更新日:2022年9月2日

法人税個別通達 18-10 移転価格事務運営要領の制定について(平14.6.20査調7-11他)

[平13.6.1 査調7-1、官際3-1、官協1-16、課法6-7(事務運営指針)]
[平14.6.20 査調7-11、官協1-22、課法6-11(改正)]
[平17.4.28 査調7-3、官際1-18、官協1-13、課法6-6(改正)]
[平18.3.20 査調7-2、官際1-13、官協1-6、課法7-2(改正)]
[平19.6.25 査調7-21、官際1-52、官協1-35、課法7-5(改正)]
[平20.10.22 査調7-24、官際1-44、官協1-98、課法7-9(改正)]
[平22.6.22 査調7-31、官際1-27、官協1-47、課法7-3(改正)]
[平23.10.27 査調8-130、官際1-73、官協1-100、課法7-14(改正)]

 標題のことについて、別添のとおり定めたから、これにより適切に実施されたい。
なお、平成11年10月25日付査調8-1ほか3課共同「独立企業間価格の算定方法等の確認について(事務運営指針)」は廃止する。

【編注】別紙「新旧対照表」による改正後の事項を織り込み全文を以下に掲げました。

  • (趣旨)

    租税特別措置法第66条の4≪国外関連者との取引に係る課税の特例≫に関し、事務運営の指針を整備し、移転価格税制の適正、円滑な執行を図るものである。

第1章 定義及び基本方針
  • 1-1 定義

    この事務運営指針において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

    • (1) 法 法人税法をいう。
    • (2) 措置法 租税特別措置法をいう。
    • (3) 基本通達 法人税基本通達をいう。
    • (4) 措置法通達 租税特別措置法関係通達(法人税編)をいう。
    • (5) 移転価格税制 措置法第66条の4の規定第3項を除く。をいう。
    • (6) 連結法人 法第2条第12号の7の4に規定する連結法人をいう。
    • (7) 連結親法人 法第2条第12号の7の2に規定する連結親法人をいう。
    • (8) 確定申告書 法第2条第31号に規定する確定申告書及びこれに添付することとされている書類をいう。
    • (9) 事業年度 法第13条に規定する事業年度をいう。
    • (10) 連結事業年度 法第15条の2に規定する連結事業年度をいう。
    • (11) 国外関連者 措置法第66条の4第1項及び第68条の88第1項に規定する国外関連者をいう。
    • (12) 国外関連取引 措置法第66条の4第1項及び第68条の88第1項に規定する国外関連取引をいう。
    • (13) 独立企業間価格 措置法第66条の4第1項に規定する独立企業間価格をいう。
    • (14) 独立企業間価格の算定方法 措置法第66条の4第2項各号に掲げる方法をいう。
    • (15) 非関連者 措置法第66条の4第1項に規定する特殊の関係にない者をいう。
    • (16) 非関連者間取引 措置法通達66の4(2)-1に定める非関連者間取引をいう。
    • (17) 比較可能性 措置法通達66の4(2)-1の(4)に掲げる「国外関連取引と非関連者間取引との類似性の程度」をいう。
    • (18) 比較対象取引 措置法通達66の4(3)-1に定める比較対象取引同通達66の4(3)-1の(5)に掲げる取引を除く。をいう。
    • (19) 独立価格比準法 措置法第66条の4第2項第1号イに掲げる方法をいう。
    • (20) 再販売価格基準法 措置法第66条の4第2項第1号ロに掲げる方法をいう。
    • (21) 原価基準法 措置法第66条の4第2項第1号ハに掲げる方法をいう。
    • (22) 基本三法 独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法をいう。
    • (23) 準ずる方法 措置法第66条の4第2項第1号ニに掲げる方法措置法施行令第39条の12第8項第1号から第3号までに掲げる方法を除く。をいう。
    • (24) 同等の方法 措置法第66条の4第2項第2号に規定する方法をいう。
    • (25) 利益分割法 措置法施行令第39条の12第8項第1号に掲げる方法をいう。
    • (26) 残余利益分割法 利益分割法のうち措置法施行令第39条の12第8項第1号ハに掲げる方法をいう。
    • (27) 取引単位営業利益法 措置法施行令第39条の12第8項第2号及び第3号に掲げる方法をいう。
    • (28) 無形資産 措置法通達66の4(3)-3の(注)1に定める無形資産をいう。
    • (29) 租税条約 我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約をいう。
    • (30) 租税条約等実施特例法 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律をいう。
    • (31) 相互協議 租税条約の規定に基づく我が国の権限ある当局と外国の権限ある当局との協議をいう。
    • (32) 事前確認 税務署長又は国税局長が、法人が採用する最も合理的と認められる独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等以下「独立企業間価格の算定方法等」という。について確認を行うことをいう。
    • (33) 事前確認審査 局担当課が行う事前確認の申出に係る審査をいう。
    • (34) 事前相談 事前確認を受けようとする法人が、事前確認の申出前に、事前確認を申し出ようとする独立企業間価格の算定方法等について局担当課必要に応じて庁担当課及び庁相互協議室を含む。と行う相談代理人を通じた匿名の相談を含む。をいう。
    • (35) 局担当課 国税局課税第二部金沢、高松及び熊本国税局にあっては、課税部法人課税課及び沖縄国税事務所法人課税課以下「局法人課税課」という。又は東京及び大阪国税局調査第一部国際情報第二課、名古屋国税局調査部国際調査課、関東信越国税局調査査察部国際調査課、札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡及び熊本国税局調査査察部調査管理課並びに沖縄国税事務所調査課以下「局調査課」という。をいう。
    • (36) 庁担当課 国税庁課税部法人課税課又は国税庁調査査察部調査課をいう。
    • (37) 庁相互協議室 国税庁長官官房国際業務課相互協議室をいう。
    • (38) 連結指針 平成17年4月28日付査調7-4ほか3課共同「連結法人に係る移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)をいう。
  • 1-2 基本方針

    移転価格税制に係る事務については、この税制が独立企業原則に基づいていることに配意し、適正に行っていく必要がある。このため、次に掲げる基本方針に従って当該事務を運営する。

    • (1) 法人の国外関連取引に付された価格が非関連者間取引において通常付された価格となっているかどうかを十分に検討し、問題があると認められる取引を把握した場合には、市場の状況及び業界情報等の幅広い事実の把握に努め、算定方法・比較対象取引の選定や差異調整等について的確な調査を実施する。

    • (2) 独立企業間価格の算定方法等に関し、法人の申出を受け、また、当該申出に係る相互協議の合意がある場合にはその内容を踏まえ、事前確認を行うことにより、当該法人の予測可能性を確保し、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る。

    • (3) 移転価格税制に基づく課税により生じた国際的な二重課税の解決には、移転価格に関する各国税務当局による共通の認識が重要であることから、調査又は事前確認審査に当たっては、必要に応じOECD移転価格ガイドラインを参考にし、適切な執行に努める。

  • 1-3 別冊の活用

    別冊「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」は、一定の前提条件を置いた設例に基づいて移転価格税制上の取扱いを取りまとめたものである。このため、別冊で取り上げた事例以外の事例があることはもとより、類似の事例であっても、前提条件が異なることにより移転価格税制上の取扱いが異なり得ることに留意の上、これを参考にして当該税制に係る事務を適切に行う。

第2章 調査
  • 2-1 調査の方針

    調査に当たっては、移転価格税制上の問題の有無を的確に判断するために、例えば次の事項に配意して国外関連取引を検討することとする。この場合においては、形式的な検討に陥ることなく個々の取引実態に即した検討を行うことに配意する。

    • (1) 法人の国外関連取引に係る売上総利益率又は営業利益率等以下「利益率等」という。が、同様の市場で法人が非関連者と行う取引のうち、規模、取引段階その他の内容が類似する取引に係る利益率等に比べて過少となっていないか。

    • (2) 法人の国外関連取引に係る利益率等が、当該国外関連取引に係る事業と同種で、規模、取引段階その他の内容が類似する事業を営む非関連者である他の法人の当該事業に係る利益率等に比べて過少となっていないか。

    • (3) 法人及び国外関連者が国外関連取引において果たす機能又は負担するリスク等を勘案した結果、法人の当該国外関連取引に係る利益が、当該国外関連者の当該国外関連取引に係る利益に比べて相対的に過少となっていないか。

  • 2-2 調査に当たり配意する事項

    国外関連取引の検討は、確定申告書及び調査等により収集した資料等を基に行う。

    独立企業間価格の算定を行うまでには、個々の取引実態に即した多面的な検討を行うこととし、例えば次の(1)から(3)により、移転価格税制上の問題の有無について検討し、効果的な調査展開を図る。

    • (1) 法人の国外関連取引に係る事業と同種で、規模、取引段階その他の内容がおおむね類似する複数の非関連者間取引以下「比較対象取引の候補と考えられる取引」という。に係る利益率等の範囲内に、国外関連取引に係る利益率等があるかどうかを検討する。

    • (2) 国外関連取引に係る棚卸資産等が一般的に需要の変化、製品のライフサイクル等により価格が相当程度変動することにより、各事業年度又は連結事業年度ごとの情報のみで検討することが適切でないと認められる場合には、当該事業年度又は連結事業年度の前後の合理的な期間における当該国外関連取引又は比較対象取引の候補と考えられる取引の対価の額又は利益率等の平均値等を基礎として検討する。

    • (3)  国外関連取引に係る対価の額が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉において決定された過程等について、次の点も考慮の上、十分検討する。

