更新日:2022年9月2日
平7課法2-1・課審4-11・査調4-1
標題のことについて、下記のとおり定めたから、これによられたい。
なお、この通達による取扱いについては、個々の法人の実情に応じ、懇切かつ具体的に指導するよう万全を期することとされたい。
記
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
2 法人が、被災事業年度において、被災資産の修繕等のために要する費用の見積額として次の(1)又は(2)に掲げる金額のうちいずれか多い金額の合計額(当該被災資産に係る保険金、損害賠償金、補助金その他これらに類するもの(以下「保険金等」という。)により補てんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)以下の金額を災害損失特別勘定として経理したときは、その災害損失特別勘定として経理した金額は、当該被災事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
この場合、当該被災事業年度の確定申告書等に災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書(別紙様式1)を添付するものとする。
(1) 被災資産(法人税法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用を受けたものを除く。)の被災事業年度終了の日における価額がその帳簿価額に満たない場合における当該差額に相当する金額
(2) 被災資産について、災害のあった日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる次に掲げる費用(以下これらの費用を「修繕費用等」という。)の見積額(被災事業年度の翌事業年度以後に支出すると見込まれるものに限る。)
(注)1 法令の規定、地方公共団体の定めた復興計画等により、一定期間修繕等の工事に着手できないこととされている場合には、その工事に着手できることとなる日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる修繕費用等の見積額につき上記(2)により災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができる。
2 法人税基本通達7-7-2《有姿除却》の適用を受けた資産については、上記イ及びハに掲げる費用に限り災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができることに留意する。
3 法人税法第33条第2項の規定により評価損を計上した資産については、上記ハ及びニに掲げる費用に限り災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができることに留意する。
3 2《災害損失特別勘定への繰入額の損金算入》の(2)の修繕費用等の見積額は、その修繕等を行うことが確実な被災資産につき、例えば建設業者等による当該被災資産に係る修繕費用等の見積額又は相当部分につき損壊等をした当該被災資産の再取得価額若しくは建設省建築統計年報の建築価額等を基礎としてその取得の時から被災事業年度終了の日まで償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額から同日における当該被災資産の価額を控除した金額によるなど合理的に見積もるものとする。
4 次に掲げる事業年度の区分に応じ、災害損失特別勘定の金額のうちそれぞれ次に掲げる金額を当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入するものとする。この場合、当該事業年度の確定申告書等には、災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書(別紙様式2)を添付するものとする。
(1) 災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度(以下「修繕完了事業年度」という。)前の各事業年度 当該各事業年度において被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額の合計額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)
(2) 修繕完了事業年度 修繕完了事業年度終了の日における災害損失特別勘定の金額
5 被災資産に係る修繕等がやむを得ない事情により修繕完了事業年度終了の日までに完了しなかったため、同日において災害損失特別勘定の残額(災害損失特別勘定への繰入額から同日までに益金の額に算入した金額を控除した残額をいう。以下同じ。)を有している場合において、当該修繕完了事業年度終了の日までに災害損失特別勘定の益金算入時期の延長確認申請書(別紙様式3)を所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)に提出し、その修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度(以下「最終取崩事業年度」という。)及び当該修繕完了事業年度終了の日の翌日から当該最終取崩事業年度終了の日までに支出することが見込まれる修繕費用等の金額の合計額(保険金等により補てんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、災害損失特別勘定の残額を限度とする。以下「修繕費用等の見込額」という。)の確認を受けたときは、当該最終取崩事業年度をもって上記4(2)《災害損失特別勘定の益金算入》の修繕完了事業年度とすることができる。
