注) 当該法人のそれぞれの定年年齢が異なる場合には、少なくともそれらの最低の定年年齢において同等の給付が受けられるよう定められていなければならないことに留意する。
  • (2) 総幹事協定の締結
     契約形態が分割契約である場合には、総幹事制度を採用するものとする。総幹事制度の実施にあたっては、各契約毎に幹事受託機関を選定し、各契約毎の幹事受託機関のうちから総幹事制度における総幹事及び副幹事を選定するとともに契約当事者間において「適格退職年金契約にかかる総幹事制に関する協定書」以下「総幹事制に関する協定書」という。を締結するものとする。
  • (注) 信託契約が複数である場合には、契約毎の幹事の選定は行なわず、各契約の受託者たる信託会社のうちから信託幹事を選定し、当該信託幹事をして総幹事又は副幹事とする。

加入者の範囲から除外すべき者

4 加入資格のない者を加入者に含めていることはないか。

1. 趣 旨

 法令上加入者としてはならない者を、年金規程等において加入者の範囲から必ず除外しているかどうかを審査する。

2. 審査上の留意事項

次に掲げる者は加入者とすることができないことに留意する。

  • (1) 役員法人税法以下「法」という。第35条第5項に規定される使用人としての職務を有する役員以下「使用人兼務役員」という。を除く。
  • イ 事業主である法人の役員をいう法令附則第16条第1項第3号
  •  ただし、出向中の従業員で出向先において役員となっている者は、出向元において加入者とすることができる。
  • ロ 法人の役員の範囲は、法人税法上役員使用人兼務役員を除く。とされる範囲と同一である法第2条第15号、法令第7条、法人税基本通達 以下「法基通」という。9-2-1
  • (注) 使用人兼務役員は加入者に含めることができるのであるが、その者が使用人兼務役員であるかどうかは次に掲げる法令等の規定に留意して判定する。
  • イ 法第35条第5項使用人としての職務を有する役員の意義
  • ロ 法令第71条使用人兼務役員とされない役員
  • ハ 法基通9-2-2使用人としての職制上の地位
  • ニ 法基通9-2-3機構上職制の定められていない法人の特例
  • (2) 事業主である個人若しくはこれと生計を一にする親族法令附則第16条第1項第3号
  • (3) 法令附則第16条第1項第2号に規定する受益者等から除かれる者
     一般的には次のような者がこれに該当する。
  • イ 業務委託契約、請負契約等、事業主と雇用契約以外の契約に基づく関係にある者のように使用人と認められない者
  • ロ 1年に満たない期間を定めて雇い入れられる者のように、日日雇い入れられる者及び臨時に期間を定めて雇い入れられる者
  • (4) 定年年齢又は通常退職年齢までの期間が受給資格を得るに必要な期間に満たないことが明らかな者
     ただし、定年年齢又は通常退職年齢を超えて勤務した場合に、その超えて勤務した期間を給付額算定の勤続加入期間に算入することとしているときは、受給資格を得るに必要な期間を満たすこととなったときに加入させることができる。
  • (注) 就業規則に定年延長の規定があり、その延長期間を勤続加入期間に算入する場合には、使用人兼務役員についても使用人と同様の取扱いができる。

特定使用人の除外

5 正当な理由がなく特定の使用人を加入者の範囲から除外していることはないか。

1. 趣 旨

 法令上加入者としてはならない者以外の者を加入者から除外する場合は不当差別に該当するおそれがあるので、除外することに正当な理由があるかどうかを審査する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 次に掲げる者は正当な理由があるものとして加入者から除外することができる。
  • イ 海上勤務者又は港湾労働者等のように就業条件が異なることにより、給与規程、退職金規程等が他の使用人と異なっており、かつ、全日本海員組合、全国港湾労働組合等の横断組合に属している当該使用人
  • ロ 年金制度の加入者となることに賛成しない職種又は事業所等の労働組合に属している者
  • ハ 確定給付企業年金の加入者
  • ニ 確定拠出年金法第2条第8項に規定する企業型年金加入者以下「企業型年金加入者」という。
  • ホ 東京都私学退職金社団等に使用人の一部が加入している場合の当該使用人
     ただし、その私学退職金社団等と適格年金契約の給付額等がほぼ同一のときに限る。
  • ヘ 見習期間中又は試用期間中の者
  • ト 嘱 託
     一般使用人と労働条件が同一である場合を除く。
  • チ 雇員、準社員、執行役員等
     雇員、準社員、執行役員等について、退職金規程の適用がない場合又は適用があっても一般従業員と著しく異なっている場合に限る。
  • リ 使用人兼務役員
  • (注) 他から出向中の者は、原則として、出向先企業の年金制度に加入させないものとする。
  • (2) 上記(1)の取扱いのほか、年金規程が労働協約により定められているとき又は使用人全員の同意を得ているときは、特定の使用人を加入者から除外することができる。
  • (注1) 加入者である特定の使用人を除外する変更を行う場合は、法令附則第16条第1項第10号の規定の適用があることに留意する。
  • (注2) 上記(2)にいう「使用人全員」とは、申請書等に記載された「使用人総数」と同一の範囲であることに留意する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、加入者の範囲を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等、就業規則又は労働協約、退職金規程、使用人全員の同意書、企業型年金規約承認通知(写)、確定給付企業年金規約承認通知(写)

  • (3) 審査手順
    • イ 年金規程等について、除外規定の有無を確認し、上記2の審査上の留意事項に掲げる者以外の者が除外されていないかどうかを確認する。
    • ロ 申請書等に記載された使用人総数と加入者数とを対比し、加入要件等から勘案してその差が異常に大きいと考えられる場合は、その実態を企業に照会し、上記2に掲げる者以外の者を除外していないかどうかを確認する。
    • ハ 特定の使用人が除外されている場合には、審査上の留意事項に掲げる者に該当する者であるかどうかを、就業規則、労働協約、使用人全員の同意書又は企業からの説明書等により確認する。

加入資格の取得期間

6 加入資格が高年齢又は長期の勤続期間になっていることはないか。また、正当な理由がなく、加入資格の取得期間待期期間を延長していることはないか。

1. 趣 旨

 加入資格の取得期間が高年齢又は長期になっている場合には、給付の対象となる期間に対して掛金を拠出する期間が非常に短くなるため、本来長期にわたり平準的に掛金を拠出し退職時の給付を準備すべきものである年金制度としての意味がないこととなる。また、一旦定めた加入資格の取得期間待期期間を延長することは、既得権を侵害するおそれがあるので、その延長に合理的な理由があるかどうかを審査する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 加入資格は、年齢若しくは勤続期間又はこれらの組合せによる客観的基準により定めることを要する。ただし、著しく高年齢又は長期の勤続期間により定めることはできない。
  • (2) 加入資格が企業の実情に即しない場合には、その取得期間年齢を延長引上げすることができるが、この場合、受給資格又は給付額について加入者の既得権を侵害することとなるときは、当該既得権のある者を加入者から除外してはならないものとする。
  • (注1) 加入資格が企業の実情に即しない場合とは、例えば次のような場合である。
  • イ 人員構成に大幅な変化があったとき。
  • ロ 年金制度になじまない短期勤続者又は若年者を加入者としているとき。
  • ハ 退職金規程の改訂により短期勤続者への給付がなくなったとき。
  • ニ 年金制度の合理化例えば一律定額給付を勤続加入期間別給付に変更すること等をいう。により変更するとき。
  • (注2) 短期勤続者への給付があるにもかかわらず、加入資格の取得期間を延長したときは、経過措置を設け既得権を保護しなければならないことに留意する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、加入資格を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等(加入資格を変更しているときは新、旧)

  • (3) 審査手順

    年金規程等の加入資格に関する規定が、上記2の審査上の留意事項に掲げる内容に合致しているか、また、加入資格の取得期間(待期期間)を延長している場合は、留意事項によっているかどうかを確認する。


加入時期

7 加入時期が加入資格を取得した直後の加入日になっているか。

1. 趣 旨

 加入時期を加入資格取得後の任意の日とする場合には、加入時期の恣意的な選択が可能となり、税務上及び年金制度上好ましくないので、加入時期は、原則として加入資格を取得した直後の加入日だけに限定されている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 加 入 時 期
  • イ 加入時期は、加入資格取得直後の一定日以下「加入日」という。とする。
  • ロ 定年年齢通常退職年齢を含む。までの期間が、受給資格を得るに必要な期間に満たないため、加入者とならなかった者が、定年延長の適用を受けたことにより受給資格を得ることが明らかとなった時は、その直後の加入日に加入させることができる。
  • (2) 拠出制の場合で加入時期に加入しない者の取扱い
     加入時期に加入しない者は、その後加入することができない。ただし、次に掲げる場合には、この限りでない。
  • イ 拠出制の年金制度から非拠出制の年金制度に変更するとき。
  • ロ 大幅な年金給付の改善を行うとき。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、加入時期を変更した契約、定年延長等に伴い追加加入が生じた契約

  • (2) 審査書類

    年金規程等

  • (3) 審査手順
    • イ 年金規程等において、加入時期が加入資格を取得した直後の加入日となっているかどうかを確認する。
    • ロ 定年延長の適用を受けたために受給資格を得ることが明らかとなった者を加入させることとしている場合には、年金規程等において加入時期が明記されているかどうかを確認する。

受給資格の取得期間

8 若年で退職する者に年金を支給することになっていることはないか。また、定年年齢又は通常退職年齢がきわめて高い場合において、高年齢で退職する者のうち一部分の者に限定して受給資格を付与していることはないか。

1. 趣 旨

 年金制度の目的は、使用人の老後の保障にあるので、社会通念上勤労に耐え得るとみられる若年者に年金を支給することは相当でない。またそのような場合には年金の額も通常少額になるので、年金とせず一時金とすべきものである。
 また、定年年齢又は通常退職年齢がきわめて高い企業において、受給資格を定年退職者又は通常退職年齢以上の退職者のみに限定する場合には、きわめて一部分の従業員だけが年金制度の恩恵を受けることとなるので、一定以上の高年齢者に対しては、できるだけ年金又は一時金の受給資格を付与することが必要である。

2. 審査上の留意事項

 年金給付の受給資格については、年齢、勤続期間又はその組み合せ等により合理的に決定されていることの他、次の点に留意する。

  • (1) 年金の支給開始年齢が、社会通念上勤労に耐え得るとみられる若年齢でないこと。ただし、遺族年金及び傷病退職による年金給付については、この限りでない。
  • (2) 定年年齢が定められていない場合又は定年年齢が公的年金である老齢基礎年金の支給開始年齢より高く定められている場合には、少なくとも当該支給開始年齢に達した者については、原則として年金又は一時金の受給資格を付与していること。
     ただし、勤続期間が短期間の場合には年金又は一時金の受給資格を付与しないことができる。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、受給資格を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等

