[平13.6.1 査調7-1、官際3-1、官協1-16、課法6-7(事務運営指針)]
[平14.6.20 査調7-11、官協1-22、課法6-11(改正)]
[平17.4.28 査調7-3、官際1-18、官協1-13、課法6-6(改正)]
[平18.3.20 査調7-2、官際1-13、官協1-6、課法7-2(改正)]
[平19.6.25 査調7-21、官際1-52、官協1-35、課法7-5(改正)]
[平20.10.22 査調7-24、官際1-44、官協1-98、課法7-9(改正)]
[平22.6.22 査調7-31、官際1-27、官協1-47、課法7-3(改正)]
[平23.10.27 査調8-130、官際1-73、官協1-100、課法7-14(改正)]
標題のことについて、別添のとおり定めたから、これにより適切に実施されたい。
なお、平成11年10月25日付査調8-1ほか3課共同「独立企業間価格の算定方法等の確認について(事務運営指針)」は廃止する。
【編注】別紙「新旧対照表」による改正後の事項を織り込み全文を以下に掲げました。
- 2-9 企業グループ内における役務の提供の取扱い
(1)法人が国外関連者に対し、次に掲げるような経営・財務・業務・事務管理上の活動を行う場合において、当該活動が役務の提供に該当するかどうかは、当該活動が当該国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものかどうかにより判断する。具体的には、当該国外関連者と同様の状況にある非関連者が他の非関連者からこれと同じ活動を受けた場合に対価を支払うかどうか、又は当該法人が当該活動を行わなかったとした場合に国外関連者自らがこれと同じ活動を行う必要があると認められるかどうかにより判断する。 (2)法人が、国外関連者の要請に応じて随時役務の提供を行い得るよう人員や設備等を利用可能な状態に定常的に維持している場合には、かかる状態を維持していること自体が役務の提供に該当することに留意する。 (3)法人が国外関連者に対し行う(1)の活動が、役務の提供に該当するかどうかを検討するに当たり、次に掲げる活動は国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものではないことに留意する。 イ 法人が国外関連者に対し、非関連者が当該国外関連者に行う役務の提供又は当該国外関連者が自らのために行う(1)の活動と重複する活動を行う場合における当該重複する活動(ただし、その重複が一時的であると認められる場合、又は当該重複する活動が事業判断の誤りに係るリスクを減少させるために手続上重複して行われるチェック等であると認められる場合を除く。) ロ 国外関連者に対し株主としての地位を有する法人が、専ら自らのために行う株主としての法令上の権利の行使又は義務の履行に係る活動(以下「株主活動」という。)で、例えば次に掲げるもの - (イ) 親会社が実施する株主総会の開催や株式の発行など、親会社が遵守すべき法令に基づいて行う活動
- (ロ) 親会社が金融商品取引法に基づく有価証券報告書等を作成するための活動
- (注) 親会社が子会社等に対して行う特定の業務に係る企画、緊急時の管理、技術的助言、日々の経営に関する支援等は、株主としての地位を有する者が専ら株主として自らのために行うものとは認められないことから、株主活動には該当しない。
また、親会社が子会社等に対する投資の保全を目的として行う活動で、かつ、当該子会社等にとって経済的又は商業的価値を有するものは役務の提供に該当する。
(4) (1)から(3)までの取扱いは、国外関連者が法人に対して行う活動について準用する。 (5) 法人が国外関連者に対し支払うべき役務の提供に係る対価の額の適否の検討に際して、当該法人に対し、当該国外関連者から受けた役務の内容等が記載された書類(帳簿その他の資料を含む。)の提示又は提出を求める。この場合において、当該役務の提供に係る実態等が確認できないときには、措置法第66条の4第3項等の規定の適用について検討することに留意する。
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- 2-10 原価基準法に準ずる方法と同等の方法による役務提供取引の検討
(1) 法人が国外関連者との間で行う役務提供のうち、当該法人又は当該国外関連者の本来の業務に付随した役務提供について調査を行う場合には、必要に応じ、当該役務提供の総原価の額を独立企業間価格とする原価基準法に準ずる方法と同等の方法の適用について検討する。 この場合において、本来の業務に付随した役務提供とは、例えば、海外子会社から製品を輸入している法人が当該海外子会社の製造設備に対して行う技術指導等、役務提供を主たる事業としていない法人又は国外関連者が、本来の業務に付随して又はこれに関連して行う役務提供をいう。また、役務提供に係る総原価には、原則として、当該役務に関連する直接費のみならず、合理的な配賦基準によって計算された担当部門及び補助部門の一般管理費等間接費まで含まれることに留意する。 (2) 法人が国外関連者との間で行う(1)以外の役務提供について調査を行う場合において、当該役務提供が次に掲げる要件の全てを満たしているときには、必要に応じ、(1)と同様の方法の適用について検討する。 - イ 役務の内容が次に掲げる業務のいずれかに該当すること。