(注)1 修繕費用等の見込額が修繕完了事業年度終了の日における災害損失特別勘定の残額に満たない場合には、その満たない金額に相当する災害損失特別勘定の金額については、この取扱いの適用はないのであるから留意する。
2 当該最終取崩事業年度前の各事業年度において、被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額があるときは、当該損金の額に算入した金額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)に相当する災害損失特別勘定の金額を益金の額に算入することに留意する。
6 災害損失特別勘定に繰り入れた金額は、被災事業年度の法人税法施行令第116条第1項《災害による繰越損失金の範囲》に規定する損失の額(以下「災害損失の額」という。)に含めるものとする。
7 災害損失特別勘定の繰入れをした事業年度後の事業年度において被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額があるときは、当該修繕費用等の額は原則として災害損失の額に該当することとなるのであるが、当該事業年度開始の日において災害損失特別勘定の金額があるときは、当該損金の額に算入した修繕費用等の金額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、災害損失の額に該当する部分の金額に限る。)の合計額から当該事業年度開始の日における災害損失特別勘定の金額を控除した残額をもって当該事業年度における災害損失の額とする。
8 法人が、被災資産の被害前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、修繕費として経理したときは、法人税基本通達7-8-3から7-8-6まで《資本的支出と修繕費の区分》の取扱いにかかわらず、これを認める。
法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別な施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の代価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
9 2から8まで《災害損失特別勘定への繰入額の損金算入等》の取扱いは、災害により法人税法施行令第114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産に係る他の者の有する固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。
10 法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいう。以下同じ。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、当該賃借資産が災害により被害を受けたため、当該法人が、当該賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、これを認める。
法人が、修繕等の補修義務がない販売又は賃貸をした資産につき補修のための費用を支出した場合においても、同様とする。
(注)1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用は、災害損失特別勘定の繰入れの対象とはならないことに留意する。
2 当該法人が、その修繕費に相当する金額につき、実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
3 法人が賃借しているいわゆるファイナンスリース資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額を除く。)については、被災事業年度において、未払金として計上することができることに留意する。
11 法人が、災害を受けた自己の役員又は使用人に対して災害見舞金(物品を含む。以下この項において同じ。)を支給し、これを福利厚生費として経理した場合において、当該災害見舞金が一定の基準に従って支給され、かつ、その金額が災害見舞金として社会通念上相当であるときは、これを認める。
当該法人が、自己の役員又は使用人と同等の事情にある専属下請先の役員若しくは使用人又は特約店等のセールスマンに対して支給する災害見舞金についても、同様とする。
12 法人が、被災者の住居として一時的に使用する建物(以下「仮設住宅」という。)の用に供する資材(以下「仮設住宅用資材」という。)の取得又は賃借をして仮設住宅を設置した場合において、当該仮設住宅の組立て・設置のために要した費用につきその居住の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、これを認める。
法人が取得をした仮設住宅用資材については、これを反復して使用する場合には、通常の例により償却するものとするが、災害の被災者の仮設住宅のためにのみ使用することとしている場合には、その見積使用期間を基礎として償却することを認める。この場合において、当該見積使用期間を基礎として償却を行うときは、その取得価額から当該見積使用期間に基づき算定した処分見込価額を控除した金額を基礎として償却額を計算するものとする。
13 法人が、災害により被害を受けた製造設備に係る修繕費用等及び災害を受けたことにより操業停止をしたことに伴う損失につき適正な原価計算に基づいて原価外処理をしたときは、これを認める。