  • (3) 審査手順

    申請書等及び年金規程等により受給資格及び定年等の取扱いを確認し、年金の受給資格が上記2の審査上の留意事項に定める内容に合致しているかどうかを確認する。


給付事由

9 年金及び一時金は退職を給付事由として支給されることになっているか。

1. 趣 旨

 年金及び一時金は、加入者の退職を給付事由として支給するものとする。したがって在職中にこれらを支給することはできない。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 年金及び一時金は、加入者の退職を給付事由として支給するものであるから、加入者としての資格を失った場合でも退職の事実がない限り支給することはできない。
  • (2) (1)の退職の事実には、所得税基本通達30-2の(2)及び(4)から(6)まで並びに同通達30-2の2に掲げる退職手当等が事業主から支払われる場合の退職に準じた事実等が含まれるので、当該事実等が生じたときは年金及び一時金を支給することができる。
  • (注1) (2)の退職に準じた事実等が生じたときに支払われる退職手当等のすべてが適格年金契約に基づくものである場合においても、(2)の適用があることに留意する。
  • (注2) 退職時に確定した一時金については、支給時期の繰延べが認められないことに留意する。
  • (3) 上記(1)、(2)にかかわらず、拠出制年金において加入者が在職中に任意脱退した場合には、加入者が負担した掛金の元利合計額利率は実勢利率以内とする。を支給することができる。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、年金又は一時金の支給時期を変更した契約

  • (2) 審査書類

    年金規程等、退職金規程又は労働協約等

  • (3) 審査手順

    年金規程等により、退職を給付事由として支給することとしているか確認する。


年金と一時金の同時支給

10 年金と一時金が同時に支給されるようになっていることはないか。

1. 趣 旨

 一時金の給付は、年金の支給要件が満たされない場合、又は年金に代えて支給する場合に限られる。
 したがって、同一退職者について年金と一時金とが同時に支給されるような制度は、年金に代わる一時金の場合を除き、設けることはできないことになっているので、これらについて審査する。

2. 審査上の留意事項

 年金に代えて支給する一時金少額一時金を除く。を支給する場合を除いて、年金と一時金とを同時に支給することはできない。

  • (注) 次の設例の場合には、勤続20年以上25年未満の者は年金給与比例部分と一時金定額部分とが同時に支給されることになるので、このような制度を設けることはできない。
  • (設例)
     ①定額部分
     年金受給資格 勤続25年以上
     一時金受給資格 勤続25年未満
  •  ②給与比例部分
     年金受給資格 勤続20年以上
     一時金受給資格 勤続20年未満
  •  次の設例の場合には、年金と一時金とが同時に支給されることがないので、このような制度を設けることができる。
    (設例)
     ①定額部分
     年金受給資格 勤続25年以上
     一時金なし
     ②給与比例部分
     年金受給資格 勤続20年以上
     一時金受給資格 勤続20年未満

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、受給資格を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等

  • (3) 審査手順

    申請書等及び年金規程等により、年金の受給資格と一時金の受給資格とが重複していないかどうかを確認する。


年金の支給期間

11 年金の支給期間が5年以上になっているか。

1. 趣 旨

 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、その支給期間が著しく短いものは、その趣旨に反することとなる。このような見地から年金の支給期間は、少なくとも5年以上でなければならない。

2. 審査上の留意事項

 勤続期間の長短、退職事由等により年金の支給期間が異なる場合においてもその支給期間は、少なくとも5年以上としなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、支給期間を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等

  • (3) 審査手順

    申請書等及び年金規程等により年金の支給期間が5年以上になっていることを確認する。


退職事由、職種等による給付の差

12 退職事由、職種、職階等の相違により、受給資格及び給付率に不当な差別を設けていることはないか。

1. 趣 旨

 一般に企業の退職金制度においては退職事由、職種、職階、学歴等により受給資格及び給付率に格差を設けているが、適格年金契約においても、その格差が社会通念上妥当なものである場合には、不当差別に該当しないものとして取扱うことができる。
 ただし、事業主の恣意性の働く余地があると認められる場合は、不当差別に該当するのでこれらについて審査する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 退職事由による給付の差
  • イ 年金規程等における退職事由の区分の明確化
     退職事由別に受給資格及び給付率に格差を設ける場合には、年金規程等労働協約又は就業規則の規定を引用する場合を含む。に定年、自己都合、会社都合及びその他の退職事由が明確に規定されていることが必要である。
  • ロ 退職事由別に異なる受給資格及び給付率
     退職事由により受給資格及び給付率に格差を設ける場合には、その格差が社会通念上妥当な範囲内のものであるときは、不当差別に該当しないものとして取扱うことができる。また、自己都合退職を会社の恣意性が入る例えばやむを得ない退職とその他の退職とに区分して、それぞれ異なる受給資格及び給付率を適用することはできない。
  • (注) 死亡退職については、保証期間のない年金給付のみの制度及び年金制度外においてそれが担保されている場合は受給資格を付与しない等の取扱いができる。
  • (2) 職種等による給付の差
     職種等が異なるだけの理由で給付に相当以上の差を設けることは不当差別になるが、次に掲げる場合には不当差別に該当しないものとして取扱うことができる。
  • イ 職員は就業規則、工員は労働協約により定められている等のため、それぞれ別個の退職金年金規程が適用されていることにより、給付に差が生ぜざるを得ない場合であって、かつその差が不当であると認められない程度のものであるとき。
  • ロ 職員及び工員に同一の就業規則が適用される場合であっても、両者の給与体系若しくは基準給与に差異があること又は退職金年金規程における受給資格及び給付率に差があること等により給付に差を設けることに相当の理由があり、かつ、その差が不当であると認められない程度のものであるとき。
  • (注1) 上記イの場合には、複数の組合が存在するため労働協約が異なるものを含む。
  • (注2) 上記イ及びロにおいては陸上員、船員、作業員等の職種の区分や事業部制等による区分についても適用する。
  • (注3) 上記ロの「相当の理由」とは就業規則上職種が明文化されている等加入者の職種が明確に区分されているものをいう。
  • (3) 職階の相違による給付率の差
     勤続加入期間又は給与にかかわりなく、職階の相違による理由のみで給付率に差を設けることは、不当差別に該当するものとする。
     ただし、他の条件による給付率が加算されることにより給付額総額に格差が生じる場合で、その差が不当であると認められない程度のものであるときはこの限りではない。
  • (4) 学歴の相違による給付率の差
     学歴の相違による理由のみで、給付率に差を設けることは、不当差別に該当するものとする。ただし、その差が不当であると認められない程度のものであるときはこの限りではない。
  • (5) 被合併法人から引継いだ従業員についての給付率の差
     合併条件等により、被合併法人から引継いだ従業員について、合併後の勤続(加入)期間に対応する部分は合併後の年金規程等に基づく給付率を、合併前の勤続加入期間に対応する部分は合併前の年金規程等に基づく給付率をそれぞれ適用して決定している場合は、不当差別に該当しないものとする。
  • (6) 特定の使用人が確定給付企業年金の加入者である場合における給付率の差
     給付の額の一部を確定給付企業年金の加入者となった特定の使用人又は既に確定給付企業年金の加入者である特定の使用人の確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約以下「確定給付企業年金に係る規約」という。に基づく給付の額に含めるため、契約の一部を解除する場合において、当該特定の使用人とそれ以外の者との間で給付率の差が生じるときは不当差別に該当しないものとする。
  • (7) 特定の使用人が企業型年金加入者である場合における給付率の差
     給付の額の一部を企業型年金加入者となった特定の使用人又は既に企業型年金加入者 である特定の使用人の確定拠出年金法第2条第12項に規定する個人別管理資産以下「個人別管理資産」という。に充てるため、契約の一部を解除する場合において、当該特定の使用人とそれ以外の者との間で給付率の差が生じるときは不当差別に該当しないものとする。
  • (8) 上記(1)から(7)の取扱いのほか、年金規程等が労働協約により定められている場合又は使用人加入者の範囲から除外された使用人を除く。全員の同意を得ている場合で、その定めが他の法令の規定及び社会通念上妥当であると認められるときは、不当差別に該当しないものとして取扱うことができる。
  • (注) 上記(2)から(4)において「その差が不当であると認められない程度」とは、一般的には両者の受給資格及び給付率の差が社会通念上妥当であると認められる場合をいい、例えば、就業規則又は労働協約等に定める職種間における退職金の差異と同一比率の範囲内であるものをいう。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、受給資格を変更した契約、給付率を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等、退職金規程、就業規則又は労働協約、使用人全員の同意書、企業型年金規約承認通知(写)、確定給付企業年金規約承認通知(写)

  • (3) 審査手順

    年金規程等で退職事由、職種、職階、学歴等により受給資格及び給付率に格差を設けていないかどうかを確認し、格差を設けている場合にはその格差に恣意性の働く余地がないかどうか、また、その差が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


給付制限

13 給付制限をしているのは、懲戒解雇者又は社会通念上給付を制限することが相当であると認められる場合のみになっているか。

1. 趣 旨

 適格年金契約においては、特定の従業員に対する給付の額を制限することは不当差別に該当することとなるが、懲戒解雇処分を受けた者について退職金の全部又は一部を支給しないことが一般に行われているので、年金規程等においても一定の要件を満たす場合には、給付を制限することができる。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 懲戒解雇者又は諭旨解雇者実質的には懲戒解雇者であるが、懲戒解雇の発令のみ留保された退職者につき、次の要件を満たしている場合には、給付を全く行わないか、又は減額することができる。
  • イ 懲戒解雇事由を就業規則で明定していること。
  • ロ 懲戒解雇者又は諭旨解雇者に対して給付を行わない旨又は給付制限をする旨を年金規程等で明定していること。
  • (2) 年金受給中の者につき、次の要件を満たしている場合には、給付を制限することができる。
     退職後一定期間内に発覚した在職中の行為で明らかに懲戒解雇に該当すると判断される不当行為があり、かつ給付を制限する旨を年金規程等で明定していること。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、新たに給付制限がなされた契約

  • (2) 審査書類

    年金規程等、就業規則

  • (3) 審査手順

    年金規程等に給付の制限が規定されている場合には、当該給付制限条項及び就業規則の関係条項の内容が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


選択一時金及び少額一時金

14 選択一時金及び少額一時金の規定は正しく定められているか。

1. 趣 旨

 年金制度の趣旨から、年金受給資格者には、原則として年金を支給すべきであるが、現在の社会情勢のもとでは、退職時又はその後に多額の一時金を必要とする場合が多いため、年金に代えて一時金の給付を選択することができることになっている。しかし、無条件に一時金の選択を認めることは、年金給付を原則としている見地から問題が生ずるので、一定の要件が定められている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 選択一時金
  • イ 選択の事由
     年金に代えて支給する一時金を選択することができる場合には、受給権を取得した使用人等又は現に年金を受給中の者が次に掲げる特別の事情により、一時金給付を希望する場合であり、あらかじめ年金規程等に明定しておくことが必要である。
  • (イ) 災 害
  • (ロ) 重疾病、後遺症を伴う重度の心身障害又は死亡生計を一にする親族の重疾病、後遺症を伴う重度の心身障害又は死亡を含む。
  • (ハ) 住宅の取得
  • (ニ) 生計を一にする親族の結婚又は進学
  • (ホ) 債務の弁済
  • (ヘ) その他前各号に準ずる事実
  • ロ 選択の時期
     年金に代えて支給する一時金を選択できる時期は、受給開始後、年金規程に定める一定期間内とし、繰延期間中においても選択することができる。
  • ハ 選択の方法
  • (イ) 原則として、全額選択することが必要であるが、退職時から受給開始時までの間において、年金現価額の一部を選択することもできるものとする。なお、この場合には、選択の割合又は選択の部分等について年金規程等に明定されていなければならない。
  • (ロ) 選択一時金額は、年金現価額以下とすること。
     ただし、特例適格年金契約については、自主審査要領36によるものとする。
  • (ハ) 保証期間付終身年金及び保証期間付有期年金における選択一時金額は、退職時から支給開始時までに選択するときは、保証期間経過後の年金現価額を含めた年金現価額以下とすることができるが、支給開始後に選択するときは、保証期間から既に年金を支給した期間を控除した後の期間以下、「残存保証期間」という。の年金現価額以下とすることが必要である。
     ただし、特例適格年金契約については、自主審査要領36によるものとする。
  • (ニ) 選択一時金の年金現価率は、実勢利率を使用するものとし、あらかじめ年金規程等にその年金現価率を明定しておかなければならない。
  • (2) 少額一時金
     年金月額が少額の場合には年金に代えて一時金とすることも年金規程等に明定されていれば差支えない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、選択一時金・少額一時金がある契約に変更した契約、選択一時金の選択方法を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等