      • イ 法人及びその国外関連者が国外関連取引に係るそれぞれの事業の業績を適切に評価するために、独立企業原則を考慮して当該国外関連取引に係る対価の額を決定する場合があること。
      • ロ 法人又は国外関連者が複数の者の共同出資により設立されたものである場合には、その出資者など国外関連取引の当事者以外の者が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉の当事者となる場合があること。また、当該交渉において独立企業原則を考慮した交渉が行われる場合があること。
      • (注) 国外関連取引に係る対価の額が厳しい価格交渉によって決定されたという事実、国外関連取引の当事者以外の者が当該国外関連取引に係る取引条件等の交渉の当事者となっている事実又は国外関連取引に係る契約の当事者に法人及び国外関連者以外の者が含まれているという事実のみでは、当該国外関連取引が非関連者間取引と同様の条件で行われた根拠とはならないことに留意する。

  • 2-3 別表17(4)の添付状況の検討

    国外関連取引を行う法人が、その確定申告書に「国外関連者に関する明細書」(法人税申告書別表17(4))を添付していない場合又は当該別表の記載内容が十分でない場合には、当該別表の提出を督促し、又はその記載の内容について補正を求めるとともに、当該国外関連取引の内容について一層的確な把握に努める。

  • 2-4 調査時に検査を行う書類

    調査においては、例えば次に掲げる書類帳簿その他の資料を含む。から国外関連取引の実態を的確に把握し、移転価格税制上の問題があるかどうかを判断する。

    • (1) 法人及び国外関連者ごとの資本関係及び事業内容を記載した書類
      • イ 法人及び関連会社間の資本及び取引関係を記載した書類
      • ロ 法人及び国外関連者の沿革及び主要株主の変遷を記載した書類
      • ハ 法人にあっては有価証券報告書又は計算書類その他事業内容を記載した書類、国外関連者にあってはそれらに相当する書類
      • ニ 法人及び国外関連者の主な取扱品目及びその取引金額並びに販売市場及びその規模を記載した書類
      • ホ 法人及び国外関連者の事業別の業績、事業の特色、各事業年度の特異事項等その事業の内容を記載した書類
    • (2) 措置法施行規則第22条の10第1項第1号《国外関連取引の内容を記載した書類》に掲げる書類
    • (3) 措置法施行規則第22条の10第1項第2号《独立企業間価格を算定するための書類》に掲げる書類
    • (4) その他の書類
      • イ 法人及び国外関連者の経理処理基準の詳細を記載した書類
      • ロ 外国税務当局による国外関連者に対する移転価格調査又は事前確認の内容を記載した書類
      • ハ 移転価格税制に相当する外国の制度にあって同制度の実効性を担保するために適正な資料作成を求める規定いわゆるドキュメンテーション・ルールに従って国外関連者が書類を準備している場合の当該書類
      • ニ その他必要と認められる書類

  • 2-5 推定規定又は同業者に対する質問検査規定の適用に当たっての留意事項

    法人に対し措置法第66条の4第6項《推定規定》に規定する独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類として財務省令で定めるもの又はこれらの写し以下2-5において「第6項に規定する書類」という。の提示又は提出を求めた場合において、当該法人が第6項に規定する書類を遅滞なく提示又は提出しなかったときには、同項又は同条第8項《同業者に対する質問検査規定》の規定を適用することができるのであるが、これらの規定の適用に当たっては、次の事項に配意する。

    • (1) 独立企業間価格を算定するために、第6項に規定する書類の提示又は提出を求める場合には、法人に対し、「当該書類が遅滞なく提示又は提出されないときには、措置法第66条の4第6項又は同条第8項の適用要件を満たす」旨を説明するとともに、当該説明を行った事実及びその後の法人からの提示又は提出の状況を記録する。

      また、法人が第6項に規定する書類を遅滞なく提示又は提出したかどうかは、当該書類の提示又は提出の準備に通常要する期間を考慮して判断する。

    • (2)  (1)の提示又は提出を求める場合には、独立企業間価格の算定に必要と認められる範囲内において、法人に対し期日を定めて当該提示又は提出を求める。
        また、当該期日は、当該法人の意見を聴取した上で当該提示又は提出の準備に通常要する期間を斟酌して定めることとし、当該期日までに当該提示又は提出がない場合で、当該法人がこれをできなかったことにつき合理的な理由が認められるときには、当該法人の意見を再聴取し、改めて期日を定める。

    • (注)1 法人が独立企業間価格を算定している場合には、当該法人が当該算定に用いた書類に基づき独立企業間価格の算定ができるかどうかを検討し、当該書類以外の書類の提示又は提出を求める必要があるかどうかを判断する。

    •   2 当該提示又は提出に係る期日の再設定を繰り返し行った結果、当初の期日から相当の期間が経過した場合において、それ以後の書類の提示又は提出が見込まれないときには、法人に対し、「第6項に規定する書類が遅滞なく提示又は提出されなかったため措置法第66条の第6項又は同条第8項の適用要件を満たす」旨を説明する。

    •   3 法人が定められた期日までに当該提示又は提出をできなかったことにつき合理的な理由が認められる場合には、例えば、当該法人が災害によりこれをできなかった場合が該当する。

    • (3) 法人から第6項に規定する書類に該当するものとして提示又は提出された書類を総合的に検討して独立企業間価格の算定ができるかどうかを判断するのであるが、当該判断の結果、当該書類に基づき独立企業間価格を算定することができず、かつ、措置法第66条の4第6項又は同条第8項の規定の適用がある場合には、当該法人に対しその理由を説明する。

      なお、当該書類を総合的に検討した結果、独立企業間価格の算定ができる場合には、措置法第66条の4第6項又は同条第8項の規定の適用はないことに留意する。

      (注) 当該書類が不正確な情報等に基づき作成されたものである場合には、当該書類の提示又は提出については、第6項に規定する書類の提示又は提出には該当しない。

      この場合には、当該法人に対し、正確な情報等に基づき作成した書類を速やかに提示又は提出するよう求めるものとする。

    • (4) 措置法第66条の4第8項の規定を適用して把握した非関連者間取引を比較対象取引として選定した場合には、当該選定のために用いた条件、当該比較対象取引の内容、差異の調整方法等を法人に対し十分説明するのであるが、この場合には、法第126条《職員の守秘義務規定》の規定に留意するとともに、当該説明を行った事実を記録する。

  • 2-6 金銭の貸借取引

    金銭の貸借取引について調査を行う場合には、次の点に留意する。

    • (1) 基本通達9-4-2《子会社等を再建する場合の無利息貸付け等》の適用がある金銭の貸付けについては、移転価格税制の適用上も適正な取引として取り扱う。

    • (2) 国外関連取引において返済期日が明らかでない場合には、当該金銭貸借の目的等に照らし、金銭貸借の期間を合理的に算定する。

  • 2-7 独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法による金銭の貸借取引の検討

    法人及び国外関連者がともに業として金銭の貸付け又は出資を行っていない場合において、当該法人が当該国外関連者との間で行う金銭の貸付け又は借入れについて調査を行うときには、必要に応じ、次に掲げる利率を独立企業間の利率として用いる独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法の適用について検討する。

    • (1) 国外関連取引の借手が、非関連者である銀行等から当該国外関連取引と通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率

    • (2) 国外関連取引の貸手が、非関連者である銀行等から当該国外関連取引と通貨、貸借時期、貸借期間等が同様の状況の下で借り入れたとした場合に付されるであろう利率

    • (3) 国外関連取引に係る資金を、当該国外関連取引と通貨、取引時期、期間等が同様の状況の下で国債等により運用するとした場合に得られるであろう利率

      • (注)1 (1)、(2)及び(3)に掲げる利率を用いる方法の順に、独立企業原則に即した結果が得られることに留意する。

      •   2 (2)に掲げる利率を用いる場合においては、国外関連取引の貸手における銀行等からの実際の借入れが、(2)の同様の状況の下での借入れに該当するときには、当該国外関連取引とひも付き関係にあるかどうかを問わないことに留意する。

  • 2-8 役務提供

    役務提供について調査を行う場合には、次の点に留意する。

    • (1) 役務提供を行う際に無形資産を使用しているにもかかわらず、当該役務提供の対価の額に無形資産の使用に係る部分が含まれていない場合があること。

      (注) 無形資産が役務提供を行う際に使用されているかどうかについて調査を行う場合には、役務の提供と無形資産の使用は概念的には別のものであることに留意し、役務の提供者が当該役務提供時にどのような無形資産を用いているか、当該役務提供が役務の提供を受ける法人の活動、機能等にどのような影響を与えているか等について検討を行う。

    • (2) 役務提供が有形資産又は無形資産の譲渡等に併せて行われており、当該役務提供に係る対価の額がこれらの資産の譲渡等の価格に含まれている場合があること。

  • 2-9 企業グループ内における役務の提供の取扱い

    (1)法人が国外関連者に対し、次に掲げるような経営・財務・業務・事務管理上の活動を行う場合において、当該活動が役務の提供に該当するかどうかは、当該活動が当該国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものかどうかにより判断する。具体的には、当該国外関連者と同様の状況にある非関連者が他の非関連者からこれと同じ活動を受けた場合に対価を支払うかどうか、又は当該法人が当該活動を行わなかったとした場合に国外関連者自らがこれと同じ活動を行う必要があると認められるかどうかにより判断する。

    • イ 企画又は調整

      ロ 予算の作成又は管理

      ハ 会計、税務又は法務

      ニ 債権の管理又は回収

      ホ 情報通信システムの運用、保守又は管理

      ヘ キャッシュフロー又は支払能力の管理

      ト 資金の運用又は調達

      チ 利子率又は外国為替レートに係るリスク管理

      リ 製造、購買、物流又はマーケティングに係る支援

      ヌ 従業員の雇用、配置又は教育

      ル 従業員の給与、保険等に関する事務

      ヲ 広告宣伝。リに掲げるマーケティングに係る支援を除く。

    (2)法人が、国外関連者の要請に応じて随時役務の提供を行い得るよう人員や設備等を利用可能な状態に定常的に維持している場合には、かかる状態を維持していること自体が役務の提供に該当することに留意する。