- (イ) 予算の作成又は管理
- (ロ) 会計、税務又は法務
- (ハ) 債権の管理又は回収
- (ニ) 情報通信システムの運用、保守又は管理
- (ホ) キャッシュフロー又は支払能力の管理
- (ヘ) 資金の運用又は調達(事務処理上の手続に限る。)
- (ト) 従業員の雇用、配置又は教育
- (チ) 従業員の給与、保険等に関する事務
- (リ) 広告宣伝(2-9(1)リに掲げるマーケティングに係る支援を除く。)
- (ヌ) その他一般事務管理
- ロ 当該役務提供が法人又は国外関連者の事業活動の重要な部分に関連していないこと。
- ハ 当該役務提供に要した費用が法人又は国外関連者の当該役務提供を行った事業年度の原価又は費用の額の相当部分を占めていないこと。
- ニ 当該役務提供を行う際に自己の無形資産を使用していないこと。
- ホ 当該役務提供に関連する直接費及び間接費の計算が、当該役務提供に係る従事者の従事割合や使用資産の使用割合等、合理的な配分割合によっていること。
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- 2-15 費用分担契約の取扱い
法人が国外関連者との間で締結した費用分担契約に基づく費用の分担(費用分担額の調整を含む。)及び持分の取得は、国外関連取引に該当し、当該費用分担契約における当該法人の予測便益割合が、当該法人の適正な予測便益割合(2-16及び2-18による検討に基づき算定される割合をいう。)に比して過大であると認められるときは、当該法人が分担した費用の総額のうちその過大となった割合に対応する部分の金額は、独立企業間価格を超えるものとして損金の額に算入されないことに留意する。 (注) 法人が分担した費用については、法人税に関する法令の規定に基づいて処理するのであるから、例えば、研究開発等の活動に要する費用のうちに措置法第61条の4第3項に規定する交際費等がある場合には、適正な予測便益割合に基づき法人が分担した交際費等の額は、措置法通達61の4(1)-23《交際費等の支出の方法》(1)の規定に準じて取り扱うこととなり、当該分担した交際費等の額を基に同条第1項の規定に基づく損金不算入額の計算を行うこととなることに留意する。
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- 2-17 費用分担契約における既存の無形資産の使用
参加者の保有する既存の無形資産(当該費用分担契約を通じて取得・開発された無形資産以外の無形資産をいう。以下同じ。)が費用分担契約における研究開発等の活動で使用されている場合には、その無形資産が他の参加者に譲渡されたと認められる場合を除き、当該無形資産を保有する参加者において、その無形資産に係る独立企業間の使用料に相当する金額が収受されているか、あるいはこれを分担したものとして費用分担額の計算が行われているかについて検討する必要があることに留意する。 (注) 法人が研究開発等の活動において自ら開発行為等を行っている場合や国外関連者である参加者の実現便益がその予測便益を著しく上回っているような場合には、法人の保有する既存の無形資産が当該研究開発等の活動に使用されているかどうかを検討し、その使用があると認められた場合においては、本文の検討を行うことに留意する。
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- 2-18 費用分担契約に係る検査を行う書類
調査においては、2-4に掲げる書類から国外関連取引の実態を的確に把握するのであるが、費用分担契約に係る調査を行うに当たっては、費用分担契約書(研究開発等の活動の範囲・内容を記載した附属書類を含む。)のほか、主として次に掲げる書類(帳簿その他の資料を含む。)の提示を求め、移転価格税制上の問題があるかどうかを検討する。 (1) 費用分担契約の締結に当たって作成された書類 - イ 参加者の名称、所在地、資本関係及び事業内容等を記載した書類
- ロ 参加者が契約締結に至るまでの交渉・協議の経緯を記載した書類
- ハ 予測便益割合の算定方法及びそれを用いることとした理由を記載した書類
- ニ 費用分担額及び予測便益の算定に用いる会計基準を記載した書類
- ホ 予測便益割合と実現便益割合とが乖離した場合における費用分担額の調整に関する細目を記載した書類
- ヘ 新規加入又は脱退があった場合の無形資産等の価値の算定に関する細目を記載した書類
- ト 契約条件の変更並びに費用分担契約の改定又は終了に関する細目を記載した書類
(2) 費用分担契約締結後の期間において作成された書類 - イ 各参加者が研究開発等の活動のために要した費用の総額及びその内訳並びに各参加者の費用分担額及びその計算過程を記載した書類
- ロ 研究開発等の活動に関する予測便益割合と実現便益割合との乖離の程度を記載した書類