14 法人が、災害を受けた特約店、得意先等の取引先(以下「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が復旧過程にある期間をいう。以下同じ。)内に売掛債権(売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権をいう。以下同じ。)の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失は、交際費等又は寄附金以外の費用として取り扱う。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど既に契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
(注) 売掛債権につき明らかに回収できないためその免除を行ったものであるときは、これを貸倒れとして取り扱うことに留意する。
15 法人が、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内にその取引先に対して行った災害見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用は、交際費等以外の費用として取り扱う。
(注)1 事業用資産には、当該法人が製造した製品及び他の者から購入した物品で、当該取引先の事業の用に供されるもののほか、当該取引先の福利厚生の一環として被災した役員又は使用人に供与されるものを含むものとする。
2 取引先は、その受領した災害見舞金及び事業用資産の価額に相当する金額を益金の額に算入することに留意する。ただし、受領後直ちに福利厚生の一環として被災した役員又は使用人に供与する物品及び法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》に規定する取得価額が20万円未満のものについては、この限りでない。
16 法人が、その所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下「同業団体等」という。)の構成員の有する事業用資産について災害による損失が生じた場合に、その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等(災害の発生を機に新たに定めたものを含む。)に基づき合理的な基準に従って当該同業団体等から賦課され、拠出した分担金等は、寄附金以外の費用として取り扱う。
(注) 既に拠出した災害見舞金の全部又は一部が新たに定めた当該規約等に適合する場合には、その適合する範囲内の災害見舞金については、寄附金以外の費用として取り扱う。
17 法人が、災害を受けた取引先に対して低利又は無利息による融資をした場合において、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間内に行われるものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとする。
18 法人が自社の製品等を多数の被災者に提供するために要する費用は、交際費等又は寄附金以外の費用として取り扱う。
別紙様式 災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書の記載の仕方
1 この明細書は、法人が、災害のあった日の属する事業年度において、平成7年2月27日付「阪神・淡路大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」通達に定めるところにより、被災資産に係る修繕費用等の見積額につき、災害損害特別勘定の繰入れをする場合に記載します。 2 「災害のあった日1」には、被災資産について災害のあった日を記載します。 3 「当期繰入額5」には、法人が当期において災害損失特別勘定として経理した金額を記載します。 4 「被災資産の修繕等のために要する費用の見積額の明細」の各欄は、次によります。 なお、被災資産が多数ある場合には、別にこの明細書に相当するものを作成し保存しているときに限り、被災資産を資産の種類ごとに区分し、その区分ごとの「17」欄及び「18」欄に相当する金額の合計額をこれらの欄に記載し、「9」欄から「16」欄までの記載を省略することができます。
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別紙様式2 災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書の記載の仕方
1 この明細書は、法人が平成7年2月27日付「阪神・淡路大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」通達に定めるところにより災害損失特別勘定の繰入れをした事業年度後の事業年度において災害損失特別勘定の金額を有する場合に記載します。 2 「災害のあった日1」には、被災資産について災害のあった日を記載します。 3 「災害のあった日から1年を経過する日2」には、「1」欄に記載した日から1年を経過する日(例えば、災害のあった日が平成7年1月17日である場合には、平成8年1月17日)を記載します。 4 「修繕等が遅れた場合の最終取崩事業年度3」には、「2」欄に記載された日の属する事業年度(以下「修繕完了事業年度」といいます。)終了の日までに「災害損失特別勘定の益金算入時期の延長確認申請書」を所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)に提出した場合に、修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度(以下「最終取崩事業年度」といいます。)を記載します。 5 「修繕等をした場合の取崩額4」には、当期が修繕完了事業年度(最終取崩事業年度の確認を受けた場合には、最終取崩事業年度。以下「全額取崩事業年度」といいます。)前の事業年度である場合に、「20」欄の合計額を記載します。 