  • (3) 審査手順

    申請書等及び年金規程等により、選択一時金及び少額一時金の有無を確認し、それがある場合は、年金規程等における当該条項の内容が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


給付の不利益変更

15 相当の事由がなく加入者に不利となる受給資格の変更が行われていることはないか。また、相当の事由があると認められる場合以外において、給付の額の減額が行われていることはないか。

1. 趣 旨

 受給資格は年金規程等の重要な定めであり、みだりに変更すべきではない。特に、受給資格の取得期間を延長することは、すでに受給資格を取得している加入者の既得権ないしは加入者の期待権を侵害することになり、相当の事由がなく行うことはできない。
 また、給付の額の減額は、「その減額を行わなければ掛金等の払込みが困難になると見込まれることその他の相当の事由があると認められる場合を除くほか、その減額を行うことができるものでないこと」とされている法令附則第16条第1項第11号
 なお、年金資産の運用実績に給付の額を連動させるような給付設計はできないことに留意する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 受給資格の変更
  • イ 次に掲げる場合は、相当の事由があるものとして受給資格を変更することができる。
  • (イ) 定年給付のみの制度又は定年のみに年金の受給資格を付与している制度において、定年延長されたことに伴い、受給資格が新定年年齢に引上げられるとき。
  • (ロ) 制度の改善、合理化等を図るため、年金の受給資格を引上げて、従前の年金現価相当額を一時金に振替え支給するとき。
  • (ハ) 勤続期間の短いおおむね10年未満退職者に対する年金又は一時金の受給資格を延長するとき。
     ただし、その延長時における加入者については従前の受給資格が適用される旨の経過措置を設ける場合に限る。
  • ロ 次に掲げる場合において、労働組合又は使用人の過半数の同意(注)があるときは、相当の事由があるものとして、受給資格を変更することができる。
  • (イ) 年金額が僅少のため年金給付の目的に合わなくなった制度において、年金の受給資格の取得期間を延長し、全体として従前の総給付現価を上回るよう年金額を引上げるとき。
  • (ロ) 退職金規程の受給資格の取得期間を延長することに伴い、年金規程等の受給資格の取得期間を延長するとき。
  • (ハ) 新たに退職金の一部又は全部を移行し、給付改善を行うことに伴い、退職金規程の受給資格に合わせるため、年金規程等の受給資格の取得期間を延長するとき。
  • (ニ) 合併又は営業譲渡により退職給付の受給資格を変更しなければならなくなったことに伴い、年金規程等の受給資格を変更するとき。
  • (注) 受給資格を変更する場合において、総給付現価が変更前のそれを下回る場合は、給付の額の減額に該当するのであるが、(2)リに規定する相当の事由があると認められる場合に該当するものとして取り扱う。なお、この場合には、(2)の(注)の適用があることに留意する。
  • (2) 給付の額の減額
     法令附則第16条第1項第11号に規定する「その減額を行わなければ掛金等の払込みが困難になると見込まれることその他の相当の事由があると認められる場合」には、次に掲げる場合に行う加入者に係る給付の額の減額が該当する。
  • イ 受益者等が厚生年金基金の加入員となったため、又は既に厚生年金基金の加入員である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該厚生年金基金に係る給付の額に含めるため、当該厚生年金基金に係る給付の額に含める部分に相当する給付の額を減額する場合の他、次に掲げるような場合。
  • (イ) 掛捨て保険料からなる遺族特約を廃止又は減額する場合。
  • (ロ) 年金現価額で減額されていない場合において、年金支給期間を短縮することに伴い、年金支給総額を減額する場合又は年金支給期間を延長することに伴い、年金月額年額を減額する場合。
  • (ハ) 変更時の加入者については従前の年金規程等による給付額を保証する旨の経過措置を設けたうえで、年金又は一時金の給付の額を減額する場合。
  • ロ 受益者等が確定給付企業年金の加入者となったため、又は既に確定給付企業年金の加入者である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を確定給付企業年金に係る規約に基づく給付の額に含めるため、当該確定給付企業年金に係る規約に基づく給付の額に含める部分に相当する給付の額を減額する場合
  • ハ 受益者等が企業型年金加入者となったため、又は既に企業型年金加入者である当 該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該企業型年金加入者の 個人別管理資産に充てるため、給付の額を減額し、確定拠出年金法第54条第1項及 び確定拠出年金法施行令附則第2条第3項の規定により適格年金契約の資産の移換を行う場合。
  • ニ 受益者等が中小企業退職金共済契約の被共済者となったため、当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を確定給付企業年金法附則第28条第1項に規定する被共済者持分額以下「被共済者持分額」という。に含めるため給付の額を減額し、独立行政法人勤労者退職金共済機構に引き渡す場合
  • ホ 給与水準の引上げ又は定年年齢の引上げ等雇用条件の改善の見返りとして、給付の額を減額する場合。
  • ヘ 事業主が経営不振の状態に陥ったため、給付の額を減額する場合。なお、次の事由が生じている場合には、これに該当するものとして取り扱うことができる。
  • (イ) 会社更生法の規定による更生手続き開始決定その他これに準ずる事実が生じたため、給付の額を減額する場合。
  • (ロ) 事業主が債務超過の状態に陥ったため、給付の額を減額する場合。
  • (ハ) 事業主の財務状況が低下してきていることから、その回復を図るために具体的なリストラ等の合理化策を講じており、年金規程等における給付の額も減額しなければその回復が困難であるため、給付の額を減額する場合。
  • ト 運用利回りの著しい低下や予定利率の引下げ等予期せざる事由により過去勤務債務等の額が著しく増加し、給付の額を減額しなければ掛金等の払込みが困難になると見込まれるため、新たに増加した過去勤務債務等の額に相当する金額の範囲内で給付の額を減額する場合。
  • (注) 掛金等の払込みが困難になると見込まれる場合において、例えば、いわゆる年金換算率を実勢利率までの水準に引き下げる方法によって給付の額を減額することができることに留意する。
  • チ 合併又は営業の譲渡に伴い、被合併法人又は営業の譲渡を行った事業主の適格年金契約の給付水準に合わせるため、当該給付水準を下回らない範囲内で給付の額を減額する場合。
  • リ その他給付の額を減額することにやむを得ない事由等相当の事由があると認められる場合。
  • (注) ハ、ニ、ホ、ヘ(イ)の場合を除く。、ト、チ又はリの事由により給付の額を減額する場合には、申請書等に、加入者の3分の2以上の同意及び加入者の3分の1以上で組織する労働組合がある場合の当該労働組合の同意加入者の3分の2以上で組織する労働組合がある場合には、当該労働組合の同意で加入者の3分の2以上の同意に代えることができる。を得ていることを明らかにする書面を添付するものとするハ又はニの事由により適格年金契約の全部を解除することとなった場合も同様とする。
  • (3) その他の変更
     年金制度の合理化、給付形態の変更又は給与体系の変更に伴い、その時点で退職したと仮定した場合の給付の額が減額となる者が生じた場合において、労働組合の同意又はそれらの者から減額についての同意を得ている場合総給付現価が変更前のそれを下回らない場合に限る。は不利益変更に該当しないものとする。
  • (注) 給与体系の変更等により基準給与が増加したことに伴い、それに見合う支給率を引き下げる場合は、加入者全員について給付の額が変更前のそれを下回らないことに留意する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    受給資格及び給付額を変更した契約

  • (2) 審査書類

    申請書等、年金規程等新、旧、給与規程、退職金規程、労働協約、受給資格を変更する場合における労働組合又は使用人の過半数の同意書、給付の額を減額する場合における加入者の3分の2以上の同意書及び加入者の3分の1以上で組織する労働組合がある場合の当該労働組合の同意書、または給付の額を減額する場合における加入者の3分の2以上で組織する労働組合の同意書

  • (3) 審査手順

    申請書等、新旧年金規程等により受給資格及び給付額の変更を確認し、加入者に不利となる受給資格及び給付額の変更が行われている場合は、上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。


通常掛金等の拠出期間

16 通常掛金等の拠出期間が制度加入時から退職時又は通常退職年齢まで拠出するよう定められているか。

1. 趣 旨

 適格年金契約は、加入者の退職後における年金の給付に必要な原資を準備するため、使用人の在職中に掛金を拠出する事前積立を建前としており、通常掛金等の拠出期間は、制度加入時から退職時又は通常退職年齢までの全期間としなければならない。

2. 審査上の留意事項

  •  通常掛金等の拠出については、制度加入時から退職時又は通常退職年齢まで継続して拠出するように定められていなければならないが、次に掲げる期間で、当該期間を給付額算定の勤続加入期間に算入しない場合は、年金規程等にその旨を明定することにより、当該期間の通常掛金等の拠出を打切ることができる。
  • (1) 通常退職年齢を超えて勤務した場合において、当該通常退職年齢を超えて勤務した期間
  • (2) 定年年齢を引き上げたにもかかわらず、旧定年年齢までの勤続加入期間により給付を行う場合における旧定年年齢以降の期間
  • (3) 休職期間育児休業期間、介護休業期間等を含む。
  • (4) 一部の者が定年を延長して勤務した場合において、その定年を超えて勤務した期間

3. 審査手続

  • (1) 対象契約

    新規契約、定年延長等により退職時又は通常退職年齢まで拠出をしなくなった期間がある契約

  • (2) 審査書類

    年金規程等、就業規則又は労働協約

  • (3) 審査手順
    • イ 年金規程等により、通常掛金等の拠出期間が制度加入時から退職時又は通常退職年齢までとなっているかどうかを確認する。
    • ロ 就業規則又は労働協約に定年延長規定があり、定年延長期間定年の定めがない場合は通常退職年齢を超えて在職する期間を勤続加入期間に算入しない場合は、年金規程等において拠出を打切る扱いになっているかどうかを確認する。