- ハ 研究開発等の活動を通じて形成された無形資産等に対する各参加者の持分の異動状況(研究開発等の活動を通じて形成された無形資産等の価値の算定方法を含む。)を記載した書類
- ニ 新規加入又は脱退があった場合の事情の詳細を記載した書類
(3) その他の書類 - イ 既存の無形資産を研究開発等の活動に使用した場合における当該既存の無形資産の内容及び使用料に相当する金額の算定に関する細目を記載した書類
- ロ 研究開発等の活動から生じる成果を利用することが予定されている者で、費用分担契約に参加しない者の名称、所在地等を記載した書類
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- 2-20 価格調整金等がある場合の留意事項
法人が価格調整金等の名目で、既に行われた国外関連取引に係る対価の額を事後に変更している場合には、当該変更が合理的な理由に基づく取引価格の修正に該当するものかどうかを検討する。 当該変更が国外関連者に対する金銭の支払又は費用等の計上(以下「支払等」という。)により行われている場合には、当該支払等に係る理由、事前の取決めの内容、算定の方法及び計算根拠、当該支払等を決定した日、当該支払等をした日等を総合的に勘案して検討し、当該支払等が合理的な理由に基づくものと認められるときは、取引価格の修正が行われたものとして取り扱う。 なお、当該支払等が合理的な理由に基づくものと認められない場合には、当該支払等が措置法第66条の4第3項の規定の適用を受けるものであるか等について検討する。
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- 3-2 独立企業間価格の算定における基本三法の長所
独立企業間価格の算定方法のうち、取引の価格を直接比較する独立価格比準法(独立価格比準法と同等の方法を含む。以下同じ。)は、独立企業間価格を最も直接的に算定することができる長所を有し、また、売上総利益に係る利益率(措置法第66条の4第2項第1号ロ及びハに規定する政令で定める通常の利益率をいう。)に基づき算定された価格を比較する再販売価格基準法及び原価基準法(再販売価格基準法と同等の方法及び原価基準法と同等の方法を含む。以下同じ。)は、独立価格比準法に次いで独立企業間価格を直接的に算定することができる長所を有することに留意する。 したがって、最も適切な方法の選定に当たり、措置法通達66の4(2)-1の(1)から(4)までに掲げる点等を勘案した結果、最も適切な方法の候補が複数ある場合において、独立価格比準法の適用における比較可能性が十分であるとき(国外関連取引と比較対象取引との差異について調整を行う必要がある場合は、当該調整を行うことができるときに限る。以下同じ。)には、上記の長所により独立価格比準法の選定が最も適切となり、また、独立価格比準法を選定することはできないが、再販売価格基準法又は原価基準法の適用における比較可能性が十分であるときには、上記の長所により再販売価格基準法又は原価基準法の選定が最も適切となることに留意する。
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- 3-3 差異の調整方法
国外関連取引と、比較対象取引又は措置法通達66の4(3)-1の(5)に掲げる取引との差異について調整を行う場合には、例えば次に掲げる場合に応じ、それぞれ次に定める方法により行うことができることに留意する。 なお、差異の調整は、その差異が措置法第66条の4第2項第1号イに規定する対価の額若しくは同号ロ及びハに規定する通常の利益率の算定又は措置法施行令第39条の12第8項第2号及び第3号に規定する割合の算定に影響を及ぼすことが客観的に明らかである場合に行うことに留意する(措置法第66条の4第2項第2号の規定の適用において同じ。)。 (1) 貿易条件について、一方の取引がFOB(本船渡し)であり、他方の取引がCIF(運賃、保険料込み渡し)である場合 - 比較対象取引の対価の額に運賃及び保険料相当額を加減算する方法
(2) 決済条件における手形一覧後の期間について、国外関連取引と比較対象取引に差異がある場合 - 手形一覧から決済までの期間の差に係る金利相当額を比較対象取引の対価の額に加減算する方法
(3) 比較対象取引に係る契約条件に取引数量に応じた値引き、割戻し等がある場合 - 国外関連取引の取引数量を比較対象取引の値引き、割戻し等の条件に当てはめた場合における比較対象取引の対価の額を用いる方法
(4) 機能又はリスクに係る差異があり、その機能又はリスクの程度を国外関連取引及び比較対象取引の当事者が当該機能又はリスクに関し支払った費用の額により測定できると認められる場合 - 当該費用の額が当該国外関連取引及び比較対象取引に係る売上又は売上原価に占める割合を用いて調整する方法
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- 3-6 利益分割法における共通費用の取扱い