6 「同上のうち保険金等により補てんされた金額5」には、災害損失特別勘定の繰入れをした事業年度の翌事業年度から当期末までに、被災資産に係る保険金、損害賠償金、補助金その他これらに類するものにより補てんされた金額がある場合に、その補てんされた金額のうち「4」欄の修繕費用等の額に充てた金額を記載します。 7 「全額取崩事業年度における取崩額6」には、当期が全額取崩事業年度である場合に、前期の期末災害損失特別勘定残高を記載します。 8 「益金算入金額8」には、当期が修繕完了事業年度である場合に、最終取崩事業年度の確認を受けた「災害損失特別勘定の益金算入時期の延長確認申請書」の「当期中において益金の額に算入すべき金額3」に記載する金額があるときは、その金額に相当する金額をこの欄の金額に含めて記載します。 9 「期首現在額9」には、当期首現在における法人計算による災害損失特別勘定の金額を記載します。 10 「当期取崩額」の各欄は、法人計算による修繕等をした場合の取崩額等を記載します。 11 「減算」の「同上のうち前期末までに益金の額に算入された金額14」には、前期以前において繰入限度超過等によって益金の額に算入した金額を記載します。 12 「当期において被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額の明細」の各欄は、当期が全額取崩事業年度前の事業年度である場合に、次により記載します。
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別紙様式3 災害損失特別勘定の益金算入時期の延長確認申請書の記載の仕方
1 この延長確認申請書は、平成7年2月27日付「阪神・淡路大震災に関する諸費用の法人税の取扱いについて」通達に定めるところにより災害損失特別勘定の繰入れをした法人が、修繕完了事業年度(災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度をいいます。以下同じ。)終了の日までに、同通達に定めるところにより最終取崩事業年度(被災資産の修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度をいいます。以下同じ。)をもって修繕完了事業年度とすることを申請する場合に記載します。 なお、修繕完了事業年度までに修繕等が完了しなかった理由及び申請をした最終取崩事業年度に修繕等が完了すると見込まれる事情等を適宜の用紙に記載して添付してください。 2 「被災資産の修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度」には、被災資産に係る修繕等がやむを得ない事情により修繕完了事業年度終了の日までに完了しなかったため、同日において災害損失特別勘定の残額(災害損失特別勘定への繰入額から同日までに益金の額に算入した金額に相当する金額を控除した残額をいいます。以下同じ。)を有している場合において、所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)の確認を受けようとする最終取崩事業年度を記載します。 3 「当期末の災害損失特別勘定の残額1」には、当期末における「災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書」の『「13」欄-「14」欄-(「7」欄-「12」欄)』に相当する金額を記載します。 4 「修繕費用等の見込額2」には、翌期首から最終取崩事業年度終了の日までに支出することが見込まれる修繕費用等の金額として、「7」欄の合計額から「8」欄の合計額を控除した残額を記載します。 5 「当期中において益金の額に算入すべき金額3」は、「1」欄の金額から「2」欄の金額を控除した残額を記載しますが、この欄に記載する金額がある場合には、その金額に相当する金額を当期の「災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書」の「益金算入額8」欄の金額に含めて記載することになります。 6 「翌期以後の修繕等の工事に係る修繕費用等の見込額の明細」の各欄は、次により記載します。
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平7課法2-1・課審4-11・査調4-1
標題のことについて、下記のとおり定めたから、これによられたい。
なお、この通達による取扱いについては、個々の法人の実情に応じ、懇切かつ具体的に指導するよう万全を期することとされたい。
記
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
2 法人が、被災事業年度において、被災資産の修繕等のために要する費用の見積額として次の(1)又は(2)に掲げる金額のうちいずれか多い金額の合計額(当該被災資産に係る保険金、損害賠償金、補助金その他これらに類するもの(以下「保険金等」という。)により補てんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)以下の金額を災害損失特別勘定として経理したときは、その災害損失特別勘定として経理した金額は、当該被災事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
この場合、当該被災事業年度の確定申告書等に災害損失特別勘定の損金算入に関する明細書(別紙様式1)を添付するものとする。
(1) 被災資産(法人税法第33条第2項《資産の評価損の損金算入》の規定の適用を受けたものを除く。)の被災事業年度終了の日における価額がその帳簿価額に満たない場合における当該差額に相当する金額
(2) 被災資産について、災害のあった日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる次に掲げる費用(以下これらの費用を「修繕費用等」という。)の見積額(被災事業年度の翌事業年度以後に支出すると見込まれるものに限る。)