    (3)法人が国外関連者に対し行う(1)の活動が、役務の提供に該当するかどうかを検討するに当たり、次に掲げる活動は国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものではないことに留意する。

    • イ 法人が国外関連者に対し、非関連者が当該国外関連者に行う役務の提供又は当該国外関連者が自らのために行う(1)の活動と重複する活動を行う場合における当該重複する活動ただし、その重複が一時的であると認められる場合、又は当該重複する活動が事業判断の誤りに係るリスクを減少させるために手続上重複して行われるチェック等であると認められる場合を除く。

      ロ 国外関連者に対し株主としての地位を有する法人が、専ら自らのために行う株主としての法令上の権利の行使又は義務の履行に係る活動以下「株主活動」という。で、例えば次に掲げるもの

      • (イ) 親会社が実施する株主総会の開催や株式の発行など、親会社が遵守すべき法令に基づいて行う活動
      • (ロ) 親会社が金融商品取引法に基づく有価証券報告書等を作成するための活動
      • (注) 親会社が子会社等に対して行う特定の業務に係る企画、緊急時の管理、技術的助言、日々の経営に関する支援等は、株主としての地位を有する者が専ら株主として自らのために行うものとは認められないことから、株主活動には該当しない。
        また、親会社が子会社等に対する投資の保全を目的として行う活動で、かつ、当該子会社等にとって経済的又は商業的価値を有するものは役務の提供に該当する。

    (4) (1)から(3)までの取扱いは、国外関連者が法人に対して行う活動について準用する。

    (5) 法人が国外関連者に対し支払うべき役務の提供に係る対価の額の適否の検討に際して、当該法人に対し、当該国外関連者から受けた役務の内容等が記載された書類帳簿その他の資料を含む。の提示又は提出を求める。この場合において、当該役務の提供に係る実態等が確認できないときには、措置法第66条の4第3項等の規定の適用について検討することに留意する。

  • 2-10 原価基準法に準ずる方法と同等の方法による役務提供取引の検討

    (1) 法人が国外関連者との間で行う役務提供のうち、当該法人又は当該国外関連者の本来の業務に付随した役務提供について調査を行う場合には、必要に応じ、当該役務提供の総原価の額を独立企業間価格とする原価基準法に準ずる方法と同等の方法の適用について検討する。

    この場合において、本来の業務に付随した役務提供とは、例えば、海外子会社から製品を輸入している法人が当該海外子会社の製造設備に対して行う技術指導等、役務提供を主たる事業としていない法人又は国外関連者が、本来の業務に付随して又はこれに関連して行う役務提供をいう。また、役務提供に係る総原価には、原則として、当該役務に関連する直接費のみならず、合理的な配賦基準によって計算された担当部門及び補助部門の一般管理費等間接費まで含まれることに留意する。

    • (注) 本来の業務に付随した役務提供に該当するかどうかは、原則として、当該役務提供の目的等により判断するのであるが、次に掲げる場合には、本文の取扱いは適用しない。

      • イ 役務提供に要した費用が、法人又は国外関連者の当該役務提供を行った事業年度の原価又は費用の額の相当部分を占める場合
      • ロ 役務提供を行う際に無形資産を使用する場合等当該役務提供の対価の額を当該役務提供の総原価とすることが相当ではないと認められる場合

    (2) 法人が国外関連者との間で行う(1)以外の役務提供について調査を行う場合において、当該役務提供が次に掲げる要件の全てを満たしているときには、必要に応じ、(1)と同様の方法の適用について検討する。

    • イ 役務の内容が次に掲げる業務のいずれかに該当すること。
      • (イ) 予算の作成又は管理
      • (ロ) 会計、税務又は法務
      • (ハ) 債権の管理又は回収
      • (ニ) 情報通信システムの運用、保守又は管理
      • (ホ) キャッシュフロー又は支払能力の管理
      • (ヘ) 資金の運用又は調達(事務処理上の手続に限る。)
      • (ト) 従業員の雇用、配置又は教育
      • (チ) 従業員の給与、保険等に関する事務
      • (リ) 広告宣伝(2-9(1)リに掲げるマーケティングに係る支援を除く。)
      • (ヌ) その他一般事務管理
    • ロ 当該役務提供が法人又は国外関連者の事業活動の重要な部分に関連していないこと。
    • ハ 当該役務提供に要した費用が法人又は国外関連者の当該役務提供を行った事業年度の原価又は費用の額の相当部分を占めていないこと。
    • ニ 当該役務提供を行う際に自己の無形資産を使用していないこと。
    • ホ 当該役務提供に関連する直接費及び間接費の計算が、当該役務提供に係る従事者の従事割合や使用資産の使用割合等、合理的な配分割合によっていること。

  • 2-11 調査において検討すべき無形資産

    調査において無形資産が法人又は国外関連者の所得にどの程度寄与しているかを検討するに当たっては、例えば、次に掲げる重要な価値を有し所得の源泉となるものを総合的に勘案することに留意する。

    • イ 技術革新を要因として形成される特許権、営業秘密等
    • ロ 従業員等が経営、営業、生産、研究開発、販売促進等の企業活動における経験等を通じて形成したノウハウ等
    • ハ 生産工程、交渉手順及び開発、販売、資金調達等に係る取引網等
       なお、法人又は国外関連者の有する無形資産が所得の源泉となっているかどうかの検討に当たり、例えば、国外関連取引の事業と同種の事業を営み、市場、事業規模等が類似する法人のうち、所得の源泉となる無形資産を有しない法人を把握できる場合には、当該法人又は国外関連者の国外関連取引に係る利益率等の水準と当該無形資産を有しない法人の利益率等の水準との比較を行うとともに、当該法人又は国外関連者の無形資産の形成に係る活動、機能等を十分に分析することに留意する。
    • (注) 役務提供を行う際に無形資産が使用されている場合の役務提供と無形資産の関係については、2-8(1)の(注)に留意する。

  • 2-12 無形資産の形成、維持又は発展への貢献

    無形資産の使用許諾取引等について調査を行う場合には、無形資産の法的な所有関係のみならず、無形資産を形成、維持又は発展以下「形成等」という。させるための活動において法人又は国外関連者の行った貢献の程度も勘案する必要があることに留意する。
     なお、無形資産の形成等への貢献の程度を判断するに当たっては、当該無形資産の形成等のための意思決定、役務の提供、費用の負担及びリスクの管理において法人又は国外関連者が果たした機能等を総合的に勘案する。この場合、所得の源泉となる見通しが高い無形資産の形成等において法人又は国外関連者が単にその費用を負担しているというだけでは、貢献の程度は低いものであることに留意する。

  • 2-13 無形資産の使用許諾取引

    法人又は国外関連者のいずれか一方が保有する無形資産を他方が使用している場合で、当事者間でその使用に関する取決めがないときには、譲渡があったと認められる場合を除き、当該無形資産の使用許諾取引があるものとして当該取引に係る独立企業間価格の算定を行うことに留意する。
     なお、その使用許諾取引の開始時期については、非関連者間取引における例を考慮するなどにより、当該無形資産の提供を受けた日、使用を開始した日又はその使用により収益を計上することとなった日のいずれかより、適切に判断する。

  • 2-14 費用分担契約項

    費用分担契約とは、特定の無形資産を開発する等の共通の目的を有する契約当事者以下「参加者」という。間で、その目的の達成のために必要な活動以下「研究開発等の活動」という。に要する費用を、当該研究開発等の活動から生じる新たな成果によって各参加者において増加すると見込まれる収益又は減少すると見込まれる費用以下「予測便益」という。の各参加者の予測便益の合計額に対する割合以下「予測便益割合」という。によって分担することを取り決め、当該研究開発等の活動から生じる新たな成果の持分を各参加者のそれぞれの分担額に応じて取得することとする契約をいい、例えば、新製品の製造技術の開発に当たり、法人及び国外関連者のそれぞれが当該製造技術を用いて製造する新製品の販売によって享受するであろう予測便益を基礎として算定した予測便益割合を用いて、当該製造技術の開発に要する費用を法人と国外関連者との間で分担することを取り決め、当該製造技術の開発から生じる新たな無形資産の持分をそれぞれの分担額に応じて取得することとする契約がこれに該当する。

  • 2-15 費用分担契約の取扱い

    法人が国外関連者との間で締結した費用分担契約に基づく費用の分担費用分担額の調整を含む。及び持分の取得は、国外関連取引に該当し、当該費用分担契約における当該法人の予測便益割合が、当該法人の適正な予測便益割合2-16及び2-18による検討に基づき算定される割合をいう。に比して過大であると認められるときは、当該法人が分担した費用の総額のうちその過大となった割合に対応する部分の金額は、独立企業間価格を超えるものとして損金の額に算入されないことに留意する。

    (注) 法人が分担した費用については、法人税に関する法令の規定に基づいて処理するのであるから、例えば、研究開発等の活動に要する費用のうちに措置法第61条の4第3項に規定する交際費等がある場合には、適正な予測便益割合に基づき法人が分担した交際費等の額は、措置法通達61の4(1)-23《交際費等の支出の方法》(1)の規定に準じて取り扱うこととなり、当該分担した交際費等の額を基に同条第1項の規定に基づく損金不算入額の計算を行うこととなることに留意する。