利益分割法の適用に当たり、法人又は国外関連者の売上原価、販売費及び一般管理費その他の費用のうち国外関連取引及びそれ以外の取引の双方に関連して生じたもの(以下3-6において「共通費用」という。)がある場合には、これらの費用の額を、個々の取引形態に応じて、例えば当該双方の取引に係る売上金額、売上原価、使用した資産の価額、従事した使用人の数等、当該双方の取引の内容及び費用の性質に照らして合理的と認められる要素の比に応じて按分し、当該国外関連取引の分割対象利益等(措置法通達66の4(5)-1に定める分割対象利益等をいう。以下同じ。)を計算することに留意する。 なお、分割対象利益等の配分に用いる要因の計算を費用の額に基づいて行う場合にも、共通費用については上記に準じて計算することに留意する。
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- 3-10 推定による課税を行う場合の留意事項
(1) 措置法施行令第39条の12第12項第1号に掲げる方法の適用に当たっては、措置法通達66の4(5)-1から66の4(5)-3までの取扱いを準用することとし、原則として法人及び国外関連者が属する企業集団の財産及び損益の状況を連結して記載した計算書類(以下「連結財務諸表等」という。)における国外関連取引に係る事業に係る営業利益又はこれに相当する金額(以下「営業利益等」という。)を同号に規定する要因で分割することにより当該法人及び国外関連者への配分計算を行うことに留意する。 - (注) 連結財務諸表等において国外関連取引に係る事業に係る営業利益等が他の事業に係る営業利益等と区分されていない場合には、当該国外関連取引に係る事業を含む事業に係る営業利益等に以下のロのイに対する割合を乗じて計算した金額を法人への配分額とすることができる。
- イ 当該国外関連取引に係る事業を含む事業に係る営業利益等の発生に企業集団が寄与した程度を推測するに足りる要因
- ロ イのうち当該国外関連取引に係る事業に係るものとして法人が寄与した程度を推測するに足りる要因
(2) 措置法施行令第39条の12第12項第4号に掲げる方法の適用に当たっては、措置法通達66の4(6)-1を準用することに留意する。
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第4章 国外移転所得金額等の取扱い |
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- 4-3 対応的調整に伴い国外関連者に返還する金額がある場合の取扱い
相互協議の合意に基づく対応的調整により減額更正を行う場合において、法人が減額される所得金額の全部又は一部を合理的な期間内に国外関連者に対して返還することとし、租税条約等実施特例法第7条第1項《租税条約に基づく合意があつた場合の更正の特例》に規定する更正の請求とともに、次に掲げる内容を記載した書面(「対応的調整に伴う返還に関する届出書」(別紙様式7))を所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては所轄国税局長)に届け出た場合には、その返還することとした金額を当該国外関連者に対する未払金として処理することに留意する。 - イ 法人名
- ロ 納税地
- ハ 代表者名
- ニ 国外関連者名及び所在地
- ホ 返還する予定の日
- ヘ 返還する金額(外貨建取引の場合は、外国通貨の金額を併記する。)
- ト 返還方法
(注) 外貨建ての取引につき返還することとして届け出る金額は、基本通達13の2-1-2《外貨建取引及び発生時換算法の円換算》の規定に基づき円換算した金額とし、当該金額とその返還を行った日の外国為替の売買相場によって円換算した金額との差額は、その返還を行った日の属する事業年度の益金又は損金の額に算入する。
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- 5-2 事前確認の申出
(1) 所轄税務署長(調査課所管法人(調査査察部等の所掌事務の範囲を定める省令(昭和24年大蔵省令第49号)により調査課が所管する法人をいう。)にあっては、所轄国税局長(沖縄国税事務所長を含む。)とする。以下同じ。)は、 法人からその国外関連取引の全部又は一部に係る事前確認の申出がなされた場合には、これを収受する。 (2) 事前確認の申出は、事前確認を受けようとする事業年度(以下「確認対象事業年度」という。)のうち最初の事業年度開始の日までに、確認対象事業年度、国外関連者、事前確認の対象となる国外関連取引(以下「確認対象取引」という。)及び独立企業間価格の算定方法等を記載した「独立企業間価格の算定方法等の確認に関する申出書」(別紙様式2。以下「確認申出書」という。)をその国外関連者の所在地国ごとに法人の納税地の所轄税務署長に提出することにより行うものとする。 - (注) 確認対象事業年度のうち最初の事業年度開始の日が、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項《期限の特例》に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出することにより行うものとする。
