更新日:2022年9月2日

租税特別措置法 第70条の6の10 個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除

特定事業用資産を有していた個人として政令で定める者以下この条において「被相続人」という。から相続又は遺贈によりその事業に係る特定事業用資産の全て当該特定事業用資産の全部又は一部が数人の共有に属する場合には、当該被相続人以外の者が有していた共有持分に係る部分を除く。の取得平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間の取得で、最初のこの項の規定の適用に係る相続又は遺贈による取得及び当該取得の日その他政令で定める日から1年を経過する日までの相続又は遺贈による取得に限る。をした特例事業相続人等が、当該相続に係る相続税の申告書相続税法第27条第1項の規定による期限内申告書をいう。以下この条において同じ。の提出により納付すべき相続税の額のうち、当該特定事業用資産で当該相続税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの以下この条において「特例事業用資産」という。に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、当該相続税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、同法第33条の規定にかかわらず、当該特例事業相続人等の死亡の日まで、その納税を猶予する。

2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  • 一 特定事業用資産 被相続人当該被相続人と生計を一にする配偶者その他の親族及びこれらに類するものとして政令で定める者を含む。次号ト及び第7項において同じ。の事業の用に供されていた次に掲げる資産当該被相続人の前項の規定の適用に係る相続の開始の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書所得税法第2条第1項第40号に規定する青色申告書をいい、第25条の2第3項の規定の適用に係るものに限る。次項第4号及び第5号において同じ。の貸借対照表に計上されているものに限る。の区分に応じそれぞれ次に定めるものをいう。
    • イ 宅地等土地又は土地の上に存する権利をいい、財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。 当該宅地等の面積の合計のうち400平方メートル当該被相続人から相続又は遺贈により取得をした宅地等について、第69条の4第1項の規定の適用を受ける者がいる場合には、同項に規定する小規模宅地等に相当する面積として政令で定めるところにより計算した面積を400平方メートルから控除した面積以下の部分
    • ロ 建物当該事業の用に供されている建物として政令で定めるものに限る。 第70条の6の8第2項第1号ロに定める資産
    • ハ 減価償却資産所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産をいい、ロに掲げるものを除く。 第70条の6の8第2項第1号ハに定める資産
  • 二 特例事業相続人等 被相続人から前項の規定の適用に係る相続又は遺贈により特定事業用資産の取得をした個人で、次に掲げる要件当該被相続人が60歳未満で死亡した場合には、ロに掲げる要件を除く。の全てを満たす者をいう。
    • イ 当該個人が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第2条に規定する中小企業者であつて特例円滑化法認定を受けていること。
    • ロ 当該個人が、当該相続の開始の直前において当該特定事業用資産に係る事業当該事業に準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。に従事していたこと。
    • ハ 当該個人が、当該相続の開始の時から当該相続に係る相続税の申告書の提出期限当該提出期限前に当該個人が死亡した場合には、その死亡の日。ニにおいて同じ。までの間に当該特定事業用資産に係る事業を引き継ぎ、当該提出期限まで引き続き当該特定事業用資産の全てを有し、かつ、自己の事業の用に供していること。
    • ニ 当該個人が、当該相続に係る相続税の申告書の提出期限において、所得税法第229条の規定により当該特定事業用資産に係る事業について開業の届出書を提出していること及び同法第143条の承認同法第147条の規定により当該承認があつたものとみなされる場合の承認を含む。を受けていること又は当該承認を受ける見込みであること。
    • ホ 当該個人の当該特定事業用資産に係る事業が、当該相続の開始の時において、資産保有型事業、資産運用型事業及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業のいずれにも該当しないこと。
    • ヘ 当該個人に係る被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者が、第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等について同条第1項の規定の適用を受けていないこと。
    • ト 当該個人が、被相続人の事業を確実に承継すると認められる要件として財務省令で定めるものを満たしていること。
  • 三 納税猶予分の相続税額 前項の規定の適用に係る特例事業用資産の価額を同項の特例事業相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第13条から第19条までの規定を適用して政令で定めるところにより計算した当該特例事業相続人等の相続税の額をいう。
  • 四 資産保有型事業 第70条の6の8第2項第4号に定める事業をいう。
  • 五 資産運用型事業 第70条の6の8第2項第5号に定める事業をいう。