(注)1 法令の規定、地方公共団体の定めた復興計画等により、一定期間修繕等の工事に着手できないこととされている場合には、その工事に着手できることとなる日から1年を経過する日までに支出すると見込まれる修繕費用等の見積額につき上記(2)により災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができる。
2 法人税基本通達7-7-2《有姿除却》の適用を受けた資産については、上記イ及びハに掲げる費用に限り災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができることに留意する。
3 法人税法第33条第2項の規定により評価損を計上した資産については、上記ハ及びニに掲げる費用に限り災害損失特別勘定の繰入れの対象とすることができることに留意する。
3 2《災害損失特別勘定への繰入額の損金算入》の(2)の修繕費用等の見積額は、その修繕等を行うことが確実な被災資産につき、例えば建設業者等による当該被災資産に係る修繕費用等の見積額又は相当部分につき損壊等をした当該被災資産の再取得価額若しくは建設省建築統計年報の建築価額等を基礎としてその取得の時から被災事業年度終了の日まで償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額から同日における当該被災資産の価額を控除した金額によるなど合理的に見積もるものとする。
4 次に掲げる事業年度の区分に応じ、災害損失特別勘定の金額のうちそれぞれ次に掲げる金額を当該事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入するものとする。この場合、当該事業年度の確定申告書等には、災害損失特別勘定の益金算入に関する明細書(別紙様式2)を添付するものとする。
(1) 災害のあった日から1年を経過する日の属する事業年度(以下「修繕完了事業年度」という。)前の各事業年度 当該各事業年度において被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額の合計額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)
(2) 修繕完了事業年度 修繕完了事業年度終了の日における災害損失特別勘定の金額
5 被災資産に係る修繕等がやむを得ない事情により修繕完了事業年度終了の日までに完了しなかったため、同日において災害損失特別勘定の残額(災害損失特別勘定への繰入額から同日までに益金の額に算入した金額を控除した残額をいう。以下同じ。)を有している場合において、当該修繕完了事業年度終了の日までに災害損失特別勘定の益金算入時期の延長確認申請書(別紙様式3)を所轄税務署長(国税局の調査課所管法人にあっては、所轄国税局長)に提出し、その修繕等が完了すると見込まれる日の属する事業年度(以下「最終取崩事業年度」という。)及び当該修繕完了事業年度終了の日の翌日から当該最終取崩事業年度終了の日までに支出することが見込まれる修繕費用等の金額の合計額(保険金等により補てんされる金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、災害損失特別勘定の残額を限度とする。以下「修繕費用等の見込額」という。)の確認を受けたときは、当該最終取崩事業年度をもって上記4(2)《災害損失特別勘定の益金算入》の修繕完了事業年度とすることができる。
(注)1 修繕費用等の見込額が修繕完了事業年度終了の日における災害損失特別勘定の残額に満たない場合には、その満たない金額に相当する災害損失特別勘定の金額については、この取扱いの適用はないのであるから留意する。
2 当該最終取崩事業年度前の各事業年度において、被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額があるときは、当該損金の額に算入した金額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額)に相当する災害損失特別勘定の金額を益金の額に算入することに留意する。
6 災害損失特別勘定に繰り入れた金額は、被災事業年度の法人税法施行令第116条第1項《災害による繰越損失金の範囲》に規定する損失の額(以下「災害損失の額」という。)に含めるものとする。
7 災害損失特別勘定の繰入れをした事業年度後の事業年度において被災資産に係る修繕費用等として損金の額に算入した金額があるときは、当該修繕費用等の額は原則として災害損失の額に該当することとなるのであるが、当該事業年度開始の日において災害損失特別勘定の金額があるときは、当該損金の額に算入した修繕費用等の金額(保険金等により補てんされた金額がある場合には、当該金額の合計額を控除した残額をいい、災害損失の額に該当する部分の金額に限る。)の合計額から当該事業年度開始の日における災害損失特別勘定の金額を控除した残額をもって当該事業年度における災害損失の額とする。
8 法人が、被災資産の被害前の効用を維持するために行う補強工事、排水又は土砂崩れの防止等のために支出した費用について、修繕費として経理したときは、法人税基本通達7-8-3から7-8-6まで《資本的支出と修繕費の区分》の取扱いにかかわらず、これを認める。
法人が、被災資産の復旧に代えて資産の取得をし、又は特別の施設(被災資産の被災前の効用を維持するためのものを除く。)を設置する場合の当該資産又は特別な施設は新たな資産の取得に該当し、その取得のために支出した金額は、これらの資産の取得の代価及び付随費用となるのであるから、これらの資産の取得価額に含めることに留意する。
9 2から8まで《災害損失特別勘定への繰入額の損金算入等》の取扱いは、災害により法人税法施行令第114条《固定資産に準ずる繰延資産》に規定する繰延資産につき、当該繰延資産に係る他の者の有する固定資産について損壊等の被害があった場合について準用する。