(3) 確認申出書の提出部数は、調査課所管法人にあっては2部(相互協議を求める場合には、3部)、調査課所管法人以外の法人にあっては3部(相互協議を求める場合には、4部)とする(以下5-3、5-8及び5-9において同じ。)。
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- 5-3 資料の添付
(1) 所轄税務署長は、確認申出法人に対し、確認申出書に次に掲げる資料を添付するよう求める。 - イ 確認対象取引及び当該確認対象取引を行う組織等の概要を記載した資料
- ロ 事前確認を求めようとする独立企業間価格の算定方法等及びそれが最も合理的であることの説明を記載した資料
- ハ 事前確認を行い、かつ、事前確認を継続する上で前提となる重要な事業上又は経済上の諸条件に関する資料
- ニ 確認対象取引における取引及び資金の流れ、確認対象取引に使用される通貨の種類等確認対象取引の詳細を記載した資料
- ホ 確認対象取引に係る国外関連者(以下「当該国外関連者」という。)と確認申出法人との直接若しくは間接の資本関係又は実質的支配関係に関する資料
- ヘ 確認対象取引において確認申出法人及び当該国外関連者が果たす機能に関する資料
- ト 確認申出法人及び当該国外関連者の過去3事業年度分の営業及び経理の状況その他事業の内容を明らかにした資料(確認対象取引が新規事業又は新規製品に係るものであり、過去3事業年度分の資料を提出できない場合には、将来の事業計画、事業予測の資料等これに代替するもの)
- チ 当該国外関連者について、その所在地国で移転価格に係る調査、不服申立て、訴訟等が行われている場合には、その概要及び過去の課税状況を記載した資料
- リ 事前確認の申出に係る独立企業間価格の算定方法等を確認対象事業年度前3事業年度に適用した場合の結果等確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等を具体的に説明するために必要な資料
- ヌ その他事前確認に当たり必要な資料
- (注) ト及びリに掲げる資料については、確認対象取引に係る製品のライフサイクル等を考慮した場合に、3事業年度分に係る資料では十分な事前確認審査を行うことができないと認められるときには、局担当課は、確認申出法人に対し、これらに加え、その前2事業年度分に係る資料の提出を求める。
(2) 確認申出法人が確認申出書に(1)に掲げる資料の添付を怠った場合には、5-15(4)及び5-15(5)の規定に基づき独立企業間価格の算定方法等を事前確認でない旨の通知を行うのであるが、(1)に掲げる資料の一部につき添付がなかったことについて相当の理由があると認められるときには、局担当課は、当該資料の作成に通常要すると認める期間(以下「提出猶予期間」という。)を限度として当該通知を行わないことができる。 この場合において、局担当課は、当該確認申出法人に対し当該提出猶予期間を明示するとともに、その間事前確認審査を保留するかどうかについて説明する。
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- 5-10 事前相談
(1) 局担当課は、法人から事前相談があった場合には、これに応ずる。この場合、局担当課からの連絡を受け、庁担当課(相互協議を伴う事前確認に係る相談にあっては、庁相互協議室を含む。(2)において同じ。)は、原則として、これに加わる。 (2)局担当課(事前相談に加わる庁担当課を含む。)は、事前相談が事前確認手続における法人の利便性向上及び事前確認手続の迅速化に資することに留意の上、確認申出法人の事前確認の申出に係る事務の軽減及び申出後の事前確認審査の円滑化が図られるよう、次の点に配意して相談に応ずる。 - イ 確認申出書の添付資料の作成要領、提出期限など、事前確認手続に必要な事項を事前相談時に十分に説明する。
- ロ 相談対象の国外関連取引の内容を的確に把握し、事前確認の申出を行うかどうか、どのような申出を行うかについて当該法人が適切に判断できるよう必要な情報の提供に努める。
(3) 局担当課は、相談を行おうとする法人が提示又は提出した資料の範囲内で事前相談に応ずる。 なお、事前相談の内容に応じ必要となる資料の提示又は提出が無い場合には、当該法人に対し十分な相談に応じることができない旨を説明する。 (4) (1)の事前相談において、5-3に規定する資料の添付に係る相談があり、確認申出書の提出期限までに当該資料の一部を提出できないことについて相当の理由があると認められる場合には、5-3(2)の規定に準じて取り扱う。
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- 5-11 事前確認審査