3 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等、同項の特例事業用資産又は当該特例事業用資産に係る事業について次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつた場合には、同項の規定にかかわらず、当該各号に定める日から2月を経過する日をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。

  • 一 当該特例事業相続人等が当該事業を廃止した場合又は当該特例事業相続人等について破産手続開始の決定があつた場合 その事業を廃止した日又はその決定があつた日
  • 二 当該事業が資産保有型事業、資産運用型事業又は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業のいずれかに該当することとなつた場合 その該当することとなつた日
  • 三 当該特例事業相続人等のその年の当該事業に係る事業所得の総収入金額が零となつた場合 その年の12月31日
  • 四 当該特例事業用資産の全てが当該特例事業相続人等のその年の事業所得に係る青色申告書の貸借対照表に計上されなくなつた場合 その年の12月31日
  • 五 当該特例事業相続人等が所得税法第150条第1項の規定により同法第143条の承認を取り消された場合又は同法第151条第1項の規定による青色申告書の提出をやめる旨の届出書を提出した場合 その承認が取り消された日又はその届出書の提出があつた日
  • 六 当該特例事業相続人等が第1項の規定の適用を受けることをやめる旨を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出した場合 その届出書の提出があつた日
  • 七 当該特例事業相続人等が前項第2号ニの承認を受ける見込みであることにより第1項の規定の適用を受けた場合において、所得税法第145条の規定により当該承認の申請が却下されたとき その申請が却下された日

4 第1項の規定の適用を受ける特例事業用資産の全部又は一部が特例事業相続人等の事業の用に供されなくなつた場合前項各号に掲げる場合及び当該事業の用に供することが困難になつた場合として政令で定める場合を除く。には、納税猶予分の相続税額既にこの項の規定の適用があつた場合には、この項の規定の適用があつた特例事業用資産の価額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を除く。以下この条において「猶予中相続税額」という。のうち、当該事業の用に供されなくなつた部分に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する相続税については、第1項の規定にかかわらず、当該事業の用に供されなくなつた日から2月を経過する日をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。

5 前項の場合において、同項の事業の用に供されなくなつた事由が特例事業用資産の譲渡であるときは、当該譲渡があつた日から1年以内に当該譲渡の対価の額の全部又は一部をもつて特例事業相続人等の事業の用に供される資産第2項第1号イ若しくはロに掲げる資産又は同号ハに定める資産に限る。を取得する見込みであることにつき、政令で定めるところにより、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときにおける前項の規定の適用については、次に定めるところによる。

  • 一 当該承認に係る特例事業用資産は、第3号の取得の日まで当該特例事業相続人等の事業の用に供されていたものとみなす。
  • 二 当該譲渡があつた日から1年を経過する日において、当該承認に係る譲渡の対価の額の全部又は一部が当該事業の用に供される資産の取得に充てられていない場合には、当該譲渡に係る特例事業用資産のうちその充てられていないものに対応するものとして政令で定める部分は、同日において当該事業の用に供されなくなつたものとみなす。
  • 三 当該譲渡があつた日から1年を経過する日までに当該承認に係る譲渡の対価の額の全部又は一部が当該事業の用に供される資産の取得に充てられた場合には、当該取得をした資産は、第1項の規定の適用を受ける特例事業用資産とみなす。

6 第4項の場合において、同項の事業の用に供されなくなつた事由が特定申告期限第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等の最初の同項の規定の適用に係る相続に係る相続税の申告書の提出期限又は最初の第70条の6の8第1項の規定の適用に係る贈与の日の属する年分の同項に規定する贈与税の申告書の提出期限のいずれか早い日をいう。第10項及び第15項第2号において同じ。の翌日から5年を経過する日後の会社の設立に伴う現物出資による全ての特例事業用資産の移転であるときは、当該特例事業用資産の移転につき、政令で定めるところにより、納税地の所轄税務署長の承認を受けたときにおける第4項の規定の適用については、当該承認に係る移転はなかつたものと、当該現物出資により取得した株式又は持分は第1項の規定の適用を受ける特例事業用資産合併により当該会社が消滅した場合その他の財務省令で定める場合には、当該会社の株式又は持分に相当するものとして財務省令で定めるものを含む。と、それぞれみなす。この場合において、当該承認を受けた後における第3項、第4項、第15項及び第17項から第19項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