  • 2-16 費用分担契約に関する留意事項

    法人が国外関連者との間で費用分担契約を締結している場合には、次のような点に留意の上、法人の費用分担額等の適否を検討する。

    • イ 研究開発等の活動の範囲が明確に定められているか。また、その内容が具体的かつ詳細に定められているか。
    • ロ 研究開発等の活動から生じる成果を自ら使用するなど、すべての参加者が直接的に便益を享受することが見込まれているか。
    • ハ 各参加者が分担すべき費用の額は、研究開発等の活動に要した費用の合計額を、適正に見積もった予測便益割合に基づいて配分することにより、決定されているか。
    • ニ 予測便益を直接的に見積もることが困難である場合、予測便益の算定に、各参加者が享受する研究開発等の活動から生じる成果から得る便益の程度を推測するに足りる合理的な基準売上高、売上総利益、営業利益、製造又は販売の数量等が用いられているか。
    • ホ 予測便益割合は、その算定の基礎となった基準の変動に応じて見直されているか。
    • ヘ 予測便益割合と実現便益割合研究開発等の活動から生じた成果によって各参加者において増加した収益又は減少した費用以下「実現便益」という。の各参加者の実現便益の合計額に対する割合をいう。とが著しく乖離している場合に、各参加者の予測便益の見積りが適正であったかどうかについての検討が行われているか。
    • ト 新規加入又は脱退があった場合、それまでの研究開発等の活動を通じて形成された無形資産等がある場合には、その加入又は脱退が生じた時点でその無形資産等の価値を評価し、その無形資産等に対する持分の適正な対価の授受が行われているか。

  • 2-17 費用分担契約における既存の無形資産の使用

    参加者の保有する既存の無形資産当該費用分担契約を通じて取得・開発された無形資産以外の無形資産をいう。以下同じ。が費用分担契約における研究開発等の活動で使用されている場合には、その無形資産が他の参加者に譲渡されたと認められる場合を除き、当該無形資産を保有する参加者において、その無形資産に係る独立企業間の使用料に相当する金額が収受されているか、あるいはこれを分担したものとして費用分担額の計算が行われているかについて検討する必要があることに留意する。

    (注) 法人が研究開発等の活動において自ら開発行為等を行っている場合や国外関連者である参加者の実現便益がその予測便益を著しく上回っているような場合には、法人の保有する既存の無形資産が当該研究開発等の活動に使用されているかどうかを検討し、その使用があると認められた場合においては、本文の検討を行うことに留意する。

  • 2-18 費用分担契約に係る検査を行う書類

    調査においては、2-4に掲げる書類から国外関連取引の実態を的確に把握するのであるが、費用分担契約に係る調査を行うに当たっては、費用分担契約書研究開発等の活動の範囲・内容を記載した附属書類を含む。のほか、主として次に掲げる書類帳簿その他の資料を含む。の提示を求め、移転価格税制上の問題があるかどうかを検討する。

    (1) 費用分担契約の締結に当たって作成された書類

    • イ 参加者の名称、所在地、資本関係及び事業内容等を記載した書類
    • ロ 参加者が契約締結に至るまでの交渉・協議の経緯を記載した書類
    • ハ 予測便益割合の算定方法及びそれを用いることとした理由を記載した書類
    • ニ 費用分担額及び予測便益の算定に用いる会計基準を記載した書類
    • ホ 予測便益割合と実現便益割合とが乖離した場合における費用分担額の調整に関する細目を記載した書類
    • ヘ 新規加入又は脱退があった場合の無形資産等の価値の算定に関する細目を記載した書類
    • ト 契約条件の変更並びに費用分担契約の改定又は終了に関する細目を記載した書類

    (2) 費用分担契約締結後の期間において作成された書類

    • イ 各参加者が研究開発等の活動のために要した費用の総額及びその内訳並びに各参加者の費用分担額及びその計算過程を記載した書類
    • ロ 研究開発等の活動に関する予測便益割合と実現便益割合との乖離の程度を記載した書類
    • ハ 研究開発等の活動を通じて形成された無形資産等に対する各参加者の持分の異動状況研究開発等の活動を通じて形成された無形資産等の価値の算定方法を含む。を記載した書類
    • ニ 新規加入又は脱退があった場合の事情の詳細を記載した書類

    (3) その他の書類

    • イ 既存の無形資産を研究開発等の活動に使用した場合における当該既存の無形資産の内容及び使用料に相当する金額の算定に関する細目を記載した書類
    • ロ 研究開発等の活動から生じる成果を利用することが予定されている者で、費用分担契約に参加しない者の名称、所在地等を記載した書類

  • 2-19 国外関連者に対する寄附金

    調査において、次に掲げるような事実が認められた場合には、措置法第66条の4第3項の規定の適用があることに留意する。

    • イ 法人が国外関連者に対して資産の販売、金銭の貸付け、役務の提供その他の取引以下「資産の販売等」という。を行い、かつ、当該資産の販売等に係る収益の計上を行っていない場合において、当該資産の販売等が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与に該当するとき
    • ロ 法人が国外関連者から資産の販売等に係る対価の支払を受ける場合において、当該法人が当該国外関連者から支払を受けるべき金額のうち当該国外関連者に実質的に資産の贈与又は経済的な利益の無償の供与をしたと認められる金額があるとき
    • ハ 法人が国外関連者に資産の販売等に係る対価の支払を行う場合において、当該法人が当該国外関連者に支払う金額のうち当該国外関連者に金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与をしたと認められる金額があるとき
      • (注) 法人が国外関連者に対して財政上の支援等を行う目的で国外関連取引に係る取引価格の設定、変更等を行っている場合において、当該支援等に基本通達9-4-2《子会社等を再建する場合の無利息貸付け等》の相当な理由があるときには、措置法第66条の4第3項の規定の適用がないことに留意する。

  • 2-20 価格調整金等がある場合の留意事項

    法人が価格調整金等の名目で、既に行われた国外関連取引に係る対価の額を事後に変更している場合には、当該変更が合理的な理由に基づく取引価格の修正に該当するものかどうかを検討する。

    当該変更が国外関連者に対する金銭の支払又は費用等の計上以下「支払等」という。により行われている場合には、当該支払等に係る理由、事前の取決めの内容、算定の方法及び計算根拠、当該支払等を決定した日、当該支払等をした日等を総合的に勘案して検討し、当該支払等が合理的な理由に基づくものと認められるときは、取引価格の修正が行われたものとして取り扱う。

    なお、当該支払等が合理的な理由に基づくものと認められない場合には、当該支払等が措置法第66条の4第3項の規定の適用を受けるものであるか等について検討する。

  • 2-21 外国税務当局が算定した対価の額

    独立企業間価格は我が国の法令に基づき計算されるのであるから、外国税務当局が移転価格税制に相当する制度に基づき国外関連者に対する課税を行うため算定した国外関連取引の対価の額は、必ずしも独立企業間価格とはならないことに留意する相互協議において合意された場合を除く。

  • 2-22 事前確認の申出との関係

    (1) 調査は、事前確認の申出により中断されないことに留意する。

    (2) 調査に当たっては、事前確認の申出を行った法人以下「確認申出法人」という。から事前確認審査のために収受した資料事実に関するものを除く。を使用しない。ただし、当該資料を使用することについて当該法人の同意があるときは、この限りではない。

  • 2-23 移転価格課税と所得の内外区分

    調査に当たり、移転価格税制とともに法第69条第1項《外国税額の控除》の規定を適用するときは、移転価格税制の適用により増加する所得について法第138条《国内源泉所得》から法第140条《国内源泉所得の細目》までの規定の適用により所得の内外区分を判定した上、同項に規定する控除限度額の計算を行うことに留意する。

  • 2-24 過少資本税制との関係

    調査に当たり、移転価格税制とともに措置法第66条の5《国外支配株主等に係る負債の利子等の課税の特例》の規定を適用する場合には、同条第1項に規定する「負債の利子」の算定において、独立企業間価格を超える部分の「負債の利子」を含めないことに留意する。

  • 2-25 源泉所得税との関係

    調査の結果、法人が国外関連者に対して支払った利子又は使用料について、法人税の課税上独立企業間価格との差額が生ずる場合であっても、源泉所得税の対象となる利子又は使用料の額には影響しないことに留意する。また、租税条約のうちには当該差額について租税条約上の軽減税率が適用されない定めがあるものがあることに留意する。

  • 2-26 消費税との関係

    移転価格税制は法人税法その他法人税に関する法令の適用を定めたものであり、調査に当たり同税制が適用された場合であっても、消費税の計算には影響しないことに留意する。

第3章 独立企業間価格の算定等における留意点
  • 3-1 最も適切な方法の選定に関する検討

    措置法第66条の4第2項に規定する最も適切な方法以下「最も適切な方法」という。の選定のための検討を行う場合には、措置法通達66の4(3)-3に掲げる諸要素等に基づいて国外関連取引の内容等を的確に把握し、措置法通達66の4(2)-1の(1)から(4)までに掲げる点等を勘案して当該国外関連取引に係る比較対象取引の有無等を検討することに留意する。

  • 3-2 独立企業間価格の算定における基本三法の長所

    独立企業間価格の算定方法のうち、取引の価格を直接比較する独立価格比準法独立価格比準法と同等の方法を含む。以下同じ。は、独立企業間価格を最も直接的に算定することができる長所を有し、また、売上総利益に係る利益率措置法第66条の4第2項第1号ロ及びハに規定する政令で定める通常の利益率をいう。に基づき算定された価格を比較する再販売価格基準法及び原価基準法再販売価格基準法と同等の方法及び原価基準法と同等の方法を含む。以下同じ。は、独立価格比準法に次いで独立企業間価格を直接的に算定することができる長所を有することに留意する。

    したがって、最も適切な方法の選定に当たり、措置法通達66の4(2)-1の(1)から(4)までに掲げる点等を勘案した結果、最も適切な方法の候補が複数ある場合において、独立価格比準法の適用における比較可能性が十分であるとき国外関連取引と比較対象取引との差異について調整を行う必要がある場合は、当該調整を行うことができるときに限る。以下同じ。には、上記の長所により独立価格比準法の選定が最も適切となり、また、独立価格比準法を選定することはできないが、再販売価格基準法又は原価基準法の適用における比較可能性が十分であるときには、上記の長所により再販売価格基準法又は原価基準法の選定が最も適切となることに留意する。

  • 3-3 差異の調整方法

    国外関連取引と、比較対象取引又は措置法通達66の4(3)-1の(5)に掲げる取引との差異について調整を行う場合には、例えば次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定める方法により行うことができることに留意する。