掛金等の払込方法

17 掛金等の払込方法拠出時期及び拠出額は正しいか。

1. 趣 旨

 掛金等の拠出時期及び拠出額については、年金財政上適正に定められていることが必要であり、年1回以上規則的に拠出する方法によらなければならない。また、払込方法を変更する場合は、税務上の弊害が生ずるおそれがあるので、その変更に合理的な理由があるかどうかを審査する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 掛金等の拠出時期は、一定期間経過するごとに拠出されるよう、年金規程等において定められていなければならない。
  • (2) 掛金等の拠出時期は、次に掲げる場合を除き、変更することができない。
  • イ 財政再計算を行うとき経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6ヵ月以内
  • ロ 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率、経験予定脱退率又は予定昇給率を採用するとき。
  • ハ 給付の増額、受給資格の緩和又は給付の種類を追加するとき。
  • ニ その他掛金等の拠出時期の変更に合理的な理由があると認められるとき。
  • (3) 掛金等の払込みが当該契約書又は協定書上の掛金払込みの猶予期間を経過し、なお、相当期間おおむね1年継続して延滞した場合に、事業主がその後継続して掛金等を払い込む意思が認められないときは、適格要件に合致しないものとして取扱う。
  •  ただし、事業主においてその後継続して掛金等を払い込む意思が認められるときは、1年程度上記期間を延長することができる。
  • (4) 延滞掛金の払込方法は次のいずれかによることができる。
  • イ 延滞掛金の合計額延滞利息を含む。を一括して払い込む方法
  • ロ 延滞掛金の合計額延滞利息を含む。を当該延滞期間に相当する期間内に均等分割して払い込む方法
  • ハ 延滞期間終了時に過去勤務債務等の額を洗替えし、掛金率を改めて払い込む方法
  • (5) 掛金等は、法人事業主にあっては一事業年度分、個人事業主にあっては1年分の掛金等に相当する金額を超えて払い込むことができない。ただし、次に掲げる場合はこの限りでない。
  • イ 掛金等の払込みが延滞し、それまでに延滞した掛金等に相当する金額の全部又は一部を払い込むとき。
  • ロ臨時拠出金を払い込むとき。
  • ハ 受益者等が企業型年金加入者となるため、又は既に企業型年金加入者である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の全部又は一部を当該企業型年金加入者の個人別管理資産に充てる場合において、過去勤務債務等の現在額の全部又は一部について法規附則第5条第2項第2号の規定に基づき掛金等を払い込むとき。
  • (注) この場合において、当該掛金等の払込み時期は企業型年金に係る規約について厚生労働大臣の承認を受けた日から当該企業型年金に係る規約の施行日の前日までとなることに留意する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、掛金等の払込み方法を変更した契約
  • (2) 審査書類
    契約書、年金規程等
  • (3) 審査手順
    イ 契約書、年金規程等により、掛金等の拠出時期に関する規定が、上記2の審査上の留意事項に掲げる基準に合致しているかどうかを確認する。
    ロ 拠出方法を変更する場合は、上記2の審査上の留意事項に掲げる場合に該当しているかどうかを確認する。

加入者負担掛金の限度

18 加入者が負担した掛金等の額が、掛金等の額の50%を超えていることはないか。

1. 趣 旨

 適格年金契約の掛金等は、法令附則第16条第1項第2号により事業主が払い込むこととされているが、事業主を通じて加入者が、掛金等の一部を負担することもできる。この場合における加入者負担額が事業主負担額に比して過大であるような場合は、適格年金契約として適当ではない。
 また、掛金等の加入者負担がある場合には、原則として年金制度への加入及び脱退は本人の任意とする。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 通常掛金等の加入者負担割合は、通常掛金等の額の50%相当額を超えることはできないことに留意する。
  • (2) 制度変更に際しては、掛金等の加入者負担割合を変更することができるが、財政再計算の結果、通常掛金等の額が変更され、かつ加入者負担の額を変更できない事情がある場合には、その負担額が通常掛金等の額の50%相当額を若干上回っても差支えないものとする。
  • (注) 過去勤務債務等の額に係る掛金等を加入者に負担させるときは、合理的な負担方法によることとし、かつ加入者の負担割合については通常掛金等に準じた取扱いとしなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約のうち掛金等の加入者負担がある契約、加入者負担がある契約に変更した契約及び加入者負担割合が変更された契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    年金規程等における掛金等の加入者負担割合が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているのかどうかを確認する。

基準給与

19 掛金等の額及び給付の額の算定の基礎となる基準給与は、適正か。

1. 趣 旨

 掛金等の額及び給付の額の算定の基礎となる基準給与は、事業主の恣意性が介入するおそれがなく、かつ従業員に理解し易いものを使用することが適当であるので現に使用している給与規程又は退職金規程これに準ずるものを含む。に定められたものを使用することを原則とする。また、基準給与に従業員個々の事情により差の生ずる住宅手当、家族手当又は残業手当等不安定な各種手当を含めることはできない。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 基準給与は、給与規程又は退職金規程に定められたものを使用することが原則であるが、年金制度のために特別に定められた給与であっても事業主の恣意性が介入するおそれがないと認められる給与であれば基準給与とすることができる。
  • (注) 使用人の一定の状況例えば、勤続年数、資格等に応じてあらかじめ定められたポイントを付与し、当該ポイントの累計に一定の金額を乗じて給付の額が算定される制度いわゆるポイント制において、付与されたポイントに当該一定の金額を乗じた額は、年金制度のために特別に定められた給与に含むものとする。ただし、ポイントの格差が概ね規則的であり極端な段差が生じていないこと、付与された最低ポイントと最高ポイントの格差が大幅に乖離していないことに留意する。
  • (2) 役職手当、特殊勤務手当、技能手当等毎月一定額が支給され本来基準内賃金とみなされる給与については、基準給与に含めることができる。
  • (3) 厚生年金保険における標準報酬から実費弁償に類するもの及び不安定要素の大きいものを除いたものについて厚生年金保険の標準報酬月額等級区分によるものを基準給与とすることができる。
  • (4) 使用人兼務役員の基準給与は、法基通9-223使用人分の給与の適正額の例により算定した基準給与としての適正額とする。
  • (5) 就業規則又は労働協約に日給者及び月給者の区分が明定されている場合において、日給の月給換算は就業規則又は労働協約の定めによるものとし、その定めがない場合は、実労日数等客観的な基準に基づき換算するものとする。
  • (6) 年により上下変動が著しい年俸は基準給与とすることはできないが、年俸を構成する部分で、安定的に増加するとみなされる部分がある場合には、当該安定的とみなされる部分を基準給与とすることができる。
  • (7) 掛金等の算出の基礎となる基準給与と給付額算出の基礎となる基準給与を異にすることはできない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、給与比例制に変更された契約及び給与体系が変更された契約並びにポイント制に変更された契約及びポイント体系が変更された契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等、就業規則又は労働協約、給与規程、退職金規程、資格規程、昇格基準等
  • (3) 審査手順
    年金規程等の基準給与と就業規則又は労働協約、給与規程、退職金規程と照合し、その内容が上記2の審査上の留意事項を満たしているかどうかを確認する。また、申請書等に記載された基準給与の引用条文等が正しいかどうかを確認する。なお、ポイント制の制度においては、資格規程、昇格基準等により、事業主の恣意性が介入する余地がないかどうか確認する。

通常掛金等の積立方法の変更

20 通常掛金等の積立方法積立方式及び掛金等の形態の変更は適正に行われているか。

1. 趣 旨

 通常掛金等の積立方法は、契約当初に定めたものを継続的に使用すべきである。したがって、その積立方法を変更することができるのは、一定の要件を満たす場合に限られている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 通常掛金等の積立方法は、継続して使用しなければならないが、次に掲げる場合は、変更することができるものとする。
  • イ 財政再計算を行うとき経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内
  • ロ 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率、経験予定脱退率又は予定昇給率を採用するとき。
  • ハ 給付の増額、受給資格の緩和又は給付の種類を追加するとき。
  • ニ その他積立方法の変更に合理的理由があると認められるとき。
  • (注) 受託機関の変更又は制度変更に伴い、個人平準方式又は一時払積増方式から他の方式へ変更するとき及び保険契約又は共済契約から信託契約に変更したことに伴い到達年齢方式から他の方式へ変更するときは、上記ニに該当するものとする。
  • (2) 通常掛金等の形態
     通常掛金等の形態は、給付形態と一元的に取扱われるものである。したがって、給付形態の変更が行われるときは、必ずこれを変更しなければならない。ただし、一時払積増方式又はこれに準ずる方式を採用している場合は、この限りでない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    通常掛金等の積立方法を変更した契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、掛金の算式、責任準備金率表
  • (3) 審査手順
    申請書等により、積立方法の変更が確認されたときは、上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致した変更であるかどうかを確認する。

過去勤務債務等の積立方法

21 過去勤務債務等の積立方法管理方式、掛金等の形態及び償却割合は適正に定められているか。また、これらの変更は適正に行われているか。

1. 趣 旨

 過去勤務債務等の掛金等は、通常掛金等と同じく掛金等の重要な部分を占めている。
 したがって、過去勤務債務等は、年金制度の内容や事業主の経理負担等の実情に即した適正な積立方法を定めて償却していく必要があり、これを頻繁に変更することにより年金財政上の弊害及び税務上の問題を生じさせないよう配慮する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 過去勤務債務等の管理方式
     過去勤務債務等の管理方式は、個別管理又は一括管理のいずれかの方式によるものとする。ただし、経験予定脱退率を使用している場合には、一括管理方式によるものとする。
  • (2) 過去勤務債務等の掛金等の形態及び償却割合
     過去勤務債務等の掛金等の形態及び償却割合は法令附則第16条第1項第7号イからハまでによる。
  • (3) 過去勤務債務等の積立方法管理方式、掛金等の形態、償却割合の変更
     過去勤務債務等の積立方法は、次に掲げる場合には、変更することができる。
  • イ 財政再計算を行うとき経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内
  • ロ 基礎率の変更が必要になったとき。
  • ハ 給付の増額、受給資格の緩和又は給付の種類を追加するとき。
  • ニ 次に掲げる場合において、過去勤務債務等の洗替が必要と認められるとき。
  • (イ) 法人の合併又は営業譲渡が行われるとき。
  • (ロ) 共同委託者結合子会社を追加又は除外するとき。
  • (ハ) 臨時拠出金を払い込む必要が生じたとき。
  • ホ その他積立方法の変更に合理的理由があると認められるとき。
  • (4) 過去勤務債務等の洗替基準
     財政再計算を行うとき経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日から6ヵ月以内及び基礎率の変更がある場合は、過去勤務債務等の洗替を行う。また、基礎率の変更がない場合であっても、次に掲げる場合において必要と認められるときは、過去勤務債務等の洗替を行うものとする。
  • イ 給付の増額、受給資格の緩和又は給付の種類を追加したとき。
  • ロ 法人の合併又は営業譲渡が行われるとき。
  • ハ 共同委託者結合子会社を追加又は除外するとき。
  • ニ 臨時拠出金を払い込む必要が生じたとき。
  • ホ 受益者等が企業型年金加入者となったため、又は既に企業型年金加入者である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該企業型年金加入者の個人別管理資産に充てるため、給付の額を減額し、適格年金契約の資産の移換を行うとき。
  • ヘ その他過去勤務債務等の額が著しく増減すると見込まれるとき。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、過去勤務債務等の積立方法を変更した契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等、掛金の算式、責任準備金率表
  • (3) 審査手順
    イ 管理方式を年金規程等の関係条文によって確認し、実際の計算がその方式どおりに行われているかどうかを確認する。
    ロ 申請書等と年金規程等に定められた償却割合を突合し、算式で実際に同割合が使用されていること及び同割合が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。
    ハ 積立方法を変更した場合は、上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

通常掛金等の積立方式

22 通常掛金等の積立方式は、予定利率、予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率給与比例制の場合を算定基礎とし、原則として平準的な掛金等によって事前積立を行うものとなっているか。