7 第1項の相続に係る相続税の申告書の提出期限までに、当該相続又は遺贈により取得をした被相続人の事業の用に供されていた資産の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によつてまだ分割されていない場合における同項の規定の適用については、その分割されていない資産は、当該相続税の申告書に同項の規定の適用を受ける旨の記載をすることができないものとする。

8 第1項の規定は、被相続人から相続又は遺贈により取得をした特定事業用資産に係る事業と同一の事業の用に供される資産について、同項の規定の適用を受けている他の特例事業相続人等若しくは同項の規定の適用を受けようとする他の特例事業相続人等又は第70条の6の8第1項の規定の適用を受けている他の同条第2項第2号に規定する特例事業受贈者がいる場合には、当該特定事業用資産については、適用しない。

9 第1項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする特例事業相続人等のその被相続人から相続又は遺贈により取得をした事業の用に供される資産に係る相続税の申告書に、当該資産の全部若しくは一部につき同項の規定の適用を受けようとする旨の記載がない場合又は当該資産の明細及び納税猶予分の相続税額の計算に関する明細その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がない場合には、適用しない。

10 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等は、同項の相続に係る相続税の申告書の提出期限の翌日から猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき同項、第3項、第4項、第12項又は第13項の規定による納税の猶予に係る期限が確定する日までの間に特例相続報告基準日特定申告期限の翌日から3年を経過するごとの日をいう。が存する場合には、届出期限当該特例相続報告基準日の翌日から3月を経過する日をいう。次項、第12項及び第16項において同じ。までに、政令で定めるところにより引き続いて第1項の規定の適用を受けたい旨及び同項の特例事業用資産に係る事業に関する事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

11 猶予中相続税額に相当する相続税並びに当該相続税に係る利子税及び延滞税の徴収を目的とする国の権利の時効については、第14項第3号の規定により読み替えて適用される国税通則法第73条第4項の規定の適用がある場合を除き、前項の届出書の提出があつた時から当該届出書の届出期限までの間は完成せず、当該届出期限の翌日から新たにその進行を始めるものとする。

12 第10項の届出書が届出期限までに納税地の所轄税務署長に提出されない場合には、当該届出期限における猶予中相続税額に相当する相続税については、第1項の規定にかかわらず、当該届出期限の翌日から2月を経過する日をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とする。

13 税務署長は、次に掲げる場合には、猶予中相続税額に相当する相続税に係る第1項の規定による納税の猶予に係る期限を繰り上げることができる。この場合においては、国税通則法第49条第2項及び第3項の規定を準用する。

  • 一 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等が同項に規定する担保について国税通則法第51条第1項の規定による命令に応じない場合
  • 二 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等から提出された第10項の届出書に記載された事項と相違する事実が判明した場合

14 特例事業相続人等が第1項の規定の適用を受けようとする場合又は同項の規定による納税の猶予がされた場合における国税通則法、国税徴収法及び相続税法の規定の適用については、次に定めるところによる。