局担当課は、確認申出法人から事前確認の申出があった場合には、次により事前確認審査を行う。 (1) 局担当課は、事前確認の申出を受けた場合には、速やかに事前確認審査に着手し、事案の複雑性・困難性に応じたメリハリのある事前確認審査等を行い、的確・迅速な事務処理に努める。また、庁担当課は、必要に応じ事前確認審査に加わる。 なお、事前確認審査を迅速に進めるためには、確認申出法人の協力が不可欠であることから、その旨確認申出法人に対し理解を求める。 (2) 局担当課は、原則として2-1及び2-2の規定その他の第2章及び第3章の規定の例により事前確認審査を行う。 なお、事前確認審査は、法人税に関する調査には該当しないことに留意する。 (3) 局担当課は、事前確認審査のため、5-3に規定する資料以外の資料が必要と認められる場合には、確認申出法人にその旨を説明し、当該資料の提出を求める。 なお、事前確認審査の迅速化の観点から、局担当課は、当該資料の作成等に通常要する期間について当該確認申出法人の事情等を勘案した上で合理的と認められる当該資料の提出期限を設定する。 (4) 局担当課は、確認申出法人が申し出た独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められない場合には、当該確認申出法人に対し、申出の修正を求めることができる。 (5) 庁担当課は、必要に応じ、局担当課に対し事前確認審査の状況等について報告を求める。
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- 5-12 事前確認に係る相互協議
(1) 局担当課は、確認申出法人が事前確認について相互協議の申立てを行っていない場合には、二重課税を回避し、予測可能性を確保する観点から、当該確認申出法人がどのような申出を行うかについて適切に判断できるよう必要な情報の提供等を行い、当該確認申出法人が相互協議を伴う事前確認を受ける意向であると確認された場合には、相互協議の申立てを行うよう勧しょうする。 (2) 局担当課は、法人又は当該国外関連者が外国の税務当局に事前相談又は事前確認の申出を行っていることを把握した場合には、当該法人に対し、我が国にも速やかに事前相談又は事前確認の申出を行うよう勧しょうする。 (3) 局担当課は、確認申出法人が事前確認について相互協議を求める場合には、確認申出書のほか、平成13年6月25日付官協1-39ほか7課共同「相互協議の手続について」(事務運営指針)に定める相互協議申立書を提出するよう指導する。
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- 5-14 事前確認及び事前確認手続を行うことが適当でない場合
事前確認審査に当たっては、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、それぞれ(1)又は(2)に定めるところにより適切に対応することに留意する。 (1) 例えば、次に掲げるような場合で、事前確認を行うことが適当でないと認められる事前確認の申出については、局担当課は、庁担当課(相互協議を伴う事前確認にあっては、庁相互協議室を含む。)と協議の上、確認申出法人に対して申出の修正等を求め、当該確認申出法人がこれに応じない場合には、事前確認できない旨を当該確認申出法人に説明する。 なお、事前相談の内容がイに掲げる場合には、相談を行った法人に対し、上記の内容について説明する。 - イ 非関連者間では通常行われない形態の取引を確認対象とすること等により、経済上の合理的な理由なく我が国での租税負担が軽減されることとなると認められる場合
- ロ 確認申出法人が、事前確認審査に必要な情報を提供しない等、当該確認申出法人から協力が得られないことにより、事前確認に支障が生じている場合
(2) 例えば、次に掲げるような場合で、事前確認審査を開始又は継続することが適当でないと認められる事前確認の申出については、局担当課は、庁担当課(相互協議を伴う事前確認にあっては、庁相互協議室を含む。)と協議の上、確認申出法人に対し、事前確認審査を開始又は再開できる時期が到来するまでの間事前確認手続を保留する旨を説明する。 - イ 確認申出法人から、移転価格税制に基づく更正等に係る取引と同様の取引を確認対象とする申出がなされている場合において、当該更正等に係る不服申立ての裁決若しくは決定又は裁判の確定を待って事前確認審査を行う必要があると認められるとき。
- ロ 確認申出法人から、確認対象取引以外の国外関連取引に係る事前確認の申出及び相互協議の申立てがなされている場合において、当該相互協議の合意を待って当該確認対象取引に係る事前確認審査を行う必要があると認められるとき。
- ハ 5-3トかっこ書きに規定する将来の事業計画、事業予測の資料等のみでは事業活動の実態を把握できないため、確認対象取引に係る取引実績が得られるのを待って事前確認審査を行う必要があると認められるとき。
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- 5-15 事前確認審査の結果の通知