1. 趣 旨

 適格年金契約の掛金等は、法令附則第16条第1項第5号において適正な年金数理に基づき算定されなければならないと定められており、予定利率、予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率給与比例制の場合を算定基礎とし、原則として平準な掛金等によって事前積立を行う積立方式を使用しなければならない。
 なお、給付額が、法令附則第16条第1項第6号に規定する掛金等に係る給付開始時の元利合計額に等しいものであるときは、適正な年金数理に基づいたものではないことに留意する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 通常掛金等の積立方式は、次に掲げるもののうちいずれかによるものとする。
  • イ 到達年齢方式
  • ロ 加入年齢方式
  • ハ 個人平準方式
  • ニ 一時払積増方式
  • ホ その他合理的な積立方式
  • (2) 基礎率
  • イ 予定利率、予定死亡率及び予定脱退率は、すべての契約について使用する。
  • ロ 予定昇給率は、給与比例制を採用している契約に使用する。ただし、一時払積増方式の場合はこの限りでない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、財政再計算を迎えた契約、通常掛金等の積立方式を変更した契約、基礎率を変更した契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、基数表
  • (3) 審査手順
    イ 申請書等に記載した積立方式が、上記2の審査上の留意事項に定めるとおりになっているかどうかを確認する。
    ロ 予定利率、予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率を使用しているかどうかを申請書等及び基数表により確認する。

基礎率

23 予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率は、算定の時の現況において合理的に計算されているか。また、予定利率は設定の時及び再計算日において基準利率以上となっているか。

1. 趣 旨

 基礎率のうち、予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率はその算定時の現況において合理的に計算されたものを使用しなければならない。したがって、これらの基礎率は、原則として事業主の実績によるものでなければならないが、例えば死亡率や事業主の実績によることが相当でない場合等の脱退率は、それぞれに応じた算定方法が定められている。また、予定利率は設定の時及び再計算日において法規附則第5条第4項に規定する基準利率以上の率を使用しなければならない。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 予定死亡率
  • イ 予定死亡率は、通常は次の方法によるものとする。
  • (イ) 国民生命表
  • (ロ) 厚生年金基金の財政運営において使用する死亡率
  • (ハ) 確定給付企業年金法施行規則第43条第2項第2号に規定する基準死亡率
  • ロ イに掲げる予定死亡率は、合理的に補正することができる。
  • ハ 予定死亡率は、国民生命表等が改められた場合でその見直しが必要なときを除き、次回の財政再計算の時まで変更することができない。
  • (2) 予定脱退率
  • イ 予定脱退率は、算定の日前3年間の実績に基づいて算出することを要する。ただし、設立後日の浅い法人のように使用すべき実績がない場合や火災等により過去の記録を失い実績によることができない場合等には、次回財政再計算を3年後に行うことを条件として、次の方法によることができる。
  • (イ) 業種、業態並びに事業規模が類似している事業主の脱退率を勘案して算定する。
  • (ロ) 1年以上3年未満の実績に基づいて算定する異常な退職者を含む年度を除いた場合を含む。
  • (ハ) 法人の分割等により新たに設立された法人については、分割前の法人等の脱退率を使用する。
  • ロ 予定脱退率の算定基準日は、原則として次のとおりとする。
  • (イ) 財政再計算財政再計算と同時に年金規程を変更する場合を含む。の場合
     再計算日。ただし、脱退率に大幅な変動がないと認められるときは再計算日前6カ月以内の日を算定基準日とすることができる。
  • (ロ) (イ)以外の場合
     年金規程の施行日若しくは変更日又はこれらの日前6カ月以内の日
  • ハ 予定脱退率の算定にあたっては、当該算定の基礎となった期間に異常な退職者を含む年度があるときは、当該年度又は当該異常な退職者を除いて過去3年以上の実績を使用するものとする。
  • (注) 異常な退職者を含む年度とは、法人の分割又は企業規模の縮小等により年間退職者数が他の年度に比し著しく増加した年度をいう。
  • ニ 予定脱退率に安全率を見込む場合は次の方法によるものとする。
  • (イ) 実績値に80%~120%の一定率を乗ずる方法。
  • (ロ) 退職者のうち、短期の勤続者を除いて算定する方法。
  • ホ 予定脱退率は、次回の財政再計算時まで変更しないものとする。ただし、次に掲げる場合には、脱退率の見直しを行い、必要があると認められるときはこれを変更するものとする。
  • (イ) 合併又は共同委託結合契約への変更共同委託者結合子会社の追加を含む。等により、加入者数が大幅に増減したとき。
  • (ロ) 加入資格又は定年年齢が変更されたとき。
  • ヘ 加入者数が100人に満たない場合は、事業主の実績に基づいて算定された予定脱退率に代えて、複数の適格年金契約の加入者の退職実績に基づいて合理的に算定された予定脱退率「経験予定脱退率」という。を使用することができるものとする。
     この場合、上記ロ~ホは適用しないことができる。
  • ト 予定脱退率を変更する場合において、前回算定時より加入者数が減少し事業主の実績に基づいて算定することができないと認められるときは、経験予定脱退率を使用することができるものとする。
  • (3) 予定昇給率
  • イ 予定昇給率は、算定の日現在の実績による年齢別平均給与又は年齢勤続別平均給与により算出することを原則とするが、当該方法が適当でない場合には、勤務年数別等集団の特性に適合した方法を用いることができる。
     ただし、必要に応じて合理的な方法により将来の給与水準の変動を見込むことができるものとする。
  • ロ 予定昇給率の算定基準日は上記(2)ロに準ずる。
  • ハ 予定昇給率は、次回の財政再計算時まで変更しないものとする。ただし、次に掲げる場合には昇給率の見直しを行い、必要があると認められるときは変更するものとする。
  • (イ) 合併又は共同委託結合契約への変更共同委託者結合子会社の追加を含む。等により、加入者数が大幅に増減したとき。
  • (ロ) 加入資格又は定年年齢が変更されたとき加入資格の変更又は定年年齢の変更に対応する年齢の予定昇給率のみを変更するときを含む。
  • (ハ) 基準給与としている給与の体系が変更されたとき。
  • (4) 数理計算上の定年
  • イ 定年制のある場合は、その定年年齢を数理計算上の定年とする。ただし、定年延長規定があり延長後の特定の年齢が実質的な定年と認められる場合には、当該年齢を数理計算上の定年とすることができる。
  • ロ 定年制のない場合は、過去の退職実績又は厚生年金保険の年金支給開始年齢等を勘案して通常退職年齢を定め、これを数理計算上の定年とする。
  • ハ 通常退職年齢は、原則として次回の財政再計算時まで変更しないものとする。
  • (5) 予定利率
  • イ 予定利率は、法規附則第5条第4項に規定する基準利率以上で設定する必要がある。
  • ロ 予定利率は、次回の財政再計算時まで変更することができない。なお、再計算日において予定利率が基準利率を下回る場合には基準利率以上に変更する必要がある。
  • (注1) 経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、契約締結の時から5年以内の一定期間ごとの対応日を上記の再計算日とみなす。
  • (注2) 経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約から事業主の実績に基づく予定脱退率又は予定昇給率を使用する契約に変更する契約にあっては、当該事業主の実績に基づく予定脱退率又は予定昇給率を使用することとなった日を上記の再計算日とみなす。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、財政再計算を迎えた契約、基礎率を変更した契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、就業規則又は給与規程、基数表、脱退率算出表、昇給率算出表、人員構成表
  • (3) 審査手順
    イ 予定脱退率及び予定昇給率の算定基準日が上記2の審査上の留意事項に定めるとおりになっているかを確認する。
    ロ 予定脱退率を算定している場合は、各年度の退職者数を検討し、異常に退職者の多い年度がある場合には、異常退職かどうかの実態を調査し、上記2の審査上の留意事項のとおり計算されているかどうかを確認する。また、安全率を見込んでいる場合には、上記2の審査上の留意事項に定める方式によっているかどうかを確認する。
    ハ 予定死亡率、予定脱退率又は予定昇給率を変更している場合は、上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。
    ニ 定年制があるときは、基数表の最高年齢と数理計算上の定年とが一致しているかどうかを確認する。定年制がないときは、上記2の審査上の留意事項を満たしているかどうかを確認する。
    ホ 予定利率を設定又は変更している場合は、上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

特定年齢

24 特定年齢は合理的に定められているか。

1. 趣 旨

 特定年齢は掛金等の決定に際し選択する標準的な加入年齢であるから、合理的に定められていることが必要である。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 特定年齢の定め方は、次に掲げるもののうちいずれかによるものとする。
  • イ 過去3年間の新規加入者の平均年齢
  • ロ 過去3年間の年齢別新規加入者数の最も多い年齢モード
  • ハ 年金制度に加入することのできる最低の年齢
  • ニ 通常掛金等が最小となる年齢
  • ホ その他合理的であると認められる年齢
  • (2) 特定年齢の定め方及び特定年齢は、次に掲げる場合には変更することができる。
  • イ 財政再計算時経験予定脱退率を使用する契約で予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約締結のときから5年以内の一定期間ごとの対応日から6カ月以内
  • ロ 加入資格又は受給資格を変更したとき。
  • ハ 合併等により特定年齢の実質的な変動が大幅であるとき。
  • ニ 新たに事業主の実績に基づく予定脱退率又は経験予定脱退率を使用したとき。
  • ホ その他特定年齢を変更することについて合理的な理由があるとき。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    特定年齢を使用する加入年齢方式を採用している新規契約、財政再計算を迎えた契約、特定年齢を変更した契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、人員構成表
  • (3) 審査手順
    申請書等に記載した特定年齢が、人員構成表の加入年齢別人員分布等から判断して上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

他社勤務期間の通算及び掛金等の負担方法

25 他社勤務期間の通算を行うこととしている場合は、年金規程等に通算に関する定めが明記されているか。また、共同委託結合契約の場合又は出向・転籍に伴い掛金等を他社に負担させる場合には、その掛金等の負担方法は合理的に定められているか。

1. 趣 旨

 適格年金契約における他社勤務期間の通算は、共同委託結合契約の場合、他社へ出向した場合、勤務期間を通算する会社以下「関係会社」という。から転籍があった場合、法人の分割・合併により転籍があった場合、営業譲渡及び法人成等により従業員を引継いだ場合等に行うものとする。
 この場合において、他社勤務期間に見合う過去勤務債務等の掛金等は、原則として当該他社が負担しなければならないのであるが、その負担方法は合理的に定められていることが必要である。

2. 審査上の留意事項

 掛金等の負担方法で合理的な方法とされるものは、次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に掲げるようなものとする。