  • 一 第1項の規定の適用があつた場合における相続税に係る延滞税については、その相続税の額のうち納税猶予分の相続税額とその他のものとに区分し、更に当該納税猶予分の相続税額を第4号に規定する納税の猶予に係る期限が異なるものごとに区分して、それぞれの税額ごとに国税通則法の延滞税に関する規定を適用する。
  • 二 第22項の規定による通知第17項又は第18項に係るものに限る。により過誤納となつた額に相当する相続税の国税通則法第56条から第58条までの規定の適用については、当該通知を発した日又は第17項若しくは第18項の規定による申請の期限から6月を経過する日のいずれか早い日に過誤納があつたものとみなす。
  • 三 第1項の規定による納税の猶予を受けた相続税については、国税通則法第64条第1項及び第73条第4項中「延納」とあるのは、「延納(租税特別措置法第70条の6の10第1項(個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除)の規定による納税の猶予を含む。)」とする。
  • 四 第1項の規定による納税の猶予に係る期限第3項、第4項又は前2項の規定による当該期限を含む。は、国税通則法及び国税徴収法中法定納期限又は納期限に関する規定を適用する場合には、相続税法の規定による延納に係る期限に含まれるものとする。
  • 五 第17項又は第18項の申請書の提出があつた場合において、これらの申請書に係るこれらの規定に規定する免除申請相続税額に相当する相続税は、国税徴収法第82条第1項の規定の適用については、第22項の規定による通知を発する日まで同条第1項の滞納に係る国税に該当しないものとする。
  • 六 第3項、第4項又は前2項の規定に該当する相続税については、相続税法第38条第1項及び第41条第1項の規定は、適用しない。
  • 七 相続又は遺贈により取得をした財産のうちに特例事業用資産に該当するものがある者の当該財産に係る相続税の額で納税猶予分の相続税額以外のものについては、当該特例事業用資産の価額は零であるものとして、相続税法第38条第1項同法第44条第2項において準用する場合を含む。第47条第5項、第52条第1項又は第53条第4項第2号ロの規定を適用する。
  • 八 特例事業用資産について第1項の規定の適用があつた場合における相続税法第48条の2第6項において準用する同法第41条第2項の規定の適用については、同項中「財産を除く」とあるのは、「財産及び租税特別措置法第70条の6の10第1項(個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除)の規定の適用に係る同項に規定する特例事業用資産を除く」とする。

15 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等が次に掲げる場合のいずれかに該当することとなつた場合その該当することとなつた日前に猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき第3項、第4項、第12項又は第13項の規定による納税の猶予に係る期限が確定した場合を除く。には、猶予中相続税額に相当する相続税を免除する。この場合において、当該特例事業相続人等又は当該特例事業相続人等の相続人包括受遺者を含む。第27項において同じ。は、その該当することとなつた日から同日第2号に掲げる場合に該当することとなつた場合にあつては、同号の特例事業用資産の贈与を受けた者が当該特例事業用資産について第70条の6の8第1項の規定の適用に係る同項に規定する贈与税の申告書を提出した日以後6月を経過する日次項において「免除届出期限」という。までに、政令で定めるところにより、財務省令で定める事項を記載した届出書を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

  • 一 当該特例事業相続人等が死亡した場合
  • 二 特定申告期限の翌日から5年を経過する日後に、当該特例事業相続人等が第1項の規定の適用に係る特例事業用資産の全てにつき第70条の6の8第1項の規定の適用に係る贈与をした場合
  • 三 当該特例事業相続人等がその有する当該特例事業用資産に係る事業を継続することができなくなつた場合当該事業を継続することができなくなつたことについて財務省令で定めるやむを得ない理由がある場合に限る。

16 第10項又は前項の届出書が届出期限又は免除届出期限までに提出されなかつた場合においても、これらの規定に規定する税務署長がこれらの期限内にその提出がなかつたことについてやむを得ない事情があると認める場合において、政令で定めるところによりこれらの届出書が当該税務署長に提出されたときは、第12項又は前項の規定の適用については、これらの届出書がこれらの期限内に提出されたものとみなす。

17 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつた場合その該当することとなつた日前に猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき第3項、第4項、第12項又は第13項の規定による納税の猶予に係る期限が確定した場合を除く。において、当該特例事業相続人等は、当該各号に定める相続税の免除を受けようとするときは、その該当することとなつた日から2月を経過する日までに、当該免除を受けたい旨、当該免除を受けようとする相続税に相当する金額第23項において「免除申請相続税額」という。及びその計算の明細その他の財務省令で定める事項を記載した申請書当該免除の手続に必要な書類として財務省令で定める書類を添付したものに限る。を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