(1)局担当課は、相互協議の対象となった申出につき、庁担当課を通じて庁相互協議室から相互協議の合意結果について連絡を受けた場合には、当該合意結果に従い、確認申出法人に対し申出の修正を求める等所要の処理を行った上で、当該合意結果に基づき事前確認する旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。 (2)局担当課は、相互協議の対象となった申出につき、庁担当課を通じて庁相互協議室から相互協議の合意が成立しなかった旨の連絡を受けた場合には、確認申出法人から申出を取り下げるか又は相互協議によることなく事前確認を求めるかについて意見を聴取し、5-9又は5-15(3)若しくは5-15(4)に定める処理を速やかに行う。 (3)局担当課は、相互協議を求めていない申出につき、事前確認審査の結果、申出に係る独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められる場合には、当該独立企業間価格の算定方法等を事前確認する旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。 (4)局担当課は、事前確認審査の結果、申出に係る独立企業間価格の算定方法等が最も合理的であると認められない場合、確認申出法人が5-3に規定する資料の添付を怠った場合、5-11(3)の資料の提出に応じない場合又は5-14(1)の規定に基づき事前確認できないと判断した場合には、庁担当課(相互協議を伴う事前確認の申出にあっては、庁相互協議室を含む。)と協議の上、当該独立企業間価格の算定方法等を事前確認できない旨を速やかに所轄税務署長に連絡する。 (5)所轄税務署長は、局担当課から5-15(1)若しくは5-15(3)又は5-15(4)の連絡を受け、確認申出法人に対し、「独立企業間価格の算定方法等の確認通知書(別紙様式3)又は「独立企業間価格の算定方法等の確認ができない旨の通知書」(別紙様式4)により事前確認する旨又は事前確認できない旨の通知を速やかに行う。
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- 5-16 事前確認の効果
所轄税務署長は、5-15(5)の事前確認する旨の通知を受けた法人(以下「確認法人」という。)が事前確認を受けた国外関連取引(以下「確認取引」という。)に係る各事業年度(以下「確認事業年度」という。)において事前確認の内容に適合した申告を行っている場合には、当該確認取引は独立企業間価格で行われたものとして取り扱う。 なお、事前確認時に既に経過した確認対象事業年度がある場合において、当該確認対象事業年度に係る申告を事前確認の内容に適合させるために確認法人が提出する修正申告書は、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しないことに留意する。
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- 5-18 報告書の取扱い
(1) 確認法人から、5-17に定める報告書の提出があった場合には、署法人課税部門又は局調査課は5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。 (2) 局担当課は、報告書等から、事前確認の内容に適合した申告が行われているかどうかを検討する。報告書等の検討は、法人税に関する調査に該当することに留意し、局担当課は、報告書等の検討に際してその旨を確認法人に説明する。また、局担当課は、報告書等を検討した結果、事前確認の内容に適合した申告が行われておらず、所得金額が過少となっている事実が判明した場合には、確認法人に対し、検討の結果及び修正申告書の提出が必要となる旨を説明する。 (注) 局担当課による報告書等の検討のための確認法人への臨場又は上記事実の指摘等によって当該確認法人が局担当課による報告書等の検討があったことを了知したと認められる以前に、当該事実が判明したことにより、5-19(2)ロの規定に基づいて当該確認法人が自主的に修正申告書を提出する場合には、当該修正申告書は、国税通則法第65条《過少申告加算税》第5項に規定する「更正があるべきことを予知してされたもの」には該当しない。 なお、「更正があるべきことを予知してされたもの」に該当するかどうかは、平成12年7月3日付課法2-9ほか3課共同「法人税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて」(事務運営指針)に基づき判断する。 (3) 局担当課は、必要に応じ、報告書等の検討結果を庁担当課に報告し、相互協議の合意が成立した事案について、庁担当課を通じて検討結果を庁相互協議室に連絡する。
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- 5-21 事前確認の取消し
(1) 局担当課は、次のイからハまでに該当する場合には当該事実の発生した事業年度以後の事業年度(その事業年度が連結事業年度に該当する場合には、当該連結事業年度)について、ニに該当する場合には確認事業年度について、事前確認を取り消す旨を所轄税務署長に連絡する。 イ 確認法人が5-20に規定する事情が生じたにもかかわらず事前確認の改定の申出を行わなかった場合 ロ 確認法人が事前確認の内容に適合した申告を行わなかった場合 ハ 確認法人が5-17に規定する報告書を提出しなかった場合又は報告書に重大な誤りがあった場合 ニ 事前確認の基礎とした事実関係が真実でない場合又は申出の内容に重大な誤りがあった場合