  • (1) 共同委託結合契約の場合
  • イ 通常掛金等は、次に掲げるいずれかの方法により負担する。
  • (イ) 加入者別に掛金率が定められている場合には、それぞれの法人について計算された額
  • (ロ) (イ)以外の場合には、年金規程等の共通の掛金率
  • ロ 過去勤務債務等に係る掛金等は、次に掲げるいずれか一の方法のうち最も合理的であると認められるものにより負担する。ただし、事業主の人員構成等からみて合理的であると認められるときは、共通の掛金率によることもできる。
  • (イ) 負担区分の算定時点におけるそれぞれの加入者の責任準備金又はこれに類するものの比
  • (ロ) 負担区分の算定時点におけるそれぞれの加入者の勤続加入期間の比又は加入者の給与と勤続加入期間の相乗積の比
  • (ハ) その他合理的な方法
  • (2) 共同委託者を除く関係会社間で転籍があった場合
  • イ 適格年金契約締結前又は締結後において適格年金契約を締結していない関係会社より転籍があったとき。
     転籍者に係る過去勤務債務等の掛金等の負担調整は、例えば退職給与引当金の設定の基礎となった要支給額に相当する金額を関係会社から受取ることにより行う。
     この場合において、年金規程等に関係会社名を明記し、その勤続期間を通算する旨の規定を設けることに留意する。
  • ロ 適格年金契約を締結している関係会社間で転籍があったとき。
     転籍元会社の適格年金契約の当該転籍者に係る要留保額を転籍先会社の適格年金契約における当該転籍者に係る責任準備金額を限度として移管することができる。この場合において、年金規程等に関係会社名を明記し、その勤務期間を通算する旨の規定を設けることに留意する。
  • (注) 転籍元会社の適格年金契約における要留保額が、転籍先会社の適格年金契約における責任準備金を上回る場合は、当該上回る部分は当該転籍者に分配しなければならない。ただし、年金規程に明定して退職時に併せ給付する場合には、当該上回る部分を移管することができる。
  • (3) 法人の合併があった場合
  • イ 被合併法人における勤務期間を通算することができる。ただし、原則として被合併法人における退職金及び退職年金が清算支給されていないときに限る。この場合において、年金規程等に被合併法人における勤続期間の通算条項を設けることに留意する。
  • ロ 被合併法人の従業員の過去勤務期間に係る給付額の評価割合は、合併法人の従業員の評価割合と同一にするのを原則とする。
  • (4) 法人の分割があった場合
  • 勤務期間の通算及び過去勤務期間に係る給付額の評価は、合併の場合における取扱いと同様とする。
  • (5) 営業譲渡があった場合
     法人の分割の場合に準じて行う。
  • (6) 営業譲受の場合
     合併の場合に準じて行う。
  • (7) 法人成の場合
     個人事業の廃止の時に、退職金の打切り支給がなかった場合は、個人事業当時の勤務期間を通算することができる。
  • (8) 出向の場合
  • イ 使用人を出向させた場合には、その勤務期間を通算する旨を年金規程等に明定しておくことが必要である。
  • ロ 出向先で役員となっている従業員は、出向元年金制度の加入者とすることができる。
  • ハ 掛金等の負担関係
  • (イ) 通常掛金等:給与の負担割合に応じて負担する。
  • (ロ) 過去勤務債務掛金等:原籍会社で負担する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約のうち他社勤務期間の通算期間がある契約及び他社勤務期間の通算をすることとなった契約
  • (2) 審査書類
    年金規程等、掛金等の負担方法に関する覚書
  • (3) 審査手順
    年金規程等において他社に勤務した期間を通算する旨の定めがあるかどうかを確認し、掛金等の負担について上記2の審査上の留意事項を満たした覚書があるかどうかを確認する。

過去勤務期間に係る給付額の評価

26 過去勤務期間に係る給付額の評価は100%以下の一定割合で行われているか。

1. 趣 旨

 給付額の計算又は受給資格の判定において制度施行日変更日前の期間もみようとする場合は、過去勤務期間に係る給付額は、100%以下の一定割合で評価する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 給付額の計算又は受給資格の判定上、過去勤務期間に係る給付額の評価方法としては、次のいずれかの方法が認められる。
  • イ 実際の勤務期間をすべてみる方法
  • ロ ある一定割合で見る方法
  • ハ 特定の年月日以降みる方法社内年金の発足日、退職金の清算等合理的な原因がある場合に限る。
  • ニ 全くみない方法
  • ホ 上記イ~ニの合理的な組合せでみる方法
  • ヘ 年金はイ~ハ、一時金はニによる方法
  • (2) 評価方法は、給付の増額等年金制度の改善を行う場合以外には変更することはできないものとする。
  • (注) 過去勤務期間に係る給付額の全部又は一部について評価しなかった場合において、当該企業の発展、年金制度の成熟等諸般の事情により、過去勤務期間に係る給付額の評価を行い、又は評価割合を引上げることは、上記(2)の「給付の増額等」に該当するものとする。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、過去勤務期間に係る評価方法を変更した契約
  • (2) 審査書類
    年金規程等、退職金規程等
  • (3) 審査手順
    イ 年金規程等により過去勤務期間に係る給付額の評価方法が上記2の審査上の留意事項を満たしているかどうかを確認する。
    ロ 評価方法の変更を行っているかどうかを確認し、行っている場合は、それが給付の増額等年金制度の改善に結びつくものであるかどうかを確認する。

剰余金及び要留保額

27 留保すべき金額を超える額剰余金は事業主に返還するようになっているか。また、剰余金及び要留保額の計算は正しいか。

1. 趣 旨

 年金制度においては通常年1回年金財政決算が行われる。年金財政決算の結果、留保すべき金額を超える額が計上された場合、これを年金財政上の剰余金といい、財政再計算時に事業主に返還しなければならないことになっており、この剰余金返還の取扱いが年金規程等に明定されているかどうかを審査する。
 また、法令附則第16条第1項第8号、第9号又は第10号ハの適用がある場合には、剰余金及び要留保額の計算が正しく行われているかどうかを確認する必要がある。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 留保すべき金額を超える額剰余金の取扱いについて、次のような規定が年金規程等になければならない。
  • イ 経験予定脱退率を使用している契約については、次のいずれかの方法で規定されていること。
  • (イ) 毎年事業主へ返還する。
  • (ロ) 5年以内の一定期間ごとに事業主へ返還する。
  • ロ 上記イ以外の契約については、財政再計算時に事業主へ返還する。
  • (2) 年金財政決算は、毎年一定の期日に行うよう契約書又は年金規程等に規定されていなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規契約、財政再計算を迎えた契約、新たに事業主の実績に基づく予定脱退率を使用する契約、新たに経験予定脱退率を使用する契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等、剰余金及び過去勤務債務等計算表
  • (3) 審査手順
    申請書等、年金規程等、添付書類により、法令附則第16条第1項第8号、第9号又は第10号ハの適用の事実を確認する。

要留保額の移受管

28 要留保額の移受管の手続きは正しく行われるようになっているか。

1. 趣 旨

 要留保額の全部又は一部を当該契約に係る受託機関以下「移管受託機関」という。から他の受託機関以下「受管受託機関」という。へ移管するため、法令附則第16条第1項第9号ホの規定に基づき、金銭その他の資産を返還する場合には、この移受管の手続きが正しく行われるようになっているかどうかを審査する。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 金銭その他の資産の移受管は、委託者契約者及び受託機関の間で移受管額等について規定した書類以下「移受管協定書等」という。に基づくものとする。
  • (2) 要留保額の移受管を掛金等配分割合その他一定の割合に基づいて行うときは、当該割合を変更した日の前日の積立財産を基準とする。
     ただし、要留保額を移管した後の積立財産が零となる受託機関の移管額は、次に掲げる額とする。
  • イ 信託契約においては移管日の前日現在の最終信託財産額
  • ロ 新企業年金保険契約又は企業年金保険契約においては移管日の前日現在の保険料積立金の額から当該保険料積立金の額に係る納税義務の確定した特別法人税等の額を控除して得た額
  • ハ 退職年金共済契約においては移管日の前日現在の共済掛金積立金の額から当該共済掛金積立金の額に係る納税義務の確定した特別法人税等の額を控除して得た額
  • (注1) 同一の信託会社で既に締結されている年金指定単契約に係る要留保額を移管して新たに年金特定契約を締結する等、同一の信託会社における複数の信託契約の間で要留保額を移受管した場合も法令附則第16条第1項第9号ホに該当することに留意する。
  • (注2) 委託者と金融商品取引業者が締結した投資一任契約が解除されることにより、委託者と信託会社が締結した年金特定契約も解除される場合には、当該年金特定契約を締結している信託会社は、要留保額の移管に係る手続きを正しく行うことに留意する。
  • (3) 移受管は、制度変更日から2ヵ月10日以内に行うものとする。ただし、財政再計算の場合は、原則として申請書等の提出期限までに移管を行う。
  • (注) 要留保額の移受管に際して、給付に支障をきたすおそれがあると認められるときは、すみやかに総幹事受託機関へ移管する。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    要留保額の移受管があった契約
  • (2) 審査書類
    契約書、申請書等、年金規程等、移受管協定書等
  • (3) 審査手順
    イ 契約書、申請書等、年金規程等により要留保額の移受管の事実を確認し、上記2の審査上の留意事項を満たした移受管協定書等が作成されていることを確認する。
    ロ 移受管額の計算が正しいかどうかをワークシート等により検証する。
    ハ 年金規程付則等に法令附則第16条第1項第9号ホに基づき要留保額の移受管を行う旨が規定されていることを確認する。

臨時拠出金

29 臨時拠出金ターミナルファンディングの払込みは適正に行われているか。

1. 趣 旨

 掛金等の払込みは、年1回以上規則的に行われなければならないが、その場合1事業年度分個人事業主の場合は1年分の掛金等に相当する金額を超えて払込むことはできないこととされている。しかし、年金数理計算時に予測できなかった事由等の発生により、給付に必要な額がその時の積立財産の額を上回ることとなった場合は、特別措置としての臨時拠出金の払込みが認められる。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 臨時拠出金の払込み額は、直接の原因となった脱退者への給付不足額のほか、同一事業年度内に予定されている年金給付額等も含めて算定することができる。
  • (2) 数回に分れて臨時拠出金を払込む場合の申請等は、事業主の同一事業年度内の臨時拠出金に限り一括してこれを行うことができる。
  • (3) 臨時拠出金を払込む場合は、その金額及び拠出日を年金規程等に明記しなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    臨時拠出金の払込みを行う契約
  • (2) 審査書類
    年金規程等
  • (3) 審査手順
    積立財産と給付請求金額等とを対比して臨時拠出金を必要とするかどうかを確認し、必要と認められるときは、上記2の審査上の留意事項にしたがって処理する。

要留保額の受益者等帰属

30 契約の全部又は一部が解除された場合における要留保額は受益者等に帰属するようになっているか。

1. 趣 旨

 適格年金契約の全部又は一部が解除された場合における当該契約に係る要留保額は、受益者等に帰属するものである。法令附則第16条第1項第10号。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 制度の廃止に伴って契約を解除する場合について、次の点が年金規程等に規定されていなければならない。
  • イ 制度が廃止された場合は、法令附則第16条第1項第10号イからニまでに該当する場合を除いて、要留保額は受益者等に帰属するようになっていること。
  •  また、積立財産が退職年金の給付に充てるため留保すべき金額を超えている場合のその超える額は、受益者等又は事業主に帰属するようになっていること。
  • ロ 要留保額について各受益者等に分配する方法を具体的に明記しておくこと。
  • ハ 共同委託結合契約の場合にあっては、それぞれの年金規程に係る責任準備金の額の割合又はその他合理的な割合に応じて按分するようになっていること。
  • (2) 相当の事由に基づき給付額の減額変更を行う場合は、契約の一部解除となり、自主審査要領⑮2(2)イ又はロの場合を除き、減額部分に係る要留保額は加入者に合理的な方法で分配する必要がある。また、やむを得ない事由に基づきある特定の加入者を適用除外する場合も契約の一部解除となり、適用除外となる加入者に係る要留保額を当該加入者に合理的な方法で分配する必要がある。ただし、次に掲げる場合のそれぞれ次に定める金額についてはこの限りではない。
  • イ 事業主が契約の一部を解除して企業型年金加入者となった者又は既に企業型年金加入者である者の個人別管理資産に充てる場合 減額部分に係る要留保額のうち個人別管理資産に充てる額又は過去勤務債務等の現在額に充てる額
  • (注) 法規附則第5条第2項第2号の規定により過去勤務債務等の現在額の一部について払込みを行う場合における上記イの過去勤務債務等の現在額に充てる額は、法規附則第5条第2項第2号の規定による払込みを行った後の過去勤務債務等の現在額となることに留意する。
  • ロ 中小企業退職金共済契約の被共済者となった者の被共済者持分額に充てるため事業主が契約の一部を解除し、独立行政法人勤労者退職金共済機構に引き渡す場合 当該独立行政法人勤労者退職金共済機構に引き渡す額