  • 一 当該特例事業相続人等が第1項の規定の適用に係る特例事業用資産の全てについて、当該特例事業相続人等の特別関係者以外の者のうちの一人の者として政令で定めるものに対して譲渡若しくは贈与以下この号及び次項第1号において「譲渡等」という。をした場合又は民事再生法の規定による再生計画同法第196条第4号に規定する住宅資金特別条項を定めた再生計画並びに同法第221条第1項に規定する小規模個人再生及び同法第239条第1項に規定する給与所得者等再生に係る再生計画を除く。以下この号、第19項及び第21項において同じ。の認可の決定に基づき当該再生計画当該決定に準ずる政令で定める事実が生じた場合にあつては、債務処理計画債務の処理に関する計画として政令で定めるものをいう。第19項及び第21項において同じ。を遂行するために譲渡等をした場合において、次に掲げる金額の合計額が当該譲渡等の直前における猶予中相続税額に満たないとき 当該猶予中相続税額から当該合計額を控除した残額に相当する相続税
    • イ 当該譲渡等があつた時における当該譲渡等をした特例事業用資産の時価に相当する金額その金額が当該譲渡等をした特例事業用資産の譲渡等の対価の額より低い金額である場合には、当該譲渡等の対価の額
    • ロ 当該譲渡等があつた日以前5年以内において、当該特例事業相続人等の特別関係者が当該特例事業相続人等から受けた必要経費不算入対価等の合計額
  • 二 当該特例事業相続人等について破産手続開始の決定があつた場合 イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した残額に相当する相続税
    • イ 当該破産手続開始の決定の直前における猶予中相続税額
    • ロ 当該破産手続開始の決定があつた日以前5年以内において、当該特例事業相続人等の特別関係者が当該特例事業相続人等から受けた必要経費不算入対価等の合計額

18 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当することとなつた場合当該特例事業相続人等の特例事業用資産に係る事業の継続が困難な事由として政令で定める事由が生じた場合に限るものとし、その該当することとなつた日前に猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき第3項、第4項、第12項又は第13項の規定による納税の猶予に係る期限が確定した場合を除く。において、当該特例事業相続人等は、当該各号に定める相続税の免除を受けようとするときは、その該当することとなつた日から2月を経過する日までに、当該免除を受けたい旨、当該免除を受けようとする相続税に相当する金額第23項において「免除申請相続税額」という。及びその計算の明細その他の財務省令で定める事項を記載した申請書当該免除の手続に必要な書類として財務省令で定める書類を添付したものに限る。を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

  • 一 当該特例事業相続人等が当該特例事業相続人等の特別関係者以外の者に対して当該特例事業用資産の全ての譲渡等をした場合において、次に掲げる金額の合計額が当該譲渡等の直前における猶予中相続税額に満たないとき 当該猶予中相続税額から当該合計額を控除した残額に相当する相続税
    • イ 当該譲渡等の対価の額その額が当該譲渡等をした時における当該譲渡等をした当該特例事業用資産の時価に相当する金額の2分の1以下である場合には、当該2分の1に相当する金額を第1項の規定の適用に係る相続により取得をした特例事業用資産の当該相続の開始の時における価額とみなして、第2項第3号の規定により計算した金額
    • ロ 当該譲渡等があつた日以前5年以内において、当該特例事業相続人等の特別関係者が当該特例事業相続人等から受けた必要経費不算入対価等の合計額
  • 二 当該特例事業用資産に係る事業の廃止をした場合において、次に掲げる金額の合計額が当該廃止の直前における猶予中相続税額に満たないとき 当該猶予中相続税額から当該合計額を控除した残額に相当する相続税
    • イ 当該廃止の直前における当該特例事業用資産の時価に相当する金額を第1項の規定の適用に係る相続により取得をした特例事業用資産の当該相続の開始の時における価額とみなして、第2項第3号の規定により計算した金額
    • ロ 当該廃止の日以前5年以内において、当該特例事業相続人等の特別関係者が当該特例事業相続人等から受けた必要経費不算入対価等の合計額