     なお、差異の調整は、その差異が措置法第66条の4第2項第1号イに規定する対価の額若しくは同号ロ及びハに規定する通常の利益率の算定又は措置法施行令第39条の12第8項第2号及び第3号に規定する割合の算定に影響を及ぼすことが客観的に明らかである場合に行うことに留意する措置法第66条の4第2項第2号の規定の適用において同じ。

    • (1) 貿易条件について、一方の取引がFOB本船渡しであり、他方の取引がCIF運賃、保険料込み渡しである場合

      • 比較対象取引の対価の額に運賃及び保険料相当額を加減算する方法
    • (2) 決済条件における手形一覧後の期間について、国外関連取引と比較対象取引に差異がある場合

      • 手形一覧から決済までの期間の差に係る金利相当額を比較対象取引の対価の額に加減算する方法
    • (3) 比較対象取引に係る契約条件に取引数量に応じた値引き、割戻し等がある場合

      • 国外関連取引の取引数量を比較対象取引の値引き、割戻し等の条件に当てはめた場合における比較対象取引の対価の額を用いる方法
    • (4) 機能又はリスクに係る差異があり、その機能又はリスクの程度を国外関連取引及び比較対象取引の当事者が当該機能又はリスクに関し支払った費用の額により測定できると認められる場合

      • 当該費用の額が当該国外関連取引及び比較対象取引に係る売上又は売上原価に占める割合を用いて調整する方法

  • 3-4 無形資産の使用を伴う国外関連取引に係る比較対象取引の選定

    措置法通達66の4(3)-3の取扱いの適用において、法人又は国外関連者が無形資産の使用を伴う国外関連取引を行っている場合には、比較対象取引の選定に当たり、無形資産の種類、対象範囲、利用態様等の類似性について検討することに留意する。

  • 3-5 比較対象取引が複数ある場合の独立企業間価格の算定

    国外関連取引に係る比較対象取引が複数存在し、当該比較対象取引に係る価格又は利益率等国外関連取引と比較対象取引との差異について調整を行う必要がある場合は、当該調整を行った後のものに限る。以下「比較対象利益率等」という。が形成する一定の幅の外に当該国外関連取引に係る価格又は利益率等がある場合には、原則として、当該比較対象利益率等の平均値に基づき独立企業間価格を算定する方法を用いるのであるが、中央値など、当該比較対象利益率等の分布状況等に応じた合理的な値が他に認められる場合は、これを用いて独立企業間価格を算定することに留意する。

  • 3-6 利益分割法における共通費用の取扱い

    利益分割法の適用に当たり、法人又は国外関連者の売上原価、販売費及び一般管理費その他の費用のうち国外関連取引及びそれ以外の取引の双方に関連して生じたもの以下3-6において「共通費用」という。がある場合には、これらの費用の額を、個々の取引形態に応じて、例えば当該双方の取引に係る売上金額、売上原価、使用した資産の価額、従事した使用人の数等、当該双方の取引の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる要素の比に応じて按分し、当該国外関連取引の分割対象利益等措置法通達66の4(5)-1に定める分割対象利益等をいう。以下同じ。を計算することに留意する。

    なお、分割対象利益等の配分に用いる要因の計算を費用の額に基づいて行う場合にも、共通費用については上記に準じて計算することに留意する。

  • 3-7 残余利益分割法の取扱い

    残余利益分割法の適用に当たり、措置法施行令第39条の12第8項第1号ハ(1)に掲げる金額以下「基本的利益」という。については、同号ハ(1)に規定する「第6項、前項、次号又は第3号に規定する必要な調整を加えないものとした場合のこれらの規定による割合」のうち、最も適切な利益指標を選定して計算することに留意する。

    • (注) 措置法通達66の4(3)-1の(5)に掲げる取引が複数存在する場合の基本的利益の計算については、原則として、当該取引に係る上記の割合の平均値を用いるのであるが、当該上記の割合の分布状況等に応じた合理的な値が他に認められる場合は、これを用いることに留意する。
        なお、上記の割合は、措置法施行令第39条の12第8項第1号ハ(1)のかっこ書きに規定する必要な調整を加えた後の割合であることに留意する。

  • 3-8 取引単位営業利益法の適用における比較対象取引の選定

    国外関連取引と非関連者間取引との差異が措置法第66条の4第2項第1号イに規定する対価の額又は同号ロ及びハに規定する通常の利益率の算定に影響を及ぼす場合であっても、措置法施行令第39条の12第8項第2号及び第3号に規定する割合の算定においては、当該差異が影響を及ぼすことが客観的に明らかでない場合があることから、取引単位営業利益法の適用においては、基本三法の適用に係る差異の調整ができない非関連者間取引であっても、比較対象取引として選定して差し支えない場合があることに留意する。

    • (注) 国外関連取引の当事者が果たす主たる機能と非関連者間取引の当事者が果たす主たる機能が異なる場合には、通常その差異は上記の割合の算定に影響を及ぼすことになることに留意する。

  • 3-9 取引単位営業利益法における販売のために要した販売費及び一般管理費

    取引単位営業利益法により独立企業間価格を算定する場合の「国外関連取引に係る棚卸資産の販売のために要した販売費及び一般管理費」には、その販売に直接に要した費用のほか、間接に要した費用が含まれることに留意する。この場合において、国外関連取引及びそれ以外の取引の双方に関連して生じたものがある場合には、これらの費用の額を、個々の取引形態に応じて、例えば、当該双方の取引に係る売上金額、売上原価、使用した資産の価額、従事した使用人の数等、当該双方の取引の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる要素の比に応じて按分する。

  • 3-10 推定による課税を行う場合の留意事項

    (1)  措置法施行令第39条の12第12項第1号に掲げる方法の適用に当たっては、措置法通達66の4(5)-1から66の4(5)-3までの取扱いを準用することとし、原則として法人及び国外関連者が属する企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類以下「連結財務諸表等」という。における国外関連取引に係る事業に係る営業利益又はこれに相当する金額以下「営業利益等」という。を同号に規定する要因で分割することにより当該法人及び国外関連者への配分計算を行うことに留意する。

    • (注) 連結財務諸表等において国外関連取引に係る事業に係る営業利益等が他の事業に係る営業利益等と区分されていない場合には、当該国外関連取引に係る事業を含む事業に係る営業利益等に以下のロのイに対する割合を乗じて計算した金額を法人への配分額とすることができる。
    • イ 当該国外関連取引に係る事業を含む事業に係る営業利益等の発生に企業集団が寄与した程度を推測するに足りる要因
    • ロ イのうち当該国外関連取引に係る事業に係るものとして法人が寄与した程度を推測するに足りる要因

    (2) 措置法施行令第39条の12第12項第4号に掲げる方法の適用に当たっては、措置法通達66の4(6)-1を準用することに留意する。

第4章 国外移転所得金額等の取扱い
  • 4-1 国外移転所得金額の返還を受ける場合の取扱いに関する留意事項

    措置法通達66の4(9)-2に定める書面を提出した法人が、当該書面に記載された金額の全部又は一部について返還を受ける予定の日後に返還を受けた場合には、予定日後に返還を受けたことについて合理的な理由があるかどうかを検討した上で、措置法通達66の4(9)-2の取扱いの適用の有無を判断する。

    • (注) 措置法通達66の4(9)-2に定める書面の様式に関し、法人から照会があった場合には、「国外移転所得金額の返還に関する届出書」(別紙様式1)を用いて差し支えない旨法人に回答する。

  • 4-2 対応的調整に伴う返還額の取扱い

    外国税務当局が国外関連者に対して移転価格税制に相当する制度に基づき課税を行った場合において、相互協議の合意に基づく対応的調整により減額更正を受けた法人が、当該減額更正を受けた金額の全部又は一部を国外関連者に対し返還しているときは、当該返還した金額は損金の額に算入されないことに留意する。

  • 4-3 対応的調整に伴い国外関連者に返還する金額がある場合の取扱い

    相互協議の合意に基づく対応的調整により減額更正を行う場合において、法人が減額される所得金額の全部又は一部を合理的な期間内に国外関連者に対して返還することとし、租税条約等実施特例法第7条第1項《租税条約に基づく合意があつた場合の更正の特例》に規定する更正の請求とともに、次に掲げる内容を記載した書面「対応的調整に伴う返還に関する届出書」(別紙様式7)を所轄税務署長国税局の調査課所管法人にあっては所轄国税局長に届け出た場合には、その返還することとした金額を当該国外関連者に対する未払金として処理することに留意する。

    • イ 法人名
    • ロ 納税地
    • ハ 代表者名
    • ニ 国外関連者名及び所在地
    • ホ 返還する予定の日
    • ヘ 返還する金額外貨建取引の場合は、外国通貨の金額を併記する。
    • ト 返還方法

    (注) 外貨建ての取引につき返還することとして届け出る金額は、基本通達13の2-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》の規定に基づき円換算した金額とし、当該金額とその返還を行った日の外国為替の売買相場によって円換算した金額との差額は、その返還を行った日の属する事業年度の益金又は損金の額に算入する。

第5章 事前確認手続
  • 5-1  事前確認の方針

    事前確認が移転価格税制に係る法人の予測可能性を確保し、当該税制の適正・円滑な執行を図るための手続であることを踏まえ、我が国の課税権の確保に十分配意しつつ、事案の複雑性・重要性に応じたメリハリのある事前確認審査を的確・迅速に行う。また、事前確認手続における法人の利便性向上及び事前確認手続の迅速化を図るため、事前相談に的確に対応する。

  • 5-2  事前確認の申出

    (1) 所轄税務署長調査課所管法人調査査察部等の所掌事務の範囲を定める省令昭和24年大蔵省令第49号により調査課が所管する法人をいう。にあっては、所轄国税局長沖縄国税事務所長を含む。とする。以下同じ。は、 法人からその国外関連取引の全部又は一部に係る事前確認の申出がなされた場合には、これを収受する。