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    審査上の留意事項(1)についてはすべての契約、審査上の留意事項(2)については給付額の減額変更を行っている契約及びある特定の加入者を適用除外することとした契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    年金規程等に制度廃止に伴って契約を解除する場合の要留保額の取扱いが明定されているかどうかを確認する。
  • また、給付額の減額変更を行う場合又はある特定の加入者を適用除外とする変更を行う場合は、加入者又は適用除外となる者に要留保額が適正に分配されているかどうかを確認する。

特例適格年金契約の加入者数要件

31 特例適格年金契約において加入者数はその要件を満たしているか。

1. 趣 旨

 特例適格年金契約としての承認を受けられる契約は、原則として加入者数が500人未満の契約に限られる。
 また、特例適格年金契約としての承認を受けた後、加入者数が加入者数要件を満たさないときには、所定の期限内に措令第39条の36第16項に定める届出書以下「人数要件の届出書」という。を提出することにより一定期間特例適格年金契約として継続することができる。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 特例適格年金契約の加入者数は、500人未満であることを要する。
     ただし、共同委託結合契約においては加入者総数が800人未満、かつ、いずれの法人の加入者数も500人未満であることを要する。
     なお、農業協同組合法、農業災害補償法、水産業協同組合法、土地改良法、農業委員会等に関する法律、漁船損害等補償法、中小漁業融資保証法、たばこ耕作組合法、農業信用保証保険法、漁業災害補償法、森林組合法又は農林中央金庫法に基づき設立された法人の使用人を加入者とする特例適格年金契約については、この限りでない。
  • (2) 特例適格年金契約の締結後、毎年4月1日の加入者数が加入者数要件を満たさなかったときは、その年の6月末日までに人数要件の届出書を国税庁長官に提出することにより特例適格年金契約として継続することができる。ただし、3回連続して人数要件の届出書を提出し、かつ、3回目に人数要件の届出書を提出した年の翌年4月1日においても加入者数要件を満たさないときは、一般適格年金契約に変更しなければならない。
  • (注) 次の設例の場合、(t+3)年4月1日においても加入者数が500人以上であれば、(t+3)年4月1日付で特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更する。
  • (設例)判定年月日 : 加入者数 提 出 期 限
    t 年4月1日 : 500人以上 t 年6月末日 : 人数要件の届出書提出
    (t+1)年4月1日 : 500人以上 (t+1)年6月末日 : 人数要件の届出書提出
    (t+2)年4月1日 : 500人以上 (t+2)年6月末日 : 人数要件の届出書提出
  • (3) 加入者数要件以外の特例適格年金契約の要件を満たす一般適格年金契約が加入者数要件を満たすこととなったときは、当該加入者数要件を満たすこととなった日をもって特例適格年金契約に変更することができる。
     ただし、上記(2)により特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更した契約については、特例適格年金契約から一般適格年金契約に変更した日の翌日以降の毎年4月1日に加入者数要件を判定するものとし、当該加入者数要件を満たしている場合には、当該加入者数要件を満たすこととなった日をもって特例適格年金契約に変更することができる。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    すべての特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等
  • (3) 審査手順
    契約締結及び一般適格年金契約から特例適格年金契約への変更に際しては、当該契約が上記2の審査上の留意事項に定める加入者数となっているかどうかを、契約締結後及び一般適格年金契約から特例適格年金契約への変更後は、毎年4月1日における加入者数が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

特例適格年金契約の年金の給付水準

32 特例適格年金契約において年金の給付水準は老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上となっているか。

1. 趣 旨

 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、一定額以上の給付水準が確保されることが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約における年金の給付水準は、少なくとも老齢厚生年金の報酬比例部分厚生年金保険法第132条第2項に定める額の10%相当額以上とする必要がある。
 また、特例適格年金契約の契約締結後においても年金の給付水準が維持されるよう努めると共に、特例適格年金契約創設の趣旨に鑑みその向上に努めなければならない。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 特例適格年金契約における年金の給付水準が老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上であるかどうかは、通常掛金等の額、加入者数及び平均標準報酬月額により判定するものとし、次のイに定める額がロに定める額以上である場合、当該給付水準を満たすものとする。
  • イ 通常掛金等の額加入者負担掛金等を含む。また、通常掛金等の拠出時期が年12回でない場合は、通常掛金等の額に拠出回数を乗じ12で除した額とする。を加入者数通常掛金等が拠出される加入者に限る。で除した額
  • ロ 厚生年金保険の平均標準報酬月額社会保険庁が毎年事業年報において明らかにした全被保険者の3月末平均額に1.3を乗じて得た額の1,000分の37相当額に100分の10を乗じた額
  • (注) この場合の平均標準報酬額は、社会保険庁が毎年事業年報において明らかにした3月末における厚生年金保険の被保険者全員の標準報酬月額の平均額に1.3を乗じて得た額をいい、毎年4月1日現在において明らかにされている最新の額を当該4月1日から翌年の3月31日まで使用する。
  • (2) 特例適格年金契約の契約締結後毎年4月1日において、同日の直前の拠出基準日における通常掛金等の額につき、上記(1)イに従って計算した額が上記(1)ロの額を上回っているかどうかを判定し、これを下回った日をもって一般適格年金契約に変更しなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    すべての特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    申請書等及び年金規程等により通常掛金等の額が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

特例適格年金契約の加入資格の取得期間

33 特例適格年金契約において加入資格の取得期間待期期間は所定の期間内となっているか。

1. 趣 旨

 特例適格年金契約において加入資格の取得期間待期期間は所定の期間内としなければならない。

2. 審査上の留意事項

 特例適格年金契約において勤続期間、年齢又はこれらの組合せにより加入資格を定める場合は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。

  • (1) 勤続期間により加入資格の取得期間を定める場合は、勤続期間5年以下であること。
  • (2) 年齢により加入資格を定める場合は、25歳以下であること。
  • (3) 勤続期間及び年齢により加入資格の取得期間を定める場合は、勤続期間と年齢の合計が28以下であり、かつ、(1)及び(2)のいずれの要件も満たすこと。
  • (注1) 次の設例の場合には、勤続期間による加入資格の取得期間は5年以下、勤続期間と年齢の合計は28以下であるが、加入資格取得時の年齢が常に25歳を超えることになるので、このような加入資格を設けることはできない。
  • (設例) 加入資格の取得期間 勤続期間2年かつ年齢26歳
  • (注2) 次の設例の場合には、たとえば24歳で入社した者は28歳で加入することになり、上記(2)の要件を満たさないこととなるので、このような加入資格を設けることはできない。
  • (設例) 加入資格の取得期間 勤続期間5年又は年齢28歳

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規に締結した特例適格年金契約、一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更した契約、加入資格の取得期間の変更を行った特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    申請書等及び年金規程等により加入資格の取得期間が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

特例適格年金契約の年金受給資格

34 特例適格年金契約において年金の受給資格の取得期間は加入勤続期間20年以下となっているか。

1. 趣 旨

 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、できる限り退職者全員に対して年金の受給資格を付与することが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約においては少なくとも加入勤続期間が20年以上の退職者全員に対して年金の受給資格を付与しなければならないものとされている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 職種、職階、学歴及び加入時期等にかかわりなく、年金遺族年金を除く。の受給資格の取得期間は、加入期間受給資格が勤続期間で決定されているときは勤続期間20年以下としなければならない。
  • (2) 加入者全員の平均加入年齢受給資格が勤続期間で決定されているときは加入者全員の平均入社年齢とする。以下「判定基礎年齢」という。に20を加算した年齢の者のうち、掛金等の算定の基礎となる予定脱退率及び予定死亡率に基づいて計算したときに、80%以上の者が年金を受給できることとなる場合には、次のイ又はロにより年金の受給資格を設けることができる。
  • イ 年金の受給資格を退職事由又は一定の年齢以上の退職定年退職に限定する場合を含む。に限定すること。
  • ロ 加入勤続期間に退職事由や退職時の年齢を加味して年金の受給資格を設けること。
     なお、この場合の加入勤続期間は20年以下としなければならないことに留意する。
  • (注) 経験予定脱退率を使用する契約の判定基礎年齢は、複数の適格年金契約にかかる加入者全員の平均加入年齢受給資格が勤続期間で決定されているときは加入者全員の平均入社年齢とする。
  • (設例) LXをX歳での残存者数、判定基礎年齢20歳、定年年齢60歳とすると、L60÷L40≧80%である場合には、定年給付のみとすることができる。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規に締結した特例適格年金契約、一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更した契約、年金の受給資格を変更した特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等、基数表
  • (3) 審査手順
    申請書等及び年金規程等により年金の受給資格の取得期間が加入(勤続)期間20年以下となっているかどうかを確認する。
    また、上記2(2)については次の場合に当該基準に合致しているかどうかを確認する。
    イ 新規に特例適格年金契約を締結したとき。
    ロ 一般適格年金契約から特例適格年金契約へ変更したとき。
    ハ 特例適格年金契約で新たに事業主の実績に基づく予定脱退率又は経験予定脱退率を使用したとき。
    ニ特例適格年金契約で年金の受給資格の取得年齢を引き上げたとき定年給付のみの契約において定年延長された場合を含む。

特例適格年金契約の年金支給期間

35 特例適格年金契約において年金の支給期間は終身となっているか。

1. 趣 旨

 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、その支給期間はできる限り長期間とすることが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約における年金は終身にわたって支給しなければならないものとされている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 職種、職階、学歴及び加入時期等にかかわりなく、特例適格年金契約における年金遺族年金を除く。は終身にわたって支給しなければならない。
  • (2) 年金の一部を終身年金としない場合、終身年金の年金現価額は年金全体の年金現価額の2分の1以上としなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規に契約した特例適格年金契約、終身年金の年金現価額の割合を変更した特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    申請書等及び年金規程等により年金の支給期間が終身となっているかどうかを確認するとともに、年金の一部を終身年金としない場合には、終身年金の年金現価額が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