19 第1項の特例事業相続人等について民事再生法の規定による再生計画の認可の決定があつた場合再生計画の認可の決定に準ずる政令で定める事実が生じた場合を含む。において、当該特例事業相続人等の有する資産につき政令で定める評定が行われたとき当該認可の決定があつた日当該政令で定める事実が生じた場合にあつては、債務処理計画が成立した日。以下第21項までにおいて「認可決定日」という。以後第22項の規定による通知が発せられた日前に猶予中相続税額に相当する相続税の全部につき第3項、第4項、第12項又は第13項の規定による納税の猶予に係る期限が確定した場合を除くものとし、再生計画を履行している特例事業相続人等にあつては、監督委員又は管財人が選任されている場合に限る。は、再計算猶予中相続税額をもつて特例事業用資産に係る猶予中相続税額とする。この場合において、第2号に掲げる金額に相当する相続税については、第1項の規定にかかわらず、当該通知が発せられた日から2月を経過する日をもつて同項の規定による納税の猶予に係る期限とし、猶予中相続税額から次に掲げる金額の合計額を控除した残額に相当する相続税第22項において「再計算免除相続税」という。については、免除する。

  • 一 当該再計算猶予中相続税額
  • 二 認可決定日以前5年以内において、当該特例事業相続人等の特別関係者が当該特例事業相続人等から受けた必要経費不算入対価等の合計額

20 前項の「再計算猶予中相続税額」とは、第1項の規定の適用に係る特例事業用資産猶予中相続税額に対応する部分に限る。の認可決定日における価額を同項の規定の適用に係る相続により取得をした特例事業用資産の当該相続の開始の時における価額とみなして、第2項第3号の規定により計算した金額をいう。

21 第19項の規定は、同項の規定の適用を受けようとする特例事業相続人等が、認可決定日から2月を経過する日までに、同項の規定の適用を受けたい旨、前項に規定する再計算猶予中相続税額及びその計算の明細その他財務省令で定める事項を記載した申請書第19項に規定する認可の決定があつた再生計画債務処理計画を含む。に関する書類として財務省令で定めるものを添付したものに限る。を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。

22 税務署長は、第17項、第18項又は前項の規定による申請書の提出があつた場合において、これらの申請書に記載された事項について調査を行い、第17項各号若しくは第18項各号に掲げる場合の区分に応じこれらの各号に定める相続税若しくは再計算免除相続税の免除をし、又はこれらの申請書に係る申請の却下をする。この場合において、税務署長は、これらの申請書に係る申請の期限の翌日から起算して6月以内に、当該免除をした相続税の額若しくは当該再計算免除相続税の額又は当該却下をした旨及びその理由を記載した書面により、これをこれらの申請書を提出した特例事業相続人等に通知するものとする。

23 税務署長は、第17項又は第18項の申請書の提出があつた場合において相当の理由があると認めるときは、これらの申請書に係る納期限第26項の表の第5号の上欄又は同表の第6号の上欄に掲げる場合の区分に応じ同表の第5号の下欄又は同表の第6号の下欄に掲げる日をいう。又はこれらの申請書の提出があつた日のいずれか遅い日から前項の規定による通知を発した日の翌日以後1月を経過する日までの間、これらの申請に係る免除申請相続税額に相当する相続税の徴収を猶予することができる。

24 税務署長は、特例事業相続人等が第17項第1号又は第18項第1号若しくは第2号の規定の適用を受ける場合において、当該特例事業相続人等が適正な時価を算定できないことについてやむを得ない理由があると認めるときは、第26項の表の第5号の上欄又は同表の第6号の上欄に掲げる場合に該当することとなつたことにより納付することとなつた相続税に係る延滞税につき、前項に規定する納期限の翌日から第22項の規定による通知を発した日の翌日以後1月を経過する日までの間に対応する部分の金額を免除することができる。

25 第21項から前項までに定めるもののほか、第17項から第19項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

26 第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等は、次の表の各号の上欄に掲げる場合に該当する場合には、当該各号の中欄に掲げる金額を基礎とし、当該特例事業相続人等が同項の規定の適用を受けるために提出する相続税の申告書の提出期限の翌日から当該各号の下欄に掲げる日までの期間に応じ、年3.6パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を、当該各号の中欄に掲げる金額に相当する相続税に併せて納付しなければならない。