10 法人が賃借資産(賃借をしている土地、建物、機械装置等をいう。以下同じ。)につき修繕等の補修義務がない場合においても、当該賃借資産が災害により被害を受けたため、当該法人が、当該賃借資産の原状回復のための補修を行い、その補修のために要した費用を修繕費として経理したときは、これを認める。
法人が、修繕等の補修義務がない販売又は賃貸をした資産につき補修のための費用を支出した場合においても、同様とする。
(注)1 この取扱いにより修繕費として取り扱う費用は、災害損失特別勘定の繰入れの対象とはならないことに留意する。
2 当該法人が、その修繕費に相当する金額につき、実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入しているときは、これを認める。
3 法人が賃借しているいわゆるファイナンスリース資産が災害により被害を受けたため、契約に基づき支払うこととなる規定損害金(免除される金額を除く。)については、被災事業年度において、未払金として計上することができることに留意する。
11 法人が、災害を受けた自己の役員又は使用人に対して災害見舞金(物品を含む。以下この項において同じ。)を支給し、これを福利厚生費として経理した場合において、当該災害見舞金が一定の基準に従って支給され、かつ、その金額が災害見舞金として社会通念上相当であるときは、これを認める。
当該法人が、自己の役員又は使用人と同等の事情にある専属下請先の役員若しくは使用人又は特約店等のセールスマンに対して支給する災害見舞金についても、同様とする。
12 法人が、被災者の住居として一時的に使用する建物(以下「仮設住宅」という。)の用に供する資材(以下「仮設住宅用資材」という。)の取得又は賃借をして仮設住宅を設置した場合において、当該仮設住宅の組立て・設置のために要した費用につきその居住の用に供した日の属する事業年度において損金経理をしたときは、これを認める。
法人が取得をした仮設住宅用資材については、これを反復して使用する場合には、通常の例により償却するものとするが、災害の被災者の仮設住宅のためにのみ使用することとしている場合には、その見積使用期間を基礎として償却することを認める。この場合において、当該見積使用期間を基礎として償却を行うときは、その取得価額から当該見積使用期間に基づき算定した処分見込価額を控除した金額を基礎として償却額を計算するものとする。
13 法人が、災害により被害を受けた製造設備に係る修繕費用等及び災害を受けたことにより操業停止をしたことに伴う損失につき適正な原価計算に基づいて原価外処理をしたときは、これを認める。
14 法人が、災害を受けた特約店、得意先等の取引先(以下「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が復旧過程にある期間をいう。以下同じ。)内に売掛債権(売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権をいう。以下同じ。)の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失は、交際費等又は寄附金以外の費用として取り扱う。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど既に契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。
(注) 売掛債権につき明らかに回収できないためその免除を行ったものであるときは、これを貸倒れとして取り扱うことに留意する。
15 法人が、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内にその取引先に対して行った災害見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用は、交際費等以外の費用として取り扱う。
(注)1 事業用資産には、当該法人が製造した製品及び他の者から購入した物品で、当該取引先の事業の用に供されるもののほか、当該取引先の福利厚生の一環として被災した役員又は使用人に供与されるものを含むものとする。
2 取引先は、その受領した災害見舞金及び事業用資産の価額に相当する金額を益金の額に算入することに留意する。ただし、受領後直ちに福利厚生の一環として被災した役員又は使用人に供与する物品及び法人税法施行令第133条《少額の減価償却資産の取得価額の損金算入》に規定する取得価額が20万円未満のものについては、この限りでない。
16 法人が、その所属する協会、連盟その他の同業団体等(以下「同業団体等」という。)の構成員の有する事業用資産について災害による損失が生じた場合に、その損失の補てんを目的とする構成員相互の扶助等に係る規約等(災害の発生を機に新たに定めたものを含む。)に基づき合理的な基準に従って当該同業団体等から賦課され、拠出した分担金等は、寄附金以外の費用として取り扱う。
(注) 既に拠出した災害見舞金の全部又は一部が新たに定めた当該規約等に適合する場合には、その適合する範囲内の災害見舞金については、寄附金以外の費用として取り扱う。
17 法人が、災害を受けた取引先に対して低利又は無利息による融資をした場合において、当該融資が取引先の復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間内に行われるものであるときは、当該融資は正常な取引条件に従って行われたものとする。
18 法人が自社の製品等を多数の被災者に提供するために要する費用は、交際費等又は寄附金以外の費用として取り扱う。
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