(2) (1)の取消しの連絡を行う場合、局担当課は必要に応じ庁担当課と協議を行う。 (3) 相互協議の合意が成立した事前確認について(1)の取消事由が生じている場合には、局担当課は、庁担当課を通じ、庁相互協議室と協議し、当該事前確認につき事前確認を取り消す旨の相互協議の合意を受け、その旨を所轄税務署長に連絡する。 (4) 所轄税務署長は、局担当課からの連絡を受け事前確認を取り消す場合には、確認法人に対し、「独立企業間価格の算定方法等の確認取消通知書」(別紙様式5)により事前確認を取り消す旨の通知を行う。
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- 5-25 法人が連結グループに加入等した場合の取扱い
(1) 確認申出法人が連結法人となった場合で、その法人(以下「連結加入等法人」という。)が引き続き事前確認の申出を行うときは、連結加入等法人に係る連結親法人の納税地の所轄税務署長は、当該連結親法人に対し、「連結加入等法人の事前確認の継続届出書」(別紙様式6)を速やかに提出するよう求める。 なお、届出書の提出部数は、調査課所管法人にあっては、2部(当該連結親法人が相互協議を求めている場合には、3部)、調査課所管法人以外の連結法人にあっては、3部(当該連結親法人が相互協議を求めている場合には、4部)とする。 (2) (1)の連結親法人からその納税地の所轄税務署長に対し、(1)に定める届出書の提出があった場合には、当該税務署長は、当該届出書の写しをその連結加入等法人の本店又は主たる事務所の所在地の所轄税務署長に送付し、署法人課税部門又は局調査課は5-5及び5-6の規定に準じて処理を行う。また、相互協議を求めているものについては、庁担当課は届出書1部を庁相互協議室に回付する。 (3) (1)の連結親法人から(1)に定める届出書の提出があった場合のその連結加入等法人に係る事前確認については、当該連結親法人からその納税地の所轄税務署長に対し、連結指針5-2に規定する事前確認の申出がなされたものとして、その後については連結指針5-1から5-25までの規定を適用する。
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- 経過的取扱い・・・事前確認の申出に係る改正通達の適用時期等 平成20年10月22日
この通達による改正後の5-2(2)及び5-22の取扱いは、平成21年11月1日以後に開始する確認対象初年度(事前確認を受けようとする事業年度のうち最初の事業年度をいう。以下同じ。)に係る事前確認の申出について適用し、平成20年11月1日から平成21年10月31日までの間に開始する確認対象初年度に係る事前確認の申出(更新の申出を除く。)は、当該確認対象初年度の直前の事業年度に係る確定申告書の提出期限(法第75条の2《確定申告書の提出期限の延長の特例》の規定によりその提出期限が延長されている場合には、その延長された期限)の翌日から8月を経過する日までに、確認申出書をその国外関連者の所在地国ごとに法人の納税地の所轄税務署長に提出することにより行うものとする。 なお、平成20年11月1日より前に開始する確認対象初年度に係る事前確認の申出(更新の申出を除く。)及び平成21年11月1日より前に開始する確認対象初年度に係る事前確認の更新の申出については、従前の例による。 - (注) 上記の8月を経過する日が、日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日その他一般の休日又は国税通則法施行令第2条第2項《期限の特例》に規定する日に当たるときは、これらの日の翌日までに提出することにより行うものとする。
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[平13.6.1 査調7-1、官際3-1、官協1-16、課法6-7(事務運営指針)]
[平14.6.20 査調7-11、官協1-22、課法6-11(改正)]
[平17.4.28 査調7-3、官際1-18、官協1-13、課法6-6(改正)]
[平18.3.20 査調7-2、官際1-13、官協1-6、課法7-2(改正)]
[平19.6.25 査調7-21、官際1-52、官協1-35、課法7-5(改正)]
[平20.10.22 査調7-24、官際1-44、官協1-98、課法7-9(改正)]
[平22.6.22 査調7-31、官際1-27、官協1-47、課法7-3(改正)]
[平23.10.27 査調8-130、官際1-73、官協1-100、課法7-14(改正)]
標題のことについて、別添のとおり定めたから、これにより適切に実施されたい。
なお、平成11年10月25日付査調8-1ほか3課共同「独立企業間価格の算定方法等の確認について(事務運営指針)」は廃止する。
【編注】別紙「新旧対照表」による改正後の事項を織り込み全文を以下に掲げました。
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