一 第3項の規定の適用があつた場合(第4号から第6号までの上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)猶予中相続税額同項の規定による納税の猶予に係る期限
二 第4項の規定の適用があつた場合(第4号から第6号までの上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項の規定により納税の猶予に係る期限が確定する猶予中相続税額同項の規定による納税の猶予に係る期限
三 第12項の規定の適用があつた場合(次号の上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項の規定により納税の猶予に係る期限が確定する猶予中相続税額同項の規定による納税の猶予に係る期限
四 第13項の規定の適用があつた場合同項の規定により納税の猶予に係る期限が繰り上げられる猶予中相続税額同項の規定により繰り上げられた納税の猶予に係る期限
五 第17項第1号又は第2号の規定の適用があつた場合(前号の上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項第1号イ及びロに掲げる金額の合計額又は同項第2号ロに掲げる金額これらの号に掲げる場合に該当することとなつた日から2月を経過する日
六 第18項第1号又は第2号の規定の適用があつた場合(第4号の上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項第1号イ及びロに掲げる金額の合計額又は同項第2号イ及びロに掲げる金額の合計額これらの号に掲げる場合に該当することとなつた日から2月を経過する日
七 第19項の規定の適用があつた場合(第4号の上欄に掲げる場合に該当する場合を除く。)同項第2号に掲げる金額同項の規定による納税の猶予に係る期限

27 第3項、第4項、第12項若しくは第19項に規定する納税の猶予に係る期限、第17項、第18項若しくは第21項に規定する申請書の提出期限、第23項に規定する納期限又は前項に規定する利子税同項の表の第5号又は第6号に係るものに限る。の計算の基礎となる期間の終期までにこれらの規定に規定する特例事業相続人等が死亡した場合には、これらの規定に規定する納税の猶予に係る期限、申請書の提出期限、納期限又は利子税の計算の基礎となる期間の終期は、これらの規定にかかわらず、それぞれ、これらの特例事業相続人等の相続人が当該特例事業相続人等の死亡による相続の開始があつたことを知つた日の翌日から6月を経過する日とする。

28 経済産業大臣又は経済産業局長は、第1項の規定の適用を受ける特例事業相続人等、同項の特例事業用資産又は当該特例事業用資産に係る事業について、第3項又は第4項の規定による納税の猶予に係る期限の確定に係る事実に関し、法令の規定に基づき認定、確認、報告の受理その他の行為をしたことにより当該事実があつたことを知つた場合には、遅滞なく、当該事業について当該事実が生じた旨その他財務省令で定める事項を、書面により、国税庁長官又は当該特例事業相続人等の納税地の所轄税務署長に通知しなければならない。

29 税務署長は、第1項の場合において経済産業大臣又は経済産業局長の事務同項の規定の適用を受ける特例事業相続人等に関する事務で、前項の規定の適用に係るものに限る。の処理を適正かつ確実に行うため必要があると認めるときは、経済産業大臣又は経済産業局長に対し、当該特例事業相続人等が第1項の規定の適用を受ける旨その他財務省令で定める事項を通知することができる。

30 前条第1項同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされた同条第1項に規定する特例受贈事業用資産について第1項の規定の適用を受ける場合における同項の規定の適用については、同項中「平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間の取得で、最初のこの項の規定の適用に係る相続又は遺贈による取得及び当該取得の日その他政令で定める日から1年を経過する日までの相続又は遺贈による取得に限る」とあるのは、「前条第1項(同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる場合の当該取得を含む。第5項から第7項までを除き、以下この条において同じ」とし、当該特例受贈事業用資産は特定事業用資産とみなす。

31 第3項から前項までに定めるもののほか、第1項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

特定事業用資産を有していた個人として政令で定める者以下この条において「被相続人」という。から相続又は遺贈によりその事業に係る特定事業用資産の全て当該特定事業用資産の全部又は一部が数人の共有に属する場合には、当該被相続人以外の者が有していた共有持分に係る部分を除く。の取得平成31年1月1日から令和10年12月31日までの間の取得で、最初のこの項の規定の適用に係る相続又は遺贈による取得及び当該取得の日その他政令で定める日から1年を経過する日までの相続又は遺贈による取得に限る。をした特例事業相続人等が、当該相続に係る相続税の申告書相続税法第27条第1項の規定による期限内申告書をいう。以下この条において同じ。の提出により納付すべき相続税の額のうち、当該特定事業用資産で当該相続税の申告書にこの項の規定の適用を受けようとする旨の記載があるもの以下この条において「特例事業用資産」という。に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、当該相続税の申告書の提出期限までに当該納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、同法第33条の規定にかかわらず、当該特例事業相続人等の死亡の日まで、その納税を猶予する。