    (2) 事前確認の申出は、事前確認を受けようとする事業年度以下「確認対象事業年度」という。のうち最初の事業年度開始の日までに、確認対象事業年度、国外関連者、事前確認の対象となる国外関連取引以下「確認対象取引」という。及び独立企業間価格の算定方法等を記載した「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出書」別紙様式2。以下「確認申出書」という。をその国外関連者の所在地国ごとに法人の納税地の所轄税務署長に提出することにより行うものとする。

    • (注) 確認対象事業年度のうち最初の事業年度開始の日が、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項《期限の特例》に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出することにより行うものとする。

    (3) 確認申出書の提出部数は、調査課所管法人にあっては2部相互協議を求める場合には、3部、調査課所管法人以外の法人にあっては3部相互協議を求める場合には、4部)とする(以下5-3、5-8及び5-9において同じ。。 

  • 5-3 資料の添付

    (1) 所轄税務署長は、確認申出法人に対し、確認申出書に次に掲げる資料を添付するよう求める。

    • イ 確認対象取引及び当該確認対象取引を行う組織等の概要を記載した資料
    • ロ 事前確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法等及びそれが最も合理的であることの説明を記載した資料
    • ハ 事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件に関する資料
    • ニ 確認対象取引における取引及び資金の流れ、確認対象取引に使用される通貨の種類等確認対象取引の詳細を記載した資料
    • ホ 確認対象取引に係る国外関連者以下「当該国外関連者」という。と確認申出法人との直接若しくは間接の資本関係又は実質的支配関係に関する資料
    • ヘ 確認対象取引において確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能に関する資料
    • ト 確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の営業及び経理の状況その他事業の内容を明らかにした資料(確認対象取引が新規事業又は新規製品に係るものであり、過去3事業年度分の資料を提出できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等これに代替するもの)
    • チ 当該国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査、不服申立て、訴訟等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況を記載した資料
    • リ 事前確認の申出に係る独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等を具体的に説明するために必要な資料
    • ヌ その他事前確認に当たり必要な資料
    • (注) ト及びリに掲げる資料については、確認対象取引に係る製品のライフサイクル等を考慮した場合に、3事業年度分に係る資料では十分な事前確認審査を行うことができないと認められるときには、局担当課は、確認申出法人に対し、これらに加え、その前2事業年度分に係る資料の提出を求める。

    (2)  確認申出法人が確認申出書に(1)に掲げる資料の添付を怠った場合には、5-15(4)及び5-15(5)の規定に基づき独立企業間価格の算定方法等を事前確認でない旨の通知を行うのであるが、(1)に掲げる資料の一部につき添付がなかったことについて相当の理由があると認められるときには、局担当課は、当該資料の作成に通常要すると認める期間以下「提出猶予期間」という。を限度として当該通知を行わないことができる。

    この場合において、局担当課は、当該確認申出法人に対し当該提出猶予期間を明示するとともに、その間事前確認審査を保留するかどうかについて説明する。

  • 5-4 翻訳資料の添付

    確認申出書に添付された資料のうち、外国語で記載されたものについては、日本語訳を添付するよう求める。

  • 5-5 確認申出書の補正

    署法人課税部門税務署の法人税の事務を所掌する部門をいう。以下同じ。又は局調査課は、収受した確認申出書の記載事項について記載誤り若しくは記載漏れがないかどうか又は5-3に規定する資料の添付の有無等について検討し、不備がある場合には、法人に対して補正を求める。

  • 5-6 確認申出書の送付等

    署法人課税部門は、収受した確認申出書2部(確認申出法人が相互協議を求めている場合には、3部)を、局法人課税課に速やかに送付し、局法人課税課は、うち1部(確認申出法人が相互協議を求めている場合には、2部)を国税庁課税部法人課税課に、速やかに送付する。局調査課は、収受した確認申出書1部(確認申出法人が相互協議を求めている場合には、2部)を国税庁調査査察部調査課に、速やかに送付する。庁担当課は、確認申出法人が相互協議を求めている場合については、確認申出書1部を庁相互協議室に回付する。

  • 5-7 確認対象事業年度

    確認対象事業年度は、原則として3事業年度から5事業年度とする。

  • 5-8 事前確認の申出の修正

    確認申出法人から事前確認の申出の修正に係る書類の提出があった場合には、署法人課税部門又は局調査課は、5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。

  • 5-9 事前確認の申出の取下げ

    確認申出法人から事前確認の申出の取下書の提出があった場合には、署法人課税部門又は局調査課は、5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。

  • 5-10 事前相談

    (1) 局担当課は、法人から事前相談があった場合には、これに応ずる。この場合、局担当課からの連絡を受け、庁担当課相互協議を伴う事前確認に係る相談にあっては、庁相互協議室を含む。(2)において同じ。は、原則として、これに加わる。

  • (2)局担当課事前相談に加わる庁担当課を含む。は、事前相談が事前確認手続における法人の利便性向上及び事前確認手続の迅速化に資することに留意の上、確認申出法人の事前確認の申出に係る事務の軽減及び申出後の事前確認審査の円滑化が図られるよう、次の点に配意して相談に応ずる。

    • イ 確認申出書の添付資料の作成要領、提出期限など、事前確認手続に必要な事項を事前相談時に十分に説明する。
    • ロ 相談対象の国外関連取引の内容を的確に把握し、事前確認の申出を行うかどうか、どのような申出を行うかについて当該法人が適切に判断できるよう必要な情報の提供に努める。
  • (3) 局担当課は、相談を行おうとする法人が提示又は提出した資料の範囲内で事前相談に応ずる。
    なお、事前相談の内容に応じ必要となる資料の提示又は提出が無い場合には、当該法人に対し十分な相談に応じることができない旨を説明する。

  • (4) (1)の事前相談において、5-3に規定する資料の添付に係る相談があり、確認申出書の提出期限までに当該資料の一部を提出できないことについて相当の理由があると認められる場合には、5-3(2)の規定に準じて取り扱う。

  • 5-11 事前確認審査

    局担当課は、確認申出法人から事前確認の申出があった場合には、次により事前確認審査を行う。

    (1) 局担当課は、事前確認の申出を受けた場合には、速やかに事前確認審査に着手し、事案の複雑性・困難性に応じたメリハリのある事前確認審査等を行い、的確・迅速な事務処理に努める。また、庁担当課は、必要に応じ事前確認審査に加わる。
     なお、事前確認審査を迅速に進めるためには、確認申出法人の協力が不可欠であることから、その旨確認申出法人に対し理解を求める。

    (2) 局担当課は、原則として2-1及び2-2の規定その他の第2章及び第3章の規定の例により事前確認審査を行う。
     なお、事前確認審査は、法人税に関する調査には該当しないことに留意する。

    (3) 局担当課は、事前確認審査のため、5-3に規定する資料以外の資料が必要と認められる場合には、確認申出法人にその旨を説明し、当該資料の提出を求める。
     なお、事前確認審査の迅速化の観点から、局担当課は、当該資料の作成等に通常要する期間について当該確認申出法人の事情等を勘案した上で合理的と認められる当該資料の提出期限を設定する。

    (4) 局担当課は、確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められない場合には、当該確認申出法人に対し、申出の修正を求めることができる。

    (5) 庁担当課は、必要に応じ、局担当課に対し事前確認審査の状況等について報告を求める。

  • 5-12 事前確認に係る相互協議

    (1) 局担当課は、確認申出法人が事前確認について相互協議の申立てを行っていない場合には、二重課税を回避し、予測可能性を確保する観点から、当該確認申出法人がどのような申出を行うかについて適切に判断できるよう必要な情報の提供等を行い、当該確認申出法人が相互協議を伴う事前確認を受ける意向であると確認された場合には、相互協議の申立てを行うよう勧しょうする。

    (2) 局担当課は、法人又は当該国外関連者が外国の税務当局に事前相談又は事前確認の申出を行っていることを把握した場合には、当該法人に対し、我が国にも速やかに事前相談又は事前確認の申出を行うよう勧しょうする。

    (3) 局担当課は、確認申出法人が事前確認について相互協議を求める場合には、確認申出書のほか、平成13年6月25日付官協1-39ほか7課共同「相互協議の手続について」(事務運営指針)に定める相互協議申立書を提出するよう指導する。

  • 5-13 局担当課又は庁担当課と庁相互協議室との連絡・協議

    確認申出法人が事前確認について相互協議を求める場合には、局担当課、庁担当課及び庁相互協議室は、必要に応じ協議を行う。
     この場合において、局担当課は、事前確認審査を了したときには、庁担当課を通じて事前確認の申出に対する意見を庁相互協議室に連絡し、庁相互協議室は、事前確認の申出に係る相互協議の結果について、庁担当課を通じて局担当課に連絡する。

  • 5-14 事前確認及び事前確認手続を行うことが適当でない場合

    事前確認審査に当たっては、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、それぞれ(1)又は(2)に定めるところにより適切に対応することに留意する。

    (1) 例えば、次に掲げるような場合で、事前確認を行うことが適当でないと認められる事前確認の申出については、局担当課は、庁担当課相互協議を伴う事前確認にあっては、庁相互協議室を含む。と協議の上、確認申出法人に対して申出の修正等を求め、当該確認申出法人がこれに応じない場合には、事前確認できない旨を当該確認申出法人に説明する。
     なお、事前相談の内容がイに掲げる場合には、相談を行った法人に対し、上記の内容について説明する。

    • イ 非関連者間では通常行われない形態の取引を確認対象とすること等により、経済上の合理的な理由なく我が国での租税負担が軽減されることとなると認められる場合
    • ロ 確認申出法人が、事前確認審査に必要な情報を提供しない等、当該確認申出法人から協力が得られないことにより、事前確認に支障が生じている場合