特例適格年金契約の選択一時金等の額

36 特例適格年金契約において選択一時金等の額は年金の保証期間の設定の有無に応じて年金現価額の90%又は保証期間部分の年金現価額を限度としているか。

1. 趣 旨

 年金制度は、退職者の老後の保障を目的とするものであるから、年金受給資格者には、できる限り年金を支給することが望ましい。
 このような見地から特例適格年金契約においては年金の支給を促進するため、年金遺族年金を除く。に代えて支給される選択一時金の額及び少額一時金の額について制限が設けられている。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 選択一時金
  • イ 年金支給開始時までに年金に代えて選択一時金を支給する場合、当該選択一時金額は次に掲げるとおりとする。
  • (イ) 年金の全部に代えて選択一時金を支給する場合、当該選択一時金額は次に掲げる場合のそれぞれ次に定める額を限度とすること。
  • a 年金に保証期間が設けられていない場合 年金現価額の90%
  • b 年金に保証期間が設けられている場合 保証期間部分の年金現価額
  • (ロ) 年金の一部に代えて選択一時金を支給する場合、当該選択一時金額は次に掲げる場合のそれぞれ次に定める額を限度とすること。なお、年金の一部を終身年金としない場合において、年金の部分毎に選択一時金を設けている場合年金の部分毎に選択の割合を設けている場合を含む。の年金の各部分についても同様とすること。
  • a 年金に保証期間が設けられていない場合 当該選択一時金が年金として支給されるとした場合の年金現価額の90%
  • b 年金に保証期間が設けられている場合 当該選択一時金が年金として支給されるとした場合の当該年金のうち保証期間部分の年金現価額
  • ロ 年金支給開始後、年金に代えて選択一時金を支給する場合、当該選択一時金額は次に掲げる場合のそれぞれ次に定める額を限度とすること。なお、年金の一部を終身年金としない場合において、年金の部分毎に選択一時金を設けている場合年金の部分毎に選択の割合を設けている場合を含む。の年金の各部分についても同様とすること。
  • (イ) 年金に保証期間が設けられていない場合 選択一時金支給時における次のaに定める額の現価額からbに定める額の現価額を控除した額
  • a 支給中の年金の年金支給開始時における現価額の90%
  • b 既に支給した年金の額
  • (ロ) 年金に保証期間が設けられている場合 選択一時金支給時における残存保証期間部分の年金の現価額
  • ハ 年金に保証期間が設けられている場合において選択一時金を支給したときは、当該選択した部分にかかる保証期間経過後の年金を支給することはできない。
  • (2) 少額一時金
     少額一時金を定めている場合、当該少額一時金額は上記(1)イの限度内としなければならない。

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    新規に締結した選択一時金・少額一時金がある特例適格年金契約、選択一時金・少額一時金を新たに設けた特例適格年金契約、選択一時金の選択方法を変更した特例適格年金契約
  • (2) 審査書類
    申請書等、年金規程等
  • (3) 審査手順
    申請書等及び年金規程等により選択一時金の額及び少額一時金の額が上記2の審査上の留意事項に定める基準に合致しているかどうかを確認する。

投資一任契約が締結されている信託契約における確認書類の徴求及び確認

37 信託財産の運用に関して投資一任契約が締結されている信託契約において、法令に掲げる要件を満たしていることを証する書類を徴求し、確認しているか。

1. 趣 旨

 年金特定契約を締結しようとする信託会社は、当該契約の事業主と信託財産の運用に関して投資一任契約を締結しようとする金融商品取引業者より、当該投資一任契約の内容が、法令附則第16条第4項に掲げる以下の要件を満たしていることを証する書類以下「投資一任契約に係る確認書」という。を徴求し、その記載内容について確認する。

  • イ 金融商品取引法第2条第8項第12号ロに規定する投資判断の全部を一任するものであること。
  • ロ 信託財産である有価証券に係る議決権及び会社法の規定に基づく株主の権利その他これに類する権利の行使について事業主がその指図を行うものでないこと。

2. 審査上の留意事項

  • (1) 事業主と金融商品取引業者との間で締結される投資一任契約が、法令に掲げる要件を満たしているかどうかの実質的な確認は、金融商品取引業者自らが行うものであるが、年金特定契約を締結しようとする信託会社は、その確認を行った当該金融商品取引業者から当該金融商品取引業者自身が作成した投資一任契約に係る確認書を徴求し、記載内容に不足や不備等がないかどうかを確認しなければならない。
  • (2) 投資一任契約に係る確認書には、次の事項が記載されていなければならない。
  • イ 金融商品取引業者の名称
  • ロ 金融商品取引業者の住所又は本店等の所在地
  • ハ 金融商品取引業者の代表者の氏名
  • ニ 金融商品取引法第29条に規定する金融商品取引業者の登録番号
  • ホ 確認を行った者の氏名
  • ヘ 確認を行った日付
  • ト 投資一任契約の相手方である事業主の氏名又は名称
  • チ 投資一任契約の相手方である事業主の住所又は本店等の所在地
  • リ 投資一任契約の締結日又は変更日
  • ヌ 当該投資一任契約の内容が、法令附則第16条第4項に掲げる要件を満たしていることを証する文言

3. 審査手続

  • (1) 対象契約
    信託財産の運用に関して投資一任契約に基づき新たに締結された年金特定契約、金融商品取引業者が変更された年金特定契約
  • (2) 審査書類
    投資一任契約に係る確認書
  • (3) 審査手順
    金融商品取引業者より投資一任契約に係る確認書が徴求されているかどうか、その記載内容が留意事項に定める内容を満たしているかどうかを確認する。

自主審査表

審査事項確認欄
総括事項①申請書等の提出区分、提出期限、記載事項及び添付書類は正しいか。 
②年金規程の施行日変更日、契約日及び再計算日は正しいか。 
③契約の要件は満たされているか。また、契約形態に応じた契約書類が作成されているか。 
加入者関係事項④加入資格のない者を加入者に含めていることはないか。 
⑤正当な理由がなく特定の使用人を加入者の範囲から除外していることはないか。 
⑥加入資格が高年齢又は長期の勤続期間になっていることはないか。また、正当な理由がなく、加入資格の取得期間待期期間を延長していることはないか。 
⑦加入時期が加入資格を取得した直後の加入日になっているか。 
給付関係事項⑧若年で退職する者に年金を支給することになっていることはないか。また、定年年齢又は通常退職年齢がきわめて高い場合において、高年齢で退職する者のうち一部分の者に限定して受給資格を付与していることはないか。 
⑨年金及び一時金は退職を給付事由として支給されることになっているか。 
⑩年金と一時金が同時に支給されるようになっていることはないか。 
⑪年金の支給期間が5年以上になっているか。 
⑫退職事由、職種、職階等の相違により、受給資格及び給付率に不当な差別を設けていることはないか。 
⑬給付制限をしているのは、懲戒解雇者又は社会通念上給付を制限することが相当であると認められる場合のみになっているか。 
⑭選択一時金及び少額一時金の規定は正しく定められているか。 
⑮相当の事由がなく加入者に不利となる受給資格の変更が行われていることはないか。また、相当の事由があると認められる場合以外において、給付の額の減額が行われていることはないか。 
掛金関係事項⑯通常掛金等の拠出期間が制度加入時から退職時又は通常退職年齢まで拠出するよう定められているか。 
⑰掛金等の払込方法拠出時期及び拠出額は正しいか。 
⑱加入者が負担した掛金等の額が、掛金等の額の50%を超えていることはないか。 
数理関係事項⑲掛金等の額及び給付の額の算定の基礎となる基準給与は、適正か。 
⑳通常掛金等の積立方法積立方式及び掛金等の形態の変更は適正に行われているか。 
(21)過去勤務債務等の積立方法管理方式、掛金等の形態及び償却割合は適正に定められているか。また、これらの変更は適正に行われているか。 
(22)通常掛金等の積立方式は、予定利率、予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率給与比例制の場合を算定基礎とし、原則として平準的な掛金等によって事前積立を行うものとなっているか。 
(23)予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率は、算定の時の現況において合理的に計算されているか。また、予定利率は設定の時及び再計算日において基準利率以上となっているか。 
(24)特定年齢は合理的に定められているか。 
その他の事項(25)他社勤務期間の通算を行うこととしている場合は、年金規程等に通算に関する定めが明記されているか。また、共同委託結合契約の場合又は出向・転籍に伴い掛金等を他社に負担させる場合には、その掛金等の負担方法は合理的に定められているか。 
(26)過去勤務期間に係る給付額の評価は100%以下の一定割合で行われているか。 
(27)留保すべき金額を超える額剰余金は事業主に返還するようになっているか。また、剰余金及び要留保額の計算は正しいか。 
(28)要留保額の移受管の手続きは正しく行われるようになっているか。 
(29)臨時拠出金ターミナルファンディングの払込みは適正に行われているか。 
(30)契約の全部又は一部が解除された場合における要留保額は受益者等に帰属するようになっているか。 
特例適格年金関係事項(31)特例適格年金契約において加入者数はその要件を満たしているか。 
(32)特例適格年金契約において年金の給付水準は老齢厚生年金の報酬比例部分の10%相当額以上となっているか。 
(33)特例適格年金契約において加入資格の取得期間待期期間は所定の期間内となっているか。 
(34)特例適格年金契約において年金の受給資格の取得期間は加入勤続期間20年以下となっているか。 
(35)特例適格年金契約において年金の支給期間は終身となっているか。 
(36)特例適格年金契約において選択一時金等の額は年金の保証期間の設定の有無に応じて年金現価額の90%又は保証期間部分の年金現価額を限度としているか。 
投資一任契約関係事項(37)信託財産の運用に関して投資一任契約が締結されている信託契約において、法令に掲げる要件を満たしていることを証する書類を徴求し、確認しているか。 
 (特記事項) 

 標題のことについて、社団法人信託協会、社団法人生命保険協会及び全国共済農業協同組合連合会から別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり回答したから、これによられたい。

 なお、平成18年5月29日付査調4-7「『適格退職年金契約の自主審査要領』に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて」(法令解釈通達)は、平成19年10月29日をもって廃止する。

  • 《編注》データは、国税庁HPより転載。

(別紙1)

査調4-4
平成19年10月26日

社団法人 信託協会 年金専門委員会
幹  事 みずほ信託銀行株式会社
執行役員年金企画部長 湊 信幸 殿
社団法人生命保険協会
企業保険委員会
委員長 井上 恵介 殿
全国共済農業協同組合連合会
団体共済部長 小林 司 殿

国税庁調査査察部長 杉江 潤




「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて
(平成19年10月29日付照会に対する回答)

 標題のことについて、平成19年5月23日付照会による「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する契約については、貴見のとおり取り扱って差し支えありません。




(別紙2)

平成19年10月19日



国税庁調査査察部長
    杉 江   潤  殿

社団法人 信託協会 年金専門委員会
幹 事 みずほ信託銀行株式会社
執行役員年金企画部長 湊 信幸

社団法人 生命保険協会
企業保険委員会
委 員 長 井上 恵介

全国共済農業協同組合連合会
団体共済部長  小林 司



 「適格退職年金契約の自主審査要領」に適合する適格退職年金契約の税務上の取扱いについて(照会)

 今般、金融商品取引法が施行されたこと等に伴い、「適格退職年金契約の自主審査要領」平成18年4月を別添2「適格退職年金契約の自主審査要領新旧対照表」のとおり改正しましたので、平成19年9月30日以後、改正後の別添1「適格退職年金契約の自主審査要領」平成19年9月に基づき審査を行った退職年金契約については、法人税法施行令附則第16条第1項各号及び租税特別措置法施行令第39条の36第4項各号に規定する適格要件を満たすものとして取り扱って差し支えないか、ご照会申し上げます。

以 上



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