2 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  • 一 特定事業用資産 被相続人当該被相続人と生計を一にする配偶者その他の親族及びこれらに類するものとして政令で定める者を含む。次号ト及び第7項において同じ。の事業の用に供されていた次に掲げる資産当該被相続人の前項の規定の適用に係る相続の開始の日の属する年の前年分の事業所得に係る青色申告書所得税法第2条第1項第40号に規定する青色申告書をいい、第25条の2第3項の規定の適用に係るものに限る。次項第4号及び第5号において同じ。の貸借対照表に計上されているものに限る。の区分に応じそれぞれ次に定めるものをいう。
    • イ 宅地等土地又は土地の上に存する権利をいい、財務省令で定める建物又は構築物の敷地の用に供されているもののうち政令で定めるものに限る。イにおいて同じ。 当該宅地等の面積の合計のうち400平方メートル当該被相続人から相続又は遺贈により取得をした宅地等について、第69条の4第1項の規定の適用を受ける者がいる場合には、同項に規定する小規模宅地等に相当する面積として政令で定めるところにより計算した面積を400平方メートルから控除した面積以下の部分
    • ロ 建物当該事業の用に供されている建物として政令で定めるものに限る。 第70条の6の8第2項第1号ロに定める資産
    • ハ 減価償却資産所得税法第2条第1項第19号に規定する減価償却資産をいい、ロに掲げるものを除く。 第70条の6の8第2項第1号ハに定める資産
  • 二 特例事業相続人等 被相続人から前項の規定の適用に係る相続又は遺贈により特定事業用資産の取得をした個人で、次に掲げる要件当該被相続人が60歳未満で死亡した場合には、ロに掲げる要件を除く。の全てを満たす者をいう。
    • イ 当該個人が、中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律第2条に規定する中小企業者であつて特例円滑化法認定を受けていること。
    • ロ 当該個人が、当該相続の開始の直前において当該特定事業用資産に係る事業当該事業に準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。に従事していたこと。
    • ハ 当該個人が、当該相続の開始の時から当該相続に係る相続税の申告書の提出期限当該提出期限前に当該個人が死亡した場合には、その死亡の日。ニにおいて同じ。までの間に当該特定事業用資産に係る事業を引き継ぎ、当該提出期限まで引き続き当該特定事業用資産の全てを有し、かつ、自己の事業の用に供していること。
    • ニ 当該個人が、当該相続に係る相続税の申告書の提出期限において、所得税法第229条の規定により当該特定事業用資産に係る事業について開業の届出書を提出していること及び同法第143条の承認同法第147条の規定により当該承認があつたものとみなされる場合の承認を含む。を受けていること又は当該承認を受ける見込みであること。
    • ホ 当該個人の当該特定事業用資産に係る事業が、当該相続の開始の時において、資産保有型事業、資産運用型事業及び風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第5項に規定する性風俗関連特殊営業のいずれにも該当しないこと。
    • ヘ 当該個人に係る被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者が、第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等について同条第1項の規定の適用を受けていないこと。
    • ト 当該個人が、被相続人の事業を確実に承継すると認められる要件として財務省令で定めるものを満たしていること。
  • 三 納税猶予分の相続税額 前項の規定の適用に係る特例事業用資産の価額を同項の特例事業相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、相続税法第13条から第19条までの規定を適用して政令で定めるところにより計算した当該特例事業相続人等の相続税の額をいう。
  • 四 資産保有型事業 第70条の6の8第2項第4号に定める事業をいう。
  • 五 資産運用型事業 第70条の6の8第2項第5号に定める事業をいう。

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