    (2) 例えば、次に掲げるような場合で、事前確認審査を開始又は継続することが適当でないと認められる事前確認の申出については、局担当課は、庁担当課相互協議を伴う事前確認にあっては、庁相互協議室を含む。と協議の上、確認申出法人に対し、事前確認審査を開始又は再開できる時期が到来するまでの間事前確認手続を保留する旨を説明する。

    • イ 確認申出法人から、移転価格税制に基づく更正等に係る取引と同様の取引を確認対象とする申出がなされている場合において、当該更正等に係る不服申立ての裁決若しくは決定又は裁判の確定を待って事前確認審査を行う必要があると認められるとき。
    • ロ  確認申出法人から、確認対象取引以外の国外関連取引に係る事前確認の申出及び相互協議の申立てがなされている場合において、当該相互協議の合意を待って当該確認対象取引に係る事前確認審査を行う必要があると認められるとき。
    • ハ 5-3トかっこ書きに規定する将来の事業計画、事業予測の資料等のみでは事業活動の実態を把握できないため、確認対象取引に係る取引実績が得られるのを待って事前確認審査を行う必要があると認められるとき。

  • 5-15 事前確認審査の結果の通知

    (1)局担当課は、相互協議の対象となった申出につき、庁担当課を通じて庁相互協議室から相互協議の合意結果について連絡を受けた場合には、当該合意結果に従い、確認申出法人に対し申出の修正を求める等所要の処理を行った上で、当該合意結果に基づき事前確認する旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。

    (2)局担当課は、相互協議の対象となった申出につき、庁担当課を通じて庁相互協議室から相互協議の合意が成立しなかった旨の連絡を受けた場合には、確認申出法人から申出を取り下げるか又は相互協議によることなく事前確認を求めるかについて意見を聴取し、5-9又は5-15(3)若しくは5-15(4)に定める処理を速やかに行う。

    (3)局担当課は、相互協議を求めていない申出につき、事前確認審査の結果、申出に係る独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められる場合には、当該独立企業間価格の算定方法等を事前確認する旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。

    (4)局担当課は、事前確認審査の結果、申出に係る独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められない場合、確認申出法人が5-3に規定する資料の添付を怠った場合、5-11(3)の資料の提出に応じない場合又は5-14(1)の規定に基づき事前確認できないと判断した場合には、庁担当課相互協議を伴う事前確認の申出にあっては、庁相互協議室を含む。と協議の上、当該独立企業間価格の算定方法等を事前確認できない旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。

    (5)所轄税務署長は、局担当課から5-15(1)若しくは5-15(3)又は5-15(4)の連絡を受け、確認申出法人に対し、「独立企業間価格の算定方法等の確認通知書(別紙様式3)又は「独立企業間価格の算定方法等の確認ができない旨の通知書」(別紙様式4)により事前確認する旨又は事前確認できない旨の通知を速やかに行う。

  • 5-16 事前確認の効果

    所轄税務署長は、5-15(5)の事前確認する旨の通知を受けた法人以下「確認法人」という。が事前確認を受けた国外関連取引以下「確認取引」という。に係る各事業年度以下「確認事業年度」という。において事前確認の内容に適合した申告を行っている場合には、当該確認取引は独立企業間価格で行われたものとして取り扱う。

     なお、事前確認時に既に経過した確認対象事業年度がある場合において、当該確認対象事業年度に係る申告を事前確認の内容に適合させるために確認法人が提出する修正申告書は、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないことに留意する。

  • 5-17 報告書の提出

    所轄税務署長は、確認法人に対し、確認事業年度の確定申告書の提出期限又は所轄税務署長があらかじめ定める期限までに、次の事項を記載した報告書を提出するよう求める。
    なお、報告書の提出部数は、調査課所管法人にあっては、2部、調査課所管法人以外の法人にあっては、3部とする。

    • イ 確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行っていることの説明
    • ロ 確認取引に係る確認法人及び当該国外関連者の損益事前確認の内容により局担当課が必要と認める場合に限る。
    • ハ事前確認の前提となった重要な事業上又は経済上の諸条件の変動の有無に関する説明
    • ニ 確認取引の結果が事前確認の内容に適合しなかった場合に、確認法人が行った5-19に規定する価格の調整の説明
    • ホ 確認事業年度に係る確認法人及び当該国外関連者の財務状況
    • ヘ その他確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行っているかどうかを検討する上で参考となる事項

  • 5-18 報告書の取扱い

    (1) 確認法人から、5-17に定める報告書の提出があった場合には、署法人課税部門又は局調査課は5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。

    (2) 局担当課は、報告書等から、事前確認の内容に適合した申告が行われているかどうかを検討する。報告書等の検討は、法人税に関する調査に該当することに留意し、局担当課は、報告書等の検討に際してその旨を確認法人に説明する。また、局担当課は、報告書等を検討した結果、事前確認の内容に適合した申告が行われておらず、所得金額が過少となっている事実が判明した場合には、確認法人に対し、検討の結果及び修正申告書の提出が必要となる旨を説明する。

    (注) 局担当課による報告書等の検討のための確認法人への臨場又は上記事実の指摘等によって当該確認法人が局担当課による報告書等の検討があったことを了知したと認められる以前に、当該事実が判明したことにより、5-19(2)ロの規定に基づいて当該確認法人が自主的に修正申告書を提出する場合には、当該修正申告書は、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しない。
    なお、「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当するかどうかは、平成12年7月3日付課法2-9ほか3課共同「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(事務運営指針)に基づき判断する。

    (3) 局担当課は、必要に応じ、報告書等の検討結果を庁担当課に報告し、相互協議の合意が成立した事案について、庁担当課を通じて検討結果を庁相互協議室に連絡する。

  • 5-19 価格の調整

    (1) 所轄税務署長は、確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行うために確定決算において行う必要な調整は、移転価格上適正な取引として取り扱う。

    (2) 局担当課は、確認法人のその事前確認に係る価格の調整以下「補償調整」という。について、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に掲げる処理を行うよう指導する。

    • イ 確認法人は、確認事業年度に係る確定申告前に、確定決算が事前確認の内容に適合していないことにより、所得金額が過少となることが判明した場合には、申告調整により所得金額を修正する。

    • ロ 確認法人は、確認事業年度に係る確定申告後に、確定申告が事前確認の内容に適合していないことにより、所得金額が過少となっていたことが判明した場合には、速やかに修正申告書を提出する。

    • ハ 確認法人は、確認事業年度に係る確定申告前に、確定決算が相互協議の合意が成立した事前確認の内容に適合していないことにより、所得金額が過大となることが判明した場合には、補償調整に係る相互協議の合意内容に従い、申告調整により所得金額を修正することができる。

    • ニ 確認法人は、確認事業年度に係る確定申告後に、確定申告が相互協議の合意が成立した事前確認の内容に適合していないことにより、所得金額が過大となっていたことが判明した場合には、補償調整に係る相互協議の合意内容に従い、、国税通則法第23条第2項に基づき更正の請求を行うことができる。

  • 5-20 事前確認の改定

    確認法人から、確認事業年度のうちのいずれかの事業年度において、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件等について事情の変更が生じたことにより改定の申出がなされた場合には、5-1から5-19までの規定に準じて所要の処理を行う。

  • 5-21 事前確認の取消し

    (1) 局担当課は、次のイからハまでに該当する場合には当該事実の発生した事業年度以後の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)について、ニに該当する場合には確認事業年度について、事前確認を取り消す旨を所轄税務署長に連絡する。

    • イ 確認法人が5-20に規定する事情が生じたにもかかわらず事前確認の改定の申出を行わなかった場合

    • ロ 確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行わなかった場合

    • ハ 確認法人が5-17に規定する報告書を提出しなかった場合又は報告書に重大な誤りがあった場合

    • ニ 事前確認の基礎とした事実関係が真実でない場合又は申出の内容に重大な誤りがあった場合

    (2) (1)の取消しの連絡を行う場合、局担当課は必要に応じ庁担当課と協議を行う。

    (3) 相互協議の合意が成立した事前確認について(1)の取消事由が生じている場合には、局担当課は、庁担当課を通じ、庁相互協議室と協議し、当該事前確認につき事前確認を取り消す旨の相互協議の合意を受け、その旨を所轄税務署長に連絡する。

    (4) 所轄税務署長は、局担当課からの連絡を受け事前確認を取り消す場合には、確認法人に対し、「独立企業間価格の算定方法等の確認取消通知書」(別紙様式5)により事前確認を取り消す旨の通知を行う。

  • 5-22 事前確認の更新

    確認法人から事前確認の更新の申出がなされた場合には、5-1から5-21までの規定に準じて所要の処理を行う。

  • 5-23 確認対象事業年度前の各事業年度への準用

    確認申出法人から確認対象事業年度における独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前の各事業年度その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度。以下5-23において同じ。に準用したい旨の申出があった場合において、その事前確認の申出が相互協議の申立てを伴うものであって、当該独立企業間価格の算定方法等が確認対象事業年度前の各事業年度においても最も合理的と認められるときは、5-15、5-16、5-19及び5-21の規定に準じて所要の処理を行う。

  • 5-24 本支店間取引への準用

    法施行令第176条第1項第7号に掲げる事業を行う法人の我が国に所在する支店と当該法人の国外にある本店又は支店との間の取引について、当該本店が所在する国の税務当局から事前確認に類する申出に係る相互協議の申入れがあり、かつ、当該我が国に所在する支店が事前確認の申出に準じた申出を行う場合には、5-1から5-23までの規定に準じて所要の処理を行う。

  • 5-25 法人が連結グループに加入等した場合の取扱い

    (1) 確認申出法人が連結法人となった場合で、その法人以下「連結加入等法人」という。が引き続き事前確認の申出を行うときは、連結加入等法人に係る連結親法人の納税地の所轄税務署長は、当該連結親法人に対し、「連結加入等法人の事前確認の継続届出書」(別紙様式6)を速やかに提出するよう求める。
     なお、届出書の提出部数は、調査課所管法人にあっては、2部(当該連結親法人が相互協議を求めている場合には、3部)、調査課所管法人以外の連結法人にあっては、3部(当該連結親法人が相互協議を求めている場合には、4部)とする。

    (2) (1)の連結親法人からその納税地の所轄税務署長に対し、(1)に定める届出書の提出があった場合には、当該税務署長は、当該届出書の写しをその連結加入等法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に送付し、署法人課税部門又は局調査課は5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。また、相互協議を求めているものについては、庁担当課は届出書1部を庁相互協議室に回付する。

    (3) (1)の連結親法人から(1)に定める届出書の提出があった場合のその連結加入等法人に係る事前確認については、当該連結親法人からその納税地の所轄税務署長に対し、連結指針5-2に規定する事前確認の申出がなされたものとして、その後については連結指針5-1から5-25までの規定を適用する。

  • 経過的取扱い・・・事前確認の申出に係る改正通達の適用時期等 平成20年10月22日

    この通達による改正後の5-2(2)及び5-22の取扱いは、平成21年11月1日以後に開始する確認対象初年度事前確認を受けようとする事業年度のうち最初の事業年度をいう。以下同じ。に係る事前確認の申出について適用し、平成20年11月1日から平成21年10月31日までの間に開始する確認対象初年度に係る事前確認の申出更新の申出を除く。は、当該確認対象初年度の直前の事業年度に係る確定申告書の提出期限法第75条の2《確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限の翌日から8月を経過する日までに、確認申出書をその国外関連者の所在地国ごとに法人の納税地の所轄税務署長に提出することにより行うものとする。

    なお、平成20年11月1日より前に開始する確認対象初年度に係る事前確認の申出更新の申出を除く。及び平成21年11月1日より前に開始する確認対象初年度に係る事前確認の更新の申出については、従前の例による。

    • (注) 上記の8月を経過する日が、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項《期限の特例》に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出することにより行うものとする。

  • 経過的取扱い・・・改正通達の適用時期 平成23年10月27日

    改正法令現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律(平成23年法律第82号)、租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成23年政令第199号)及び租税特別措置法施行規則等の一部を改正する省令(平成23年財務省令第35号)をいう。による改正に伴うこの事務運営指針の取扱いの改正及びこれらの改正に伴う別冊「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」の変更部分は、平成23年10月1日以後開始する事業年度に係る調査及び事前確認審査について適用し、同日より前に開始する事業年度に係る調査及び事前確認審査については、なお従前の例による。

[平13.6.1 査調7-1、官際3-1、官協1-16、課法6-7(事務運営指針)]
[平14.6.20 査調7-11、官協1-22、課法6-11(改正)]
[平17.4.28 査調7-3、官際1-18、官協1-13、課法6-6(改正)]
[平18.3.20 査調7-2、官際1-13、官協1-6、課法7-2(改正)]
[平19.6.25 査調7-21、官際1-52、官協1-35、課法7-5(改正)]
[平20.10.22 査調7-24、官際1-44、官協1-98、課法7-9(改正)]
[平22.6.22 査調7-31、官際1-27、官協1-47、課法7-3(改正)]
[平23.10.27 査調8-130、官際1-73、官協1-100、課法7-14(改正)]

 標題のことについて、別添のとおり定めたから、これにより適切に実施されたい。
なお、平成11年10月25日付査調8-1ほか3課共同「独立企業間価格の算定方法等の確認について(事務運営指針)」は廃止する。

【編注】別紙「新旧対照表」による改正後の事項を織り込み全文を以下に掲げました。

  • (趣旨)

    租税特別措置法第66条の4≪国外関連者との取引に係る課税の特例≫に関し、事務運営の指針を整備し、移転価格税制の適正、円滑な執行を図るものである。

第1章 定義及び基本方針
  • 1-1 定義

    この事務運営指針において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

    • (1) 法 法人税法をいう。
    • (2) 措置法 租税特別措置法をいう。
    • (3) 基本通達 法人税基本通達をいう。
    • (4) 措置法通達 租税特別措置法関係通達(法人税編)をいう。
    • (5) 移転価格税制 措置法第66条の4の規定第3項を除く。をいう。
    • (6) 連結法人 法第2条第12号の7の4に規定する連結法人をいう。
    • (7) 連結親法人 法第2条第12号の7の2に規定する連結親法人をいう。
    • (8) 確定申告書 法第2条第31号に規定する確定申告書及びこれに添付することとされている書類をいう。
    • (9) 事業年度 法第13条に規定する事業年度をいう。
    • (10) 連結事業年度 法第15条の2に規定する連結事業年度をいう。
    • (11) 国外関連者 措置法第66条の4第1項及び第68条の88第1項に規定する国外関連者をいう。
    • (12) 国外関連取引 措置法第66条の4第1項及び第68条の88第1項に規定する国外関連取引をいう。
    • (13) 独立企業間価格 措置法第66条の4第1項に規定する独立企業間価格をいう。
    • (14) 独立企業間価格の算定方法 措置法第66条の4第2項各号に掲げる方法をいう。
    • (15) 非関連者 措置法第66条の4第1項に規定する特殊の関係にない者をいう。
    • (16) 非関連者間取引 措置法通達66の4(2)-1に定める非関連者間取引をいう。
    • (17) 比較可能性 措置法通達66の4(2)-1の(4)に掲げる「国外関連取引と非関連者間取引との類似性の程度」をいう。
    • (18) 比較対象取引 措置法通達66の4(3)-1に定める比較対象取引同通達66の4(3)-1の(5)に掲げる取引を除く。をいう。
    • (19) 独立価格比準法 措置法第66条の4第2項第1号イに掲げる方法をいう。
    • (20) 再販売価格基準法 措置法第66条の4第2項第1号ロに掲げる方法をいう。
    • (21) 原価基準法 措置法第66条の4第2項第1号ハに掲げる方法をいう。
    • (22) 基本三法 独立価格比準法、再販売価格基準法及び原価基準法をいう。
    • (23) 準ずる方法 措置法第66条の4第2項第1号ニに掲げる方法措置法施行令第39条の12第8項第1号から第3号までに掲げる方法を除く。をいう。
    • (24) 同等の方法 措置法第66条の4第2項第2号に規定する方法をいう。
    • (25) 利益分割法 措置法施行令第39条の12第8項第1号に掲げる方法をいう。
    • (26) 残余利益分割法 利益分割法のうち措置法施行令第39条の12第8項第1号ハに掲げる方法をいう。
    • (27) 取引単位営業利益法 措置法施行令第39条の12第8項第2号及び第3号に掲げる方法をいう。
    • (28) 無形資産 措置法通達66の4(3)-3の(注)1に定める無形資産をいう。
    • (29) 租税条約 我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約をいう。
    • (30) 租税条約等実施特例法 租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律をいう。
    • (31) 相互協議 租税条約の規定に基づく我が国の権限ある当局と外国の権限ある当局との協議をいう。
    • (32) 事前確認 税務署長又は国税局長が、法人が採用する最も合理的と認められる独立企業間価格の算定方法及びその具体的内容等以下「独立企業間価格の算定方法等」という。について確認を行うことをいう。
    • (33) 事前確認審査 局担当課が行う事前確認の申出に係る審査をいう。
    • (34) 事前相談 事前確認を受けようとする法人が、事前確認の申出前に、事前確認を申し出ようとする独立企業間価格の算定方法等について局担当課必要に応じて庁担当課及び庁相互協議室を含む。と行う相談代理人を通じた匿名の相談を含む。をいう。
    • (35) 局担当課 国税局課税第二部金沢、高松及び熊本国税局にあっては、課税部法人課税課及び沖縄国税事務所法人課税課以下「局法人課税課」という。又は東京及び大阪国税局調査第一部国際情報第二課、名古屋国税局調査部国際調査課、関東信越国税局調査査察部国際調査課、札幌、仙台、金沢、広島、高松、福岡及び熊本国税局調査査察部調査管理課並びに沖縄国税事務所調査課以下「局調査課」という。をいう。
    • (36) 庁担当課 国税庁課税部法人課税課又は国税庁調査査察部調査課をいう。
    • (37) 庁相互協議室 国税庁長官官房国際業務課相互協議室をいう。
    • (38) 連結指針 平成17年4月28日付査調7-4ほか3課共同「連結法人に係る移転価格事務運営要領の制定について」(事務運営指針)をいう。
  • 1-2 基本方針

    移転価格税制に係る事務については、この税制が独立企業原則に基づいていることに配意し、適正に行っていく必要がある。このため、次に掲げる基本方針に従って当該事務を運営する。

    • (1) 法人の国外関連取引に付された価格が非関連者間取引において通常付された価格となっているかどうかを十分に検討し、問題があると認められる取引を把握した場合には、市場の状況及び業界情報等の幅広い事実の把握に努め、算定方法・比較対象取引の選定や差異調整等について的確な調査を実施する。

    • (2) 独立企業間価格の算定方法等に関し、法人の申出を受け、また、当該申出に係る相互協議の合意がある場合にはその内容を踏まえ、事前確認を行うことにより、当該法人の予測可能性を確保し、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る。

    • (3) 移転価格税制に基づく課税により生じた国際的な二重課税の解決には、移転価格に関する各国税務当局による共通の認識が重要であることから、調査又は事前確認審査に当たっては、必要に応じOECD移転価格ガイドラインを参考にし、適切な執行に努める。

  • 1-3 別冊の活用

    別冊「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」は、一定の前提条件を置いた設例に基づいて移転価格税制上の取扱いを取りまとめたものである。このため、別冊で取り上げた事例以外の事例があることはもとより、類似の事例であっても、前提条件が異なることにより移転価格税制上の取扱いが異なり得ることに留意の上、これを参考にして当該税制に係る事務を適切に行う。

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